DOUBLE:violence 《二人の特典付き転生者が異世界でアテもなく暴れ続けるお話》   作:アルファるふぁ/保利滝良

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今回はグワーっとなってブワーっとしてドワォな、戦闘回です
つまり、いつも通りっすね!



sceneGET 大決戦

 

ゲットマシンの調子は・・・三機とも良好か、なら問題ねぇ!

「ゲットマシン、発進ッ!」

蟻が巣ごと巨獣になっただと?

面白ぇ、バリバリやり合えるって事か!

って、そんなことはいい

問題は、ゲッターはともかくマイナー国がもたねえってこった

冗談じゃねえ、あんな強い巨獣が国中包囲したら、一日も耐えられねえ

俺がやるしかねえ

巨獣どもを、俺が全部ぶっ潰す!

「よし、到着っと・・・」

ここが一番防衛が甘い、俺はここで暴れるか

「チェエエエエンジ!ゲッタァアアアアアアアアア、ワンッ!!」

ゲッターロボが相手だ

オラァ!かかって来やがれ!

 

 

 

 

 

イシカワの乗るゲッターが、その強面な形相を向ける先

こんもりとした緑生い茂る山々があった

ゲッターロボが合体を完了して、三秒程度立ったとき

「・・・来やがったか!」

その山々に、黒い津波が現れた

津波のような数の、蟻の巨獣だ

山を埋め尽くす程の数の、強靭な化物の群れ

「ゲッタァアアアア!ウィイイングッ!」

新ゲッターロボが背中から機械的な三角形の羽根を二枚出現させた

瞬く間にゲッターは、大空へと舞う

黒い津波の先頭に上空から近付いて、右足をピンと伸ばす

「どぉりゃあ!!」

瞬間、猛烈な勢いで、蟻の一匹へ突撃した

「キシュアアア!」

一匹が頭部を踏まれ、転げ回った

「ゲッター、トマホォオオオゥクッ!」

もがく巨獣を蹴っ飛ばし、赤いスーパーロボットは肩から鉄球を吐き出した

鉄球から、一瞬にして柄と刃が出てくる

完成した斧を握り締め、イシカワはゲッターを群れに突撃させた

全速力の勢いを乗せ、トマホークを振り下ろす

「ぜぇあ!」

「キシュア!」

「チッ!」

だが、振り下ろしたトマホークは、一匹の蟻が牙を使って食い止めた

「この野郎!調子に乗ってんじゃ・・・」

ゲッターの腕が大きくしなる

蟻巨獣に噛ませたまま、トマホークを上へ持ち上げる

「ねェぞッ!!」

大斧をフルスイングするゲッター1

その勢いで、巨獣が振り払われた

「ゲェッタァービィームッ!!!!!」

ゲッターの腹から現れた砲口から、目映い光が迸る

高出力の光線は、山を覆い尽くしていた巨獣の群れに直撃する

「四匹は殺ったか!!」

倒した数を概算する

強さはともかく密集度はそこまででもなかった

ゲッタービームといえども、そう多くは撃破できていまい

「まだまだァ!」

トマホークを持った腕を、後方へしならせる

柄をしっかりと握り、イシカワは前方の蟻を見据えた

「トマホゥウウウウク、ブーメランッ!」

ぐるんぐるんと回りながら、投擲されたゲッタートマホークが蟻巨獣へ迫る

一匹の顔が浅く切り裂かれた

別の一匹の脚を一本、切り落とした

最後に一匹、腹に突き刺さって息の根を止めた

それで終わりだった

渾身のゲッタートマホークブーメランは、大きな功績を残せず、地面へ落ちた

「オープゥン、ゲェット!」

蟻がゲッターを包囲しようとする前に、イシカワはゲッターロボを三機のゲットマシンに分離させる

「チェエエンジッゲッターツゥーッ!!」

イシカワが乗るイーグル号を最後尾に、ジャガー号ベアー号イーグル号の順番に並んで合体する

手が伸び足が伸び、ドリルを携えたゲッター2が大地へ降り立つ

「せあッ!」

突進してきた一匹へ、左手のドリルを突き刺す

「キシュアア!?」

顔の真ん中に巨大な物体を突っ込まれ、巨獣は痙攣しながら絶命した

その間にも、ゲッターロボを無数の巨獣が包囲していく

「囲い込むつもりか!」

右側から飛び出してきた敵の牙を三本爪のロボットアームで弾きつつ、イシカワは周囲を見渡した

