・・・・・・・
・・・ハッ!?
(ここは?・・確か・・・フランと戦って・・・・・あーそうか。・・私、殺されたんだ。)
レミリアが起き上がると、そこには紅魔組の面々と紫がいた。
『これで分かったかしら?あの子の危うさが、どんなものか。あの子には貴女達だけではない、この幻想郷をも壊す力があるのよ。ルールの必要性は身に染みて覚えたはずよ?私が早めに確保していなきゃ、貴方達はもっと早い段階でそうなっていたわ』
・・・・・・
・・・・・・
黙る皆に対し、紫は続けた。
『あの子の能力への規制は4つ。』
『1つは、対象への標準。つまりはあの子の掴むスピードより早く動ければ回避可能。・・分かりやすく言えば常に全力で動いていれば、ある程度の実力者なら回避が出来る』
『次に、複数への攻撃の無効化、さっき魔法使いとメイドを一撃で潰すようなことがあったけど、あれを無効化する』
『次、生物に対しての威力低下。あれは全てに対し、狙えば即死。それを気絶程度の威力にする』
『最後の1つ。それは・・・魔法へ対しての無力化。あの子は、魔法であろうがなんであれ形あるものを破壊出来る。それを物質のみに制限する。じゃないとあの子、私の空間まで破壊しかねないわ。この先閉じ込めるのにそれじゃあ困るから魔法で補うわ』
・・・・
『あの能力には、これだけの制限をかけて、ようやくこちらが管理出来るクラスになる。制限抜きなら、私の知る中で最高クラスの力よ。』
・・・・・・
(確かに、あの力。あらがう術が現状思いつかないわ・・それにその制限があれば・・・しかし、1つだけ問題が・・それを除けば・・・ただ、それを紫が了承するかどうか・・・でも)
パチュリー、咲夜、美鈴はレミリアの決断を待っていた。私は三人と目を合わせて小さく頷く。そして
『・・解ったわ。我々紅魔館のメンバーはそのルールに了承する。』
私は了承した。
『良かったわ。これで心置きなく実行出来ま』『条件がある!』
紫の言葉を遮る。紫の表情が険しくなる。
『・・なにかしら?そもそも負けた貴方達にそんな権利はないのだけれど?』
・・・・
・・・・ッ!!?
レミリアは紫に土下座をした。
高貴な吸血鬼、プライドの高いレミリアの土下座。それには他の紅魔組の面子も驚きを隠せなかった。
『お嬢様!お止めください!!』
見てられずに咲夜がやめさせようとする。
『黙りなさい!咲夜!』
咲夜は、レミリアのその真剣な眼差しに硬直した。
『八雲紫。私がこんなことするのは、後にも先にもこの一回だけよ。・・・・』
・・・・・
『・・だから・・・お願いします!フランを!・・・妹を返して下さい!』
レミリアはそう言うと頭を地面にぶつけた。
額からは痛みで血が流れ、口からは悔しさで血が流れ、目からは悲しさで涙が流れていた
・・・・・・・・
『貴方達で、あの子を絶対に出さないと約束出来るかしら?』
紫はレミリアに問う
『うちには、パチュリーという大賢者がいるわ!必ず!出さない!だから!・・・』
紫はパチュリーに目をやる。
『・・レミィの想い。無駄にはしない。絶対に約束するわ』
パチュリーは真剣な眼差しで紫を見る
(不安要素はなさそうな目。・・大丈夫そうね)
『・・わかったわ。わかったから頭を上げなさい。吸血鬼のお嬢さん。その代わり約束は守ってちょうだいね?あの子が出るようなことがあったらその時は・・・・解るわね?』
『はい・・・ありがとうございます・・・必ず守ります』
グッ。
レミリアは悔しさの余り、拳を握りしめ、耐えていた。
レミリア達は紅魔館へ帰り、紫はフランを地下牢に送り強力な魔法の錠を施した。
(太陽さえ、どうにかすれば・・・後はあんな約束・・・)
レミリアは会議室に皆を集めた。
『・・私は・・・太陽を隠すのを続ける・・。』
パチュリーが驚き反論する
『レミィ?どうして?もうその必要はないわ?』
レミリアは応えた
『私は・・・太陽を隠したら、フランを出す。・・フランに自由を与える。・・・例え短い間でも・・・あの子に自由を。』
パチュリーが慌てる
『貴女!八雲紫との約束破るつもり!?そんなことしたら・・・貴女も・・私達も・・・』
『・・えぇ、分かってるわパチェ。恐らくフランを出した瞬間・・皆殺しね。・・・だから、賛同出来ないものはすぐに去りなさい。・・咎めないわ。私一人でも、やる。あの子に自由な未来をあげるために。』
・・・・・
・・・・・
パチュリーが立ち上がりその場を去る
・・・・・
美鈴も去っていく
・・・・・
(仕方ないわ。誰しも自分が大事。紫の実力は知っている・・・太陽を隠した後は確実な死。・・ですものね)
・・・・??
咲夜は残っていた。
『貴女?いかないの?死んじゃうわよ?』
・・・・
『お嬢様?なにいってるんですか?私は生涯お嬢様の味方ですよ?お嬢様が出てけと言ってもいきません!・・さあ、早く妹様の為に太陽隠しましょう!』
ッ・・・・!?
