東方紅魔記   作:ぐれにゃん

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絶体絶命

・・・・

 

通路の影から、何者かが出てきた。

 

今は夜、辺りに明かりはなく、静寂しきった闇の中で雨の音だけが鳴っていた。

 

ピカッ

 

雷が落ちた

 

そこに写ったのは、メイド姿の銀髪の華奢な女だった。

 

「メ、メイド?」

 

余りにも美しく気品のある凛とした姿に,美鈴は一瞬目を奪われた。

 

その瞬間

 

シャッ!

 

殺気のこもったナイフが頭をめがけ飛んできた。

 

状態を横にずらし紙一重でかわす

 

と、同時に間合いを詰めて来た

 

「ちょっ、ちょっと!いきなりなんですか!?」

 

(確実に急所だけを狙ってくる・・・・強い。前近衛兵長なんか話にならないくらい・・)

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

無言でひたすら繰り出される攻撃

 

(かわすので、手一杯だ・・でも・・)

 

バン!

 

かわした状態からそのままの勢いで体当たりをして吹き飛ばした

 

(この程度ならまだ私のほうが上ですね、仕方ない少し痛い目見てもらってから話を聞かせてもらいましょう。)

 

「さて、ではこちらもいかせてもらいますよ?」

 

「・・・」

 

相変わらずの無表情で殺気を出した目でこちらを見ている

 

「でわ!」

 

 

・・カチッ

 

そのとき、目の前に、5,6,7・・いや、10をゆうにこえるナイフが現れ美鈴をめがけ飛んできた

 

「うわ、うわ、、うわ!」

 

持ち前の反射神経でかわすも2本かわしきれず左腕に当たってしまう

 

「ぐっ」

 

(なんだ?今のは?あいつは動いてすらなかった・・なのにいきなり目の前に・・・)

 

「・・・驚いたわ・・・・」

 

(!?驚いた!!しゃべったあ!!)

 

 

「これをかわしたのって、あなたが初めてよ」

 

賛美しているようだが、殺気は増している・・それに・・

 

「でも・・今の五倍の数のナイフならどうかしら」

 

そういいながら懐中時計を手にした

 

(時間なんか気にして余裕かよ。ん?五倍!?・・・・て何本だ?私、算数駄目なのよね・・て、そんな場合じゃない。用はあれより多いってことだよなあ・・それはまずい!!)

 

「それではさようなら・・」

 

「あんた!なんでそんなに悲しそうなんだ!」

 

メイドの動きが止まった

 

「悲しい?私が?・・・私はあなたへの憎悪しかもう持ちあわせていないわ!」

 

あれだけ冷静だったメイドが感情的になる

 

(・・・私への憎悪か・・・・・・・安心した。)

 

(こいつの標的がフラン様なら相打ち覚悟でいくとこだったが、標的が私なら手はある・・その前に・・)

 

「私、なんとなーくですけど相手の気というか喜怒哀楽?みたいなのわかるんですよね。・・・・あなたからは強い怒りと悲しみを同時に感じます」

 

ビクッ

 

うつむいたメイドから今まで以上の、自分さえも壊してしまいそうな殺気がでている

 

「おまえがそれをいうのかあああ!」

 

(まずい!こうなりゃ最終手段!!)

 

「逃げるが勝ち!」

 

(スピードなら私のほうが上!フラン様が狙いじゃない以上戦う必要はない)

 

「私から逃げる?」

 

・・カチ

 

「うわあ!」

 

急に目の前にメイドが現れ、驚いて逆に逃げた・・・・・・しかし同じようにまた目の前に彼女はいた

 

(なんなんだよ、これ?瞬間移動?いや、それじゃナイフの説明が・・・どうでもいい!いまは逃げるんだ!)

 

「逃げるだけ・・?情けない、こんなやつに・・こんなやつが・・・」

 

・・・カチ

 

なにもないとこへ逃げたはず、なのに・・・・・・

 

美鈴の周りには前後左右隙間がないほどのナイフが囲んでいた・・・・・・

 

(終わった・・ちくしょう!私は・私は)

 

「フラン様をレミリア様に会わせると約束したのに!!!ちくしょーーー!」

 

つい、声がでてしまった

 

(・・・・・・ん?)

