Fate/in UK   作:ニコ・トスカーニ

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第二部です。
ちょっと長め。


急襲

 ブルースは私と士郎を車に乗せ走り始めた。そこからおよそ十分の何もない牧草地帯にそびえたつ、巨大なヴィクトリア朝様式の邸宅に我々は迎えられていた。

 応接間に通されると今回の警護対象が直々に我々を出迎えた。

 ブルースが『我らの王です』と紹介した少年は年の頃まだ十二か十三歳ぐらいといったところだろうか。

 ブルースと同じような青白い顔をした少年は『ロバート』と名乗った。

 なるほど、王となる人物だからロバートか。

 しかし、小柄で痩せぎすなその少年から横溢する凄まじい魔力を感じた。

 魔力の扱いにおいては私に劣る士郎も私と同じものを感じ取ったようだ。

 緊張の面持ちで立ち尽くす我々二人に彼は尋ねた。

 

「ミスター・マクナイト、それにミスター・エミヤですね。こんな遠いところまでご足労いただき感謝いたします。どうか我々に力を貸してください」

 

 そう言うと少年のロバートは恭しく頭を下げた。

 

 休む事なくブルースは私と士郎を邸宅の一室に招き、警護のためのブリーフィングを始めた。

 

 まずはブルース一族についての説明があった。

 ブルース一族はロバート一世(ロバート・ザ・ブルース)生誕の地とされるターンベリーに根を張る一族で、この五百年にわたり代替わりを繰り返し、今代のロバートが丁度十代目になるという。

 続いて話は警護の内容に移った。

 儀式はこの屋敷からおよそ十マイルの距離にある、ターンベリー城跡の遺跡まで徒歩で移動しそこで次代のロバートが戴冠式を行うというだけの簡素なものだが

 道中での襲撃に備えて経路上の要注意箇所について我々はレクチャーを受けた。

 

 やはりという予想通りブリーフィングで居合わせた警護者たち七名の名前は全員がブルースであったため、私は区別をするため彼らにジョン・ル・カレのスパイ小説のようにコードネームをつける事とした。

 

Wanker(マスかき野郎)Tosser(マスかき野郎)Berk(バカ)Minger(不細工)……

 五人目のブルースのコードネームを考えている最中に簡易なブリーフィングは終了し、私はこの不毛な思考を終了させる事とした。

 ブリーフィングルームを出たすぐ、士郎が私に尋ねた。

 

「あんた途中からずっとニヤニヤしてなかったか?何考えてたんだ?」

 

 その夜、私と士郎は我々に充てがわれた部屋で打ち合わせをする事とした。

 私はいつものH&K USPと倉庫から引っ張り出してきたH&K HK53、『厄介な仕事に巻き込んでしまった』というロセッティ親子からのありがたいお詫びの品物の数々をテーブルに並べ手入れをしながら話した。

 

「今回だが――」

 

 と私が話し始めたところで士郎が言った。

 

「あんたそんな物騒なものどこで手に入れたんだ!?」

 

 士郎の目線の先にあったのは、携行地対空ミサイルFIM-92 スティンガーと特別性プラスチック爆薬。どちらもロセッティ親子からの贈り物だ。

 

「君もニューヨークで会っただろ(※エピソード『マンハッタンの小聖杯』参照)?赤毛のメスゴリラ、アンナ・ロセッティとその父親のシルバーバックからの贈り物だ。もちろん魔術で秘匿して送ってもらった。非合法だが法に触れることはしていないから気にするな」

「発言が矛盾してるぞ……」

「どこも矛盾していないさ。何せ魔術を裁く法律など存在しないからな。ただ合法ではないだけだ。それに使うのは僕だ。続けていいか?」

 

 士郎はまだ言いたいことがあったようだが、口を閉じて先を促した。

 

「ブルース氏によると今回の相手は近代兵器を使ってくる可能性があるそうだ。その相手は僕がする。君の役目はサポートだ。炭素繊維で強化した特殊プラスチックシートを渡しておく。強化して使えば相当堅牢な盾になるだろう」

「ああ、わかった。任せてくれ」

「それとこれはもっと大事なことだが……」

 

 重要であることを伝えるため、私は正面からから士郎の目を見据えた。

 士郎は真剣な眼差しで私を見返した。

 

「本当に最悪の事態になったら投影を使え。君の投影が露見すれば封印指定を通り越してホルマリン漬けの標本だろうが、僕は絶対に秘密を守る。例え拷問されても質問されたことにしか答えないし、全裸で相手の靴の裏を舐めて命乞いをする程度までしかしない。だから安心してくれ」

 

 士郎の表情は真剣なものから呆れ顔に変わっていた。

 

