鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください…… 作:ふーあいあむ
「またいるし……」
学校から出ると、校門に知った顔が見える。
できれば知りたくなかった顔だが。
「……うわ、気付かれた」
たたた、と駆け寄ってくる。
それに合わせて俺も後退する。
相手は驚いた顔をして速度をあげてきた。
「な、何で逃げるんですかっ!?」
「似たような言葉で返してやるぜ、ストラトスちゃん。何でことあるごとに俺のとこ来るんだよ」
ついに俺は後ろを向いて全力で走り出した。
「待ってください!」
「だが断る!」
時速70キロでやつから逃げたい。
だが現実は非常だ。そんなことはできないし、ましてや格闘技をやっているような人間に身体能力で勝てるわけがない。
例え相手が年下だったとしても。
「くっそ……! 今日は速攻で家に帰ってネトゲやる予定だったのに……!」
「あと、少し……!」
ヤバい。
すぐ後ろからやつの声が聞こえた。
こうなりゃ……!
「ストラトスちゃん!」
「な……!」
急ブレーキを掛けて止まり、勢いのまま突っ込んでくるストラトスちゃんを受け止める。
そのままぎゅうっと力を込めて抱き締めた。
「愛してるぜ」
「ふぇ……!?」
ストラトスちゃんは顔を真っ赤にして体を強張らせる。
今だ……!
「……なんて、んな訳ねーだろバーカバーカ! ロリは帰れ!」
「……な、しまった!」
今さら気付いたって遅いわ、小娘!
校門に向かって走る。
「あばよ、ダチ公!」
「ま、待ってください! 話を……!」
フハハハ、聞こえぬわ!
「ーーーー武装形態」
「え」
嫌なのが聞こえちゃった。
その言葉が聞こえた次の瞬間、尻餅をついて俺は空を見ていた。
「お、お前! 今、一般人に魔法使ったな!」
「……いえ、単なる足払いです」
いつの間にか俺の前にいるストラトスちゃんは先ほどとは違い、大人になっている。
俗に言う変身魔法だ。
「くそ……変態しやがって! 汚いぞ!」
「変身と言ってください。さあ、今日という今日は聞いてもらいますよ」
一区切りして、ストラトスちゃんは言った。
「手当てのお礼を!」
「それここまでやった挙げ句、キメ顔で言わなきゃいけないことなの?」
「……少し、後悔してます」
ストラトスちゃんは恥ずかしそうに顔を赤らめて俯いた。
ふむ……ついカッとなってやった、というところか。
「ったく……最近のロリっ娘は」
「それを言うなら『若いの』では?」
「いやまだ俺も若いし。高校生だよ?」
どうせ若いのって言ったら『あなたも若いでしょう?』って言うんでしょ!?
ライトノベルとかみたいに!
「とにかく、わたしの傷を手当てしてくれたのは事実ですから! だからお礼を……」
「はぁ……」
なんでこんなことになったのかなぁ……。
やっぱりあの時、無視すりゃよかったんだ。
ーーーーそれは数日前の出来事だった。
まさか、こんな面倒なことにまで発展するとはなぁ……。
俺は溢れ出る後悔と共に、