 

(生きてる?)

 

(ナイフが消えてる?)

 

(・・・メイドは!?)

 

メイドのほうを見てみるとなぜか口を開けたまま固まっている

 

・・・・・

 

(・・・なんかしらんがラッキーだ。今のうちに逃げよう!)

 

腕の出血を押さえながら全速力で走る美鈴

 

・・・・・・・・・・

 

「・・・お嬢様に会わす?・・・・・・・」

 

 

 

はあ、はあ、

 

「も、もう大丈夫かな?とりあえず部屋で手当てを」

 

自室に入る美鈴

 

!?

 

「あ、主様・・・」

 

部屋の中には主と他の近衛兵4人がいた

 

「ど、どうしたんですか?こんな所までわざわざ・・」

 

(主からは隠しているからか殺気を感じないが他の四人が論外だ)

 

「おまえのほうこそどうした?メイドごときと戦ったりでもしたのか?」

 

小馬鹿にしたように嘲笑いながら聞いてくる

 

「やはり・・主様が・・」

 

「ふふふ、あれはレミリアのことが気に入っていたからな。レミリアの死を伝え、貴様が食うといえば一目散に貴様を追いかけにいったわ。嘘ではなかろう?」

 

・・・・・・・

 

「しかし、やはりあれでは貴様にはかてなんだか」

 

(・・・逃げたんですけどね、・・・主はあの力しらないのか?)

 

「なぜそのようなことを?そしてなぜここへ?」

 

主の表情がかわる

 

「退屈しのぎと・・・罰だ」

 

(罰・・・・・)

 

そういうと主は右手をあげた

 

瞬く間に衛兵に抑え付けられた

 

(しまった!主の威圧感に気を取られていた)

 

主が少しずつ近寄って来た

 

「主の娘を連れ出すという死罪の、な」

 

と同時に凄まじい気を感じた

 

(・・・・・これ、やばいやつだ。)

 

弁解する気もなくなる、ただ逃げたい、そう思うような圧倒的な力、気が読める美鈴だからこそ余計に感じとった

 

(・・・・勝てない、やらなくてもわかる)

 

(・・・くっ、また逃げの一手か・・・しかし隙がない・まずは・・)

 

右腕を押さえてた衛兵を力で持ち上げ、力の入らない左側のやつに叩き付けはずし、そのまま両足を押さえてたやつを一撃で沈めた・・・・

 

「が、がは!」

 

しかし、その間に主の爪で腹部を刺され首を捕まれてしまう

 

「うーん、いかんなあ?この程度では長などつとまらんぞ?」

 

だんだん首を絞める力が強くなる

 

(ま、まずい!)

 

ぱっ

 

主が手を放した

 

!?

 

「これで終わってはつまらぬ、さあ打ってくるが良い」

 

両手を広げ余裕の笑みを浮かべている

 

ブチン

 

(もう切れちゃいました、負けようが死のうが一泡吹かせる)

 

全力で殴り続ける美鈴

 

「はあ、はあ、はあ・・」

 

最後に渾身の一撃を放つ

 

ガスッ!!!

 

初めて主の体の軸が動いた

 

ガシッ。髪をつかまれた

 

「ふむ、今のは合格だ」

 

「そりゃどーも」

 

(・・化け物だ、こんなんどうすりゃいいんだよ・・)

 

美鈴の攻撃が止むと同時に与えた傷がみるみる回復し、今となっては無傷になっている

 

「では、ごほうびだ」

 

右がくる!

 

とっさに両腕でガードした

 

まにあっ・・・・・ボキボキボキグチャ。ドン!!

 

『ぎゃ嗚呼ああああああああああああ!!!!!!」

 

右腕半分がちぎれ骨が折れ、左腕も骨が折れた

 

「ふふふ、それではバランス悪かろう、仕方ない」

 

バキ!バキ!グチャ!

 

『うああああああああああああ!!」

 

両足もまったく同じようにされた

 

もう・・動くことすら出来ない・・どうすることも・・・

 

・・カチ

 

ドン!!

 

(・・・・・ここは?・・・外?・・・・なんで?)

 




今回から書き方変えてみました

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