鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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ついに?
開花編突入。

次回辺りに記載しますが、旅行は三連休を利用しています。
あと旅行編ではありませんので旅行先のことは基本的に書きません。




十七話

「ここが、あの女のハウスね」

 

ある日の早朝、川原にあるジークの家に来ていた。

いや、テントか。

 

「さぁ……やるか」

 

ーーーーそれは昨日の夜、ヴィクターとの通信でのことだった。

 

 

 

 

 

『家族旅行……ですの?』

「あぁ、そうなんだよ」

 

遠方で共働きしている両親から旅行に行くという連絡があった。

 

『そう。お土産よろしくお願いしますわ』

「考えとく。でさ、三日間くらいいなくなるんだけどその間は植木鉢に水をあげられないわけ」

 

で、それを誰に頼むかなんだが……

 

『私がやりましょうか?』

「お前は俺の家来るたびにエロ本盗んでくからヤダ」

『あなただって私から時々盗むでしょう』

「だってお前の持ってるやつ好みのばっかなんだもん」

 

とりあえずヴィクターはない。

ストラトスちゃんも。

 

「ジークに頼もうと思う」

『いいんじゃないかしら』

 

ただ……

 

「普通に頼んだらつまらないよな?」

『当然ですわ』

 

せっかくだから、旅行出発当日の早朝に寝起きドッキリを仕掛けたい。

テッテレー、って言いたい。

 

「どうする? 火ぃ着ける?」

『それもいいと思いますが……私にいい案がありますわ』

 

ほほぅ。

聞こうか。

 

『それは……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お邪魔しまーす……」

 

文字通りな。

ジークは……よし、よく寝ている。

今のうちに隠しカメラをセットしておく。

 

「準備おけ。チヒロ、行きまーす」

 

あくまで小声なので若干盛り上がりに欠ける。

まぁ、いい。

ジークの隣に寝転ぶ。

 

「……で、腕枕するんだっけ?」

 

起こさないよう慎重に。

よし……フェーズ1クリア。

後は起きるのを待つだけだ。

 

「…………ぅ、ん…………?」

 

ジークがうっすらと目を開ける。

 

「おはよう、ジーク」

「……ふぇ? ちひろ……?」

 

完全に寝ぼけてるな。

 

「おあよぅ…………」

「はい、おはよう 」

 

大きな欠伸をひとつして、ジークは再び目を閉じる。

そして俺の胸へと頭を擦り付けてきた。

 

「ええにおい……」

「……まぁ、臭いって言われるよりマシか」

「えへへ…………ちひろのにおいやぁ……」

 

それどんな匂い?

 

「ちひろ……えへへぇ……ちひろぉ……………………え? ……チヒ、ロ?」

「お、やっと起きたか?」

 

目がぱっちりと開き……というか大きく見開かれる。

俺の顔を凝視すると真っ赤になって慌て初めた。

……フェーズ2へ移行する!

 

「なっ、なななななんで!? なんでチヒロがおるん!?」

「なんでって……おいおい、恋人相手にそりゃないだろ」

「こ、恋人ぉッ!?」

 

ちなみに今のお前は変人にしか見えないぞ。

 

「昨日だってあんなに愛し合ったじゃないか……」

「あ、ああああああ愛ぃぃいいッ!?」

 

嘘だけどな。

テントなんかで愛し合う趣味なんてちょっとしかない。

 

「まったく……お寝坊さんだな、マイハニー」

「はにぃぃぃぃぃいいいいいっ!?」

 

いやぁ……楽しいなぁ。

さすがヴィクター。

なんでこいつがここまで慌ててるのか分からないが素晴らしい作戦だ。

 

「……やったんや……ついに(ウチ)やったんや……!」

「ジーク?」

 

今度はすごい喜んでる。

忙しいやつだな。

 

「ち、チヒロ? ホントに(ウチ)ら……」

「あ? あ、あぁ」

「えへへへへへへへぇ…………!」

 

ヨダレ垂らすなよ汚いなぁ。

時間の関係もあるし、そろそろネタばらしするか。

 

「じゃ、じゃあ、おはようのちゅーを……」

「テッテレーっ!」

「……え?」

 

“ドッキリ大成功!”と書かれた看板を出す。

 

「寝起きドッキリでしたー!」

「ドッ……キリ…………?」

「そうそう。ドッキリ」

 

ジークは状況が読めずにキョトンとしている。

バッチリカメラに収まっているのも知らずに。

 

「じゃあ……(ウチ)らは……?」

「恋人でもなければ愛し合ってもいないな」

 

いいねー。

いい画撮れてるよ~。

 

「いやぁ、最初は火でも着けようかと思ったんだけどヴィクターに相談したらこんな面白いことを考えてーーーー」

 

 

ーーーージークに本気で首を絞められた。

 

 




ヴィクターの考えたドッキリ大作戦
作戦名『天国から地獄へ(ゴー・トゥ・ヘル)
作戦内容
恋に恋する乙女なジークちゃんを夢が叶ったという天国から、あくまで夢は夢だという地獄へといっきに叩き落とす。
純粋な恋心を利用した、まさに悪魔の所業。


※ジークちゃんはブチギレてるよ! でも忘れないでね、あの子はチョロインなの。

追記
今日、午後にもう一度更新します。
そして明日から二日間(5月12、13日)は私用で更新をお休みさせていただきます。

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