「させっかよ!そぉりゃッ!!」

手近な蟻へ、ドリルを突き込む

だが六本の脚を素早く動かした奇妙な移動に、ドリルアームが空振る

力を込めた一閃は、避けられてしまった

「キシュアアア!」

「キシュアアア!」

ゲッターの両側から、一匹づつ巨獣が襲い掛かる

牙をかちかち鳴らして、敵が全速力で突撃してくるのだ

「クソッ!」

ゲッター2はすぐさま飛び上がった

ジャンプで上空に逃げると、目標を見失った蟻が互いにぶつかっていた

ゲッター2のスピードでなければ、今のは回避しきれなかっただろう

「ドリルッ!アタァック!!」

イシカワが叫ぶ

ゲッター2がドリルを突き出す

ドリルが回る

そして、ドリルが高速で射出される

一発の巨大な砲弾となり、ゲッタードリルが蟻へと突っ込んでいく

「キシュ!」

一匹の蟻が、飛んできたドリルを牙で受け止めた

首を振り回し、地面へ叩き付ける

たちまちドリルは大人しくなり、その動きを止めた

「オープン、ゲーット!」

ドリルアタックが通用しないのを見て、イシカワは再度分離をした

「チェンジィッ!ゲッタースリィイッ!」

ジャガー号が地面スレスレで変形、そこへイーグル号が機首を接続、最後にベアー号がイーグル号の上に乗る

頭部と腕とがベアー号から出現、ゲッター3が完成する

「ミサイルストォーム!!」

合体完了したゲッターロボの目前に、無数の蟻巨獣がわらわらと集まる

だがイシカワは、怯みも恐れもしなかった

ゲッター3の脚部カバーが開き、無数のミサイルが顔を出す

その全てが、一度に同時発射された

その名の通り嵐のように飛んでくるミサイル

山肌に、木々に、岩に、そして無論巨獣に

ミサイルは次々と直撃し、爆風を作り出す

「どうだ?ちったぁ効いたろ・・・」

ミサイルによって濃い煙が辺りを覆う

先の大爆撃を見て、イシカワは蟻の脅威が去ったと思い、深呼吸をした

それは大きな間違いだった

「・・・何ィッ!?」

煙を振り払いながら、蟻巨獣が三匹ほど躍り出た

イシカワの眼前まで迫った敵は、ゲッターに体当たり攻撃を敢行する

イーグル号のコクピットを強烈な衝撃が襲う

「グゥッ!!畜生、舐めやがって!」

三匹の蟻がゲッターロボを押す

ゲッターロボも、負けじとパワーに任せて押し返す

相撲を彷彿とさせる、強引な力比べ

両者の膂力が拮抗し、互いに大きく動かない

ゲッターのキャタピラが轟音をたてて回転する

しかし三匹の蟻もひたすらゲッターを押す

「こんの・・・うぉおおッ!?」

突然、ゲッターが押され始める

蟻の力が強くなったのだろうか

否、三匹の後ろから、別の蟻巨獣が突進をかましてきている

いくらパワー自慢のゲッター3でも、蟻巨獣が何匹も集まっては、力負けしてしまう

「チィ!吹き飛びやがれぇえ!!」

ゲッターロボの肩から、巨大な弾頭がせり出した

ゲッターを押してくる蟻の群れへ、大型のミサイルが容赦なく突き刺さる

大爆発

「ぐぅおおおおおお!!」

巨大なサイズに見合った衝撃を至近距離で受けながら、ゲッター3はごろごろと転がった

その周りを、巨獣の破片が散っている

大きな壁に激突し、ゲッターはローリングを止めることができた

そこは、マイナー国の国境要塞の壁だった

 

 

 

 

 

 

 

「もう、こんな所まで・・・」

チックショウ

頭がガンガン鳴りやがる

目眩が治まりやがらねえ、クソ

蟻どもは、やっぱりめんどくせぇぜ

早く、叩かねぇと、被害が・・・

「ゲッターロボ!イシカワさん!」

あん?

カズトの下っ端か

「なんだ、テメェ」

「伝令です!」

「伝書鳩か・・・」

やっぱり下っ端か

そんなのに付き合ってる暇は、ねえってのに

「国王が、至急城の上空へ来てくれと!」

「ジジィのパシりをしてる暇はねえぞ」

「違います!」

なんだぁ?

この伝令、やけに食い下がる

一体なんだってんだ

「勝利の鍵が、城にあるとのことです!」

勝利の鍵だぁ?

それさえあれば、勝てるのかよ

「俺があのジジィの所へ向かえば、勝てるってのか」

「ハイ!」

クソ!