「あんたの発言に安心できる要素が何も見当たらないんだが……。ところで俺からも質問していいか?」

「もちろんだ。これから命を懸けたやり取りになるかもしれない。疑問点は潰しておいてくれ」

「俺はスコットランドのことをよく知らないからさ。ロバート一世ってのは何した人なんだ?」

 

 私はよき教師役として、スコットランドの英雄ロバート一世についてと、参考として同じくスコットランド独立の英雄ウィリアム・ウォレスについて士郎に語って聞かせた。

 ウィリアム・ウォレスは一杯飲んだオーストラリア人のシェイクスピア俳優のようなアクセントで話していたという重要な情報を添えて。(※『ブレイブハート』でウィリアム・ウォレスを演じたメル・ギブソンはオーストラリア育ち)

 士郎はあまり私の話を信用していない様子だった。

 彼からの強い友愛を感じた。

 

  〇

 

 翌朝、この一団の長ロバート少年を中心におきブルースたち七人と私と士郎の愉快な一座は楽しいピクニックに旅立った。

 

 先頭にWanker(マスかき野郎)Tosser(マスかき野郎)の二人、左右にBerk(バカ)Minger(不細工)の二人。

 最後尾にそれ以外のブルース三人がフォーメーションを取り、私と士郎は一座の最後尾を付いていくという体制になった。

 依頼に来たブルース氏は儀式場で待機しているとのことだった。

 

 この近辺は遮蔽物が何もなく身を隠す場所がない。

 加えて、肌寒い早朝の空は靄がかかっており、視界は悪かった。

 危険を素早く察知するには好ましくない状況だ。

 私はこの面倒ごとが早く終わってくれることを祈りつつ歩みを進めた。

 ところが、出発して三マイルほどのところで突然先頭が止まった。

 

「何故止まったんだ?」

 

 Wanker(マスかき野郎)が私の問いに答えた。

 彼の視線の先を見ると、靄の先にゆっくりと動く丸みを帯びた物体の一群があった。

 羊の群れとそれらを連れる羊飼いのようだ。

 

「羊は神聖な存在です。無下にはできません。魔術の気配はしませんが注意してください」

 

 いつ来るかわからない危機に備えて意識を集中させ、遅々とした羊たちの動きを注意深く見張る。 

 やがて羊の群れの最後尾が見えた。

 私は緊張を安堵に切り替えかけていたが、長年の職業的勘により、目線の端で異常事態を捉えていた。

 最後尾の羊飼いの男が羊の背から何かを取り出したのが見えた。

 次の瞬間、男の掲げた硬質な物体から轟音と共に何かが発射され、高速の飛翔体がこちらに飛来していた。

 

「RPGだ!」

 

 私は短く叫びながら全力でダッシュすると中心にいたロバートを抱えて、横に飛んだ。

 激しく揺れる視界の端でWanker(マスかき野郎)Tosser(マスかき野郎)の二人が爆散するのが見えた。

 危機察知能力に優れた士郎は状況をすぐさま判断し、渡しておいたプラスチックシートに強化を施して即席の盾を作り私とロバート少年の前に立った。

 

 次の瞬間、別の羊飼いの男がサブマシンガンを取り出して銃弾をバラまきBerk(バカ)Minger(不細工)とその他三人のブルースはハチの巣にされていた。

 

「士郎!ここは遮蔽物が何もない!地面を構造解析しろ!地下に水道管でも通っていれば空間があるはずだ!爆破して下に潜るぞ!水道管のような高度な文明がスコットランドのド田舎にあればの話だがな!」

「わかった!任せてくれ!……余計な情報まで付け足さないでくれ!」

「悪かったな!僕の軽口は一生治らん!余計な情報は上手い事遮断してくれ!」

 

 士郎は盾を構えたまま地面に手を置き構造解析を始める。

 

「頭を低くして、耳を塞げ!」

 

 私はロバートに短く、鋭く告げると士郎の集中を助けるためにFIM-92 スティンガー(物騒なもの)を構え羊飼いたちに放った。

 とてつもない爆音とともに放たれたミサイルは、RPGを放ってきた羊飼いと羊を爆散させた。

 

「しばらくラム肉は食べられないな!」

「冗談言ってる場合か!」

「冗談ではない!軽口だ!」

「どっちでもいいよ!」

 

 渾身のユーモアに士郎は呆れ顔だったが、私のアシストの間に重要なことに気付いたようだ。

 

「アンドリュー、この下空洞があるぞ!」

「でかしたグルミット!」

「俺は犬かよ!」

 

 こちらからの思わぬ反撃で敵の攻撃が止んだ。チャンスは今しかない。

 

「爆破するぞ離れろ!」

 

 私は士郎が示した地面にロセッティ特性のプラスチック爆弾を設置し、大穴を開けた。

 

