DOUBLE:violence 《二人の特典付き転生者が異世界でアテもなく暴れ続けるお話》   作:アルファるふぁ/保利滝良

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sceneGET イシカワが行く

よっこらせっと

そこら中瓦礫だらけで歩くのもキツいぜ

巨獣があんなに湧いて出やがったから当たり前か

むしろこんくらいで済んで良かった、ってとこか

まぁ、そこまで心配しなくても良いか

「おーい、この煉瓦はどこへ運ぶんだ?」

「あぁ、この人を早く病院へ!出血は止めたわ、さぁ急いで!」

「水を持ってきた、これでしばらくは持つぞ」

「向こうに無事な人がいます!」

「オーライオーライ!こっちだ!」

この分だと、復興は目と鼻の先だな

国王の野郎がおっ死ぬ前に演説してやがったら、こんな塩梅だ

まったく、仕方のねえヤツだぜ

「イシカワさん!」

「イシカワ!ここにいたか」

おっと、お姫様のご登場か

カズトもいるな

「本当にありがとうございました、なんとお礼を言ったら良いか・・・」

「私からも礼を言わせてくれ!お前がいたからこの国はまだ生きていられた、本当にありがとう」

チッ、照れ臭いったらねえぜ

「へっ、楽勝だあんなもん」

だが、国王のジジィが最後に行動を起こさなかったら、確実にマイナーは終わってた

ジジィの奴が、身を省みずに疑似ゲッター線を解放したから、ゲッターロボが強化されて、そして勝てた

実際は、俺だけの勝利じゃねえってことだ

辛気臭くなっちまった、クソ

「・・・それで、このマイナーから旅立ってしまうというのは本当なのですか?」

あぁ、それか

「その通りだ」

まあこの世界に来てからずっとやってきたことだ、今さら止めるわけもねぇ

俺がここに留まる必要はねえ

「そうですか・・・」

「イシカワ、待ってくれ」

なんだ、カズトめ食い下がるな

「ここにいて、共にマイナー国を支えてはくれないか?お前の力が必要なんだ」

「断る」

「・・・理由を、お聞かせできますか?」

チッ、いちいちめんどくせえな

国王といいこいつらといい、この国の連中はこまけぇ説明が好きらしい

付き合わされるのはこっちだぜ

「俺がここにいる理由がねえからだ」

当たり前だがな

「お前らは、俺がいなくても大丈夫だろ」

「必要かどうかでなく、お前がいたいかどうかだぞ?」

おいおい、クドイぜ

「そういう性分なんでな」

「そう・・・ですか」

ったく、シケた面しやがってよ

どいつもこいつも、俺と別れって時に残念そうな顔をしやがって

後味悪くなんだろ、まったく

「おい、何考えてるかは知らねえけどな」

「はい・・・?」

あー、くそ、涙ぐんでんじゃねえ

国の代表だろうがしっかりしろ

「また会えねえとも限らねえだろ」

「あっ・・・!」

「イシカワ、お前・・・」

「お前らがまだ情けねえようだったら、国王のジジィの代わりに助けてやる・・・それでいいだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲットマシンが浮き上がる

コクピットにいるイシカワの眼下には、マイナー国の住人達がいた

皆一様に手を振っている

国は、傷跡が目立つ

だが、国民達の活気はそれを感じさせなかった

これなら、復興はすぐだろう

「さて、行くか」

イーグル号のレバーを倒そうとした、そのとき

視線の先に大きく手を振る二つの影があった

ひとつはマイナー国騎士団団長、カズト

もう一人は、マイナー国王女、ミツル

「イシカワさーん!さようならー!ありがとー!ありがとー!」

大きな声でそう叫ぶ王女の姿を確認し、イシカワの表情が綻んだ

マイナー国は巨獣によって大々的な被害を受けた

国王も死んだ

だが、彼らは進む意思を強く固めた

必ずこの国は復興するだろう

「へっ・・・アバヨ!」

イシカワはゲットマシンのボタンを押した

「チェエエエンジゲッタァアアアアーッ!ゥワンッ!」

イーグル号が先頭に、ジャガー号が真ん中に、そしてベアー号が最後尾に、ゲッター1が完成した

「ゲッターウィングッ!」

そしてゲッターロボは、たちまち青空へと消えたのであった

マイナー国の人々は、それをいつまでも見守っていた

 


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