行かなきゃ、ならんか・・・

「後は騎士団が防衛してくれます、イシカワさんは急いで下さい!」

チッ、指図すんな

「・・・行きゃあ良いんだろうが!」

どいつも、こいつも、チクショウ

あぁ、クッソが、頭がいてぇ

目に血が入っちまった

デコかどっか切ったか?

クソ・・・

「オープゥン、ゲェット!チェエエエエンジ!!ゲッタァアアア・・・ワンッ!!」

腕に力が、入らねぇ

体がガタガタ言ってやがる

ふざけんな

もう少し気合い出せよ

・・・なんてこった、壁の向こうにも蟻が沸いてやがる

別方向から来た奴が、壁を抜きやがったんだ

国の中に入ってきやがったんだぞ

ジジィ・・・何やってる・・・

国の中に入られたんだぞ

もう、俺らの負け・・・

「負けてはおらんッ!!」

 

 

 

 

 

「負けてはおらんッ!!マイナーの民よ、我々はまだ負けてはおらんのだ!今この時こそ、国中が力を合わせる時だ!

騎士団よ!ワシのためによく尽くしてくれた!これからも、その気高く誇り高い美しい力を、この国の未来のために使ってくれ!

我が娘よ!お前はこれからこの国を背負うのだ!一人でではない!この国が、国の全てが、お前と共にある!手を取り合い、助け合い、マイナー国を支えてくれ!

この国の民よ!この国の全てがそこにある!畑と、村と、商いと、街とが、この国を作り上げている!いわば、民が国だ!国は民無くして成らん!いつまでも、マイナー国と共に在ってくれ!

ワシの尽くせる力も、あと僅かだ!だが、未来はまだ続く!この国を、マイナー国を、皆が救うのだ!

今までよくこの暗君を助けてくれた!これからは、姫と共にマイナーの未来を紡いでくれ!

それが、国王最期の願いだ!

しかと聞きとげよ!」

 

 

 

 

 

ジジィ・・・この声はジジィか!

なに演説してやがる!

早く逃げろ!

「ジジィッ!!」

着いた!

・・・この感触は、なんだ!

まさか、地下の疑似ゲッター線が・・・

馬鹿やってんじゃねえ、ジジィ!

 

 

 

 

 

 

「演説が聞こえたか、騎士団の同胞よ!我らが国王の期待に背くな、底力を使い戦うのだ!ここが正念場だ!マイナー国の、故郷のために全てを出しきるんだ!今が、その時だ!」

 

 

「お父様、私は必ず・・・必ずこの国の未来を切り開いてみせます!私の全力と、支えてくれる皆と共に・・・怪我人を本城へ運び込み、城の者で手当てを!急いで!私も手伝います!」

 

 

「なんだ、この演説・・・?」

「国王か?」

「俺たちに、なんか言ってるぞ!」

「国民を大切にしてくれたからねぇ」

「急いで!巨獣が来るわよ!」

「ちょっと待って!今王様がなんか大事そうな話してるんだって!」

「おい、前線へ届ける食料はどこへ持ってけばいい!」

「怪我人が出たって?病院へ連れてくぞ、いや本城の方が近いか!」

「向こうは蟻がいる!回り道をしろ!」

 

 

 

 

 

ゲッター1が、ふらつきながらマイナー国王の城の上空に降り立った

ここからマイナー中を見渡せる

だが、ひどい有り様だ

国境の要塞の壁では大量の巨獣が戦闘マシーンを次々と粉砕し、中のパイロットを虐殺している

国内にも蟻が入り込み、国の建造物を掻き分けるように破壊していた

国内外から火の手が上がり、最早大混乱の体を成している

誰が見ても、この国の滅亡は明らかだろう

だが

この国の人々は違った

騎士団が、ミツル姫が、国民が、自分にできることをやっている

マイナー国のために、一丸となっている

そして、国王も

「何やってる!そこから逃げろ!早く・・・」

「聞きとげよ・・・さらばだ!」

イシカワが見下ろす城が、突如崩れて消えた

そこから滲み出す、目を奪われるほどの翠

それはやがて、一つの光の柱となって、ゲッターへ向かっていった

緑色の光に、ゲッターとイシカワが飲み込まれる

「ジジィーーーーーーッ!!!」

イシカワが吠えた

国王がいるであろうその城は、疑似ゲッター線に飲まれて、消し飛んだ

ゲッターロボが、膨大という言葉でも収まらない光を浴びた

イシカワの意識が、光に呑まれていく

「ウォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーッ!!!!!!!!」

 

そして・・・

 

 

 

 

 


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