「シロウ飛び込め!ロバートは任せたぞ!」

「わかった!」

 

 士郎はロバートを抱えて穴に飛び込み、私もすぐ後に続いた。

 

  〇

 

 落ちた先は広い空間だった。

 私も士郎もそこら中から出血していたが、幸いにも被弾によってできた傷ではなかった。

 警護対象のロバートはショックで真っ青になっていたが怪我はないようだった。

 暗闇に目が慣れると我々が落ちた地下空間は、長い回廊のようなものの途中であることがわかった。

 

「ロバート、ここが何の施設だかわかるか?」

 

 士郎が務めて優しく尋ねる。

 しかし、彼はただ首を振るだけだった。

 

 私は少しでも少年を落ち着かせるため、持参したボトルウォーターを一口彼に含ませた。

 少年は水分を取ったことで少し落ち着いた様子だった。

 

「とりあえず先に行こう。ここに留まっているのは得策ではなさそうだ」

 

 私はそう発言し、我々三人は歩みを進めることにした。

 地下は当然ながら暗かった。

 持参したケミカルライトの光と、魔術で強化した視力を頼りにゆっくりと歩みを進める。

 

 しばらく歩いていると、息が整い、思考も落ち着いてきた。

 そこで私は道すがら襲撃の際に感じたことをロバートに質問することとした。

 

「彼らの持っていた武器はRPGにAK-47カラシニコフ、それにPPSサブマシンガン。いずれも旧ソ連製の骨董品だ。奇妙なのは重火器の扱いには慣れているようなのに彼らから微弱な魔力を感じたことだ。それもロバート、君と同じ系統の魔力を。聞いた話から僕は別の家系の襲撃だと思っていたが、あれは君の親族なんじゃないのか?」

 

 ケミカルライトの光は頼りなく、ロバートの表情は良く見えなかったが、息遣いは荒く、彼からは相当な動揺を読み取れた。

 それでも彼は努めて毅然として答えた。

 

「あなたがどのような話を聞いていたか分かりませんが、敵対勢力というのは他の一族だけでなく僕たち一族の中にもいます。おそらくあれは僕の兄の手のものでしょう。本家も傍流も僕たちにはありません。ただ血筋を持つもので王になれるのはただ一人だけ。これはそういう儀式です」

 

 魔術師らしいイカれた家系だ。

 もっとも王族が親類同士で殺し合うなど地域を問わず、歴史上ではありふれた話だ。

 そういう意味では彼らは正しく王の家系なのだろう。

 

「なるほど、敵対勢力という言葉には色々な意味があったのだな。しかし彼ら、武器は骨董品だがなかなかいい腕をしていたよ。魔術の腕を磨くよりこちらの方が手っ取り早いと判断したのだろうな。シュンスケ・ナカムラのフリーキックより精度は低かったがね」

 

 私の発言にロバートの足が突如止まった。

 軽口に対して帰ってきた答えは意外なものだった。

 

「アンドリューもセルティックサポーターなの?」

 

 ケミカルライトに照らされたその顔は年相応の少年に見えた。

 

 ロバートは誇り高いロバート1世に連なる後継者として育てられた。

 純粋性を損なわせないためその生活はまるでアーミッシュ(※農耕や牧畜で自給自足生活を営む集団)のような禁欲的なものだった。

 その中で彼の唯一の楽しみがフットボールだった。

 テレビの閲覧は基本的に禁じられていたが、スコティッシュプレミアのチームがCLで勝利した試合のみ録画試合の観戦を認められたからだ。

 必然としてロバートの知るフットボールとはセルティックとレンジャーズを中心とした世界となった。

 ロバートはその過程で特にセルティックを愛するようになった。

 

 ロバートにとってのヒーローはジョン・ハートソンでありヘンリク・ラーションでありそして最近そこにシュンスケ・ナカムラが加わった。

 ロバートは数は少ないとはいえCLのゲームを何度も繰り返し見てきただけあってなかなか目の肥えたフットボールファンだった。

 曰く『セルティックのディフェンス陣は後方からのビルドアップとセカンドボールの処理が雑すぎる』や『セットプレー以外での得点の匂いがしなかった』で、彼の見解『一昨日のゲームはマンUにもっと攻め気があれば前半で0−3ぐらいのスコアになっていてもおかしくなかった』という結論には私も同意せざるをえなかった。

 

「シロウは日本人なの?」

「ああ、サッカー詳しくないからあまり何がすごかったのかピンと来ないけどな」

「「サッカーじゃない。フットボール。脚でするからフットボールだ」」

 

 私とロバートはほぼ同時に士郎の発言を訂正した。

 

