東方紅魔記   作:ぐれにゃん

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レミリアとパチュリー

「レミリア様、まずはこちらへ。」

 

そう言うと、パチュリーは一冊の本を本棚から抜いた。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・!!

 

本棚が動き出し、目の前に扉が現れた。

 

「いつのまにこんなものを・・」

 

パチュリーは驚く私を見てクスりと笑いながら

 

「お陰様でこちらの管理は全て任せられてますので、少々いじらせてもらいました。ご安心を。ここを知るのは、私と使い魔のこあだけです」

 

(こあ??・・・・あー、小悪魔のことか、なぜか、パチュリーは小悪魔のことを[こあ]と呼んでいる。)

 

チラッと小悪魔に目をやると、こちらに気づき、軽く会釈をしてきた。

 

(どうやら、紅魔館というよりは、完全にパチュリーに仕えてるようだ、先ほどのお父様のように敵意はまったく感じない。・・・はっ!そうだ!お母様は?お母様になにが!?)

 

「魔女!お母様は!?お母様はどうしたの!?」

 

パチュリーの顔が険しくなった。

 

「まずはこちらへ」

 

「え、ええ」

 

いわれるまま部屋に入ると、そこには吸血鬼退治関係の本に溢れた部屋だった。

 

「・・・!?・・あなた・・まさか?・・いや、それより」

 

「さて、どこから話しましょうか・・」

 

「お母様よ!お母様はどうなったの!?」

 

「自分が殺されかけたというのに、それより家族ですか・・・相変わらず家族思いなんですね・・」

 

「いいから!早く!」

 

「わかりました、十六夜様のことからお話しましょう」

 

(十六夜というのは私の母親のことだ。)

 

(昔、ヴァンパイアハンターを生業としていたのだが、父に敗れて捕まり、父の子を、・・私を身篭った。不幸と思うかも知れないが、幸せそうだった。間違いなく二人は愛し合っていたんだと思う。私が地下に移されるまでは三人でよく遊んだりもした。)

 

「・・・単刀直入にいいます。十六夜様は、主様に殺されました・・・・」

 

!!!?

 

「え?」

 

(そんな馬鹿な?父がお母様を?あんなに仲が良く愛し合ってたはずなのに・・・)

 

レミリアは膝から崩れ落ちた。

 

(パチュリーの様子から嘘ではないことは容易に分かる、しかし、どうしても信じられない。)

 

「魔女、嘘といって。私にはどうしても・・・」

 

パチュリーは顔を強張らせている。

 

「・・・・残念ながら事実です、亡骸の埋葬も致しました・・」

 

「嘘よ!それは偽者よ!」

 

バシン!

 

パチュリーに右の頬を叩かれた

 

「レミリア様!先刻の主様を忘れたのですか!?」

 

(・・・先刻・・そうだ、確かにあれは父であったが、違った。畏れ、憎悪、憤り、まるで殺意の固まりだった。事実だとすればなぜ父は変わったのか・・・いや、まずは、なぜお母様を殺したのか・・・・・)

 

「取り乱してごめんなさい、とりあえず、まずは話を聞くわ」

 

「こちらこそ、ご無礼を。失礼しました」

 

いわれて、頬がジンジンしてきた。

 

「ま、まあ、いいわ、では、なぜお母様はお父様に殺されたの?」

 

「・・・・・・」

 

パチュリーは顔を歪ませ、辛そうに口を開いた

 

「単純な理由です、レミリア様への実験に反対をして、主様を説得しにいき、怒りを買い、そして・・殺された・・。身内を殺すことで、もう誰も異を唱えられないように・・・」

 

!!!(見せしめ?そんなことのために?)

 

パチュリーは続けた

 

「主様は、大戦後、全てを手に入れたと同時に失うという恐怖も手に入れてしまいました。・・つまりは[死]を恐れるようになりました。吸血鬼といえども死ぬことはあります。その唯一の恐怖を無くす為[不老不死]を手に入れようとした。・・・それが、あの実験・・・・・・体感したから分かると思いますけど、あの実験はほぼ失敗するし、失敗すると確実に死にます。レミリア様が生きたのは、事前に魔力を弱めていたのと、あとは多分レミリア様が純血ではないから・・・。だけど、次はフランドール様・・・ばれないように魔力弱めた程度じゃ確実に死にます。」

 

(フランが、死ぬ?・・・いや、なにかあるはずだ・・そういえば!)

