DOUBLE:violence 《二人の特典付き転生者が異世界でアテもなく暴れ続けるお話》   作:アルファるふぁ/保利滝良

39 / 45
sceneSKL 新たなる、戦いへ

 

ブラス王国の王城は、タクマ率いるレジスタンスにより陥落した

ブラス国王はレジスタンスの要求をあっさりと呑み、王国制を廃止、自らは国の別の王城にて静かな余生を過ごすことになった

レジスタンス達は国の復興に従事し、自然に消えるだろう

彼らがしっかりと、戦い抜いたあの日々を覚えている限り

 

「タクマ、こっちこっち!」

「タクマ~!おーい!」

シオリとオサムの呼ぶ声がする

レジスタンスのリーダー、タクマは、振り向いた

そして微笑んだ

自分達が力によって奪ったこの国を、かつて国王が行った独裁に染めるわけにはいかない

新たな代表者を立て、その代表者だけでなく多数の人間が、この国のために常に未来を考えなくてはならない

まだ、ここはスタート地点だ

あの男が助っ人になっていた、王城の戦いは、最早これからの苦難に比べればお粗末なものになることだろう

だがタクマは、覚悟を決めていた

レジスタンスとして立ち上がったあの日からの覚悟を

だからこそ、彼はあの男に感謝した

あの男がいなければ、ここで仲間たちの声を聞くこともできなかっただろう

あの男はいわば、タクマをスタート地点に立たせてくれた

「・・・俺たちはこの国の未来を走り抜ける、信じていてください・・・ナガイさん」

 

 

 

 

 

 

さてと、もう用はねえ

やることはやった、頼まれたこともやった

長居する理由はねえな

「だがお前は長居する理由があるんだろ?ミユキ」

「ああ、その通りだ・・・」

ブラス国で働いて故郷の村を復興させたい、ねえ

ご立派なことじゃねえか

「ここで、私たちはお別れだ」

思えば無理矢理付いてきたのも、俺がブラスに向かうことを踏んでのことだったのかもな

そうなると、コイツはコイツの姉貴に似て頭が回るのかもな

「ヘッ、そうか」

「今まで世話になった、礼を言う」

なんだぁ、かしこまりやがって

いままで散々偉そうにしてやがったくせによ

「まあ精々、頑張るこったな」

「あぁ、頑張る」

そうか

まあお前ならヘマしねえだろう

なんだかんだ、俺の旅に着いてこれたんだからな

「リキがな、病院で言ってたんだ・・・ナガイはこれからもっと凄い戦いに巻き込まれるってな」

「なんじゃそりゃ」

「それでもって、勝って大笑いしてくれ、とも言っていた」

怪我人が生意気言いやがる

俺はいつでも戦いの真っ只中だ

戦場が地獄と呼ばれるなら、俺達のいる場所が戦場だ

「んじゃあな」

「あぁ、さようなら!」

いきなりしんみりしやがって、こっちまで調子狂うぜ

「最後に一つだけ」

あん?なんだ

「ナガイ、お前と出会えてよかった・・・お前が沢山の人々を助けてくれたことを、私は忘れない」

「ハッ!礼を言われる筋合いはねえよ・・・神に会うては神を斬り!悪魔に会うてはその悪魔をも撃つ!戦いたいから戦い、潰したいから潰す!俺達に大義名分など、無いのさッ!」

そうだ、俺達に大義名分なんてねえ!

気に入らねえヤツらをぶっ飛ばして、戦い続ける!

「それだけだ!」

 

 

 

 

 

 

遠く消えていくマジンカイザーSKLを、一人の少女が見ていた

その瞳には確かに、尊敬する者へのまなざしがあった

 





さあてついにここまでやって参りました、DOUBLEviolence!
次回からは終盤!この作品も完結へ転がっていきます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。