「こんなところで日本人に会えるなんて驚きだ。一昨日のゲームはナカムラがいなかったら良くてスコアレスドローだったよ。ありがとう。あとポーランド人に会えたらお礼が言いたかったな」

 

 その後、ロバートが知りたがったので、私は2000年代フットボール界の世界情勢をレクチャーすることとした。

 ルイス・フィーゴのバルセロナからマドリードへの禁断の移籍、トットナムのキャプテンだったソル・キャンベルがアーセナルに移籍した裏切りのユダ事件。

 そしてセリエAを揺るがしたユベントスの八百長疑惑と、それに伴うリーグそのものの凋落により相対的にブンデスの地位が向上したこと。

 どれもロバートは熱心に聞いていた。

 

 話が尽きると我々三人はピクニック気分で「You'll Never Walk Alone」を歌いながら行進した。

 士郎も一昨日の晩に散々歌わされた(私の記憶にはないが)ため完璧に覚えていた。

 

 When you walk through a storm(嵐のなかを進むなら)

 Hold your head up high(顔を上げて前を向こう)

 And don’t be afraid of the dark(暗闇を恐れるな)

 At the end of the storm.There’s a golden sky(嵐の向こうには青空が広がっている)

 And the sweet silver song of a lark(小鳥の優しい歌声が待っている)

 

 Walk on, through the wind(風に向かって進もう)

 Walk on, through the rain(雨にうたれても歩みを止めず)

 Though your dreams be tossed and blown(たとえ夢破れようと)

 Walk on, walk on, with hope in your heart(行こう、進むんだ。希望を胸に抱いて行こう)

 And you’ll never walk alone(君は独りぼっちじゃない)

 You’ll never walk alone(君は独りぼっちじゃない)

 

「You'll Never Walk Alone」をおよそ十周ほどしたところで行き止まりに当たった。

 

「行き止まりのようだ。士郎この壁を構造解析してみろ。やはりこの施設には何かある。魔術的な何かが」

「あんたがやった方がいいんじゃないか?解析得意だろ?」

「もちろん僕もやるが君にも頼みたい。物体の構造解析については君の方が遥かに上だからな。君との付き合いで僕が出した結論だ。きっとその能力も君の特異な魔術からこぼれ出してきたものだろう。頼めるか?」

 

 士郎は頷くと壁に手を当て解析を始めた。

 

「――同調、開始(トレース・オン)

「――tharraingt sa téad(糸を手繰れ)

 

 魔力を細く穿ち、ほんの微量づつ全身に行き渡るよう対象の内部に流し込む。

 額に脂汗が滲んでくる。

 そして解析の内容を終えた私を士郎を見る。

 おそらく彼も私と同じ結論に辿り着いたのだろう。

 

「この施設がどうやら本当の巡礼の道だったようだな」

「ああ、俺もそう思う。ロバートがその行き止まりの壁に手を置けば何かが起きる。ただ…」

「僕は僕で無くなるかもしれない、でしょ?わかってるよ。シロウ、アンドリュー。何となくわかってたんだ」

 

 俯く私と士郎に対して彼は続けた。

 

「よく見て。壁に書いてある心臓は『鍵の心臓(ロックハート)』。ロバート一世を象徴する家紋だ。ずっと皆が探してた本当の巡礼の道がこんな身近――足元にあったなんてね」

 

 探偵小説の私立探偵がそうであるように、私は依頼人を取り巻く事柄については傍観者に過ぎない。

 職業意識に徹するなら、何も言わずにこのまま送り出すべきなのだろう。

 どうやら、私はそういうことをドライにやり通せない性格らしい。

 加えて、私の隣には度を超えで利他的な相棒がいる。

 多少の迷いはあったが、いつもの軽口をたたくように私は口を滑らせていた。

 

「ロバート。君はきっとここを通り抜け戴冠することで真の王になるのだろう。それがどういう結果を招くのか僕には想像できないが。だが、君にはここを出て外の世界に出るという選択肢もあるんじゃないのか?セルティックパークにオールドファームダービーを観に行くという未来も君にはあるかも知れない」

「そうだぞ、ロバート。俺もお前の家のこととかはよく知らないけど、本当にそれがお前のやりたい事なのか?」

 

 典型的な魔術師たちに囲まれて育った彼にとって相当に意外な発言だったのだろう。

 ロバートは目を丸くしていたが、すこし寂しげに微笑みを浮かべ――予想通りの回答を口にした。

 

「ありがとうアンドリュー、シロウ。でも嬉しいけどできないよ」

 

 ロバートは喜びと悲しみが入り混じった複雑な表情を浮かべ、そして壁に手を当てた。

 鍵の心臓(ロックハート)が光り輝き、周りの壁は消え失せーー気がつくと我々三人はブルース達が待つターンベリー城跡に立っていた。


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