東方紅魔記   作:ぐれにゃん

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美鈴と従者

 

・・・・・・・・ん?

 

目の前にいたはずの美鈴がいなくなり辺りを見渡す主

 

・・・・・・窓が開いている・・。

 

(逃げたのか?しかし・・・どうやって・・・・。)

 

外を一目見た後、チッと舌打ちをし、倒れこんでいる衛兵を蹴起す。

 

「いつまで寝ている!奴は窓から逃げた、今すぐ兵を使い探せ!奴は手負いだ、お前たちでも十分にやれるはずだ、見つけ次第殺せ」

 

「ハ、ハハッ」

 

起き上がり慌てて部屋を出る衛兵達

 

「あの傷では、パチュリークラスの治癒魔法でもない限り長くは持たぬだろう・・・」

 

「・・・パチュリーか・・」

 

そう呟くと薄ら笑みを残しつつ主も部屋をあとにした

 

 

 

ザーーーーーーーー

 

大雨の中、屋敷の外に美鈴は倒れていた

 

(ここは?なんで・・?ッ!)

 

体中からの激痛に耐えながら周りを見渡した

 

!?

 

足元に誰かいた

 

(・・・あのメイド!!はあ・・・結局死ぬのかぁ・・)

 

(どの道このままじゃ助からないだろうからおんなじかw)

 

・・完全に諦めていた

 

「ジッとしてて!」

 

???

 

(なにをいってるんだ?)

 

もう一度足元に目をやりメイドを見てみた

 

???!!

 

完全にちぎれかけた足を縫い合わせ、止血をしているメイドがいた

 

しかも腕のほうまで縫い合わされていた

 

「な、なんで?」

 

とはいっても今までの出血等でろくに声も出せないが力を振り絞り聞いてみた

 

「あなたに死なれては困る理由ができた。それだけよ」

 

こちらに目もくれずに答え、治療を続けるメイド

 

・・・・・・・・

 

「とはいっても人為的応急処置しか出来ないからこのままじゃ死ぬけどね・・

もっと早く着いてれば・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(足のほうも終わったようだ、時間でも止めていたかのような素早く適切な治療だった・・ん?時間?)

 

「さて、後は・・・」

 

おもむろに立ち上がり、胸元から1本のビンをとりだし、美鈴に振りかけた

 

「・・・・・・これは?」

 

「あくまで一時的だけど、痛みを麻痺させる薬よ・・・・もうないし二度と出来ないから本当はあなたなんかに使いたくないんだけど、どうしても答えてもらわないといけないことがあるから・・」

 

(・・・う、動ける!)

 

手の指から足の指まで動くのを確認してから勢いよくたちあがった。

 

!!!!!!!!

 

「~~~~くううう・・・」

 

「いったあ!・・なんですか!?痛いじゃないですか!?」

 

メイドが呆れた顔で見ている

 

「限度を考えなさい。あなたはこのままでは死ぬ重体なのよ?それを麻痺させているだけなのに、余計負担かけてどうするの!?」

 

・・・・

 

「ご、ごめんなさい・・」

 

チラッとメイドのほうを見てみた・・・ん?少し笑った?・・

 

「まあいいわ、あなたに聞きたいことがあるの」

 

と思ったらすぐに真剣な顔をして聞いてきた

 

「私が知ることなら答えますよ?いまんとこ命の恩人だし」

 

「・・・お嬢様・・・レミリア様は生きてるの?」

 

(・・・・そうきたか・・私も確証はないしな・・・)

 

「答えなさい。あなたは妹様を会わせると、確かに言った。だが主様はもう死んだと私に言った。私にはなにがなんだかわからないわ・・・・お嬢様がいないなら・・・私は・・・・」

 

(気を読まなくても分かるほどの忠誠心が伝わる、そして恐らくレミリア様の死を確認してしまうとこの人は死ぬだろう・・・)

 

メイドからは涙が見える・・本人は雨でわからないとでも思ってるのか充血した目は祈るような瞳でこちらを見据えている

 

「早く答えなさい!」

 

(・・・この人は死んでは駄目な気がする・・・)

 

「・・・・生きてますよ」

 

メイドから安堵、歓喜、希望。そういった気を激しく感じた

 

「・・では!いまはどこに!?」

 

冷静を装っているようだけど、明らかに舞い上がっているのが分かる

 

(・・・・て・・やっぱそうなりますよね・・・・参ったな・・今更私も知りません、なんなら生きてるか死んでるかも・・なんていえないしなあ。唯一の手掛かりは・・パチュリー様か・・・ええい!どうにでもなれ!)

 

「図書館に・・い・います」

 

(神様仏様パチュリー様頼みます!!!)

 

「図書館!?それならすぐにいきましょう!あそこにはパチュリー様もいるからあなたの怪我も治せれるかも知れないし!一石二鳥よ!」

 

パン!と手を合わせ嬉しそうに話すメイド

 

(・・・うわあ、初めてあったときと違いすぎる・・・これが本来の彼女なのかもですね。てか、そうだこのままじゃ私死ぬんだった)

 

「さあ!急いでいくわよ!?急がないとそろそろ追手もくるだろうし!」

 

そういいながら、美鈴の手を引くメイド

 

「ちょ、ちょっと待ってください」

 

美鈴は足を止めた

 

「どうしたの?」

 

「その前に・・・フラン様に会いたいのですが。」

 

・・・・・

 

「あなた、今の状況分かってる?」

 

「え?」

 

(フラン様をレミリア様に会わせる。それが私の最優先事項、なにがあっても・・・)

 

「今あなたは追われてる、そのあなたは兵一人にすら勝てないほど弱ってる、相手はあなたと妹様の関係を知っている。私が兵ならフラン様の周りを重点的に探すわ、仮に会えたとしても私一人ではあなた達を完全に守るのは無理よ?」

 

「そのときは私を見捨ててくれてかまわない!」

 

(メイドが呆れた顔をしている・・・ん?デジャブ?)

 

「あなたは馬鹿ね、それじゃあ残った妹様はどうなるの?それにあなたがきたせいで妹様まで危険な目に会うのよ?・・・大事な人が死ぬ苦しみだけでも辛いのに自分のせいでとなったら・・」

 

・・・・・・・・

 

『それにその麻痺薬もいつまでもつかわからない、私達には時間がないのよ?図書館までなら兵も手薄だしあなた一人くらい私が守るわ」

 

(フラン様を守る為に離れるか・・・・・・・ふふ、それに{私達}か。一人なら簡単に図書館にいけるのに・・わざわざ私を守って・・・・いい人・・だな。尊敬する)

 

「わかりました!メイドさんに従います。そのかわり後で必ずフラン様に会いに行きますよ!?」

 

「当たり前でしょ!?お嬢様の大事な妹様なんだから!」

 

図書館へ向かう二人。二人の希望を後押しするように太陽が見え始めていた

 

 

「・・・・・ところで、メイドさんてのも変ですし、名前はなんなんですか?」

 

「・・・・・・ないわ・・・・・ただのメイド長よ・・・」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

図書館

 

 

 

「では、パチュリー様いってまいります」

 

小悪魔が図書館から出て行った・・・・・・・

 

 

 

 


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