DOUBLE:violence 《二人の特典付き転生者が異世界でアテもなく暴れ続けるお話》   作:アルファるふぁ/保利滝良

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sceneGET 入国騒動

いやぁ~、ヤコが作った飯は美味かったなあ

害獣を殺せて飯も貰える、一石二鳥じゃねえか

男嫌いを解消して、元気に暮らしてもらいたいもんだ

しっかし、ゲットマシンは早ええな

こんなスピード出す機体が合体するんだから、ゲッターは計り知れないぜ

・・・さてと、向こうに見えたのは巨獣か?

そろそろ空の旅も飽きてきた頃だ、運動がてら軽く捻ってやるか!

「チェエエエエンジ、ゲッタアアアアア、ワンッ!」

うおおお!行くぜェ!

 

 

 

 

 

 

 

 

イシカワが叫ぶと同時、赤いイーグル号と白いジャガー号と黄色いベアー号が一列に並んだ

三機はそのままの状態で直結、そして目にも止まらぬ早さで機体の各パーツを移動させる

そこに現れたのは、一機の赤いスーパーロボット

ゲッター1だ

「ゲッタァアアアアア!トォマホォオオオオオオゥクッ!」

ゲッター1は重力に従い落下するが、その瞬間にゲッタートマホークを出現させ、握り締める

アリ型の巨獣は、ゲッターが落ちてきた轟音に気付いた

「キシュェアー!」

耳障りの良くない鳴き声をあげ、ゲッターを威嚇する

「そっちもやる気充分みたいだなァ!だったら遠慮無く行くぜ!」

ゲッター1がトマホークを振り上げながらアリに駆け寄る

あと数歩で激突かという瞬間、ゲッターは腕を降り下ろした

トマホークは重力に従いながら勢いよくアリの頭に食い込む、ハズだった

「キシュウウウウ!!!」

「なにッ!?」

アリの巨獣は、地面と平行に付いているその顎でゲッタートマホークを挟んで止めたのである

擬似的な真剣白羽取りをされたゲッター

押しても引いても巨獣はトマホークを放そうとしない

「こんの野郎!」

イシカワはゲッターに拳を打たせる

トマホークを掴むのに夢中になっていた巨獣は、そのフックをマトモに受ける

「キシュアアアアー!」

ようやくトマホークを放すと、巨獣は凄まじいスピードで走り出した

「こんのぉ・・・待ちやがれ!オープゥン・ゲェット!!」

ゲッター1はゲットマシンに分離し、飛行しながらアリを追い掛ける

しかしアリ巨獣はイシカワの想像以上に素早く、ゲットマシンがどんどん引き離されていく

「チェエエンジッゲッターツゥーッ!」

ジャガー、ベアー、イーグルの順に並び、ゲットマシンが再び合体した

空中で合体したゲッター2はすぐさま着地、落下の勢いで足を止めずにそのまま走る

ゲッターの形態の中で最もスピードに優れたゲッター2

アリ巨獣に追い付くのも早い

「コイツを食らいやがれ!」

巨獣に並走するゲッター2

おもむろに右手でアリ巨獣の足の一本を掴んむ

そして、そのまま右手を回転させる

「キシュアッ!?」

モーターがオーバーロードしたときのような音をあげて、ゲッターの右手は回る

走っていた巨獣は掴まれていた足ごと回り出し、バランスを崩した

地面に体を擦り付けながら、アリが停止する

「オープン、ゲェット!チェエエンジ、ゲッタァアアアアアワンッ!!」

その隙に、イシカワはオープンゲットを再び敢行する

合体し、再びゲッター1となる

「うおおおおおおッ!!」

アリの頭を両手で掴み、持ち上げようとするゲッターロボ

しかしアリは頭を振り回し、抵抗した

「キシュウウウアアアア!」

「ぐ、うおおおおっ!?」

巨獣のパワーに負け、ゲッター1が巨獣の頭を放した

同時に、アリが頭を振った勢いで吹っ飛ばされる

