DOUBLE:violence 《二人の特典付き転生者が異世界でアテもなく暴れ続けるお話》   作:アルファるふぁ/保利滝良

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sceneSKL 魔神皇帝は翼を持つ夢を見るか

 

イテテテ・・・

頭が割れる・・・くらい痛ぇ

ここはどこだぁ?確か俺は、あのピクドロンとか言う野郎にやられて、後ろに空いた穴に落っこちて・・・

チッ、こう暗くちゃ周りもよく見えねぇ

考えられるのは・・・そういえばブラスの国王が、地下に何かを置いてあるとか言ってたような・・・

ここはその保管庫か?さっきの戦場は城に近い場所だったしな

となると、登らなきゃいけねえのか

手間がかかるぜ、まったく

カイザーに大きなダメージはねぇ、多分戦闘は続行できるが・・・

「こ、こりゃあ・・・!?」

・・・なるほどな、でけえ宝だ

カイザーと一緒にあったら、まず間違いなく隣国とやらも踏み潰せるだろうな

だが、今は、コイツを拾わせてもらうとするか

ちょうどいいじゃねえか!

「ウイイィングクロォスッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高笑いをあげながら四方八方を蹂躙する化け物が一匹

それにまったく近付けない戦闘マシーンが無数

タクマのクーデター部隊とピクドロンが、戦っていた

いや、戦いにすらなっていない

ピクドロンはその火力を振り回し、クーデター達の接近する隙すら見せない

「手も足も出ないなんて・・・!」

向こうは一撃でこちらを殲滅できる

幸い、戦場となった王城の付近には建物があり、それを盾にしてしのいではいた

それも長くは続かないだろう

「ブレストファイアー!」

「ぎゃああああああっ!!」

相手の強さが桁違いなのだ

奴は手の中の羽虫を握り潰すようにじっくりといたぶって殺している

こちらの攻撃は、効かないか避けられる

このまま逃げるか?折角勝ち取った国を?

「ここまで、ここまで来て、こんな!」

シオリが歯噛みする

ここに来たときには、ナガイとカイザーはいなかった

目の前の敵に粉々にされたか地震によって起こされた地割れに落ちたのかは定かではない

だが少なくとも、自分達ではどうしようもない

戦闘マシーンの持つ槍に目を向ける

こんなので、どうやって戦えばいいのか

シオリは黄金の怪物を建物の遮蔽物越しに見た

同時に、そちらへ向かっていく青い影も見た

「リキさん!?」

カイザーのパイロットであるナガイ・ゴウトが連れてきた人間の片割れ、リキ

クーデターの際戦力となってもらっていたが、彼のパーソナルカラーはブルーだ

青く塗ったため、戦場ではよく目立った

その彼が、果敢に敵に突っ込んでいく

「リキさん!無茶だ!」

通信

タクマのものだ

大声でリキに呼びかけるものだ

だがリキからの応答はない

「まだです!」

唐突に、一つの叫びが聞こえた

「ナガイさんが・・・カイザーが戻ってくるまでの辛抱です!それまで私たちは、この怪物を抑えなければいけません!これ以上誰にも、ブラス国を荒らさせてはいけない!」

「どけぇい!このムシケラがぁ!!」

「ぐあぁっ!」

両手の剣で懸命に斬りかかるリキのマシーン

だが、黄金に輝く怪物の膂力に、一払いで吹っ飛ばされる

化け物の胸部が紅く輝いた

「リキさん!」

「ああぁ!!逃げて!早く!」

「リキさん、危ない!」

タクマ、シオリ、オサム

クーデターの幹部三人が必死に呼びかける

だが、逃げられない

リキは動けないのだ

「サユキさん・・・今、そっちに・・・」

「ブレストファイアー!」

延びる炎

ぐったりとする戦闘マシーン

目を閉じるリキ

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、翼を閉じた何者か

「なんだとぉ!?」

ピクドロンが驚愕の声を漏らした

リキの目の前から、地上をバキバキと割りながら、翼を閉じた何者かがゆっくりと登ってきたのだ

巻き上げられる石と地面の破片

その閉ざされた羽根に、ブレストファイアーが当たる

超高熱の熱戦は、いともたやすく黒い翼に弾かれた

「よくもやってくれやがったなァ?」

閉ざされた翼の中から、地獄の底から響くような恐ろしい音声が聞こえてきた

「ば、バカな!なんだその力は、そんなものいつ手に入れた!?」

輝く化け物が、恐れおののく

突然、羽根が広げられた

真空波が飛び、辺りの風が目に見えるほどの渦を巻く

羽根の一振りによってなせられたのだ

そして、その羽根の持ち主は

「マジンカイザー・・・SKL!!!」

「カイザーだ!」

「おぉ、ナガイさん、良かった・・・」

ピクドロンが焦りの声をあげる

タクマが感嘆の声を出す

リキが涙声でその名を呼ぶ

「神に会うては神を斬り!悪魔に会うてはその悪魔をも撃つ!」

巨大な体躯

厳つい面相

刺々しい全身

片方を傷跡に変えても尚凶悪な目付き

巨大な握り拳

そして、頭部に鎮座する骸骨のパイルダー

「戦いたいから戦い!潰したいから潰す!」

そしてその背には、新たに手に入れた漆黒の翼

眼球の光が青から黄色へと移り変わる

「俺達に、大義名分など無いのさッ!」

マジンカイザーSKLだ

マジンカイザーSKLが、更なる力を手にしたのだ

大いなる、神を越え悪魔をも倒す力を

「さあ、第二ラウンドの始まりだァ!!」

 

 


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