東方紅魔記   作:ぐれにゃん

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咲夜の力

パチュリーは美鈴の傷を癒す為、治癒魔法をかけていた

 

!!?

 

『なに?この傷?見た目はまだ大丈夫そうだけど中はぐちゃぐちゃよ?とても歩けるどころか生きていれる状態じゃないわ………あなた、一体……』

 

『ははは…それはですねぇ…』

 

美鈴がチラッと咲夜のほうに目をやり、パチュリーも咲夜を見た

 

『それは……』

 

咲夜はニコりとしながら空ビンをパチュリーに見せた

 

パチュリーは溜め息をついて

 

『……あなた、そんな危ないものを………なんでもっと早くいわないの?危うくこの子、永遠の苦しみを味わうとこだったじゃない』

 

『え?』

 

なにがなんだかわからず驚く美鈴

 

『あの薬はね、半分死者蘇生、つまりゾンビ化させるような薬なのよ?あなたの痛みを麻痺させていたのは薬が細胞を殺していたから、だから当然少なくなった細胞に負担かければ麻痺より痛みがくる、そして細胞を全て殺された時、つまりは薬の効果が切れたという時は死、………ではなく薬の効果で殺された細胞だけで生きるゾンビになるの……そしてそのゾンビになった人間は意識と死んだ時の痛みだけが残る、死なない体なのに永遠に死ぬ痛みを伴い続けるのよ』

 

『えええぇ……』

 

聞いてないといわんばかりに咲夜を見る美鈴

 

『だいぶ前に十六夜様が薬の開発自体を中止し、薬どころか資料すら抹消されてたはずなのに、あなたは……』

 

蔑む目で咲夜を見るパチュリー

 

『あら、そんな危ない薬だったの?』

 

とぼける咲夜

 

『それに、美鈴だって私に確証もないのにお嬢様は生きている!なんていってたし、薬のおかげで生きてるんだし、おあいこよ』

 

クスっと笑う咲夜

 

『え?なんでわかったんですか?』

 

『あなた、お嬢様に本人かどうか確認したでしょ?忘れたの?』

 

頭を掻きながら申し訳なさそうにする美鈴

 

『もういいかしら?』

 

一連の流れを黙ってみていたレミリアが遮る

 

『結果、美鈴は助かったんだし、次は私の質問に答えてくれるかしら、咲夜?』

 

『はい、なんなりと』

 

『あなたに私の知らない力があるとパチェがいってたのだけど、どんな力かしら?』

 

『これのことですね?』

 

おもむろに咲夜が懐中時計を取り出した

 

懐中時計??

 

カチ

 

!?

 

咲夜が消えた!?

 

『お嬢様』

 

『ワッ!』

 

耳元で囁く咲夜に驚き、思わず声がでた

 

カチ

 

!!?

 

今度は目の前に現れ、机の上の空だったはずのティーカップの上にお茶が…………

 

(…………これは………)

 

『あなた、時間を止めれるの?』

 

咲夜は驚きながらも嬉しそうな表情で

 

『流石は、お嬢様、あれだけでわかるとは、どこぞのダメ妖怪とは違いますね』

 

美鈴がムッとしながら咲夜を見ていた

 

『でも、確かにそれはすごいわね。それがあればお父様を倒すのも容易なんじゃ?』

 

(こんなチートな力………父だけではなく誰も勝てないだろう…………)

 

『お言葉ですが、お嬢様。…実はこの力には制限、というか欠点がございまして………』

 

(……欠点?)

 

『まず、時間を止めている時、生物に対して、その生物に変化が起こることは出来ません………例えば止めた隙に刺す、殴る等、髪を切ることすら。なのでギリギリまで攻撃を寄せることは出来ますが』

 

カチ

 

瞬間、美鈴の顔の約1センチ前にナイフが

 

カチ

 

…………なくなった。

 

『このように、影響を及ばさない状態までなのです。ですから、仮に主様やレミリア様のような強者に先程のようなことをしても、常人離れした反射神経でコウモリになる等で回避されるでしょう』

 

…………美鈴が涙目でこちらを見ている

 

『……なるほど……でも、それでも充分な力だわ……』

 

『恐れ入ります』

 

『もう1ついいかしら?』

 

『はい、いくらでも』

 

『………あなた………何歳?』

 

『はい?』

 

『だってお母様の妹でしょ?しかも人間』

 

『…それは……………私は姉の7つ下でお嬢様が19の時の子だから、お嬢様より12歳ほど上になります』

 

『え?あなた人間でしょ?だったらもう………』

 

『…………』

 

咲夜が歯を見せてきた

 

………………牙……。

 

『そうです、私は半分吸血鬼、半分人間。お嬢様と同じです……といっても私の場合は主様の眷属という形ですが………』

 

(…………眷属。そうか、それで…… え?……… )

 

『それって、あなたの行動はお父様に筒抜けってことじゃない!?』

 

全員が咲夜を見る

 

『…ご安心を。私は姉さんに主様の血をもらい、それを飲み、管理からは解放されてます。それにこの時間を止める力も姉さんに………』

 

悲しそうな顔をする咲夜

 

『咲夜?あなた、まだ隠してることあるわよね?』

 

なんとなくだが、そんな気がした

 

『……お嬢様には、かないませんね』

 

咲夜が微笑む

 

『実は、この時間を止める力……使えて後数回。……恐らくそれで私は……』

 

!!

 

『どういうこと?』

 

『姉さんにこの力を貰った時に聞いたのです、この力を使い、心臓が痛みだすともう使うなと、使い続けると長く生きられないと。その痛みが先程……』

 

『貴方!馬鹿なの!?なんで、そんなのあんなとこで使うのよ!?』

 

…………

 

『お嬢様に必要とされた気がして………嬉しくて………申し訳ございません!』

 

泣きながら頭を下げる咲夜に私は怒るのをやめた。

 

(咲夜には迷惑をかけてばかりだ)

 

『いい?咲夜?それは嬉しいわ?だけど、あなたはもっと自分を大切にしなさい?……………心配しなくても、私が初めて命令したのも咲夜、私が初めて名前もつけたのも咲夜。………咲夜は私にとってこれからも必要な人よ。…………ただ、これからは能力使うのを控えてちょうだい?』

 

『かしこまりました』

 

泣きながら頭を下げたまま咲夜は答えた

 


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