「クソ、今回のは強い!」

学の薄いイシカワは知る由も無いだろうが、蟻は昆虫の中でも最強クラスの身体能力を持っている

サイズを同じにした場合、世界最強の生物は像でもワニでもライオンでもなく蟻という研究結果が存在する

そしてこの巨獣は、そんな強大な昆虫を40メートル以上の巨体に仕立て上げたものだ

苦戦するのは必至であると言える

「キシュ、ァアアアアアーッ!!!」

アリはゲッター1に体当たりをかました

避ける暇もない、なにせこの巨獣はゲッター2に匹敵するスピードを持つのだから

「ぐぅおおおおおおおお!!」

そのまま運ばれるように押されるイシカワ

まるでなすがままだ

そして、アリは突進の勢いのまま巨大な壁へゲッターを叩き付ける

その壁は大きく軋み、小さくないヒビが入った

「調子に乗ってんじゃねぇ、オープゥンゲットォ!」

ようやくアリから解放されたイシカワは、若干弱々しく吠えた

「チェエンジィ!ゲッタースリィー!」

ジャガー号が変形し、イーグル号がそこに突き刺さるように接続、最後にベアー号が形を変えてイーグル号に乗る

ゲッター3が合体完了した

「キシュア!」

恐れる様子もなく、巨獣が噛みつこうとする

「おるぁ!」

その顎を両手で掴み、ゲッター3は力比べを始めた

アリの足が激しく蠢き、ゲッター3のキャタピラが猛々しく回る

「こんのぉ!」

だがゲッターが押しているものの、膠着状態だった

この巨獣は、やはり強い

「スピードはゲッター2に匹敵、パワーはゲッター3とやりあえる、ゲッター1じゃ敵わねえ・・・面白ぇじゃあねぇかッ!」

だがイシカワは怯まなかった

「ゲッターミサイル!」

ゲッター3の両肩の突起がせり出す

やがてその突起はジェット噴射をしながら巨獣に向かい突撃した

二つのミサイルは至近距離で巨獣に当たる

「キシュアアアアアッ!?」

爆風を食らい、アリ巨獣の体が焦げた

「オープゥン・ゲェット!」

イシカワはもう一度ゲッターを分離させる

そして、ゲッター1が三機のゲットマシンによって形作られる

「キシュウ!キシュウウ!キシュウウウ!」

のたうち回るアリ

六本の足が辺りの地形を抉る

「こいつで、終わりだぁッ!!!」

ゲッター1の腹部に穴が空く

その穴からは、光り輝く球体があった

「ゲッタァアアアアビィイイイイイムッ!!」

ゲッター1の腹部から伸びる目映い光りは、一直線にアリ巨獣に向かっていく

そして、ゲッタービームが一撃の元アリ巨獣を真っ二つにした

強烈な閃光と爆発が巻き起こり、余波がイシカワとゲッターを包んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ」

へへ、大分苦戦しちまったぜ

だが俺の勝ちってことだ

「さてと・・・」

さっきゲッターがぶつかったが、この壁はなんだ?

やけに大きいが・・・それにあんな強くぶつかったのにまだピンピンしてやがる

「なんなんだ、こりゃあ?」

「そこの戦闘マシーン、止まれ!」

「ん?」

な、なんなんだいきなり

うお・・・マジか

壁の一部が、フスマみてえに開いた・・・!

「っと、何だ何だァ?やる気か?」

戦闘マシーンを数十機も揃えて武器をこっちに向けて、喧嘩っ早い連中だぜ

「我々はマイナー王国重甲騎士団、貴様は何者だ!」

マイナー?マイナー王国だぁ?

ブラス王国とギルギル・カンを二分する国だったか

戦ってる間に遠くまで来ちまったみたいだな

「俺はイシカワ・ケンジだ!お前らの国に入れろ!」

喧嘩も終わった、今度は観光でもするか

 

 


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