 

「フランの母親、スカーレット妃はどうしたの?娘の窮地な・」

 

ギリッ!パチュリーの口から、血が滴り落ちている

 

「駄目です!!」

 

「えっ?」

 

「あの方は・・・あの方が、主様の不安を煽り、不老不死の手法を伝えたのです!・・そして実験にはあなた達を使えばよいと!」

 

!?

 

「あの方は、全て分かっていたんです。こうなれば十六夜様が止めることも!止めた十六夜様がどうなるかも!この手法じゃ成功しないことも!成功しなければ誰が死ぬかも!全て!」

 

「ちょっと、待って?私やお母様が邪魔なのは分かるけどどうしてあなたやフランまで?」

 

「・・・あの方は嫉妬の固まりです。それはフランドール様も例外じゃありません。・・・あの方にとって、主様と関わりある女性は全てが敵なのです。つまり、このやり方で、十六夜様、レミリア様、フランドール様を殺し、最後に失敗の責任とし私を殺すことで、館の権力を持つものをいなくならせ、その後権力のない、他の従者を消していく算段です。十六夜様を見せしめで殺すよう進言したのもあの方なのです!」

 

「・・・・・貴方もこのままでは死ぬ・・だから私を助けたと?」

 

ッ・・・・!?

 

『わが身可愛さではありません!!私は!十六夜様の!!」

 

(そういえば、この魔女、お母様に拾われてきたんだっけ・・)

 

「もういいわ、いわなくて。少なくとも私はあなたと同じ気持ちよ。お母様を殺したのは許せないし、なにより、このままフランが殺されるのを黙って見てられないわ」

 

「一度殺しかけた私を信じてもらえるのですか?」

 

「信じるも何も、嘘をつく理由もないし、それなら最初からあんなぼろぼろになるまで治癒魔法かけないでしょ?・・・・・・・・・・・・・それにあなた・・泣いてるわ」

 

「え・?」

(さて、とはいったものの、どうすれば・・・・)

 

「パチュリー?なんかいい案ある?」

 

「え!?な!な?」

 

「えなな!じゃないわよ!なにか策はあるのか?って聞いてんの!?」

 

「あ、ああ、そ、そうですね、いくらレミリア様でも主様と正面から挑んでも難しいです。なにより、戦力が」

 

「ちょっと待って!その、様とか敬語やめてくれない?今の私達に上下関係はいらないわ?これから二人で大仕事するんだし」

 

「し、しかし・・」

 

「い・い・か・ら!」

 

「わ、わかり・・」

 

ギロッ!・・レミリアが睨みつけた。

 

「わかったわ、レ、レミリア」

 

「よし!じゃあ続きをお願い」

 

「あ、うん、まずはお互いの戦力だけど、こちらは、こあをいれても三人。向こうは主様、妃様、そして厄介なのが、常に身辺にいる近衛兵5人、一人一人が、こあに匹敵するわ。その中でも新参だけど最近、近衛長になった紅・美鈴(ホン・メイリン)・・・こいつはやばいわね、私でも勝てるかどうか・・・」

 

「そいつ、そんなに強いの?」

 

「まず、人じゃないわ、妖怪よ・・・余りの強さについたあだなが・・・龍・・。初日に前近衛長と礼儀がなってないとかで勝負したんだけど、1分もたずに美鈴の勝ち。・・・・こあなら瞬殺ねw」

 

「そいつ、美鈴だっけ?どのくらい仕えてるの?」

 

「確か、まだ1週間くらいかな?」

 

「・・・・・・そいつ、引き込めないかな?」

 

「・・・うーん、雲のように自由気ままで掴めないやつだから、余程の理由がないと難しいかも?」

 

「・・・・・」

「・・・・・」

 

ダダダダダダッ!ガチャ!

 

「パチュリー様!主様が来ました!!」

 

小悪魔が顔を真っ青にして飛び込んで来た

 

「レミィはここにいて!」

 

「!え!?れ、れ?」

 

パチュリーはウィンクをして出て行った

 

(逆に丁度良かった・・・・顔が真っ赤になっていた・・・)

 

「・・・・・レミィか・・・悪くない・・・・」

 

 

 




今までガラケーでしたがpcでやってみました。半分テストです。試しにあちらからのコピーで

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