レミリアは涙を堪えた。
(ありがとう、咲夜・・ごめんなさい)
(ありがとう、ごめんなさい、ありがとう)
心で何度も礼と詫びを繰り返した。
『じゃあ、私がパチュリー様の変わりに魔法供給につきますね?』
『・・・お願い。私も供給システムが完全に安定するまでは協力するわ』
『じゃあ、これから2人で妹様の為!頑張りましょう!』
・・咲夜の笑顔が、この先の確実な死を思うと私の心を締め付けた。
2人は図書館へ行った。
ッ・・・・・!?
ッ・・・・・!?
『あら?レミィ、どうしたの?』
そこにはパチュリーが、供給の実験を小悪魔としていた。
『パ、パチェ・・・貴女、去ったんじゃ・・?』
パチュリーは、少しムッとして
『レミィ?貴女は馬鹿なの?そんなんじゃ、主の威厳なんて保てないわよ?言わなくても分かると思ってたのに。私とレミィの関係はその程度だったの?』
『じゃ、じゃあ・・・パチェも?』
『言わなくても分かって欲しかったわ・・当たり前でしょう?フラン様をさっさと自由にして紫を返り討ちにして、ハッピーエンド!さあ?早くやるわよ?』
(パチェ・・・・冷静な貴女が一番勝てないて分かってるはずなのに・・そんなハッピーエンドはないって事も・・・貴女まで自分の命を捨て・・)
ドォーーーン!!
ッ・・・・・!?
『お嬢様!侵入者かもしれません!』
咲夜が図書館を飛び出し、門へいく。慌てて私も付いていった。
ッ・・・・・!?
『美鈴!?』
咲夜の声が聞こえた
(え?)
美鈴が門の外で妖怪達と戦っていた。
『美鈴?貴女?なにしてるの?』
美鈴はキョトンとして
『え?門番ですけど・・私間違えました?・・・あ!壁ですか?ごめんなさい!つい!』
私は声が出なかった。そんな私を見て咲夜が敵と戦いながら代わりに聞いてくれた。
『美鈴?貴女、紅魔館から去ったんじゃなかったの?』
美鈴も来る敵を倒しながら
『え?私、もしかしてクビになってたんですかあ?』
『そうじゃなくて。貴女、お嬢様の話聞いてたの?』
美鈴は少し困った顔をし
『いやあ、よくわからないんですけど、妹様を自由にすると私死んじゃうってことですよね?』
『まあ、そんな感じね』
『私一人の命で、妹様が自由になり、お嬢様の為になるなら安いなーと思ってたら、パチュリー様が行ったから、あ、私も働かなきゃ、怒られる!て思い、慌てて門番へ・・・え?駄目でしたか?』
美鈴は困った顔をしたたまま咲夜に問うた
『フフフッ。皆、考えも答えも同じてことね。』
咲夜はレミリアのほうを見て笑顔で
『だ、そうですよー!?お嬢様!!』
と叫んだ
『ひぃ!ごめんなさい!』
勘違いをした美鈴は怒られると思い、顔を伏せた
・・・・・・
・・・・・・
『アハハハハハ!!』
レミリアは大笑いをすると、周りの敵を一払いで全滅させた。
(馬鹿みたい。うちには馬鹿しか集まらないみたいね。なに、当たり前のこと聞いて迷ってたんだろ?・・・・私は、もう・・・・・)
(迷わない!!!!!!)
『咲夜!美鈴!貴女達の命!私が預かるわ!・・・あの憎き太陽!絶対隠しきるわよ!?』
『はい!』『はい!』
(必ず、成功させ。その後、八雲紫を倒して見せるわ。私達紅魔館の力を舐めないでよね)
最後にレミリアは使わないと決めたはずの予知を使った。
・・・・・・・・・
・・そこには、自分、パチュリー、咲夜、美鈴、小悪魔、そして妹フランが。
皆で笑いあう日常・・そんな未来が見えていた。
スペルカードルール規制で見えないはずの、先の未来。・・・レミリアの力なのか願いなのか幻覚なのかは分からないが、レミリアには、その時、確かに見えたのだ。・・・今まで自分が、ただひたすらに夢見た光景が・・・。
・・・そして・・・・後に紅霧異変と語られる異変は始まった。
紅魔館地下牢
ドォーーーン!ドォーーーン!
・・・・・・・
『くそっ!出れないや・・全部あいつのせいなんだ。あいつ、また殺さなきゃ・・・』
『・・・でも、今は一人じゃないから少しは寂しくないかな・・・私の友達は貴方だけよ?』
・・・・・・・・ギュ。
フランは熊のぬいぐるみを抱き、自由を夢見て眠りについた。
一応、最終話です。打ち切りみたいな終わり方ですいませんw構成としてはまだあるのですが、原作ブレイクを余りしたくない自分としては、ここから原作や他の二次創作に繋げるのが良いと思い、終了しました。自分の構成もほぼ原作になるし、書かないほうがよいかとww・・・要望あればわかりませんがww
というわけで、今後このシリーズを書くことがあれば、架空異変解決のような話か、くだらない日常事件の様なものだけになると、思います。
ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。初めての書き物で、誤字脱字含め色々至らなかった点も多くあります。そんな自分にお付き合いいただき感謝の気持ちで一杯です
本当にありがとうございました
psおまけを何話か作成中