鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください…… 作:ふーあいあむ
ちなみに
家族旅行一日目→出発(朝)
家族旅行二日目→宿泊
家族旅行最終日→帰宅(夜)
家族旅行一日目(夜)。
ジークから植木鉢の写真つきのメールが来た。
ちゃんと水をやってくれたようだ。
その後しばらくジークとメールをしていたらこれから帰るというメールが来たので『俺のベッド使っていいから泊まってけば?』と送ったら返信が途絶えた。
家族旅行二日目。
胡散臭い占い屋に寄った。
占い師のばばあは俺の左肩辺りを見ると『あんたの前世は金髪の女だよ』とか言ってきた。
金髪幼女がいるのは右肩なのに。
夜にジークから写真つきメールが来た。
植木鉢の植物には黒い蕾が1つと……なんだろう、直径3㎝ほどの実のようなものが出来ていた。
成長が早くて何より。
そして真夜中。
ふつくしきおっぱいとの出会いを求め、密かに混浴へ。
しばらくすると『ご一緒しても?』と後ろから女性に声をかけられたので『どうぞどうぞ』と言って振り向く。
ストラトスちゃん(全裸)だった。
ついてきやがったのだ。
当然、俺は逃げ出した。
部屋に入って鍵を閉め、布団を頭まで被ってガタガタ震えてた。
あいつ、頭、おかしい。
そして、家族旅行最終日の夜。
両親と別れ、俺はすでに1人ミッドに帰ってきていた。
今は自宅へと向かっている。
「ジーク喜ぶかな?」
手に持つジーク用のおみやげを見る。
まりもっ〇りだ。
金髪幼女には大ウケした。
今も俺の右肩で『もっこり』をオリジナリティ溢れる歌にのせて連呼している。
俺も一緒になって歌っていたらいつの間にかアパートに到着していた。
「さて……どうやって驚かすかな」
普通に行ってもつまらんし……。
いや、一周回って普通に行ってみるか?
斬新だな。
ーーーーざんしんざんしん~♪
金髪幼女からもお墨付きを貰ったしこれで行こう。
鍵を開ける。
「ジーク、ただいま~。今帰っーーーー」
「チヒロぉぉおおっ!」
「へぇあ!?」
いきなりジークが飛び付いてきた。
なにごと?
「お、おいジーク? どうしたんだよ?」
「ち、チヒロっ! あの花っ!」
花?
……もしかしてあの黒い蕾が咲いたのか?
「マジか。よし見てこよ」
「ダメや! あの花危険や!」
は?
「意味が分かんないんだけど。どういうこと?」
「どうもこうもないで! あの花、なんか蛇とか鎖とか出してきて襲いかかってくるんや!」
……え?
もしかしてジークさん……
「えっと……なんかキメてる?」
「キメてもないし嘘でもない! 信じて!」
どうしよう。
親友がアブない薬に手を出していた件。
「だ、大丈夫だ。俺は友達を売ったりしないから。ほら、今すぐ逃げろって」
はよ出てけ。
「ちょっ、チヒロ!?」
「大丈夫大丈夫! こんなんで俺たちの関係は崩れないからさ! 大丈夫だってジーク……いや、エレミアさん」
「崩れてるやん!?」
面倒ごとは嫌いだ。
「じゃあな~!」
「あっ、まっ、チヒーーーー」
赤の他人のエレミアさんを追い出して扉を閉めた。
外ではまだ騒いでいる声が聞こえる。
「マジかぁ……薬物とかまったく関係ない世界に生きていると思ってたけど……。明日は我が身か」
気を付けよう。
部屋に入る。
「ん? 机の上に何か……」
あぁ合鍵か。
回収回収。
そんなことより植木鉢だ。
「おぉ! 本当に花が咲いてる!」
黒い……なんだろう、百合?
百合によく似た花が立派に咲いていた。
そして、実のような物は5㎝ほどにまで成長している。
「これ……食えるのかな?」
エレミアさんに食わしてみるかな。
赤の他人だし、構わないだろう。
熟すのっていつぐらいになるんだ?
「明日学校サボって調べてみるかな」
いったい何の植物なのか。
この実が食えるのか。
今すぐ調べたいが、家族旅行で疲れているため今日はもう寝たい。
明日が待ち遠しい。
「チヒロぉ……ひっく……チヒロぉぉぉ…………あいかぎぃぃぃいいぃぃいいいいっ!」
合 鍵 回 収。
チヒロに信じてもらえない<合鍵
そしてそろそろ植物の正体がわかったんじゃないでしょうか。
※旅行一日目の夜、返信をやめたジークは狂喜乱舞してました。