DOUBLE:violence 《二人の特典付き転生者が異世界でアテもなく暴れ続けるお話》   作:アルファるふぁ/保利滝良

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交互にやってると読者の皆さんは混乱してるんじゃないかな・・・
でも仕様なので変更しようがないのです、どうしよう
お許しを!



sceneGET 始まりと終わり

 

「イシカワ!」

豪華な装飾の鎧が走ってくる

カズトだ

血相を変えてイシカワの方へ走り寄ってくる

「ミツル姫は、ミツル姫は無事か!?」

「ああ、大丈夫だ」

イシカワの解答に、カズトは胸を撫で下ろす

遠出をしていた時にクーデターを起こされ、国民のアイドルである姫が人質に取られたと聞いたときは、心臓が張り裂けそうになった

だが、目の前の男は単身姫を守り抜き、クーデターを制圧したという

ほとんど英雄だ

カズトにはそう写った

「すまない、本当にありがとう・・・お前のお陰で姫は無事でいられた」

屈託のない笑顔でそう言われて、イシカワは気恥ずかしそうに頬をかいた

「お、おう」

最初のコミュニケーションが剣呑だったこともあって、こういう殊勝な態度をとられると困惑してしまう

だが、これがカズトなのだ

不器用だが、その全てを国防のために捧げているのだ

「心から感謝する」

「へっ、礼を言われるまでもねえよ」

カズトの伸ばした手を固く握り、イシカワは言った

 

 

 

 

 

 

ったく

いつまで泣いてんだ、ミツルは

「おい、もうクーデターは返り討ちにしたんだぞ、泣き止めよ」

「・・・そうではありません、私は・・・」

なんだぁ?また自分が情けなくなったのかぁ?

「私は・・・こんなにちっぽけで、何も、何もできません・・・」

ほらやっぱりだ

メンドくっせぇな

「だから悔し泣きか」

「・・・はい、返す言葉もありません」

チッ、ホントに情けねえ

そんなんで次の国主がやれんのかよ

あのジジィもおちおち死ねねえぞ

「イシカワさん、ありがとうございました・・・今日はもうお休みに・・・」

「ちょーっと待て」

「え?」

チッ

なに呆けた顔してやがる

今度はお前に構ってやる番だ

「おい、ミツル」

「は、はい」

「自分の無能さを、言い訳とかにしてんじゃねえぞ」

この俺が説教だと?

似合わねえにも程があるぜ

「できねえならできねえなりの努力をしろ!お前はタダの箱入りじゃねえ、自分で考えることのできるヤツだ・・・お前は頑張ることを・・・努力することを知っているんだぞ?それを自分はできない自分は情けないとかほざいて、潰しちまってる・・・言い訳にしてんだよ!」

「イシカワさん・・・」

「血反吐出しながら身に付けろ!お前の親父と同じくらい、自分の国のために尽くせるようになりやがれ!それまでは・・・」

ああ畜生、なに熱くなってんだ俺は

チッ

「この国の色んな奴等が、お前の背中押してくれる・・・お前は、それに報えるようになれ」

「・・・私の目は曇っていたのかもしれません、私は自分の弱さを隠れ蓑に、努力することから逃げていました」

「これからは違うんだろ」

「はいっ!私は、私の愛するこの国を守れるようになります!」

へっ、良い目してやがんじゃねえか

説教垂れてやっただけはあったか

「例え血反吐を出してでも!」

「馬鹿か」

こりゃ、まだまだ背中押してもらわねえとな

 

 

 

 

 

 

 

イシカワは肩をすくめた

「まったく、ここの連中は・・・」

いつもどおりの厳つい表情も、どこか柔らかくなっている

「ま、これからってことか」

ぶらぶらと歩きながら街を見る

人々はどこか疲れていたが、それでも笑顔が絶えなかった

どんなに辛くても、絶望に包まれた顔ではなかった

つまり、この国で生きられることを喜んでいるのだ

いい国の証拠だ

「平和だ・・・」

あくびをする

先程クーデターを制圧したばかりの男の台詞だが、彼にとっては大概の事件は大事とは感じないようだ

やることもない

ゲットマシンの調子でも見に行こうと、イシカワが歩みの向きを変えた

「あぁ!イシカワ、ここにいたか!」

やかましい音がした

カズトが、鎧のままイシカワの方へ走り寄ってきたのだ

「どうしたカズト、そんな慌てて・・・」

「とてつもない数の巨獣が、マイナーを包囲しているんだ!」

イシカワの質問に、息を切らせつつカズトが答えた

驚愕に見開かれるイシカワの瞳

「巨獣だと!?そんなにいるのか?」

「どうやら、蟻の巣にそのまま緑の光が直撃したようだ・・・」

「蟻の巣のアリに、疑似ゲッター線が直撃・・・!」

イシカワの背筋が凍りついた

アリの巨獣は、一匹だけでもゲッターと互角に渡り合えた

実際に戦闘したからわかる

そんなのが、蟻の巣いっぱいに出現したという

「千・・・二千・・・いや、下手すりゃ一万はいやがんぞ!!」

「姫の城に国民を集めさせ、避難させる!お前は国境の壁を出て迎撃してくれ!」

「わかった!」

カズトの指示に従い、イシカワは拳を握った

ゲットマシンの方へ走り出す

どうやら、今度の戦いは一筋縄ではいかないようだ

「クソ・・・キツいぞこりゃあ!」

表情筋がひきつる

ゲッターを手に入れてから久しぶりに味わう感覚だった

「今度こそヤバイかもな・・・」

イーグル号のコクピットに飛び込んで、イシカワはレバーを押した

その目には、いつにも増して真剣さがあった

 





さて、次回はどちらのsceneも今までの雑魚とはレベルの違うヤバイ闘いになります
これぞviolence!

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