DOUBLE:violence 《二人の特典付き転生者が異世界でアテもなく暴れ続けるお話》

sceneＳＫＬ 大決闘

「神だぁ！？俺のことをこの世界に送りこんだ、あの野郎のことか！」

マジンカイザーが、両手のブレストリガーをピクドロンに撃つ

正確無比な弾丸は、しかしその光輝く肉体にかすりすらしない

「そうだ！あのお方の命令により、俺様はこの世界を試しに来たのだ！それを貴様が覆しおって！」

曲線の軌道でブレストリガーを避けながら、ピクドロンが片腕を天に向けた

空に灰色の雲が集まり、黄金色の化け物の頭上に集う

暗雲から、一筋の閃光が落ちてきた

落雷だ

「サンダーブレーク！！」

ピクドロンが叫ぶ

指先に集まった雷光

その指が、カイザーの方向を指した

放たれる稲妻の奔流

雷が、まっすぐナガイへと飛ぶ

「ぬぅおッ！クッ・・・」

脚を折り曲げ、全力で跳躍するカイザー

先程までいた場所が、電光に焼かれて黒焦げになる

「グレートマジンガーの武器か・・・どうしてテメエがそんなもんを使えんだ！」

「神が貴様にその機体を渡すついでに、その機体に関連した存在の力を私にくださったのだ！愛機の同胞の力で、消し飛ぶがいい！！」

黄金色の怪物は、顔の端まで裂けた大口を目一杯開いた

そこから飛び出してきたのは、毒々しい色の竜巻であった

「ルストハリケーン！！」

うねうねと蠢きながら、竜巻は骸骨魔神へ延びていく

ナガイは舌打ちした

横っ飛びに回避する

マジンカイザーSKLが避けたあとの地面の一部が、強酸の台風にさらされる

大量の岩と土が、風化し、吹き飛ばされた

「今度はマジンガーZか、ふざけやがって！」

ブレストリガーを胸部に戻し、カイザーが巨腕を振り上げる

両拳は、空中のピクドロンへ向けていた

「トォルゥネェエエエエエエド、クラッシャァアアアアアアアアアアッ！！」

腹の底から唸るように、声を吐き出す

技名を叫ぶと同時に、ロケットパンチが空気を裂いて飛んでいった

腕部側面が横回転し、刃が音を上げる

凄まじい勢いで、カイザーの両手がピクドロンを狙う

「ふんっ！」

「何だとッ！？」

迫るロケットパンチ

黄金に光る怪物は、両手で片方ずつを叩き落とした

軌道を無理矢理曲げられ、ピクドロンから外れる両拳

ゆらゆらと力なくカイザーの方へ戻っていく

「その程度か！」

「なら、叩き斬ってやるまでだッ！」

ロケットパンチを両肘に接続し、カイザーが駆け出す

猛烈な勢いで脚を交互に回す

背中に手を回して、牙斬刀を引き抜き、跳躍

「オッルァ！！」

怪物の顔面に一振りする

だがその一太刀は空を切った

ピクドロンは、牙斬刀を仰け反るような姿勢で回避したのだ

起き上がり様、黄金の口裂けから不気味なかけ声が響く

「ブレストファイアー！！」

ピクドロンの胸部に、凄まじい熱風が逆巻く

それを打ち出すつもりだ

ナガイの目が見開かれた

「クソ！てぇりゃッ！！」

カイザーがピクドロンの腹部を蹴る

その勢いで、再びピクドロンが仰け反った

地面に落下するカイザー

その頭部すれすれに、真っ赤な火炎放射が通り抜ける

マジンガーZの必殺武器であるはずのブレストファイアーは、黄金色の化物が姿勢を崩したことにより、草花を焼き払いながら地面をなめ回した

その炎の舌が通りすぎた痕には、痛々しく黒々とした焼け跡しか残らない

ブレストファイアーの衝撃か、はたまた先に起きた地震の余震か、マジンカイザーSKLの足下の地面が割れた

足場を崩す

「チィッ！くそったれ！！」

バランスを取り直して空を見上げると、ピクドロンが指を天に向けていた

つまり、またあの技を使うつもりだ

「とどめだ！」

「しまっ・・・！？」

「サンダーブレーク！！」

雷電がカイザーへと飛んでいく

今度は、避けきれなかった

「がぁああああああああッ！？！？」

片目が粉々に砕かれ、カイザーが吹っ飛ぶ

そして運悪く、その背中側の地面はぱっくりと割れていた

暗闇の喉元へ落下するナガイ

大地割れに飲み込まれるカイザー

「ゲーッキャッキャッキャ！！マジンカイザーSKLといえどもこの程度だ！神に力を賜った俺様の、敵ではない！ゲーッキャッキャッキャ！！」

その姿が見えなくなると、ピクドロンは勝ち誇ったように高笑いをあげた

黄金の怪物

増え続ける地割れ

乱発される落雷

晴れる気配のない天空

そこはまるで、世界の終末のような様相となっていた