DOUBLE:violence 《二人の特典付き転生者が異世界でアテもなく暴れ続けるお話》 作：アルファるふぁ/保利滝良
ノミに
さぁて、数は・・・多いな
メンドクセェ、素手じゃ難しいか？
ま、俺には切り札があるんだけどな
「道中くすねた手斧だ・・・たっぷり味わいやがれッ！」
イシカワはまず、飛び上がった
全力でジャンプをし、頭の上へ斧を振り上げる
「おぉぉぉうりゃああああッ！！」
落下と同時に振り下ろし、一撃
一匹目が何もできぬまま叩き割られた
飛び散る体液が地面を濡らす
「おっと！」
近くにいた大ノミの一匹がイシカワに針を突き刺そうとした
それを避けて、斧を真横に振り回す
数匹が纏めて真っ二つになり、息絶える
「ギュイイイイイイイ」
三匹が横へ並び、足を曲げた
瞬間、土煙をあげてノミはそこから消えた
否、前へ砲弾の如く突っ込んだのである
一匹目と二匹目は避けた
三匹目は避けきれなかった
元の生物の特徴をそのままに、巨大化したことで性能も段違いに上がった
ジャンプを応用した突撃、自分の何百倍もの大きさの生き物に飛び乗るための技
「うおお！？」
そんなものをモロに食らって無傷で済むハズもなく、宙に浮いて吹っ飛ぶ
イシカワの口から血が溢れた
勢いを殺しきれずに転がる
巻き上げられた土煙が、霧のように漂った
「クソ、やるじゃねえか・・・」
立ち上がったのも束の間、全てのノミが大空へと跳ねた
「ギュイ！」
「ギュイッギュイッ！」
「ギューイイイイイイー！」
「ギュギュギュギュギュ！」
耳障りな鳴き声を撒き散らして、ノミの群れが地面へ一斉に着地した
その着地地点は、イシカワを完全に取り囲む形でもあった
「何だと！？チクショウッ！！」
真横からの針攻撃をバックステップでかわし、その頭に斧を叩き付ける
すると後ろから鳴き声と共に突進を繰り出してきた
ジャンプをしてかわすが、着地の瞬間に四匹から同時に刺されかける
スレスレで回避し、しゃがむと、攻撃してきた奴の内の一匹を思い切り蹴り飛ばした
派手に転んだ巨大害虫の腹を蹴破るが、別の大ノミが突進を放ってきた
それも数匹で
「チッ！」
手近な死体を拾い上げる
それを盾に、突進の直撃は避けた
しかし受け止めた大ノミの死骸はズタズタになり、殺しきれなかった勢いはイシカワを襲った
またも吹っ飛ばされるイシカワ
「うざってえ、何とかならねえのかよ！！」
イシカワが毒づく
口から溢れる血液を地面に吐き捨て、再び立ち上がる
だが、ノミは突進の体勢を作りつつある
またあの体当たりをされたら、流石に死ぬかもしれない
「クソ・・・！ゲッターがなけりゃ、俺はこの程度なのか！？」
イシカワは拳を握る
己のあまりの不甲斐なさに、憤りを感じた
斧をを持つ手に力が籠る
「ざっけんじゃねえ・・・俺は・・・」
ノミが、地面を蹴った
ぐんぐんとその体がイシカワに向かってくる
「俺は！負けねえッ！！」
その時、ヤコが何かをイシカワへ向けて投げた
「イシカワさんっ！」
ノミの突撃が直撃するかと思われたその時、イシカワの真後ろから薪割り用の斧が飛んできた
それをしっかりとキャッチ
突っ込んでくるノミに、叩き付ける
「ウォォォォオオオ！！！！」
突き立った刃を抜くのではなく、そのまま振り抜く
すると、ノミは綺麗に真っ二つとなった
「テメエ等散々舐めやがって・・・覚悟しやがれ！」
両手に斧を持ち、イシカワは吼えた
「纏めてブッ殺してやるッ！！！」
一匹のノミが突撃をした
先ほどのように、イシカワはそのノミを斧で殴り付ける
頭から二つに割れる敵
今度は別々の方向から
「オラァッ！」
斧を持ったまま３６０度回転
血液の軌跡を描いて、何匹もの害虫が引き裂かれた
さらに近くにいた奴へ、一撃
頭を割られて、一匹が死ぬ
血液を吸いとってやろうと針を向けながら近寄ってきたノミへ、斧を、
「食らい・・・やがれ！」
投げた
顔の真ん中、針より上の所へ、斧が突き刺さる
そのままその突き刺さった斧を近寄って抜き、別のノミへ叩き込む
余った手の斧で別の奴を殺す
体当たり攻撃へ対応できるようになったイシカワ
吸血行為も元より当たる気配がない
最早、大ノミの群れを、イシカワが蹂躙するだけになっていた
粗方駆除したイシカワ
だが、その視線の向こうに、大ノミがいる
「きゃああああああ！」
ヤコへ目標を変えた、大ノミが
「これでも、食らいやがれ！」
手斧はノミの背中に突き刺さった
崩れ落ちたノミは、ピクリとも動かなかった
最後の一匹も、倒した
イシカワの勝利であった
ドヤ顔ダブルトマホーク、相手は死んだ
いやー新ゲッターと言えば生身戦闘ですよね！記憶が正しければ原作ではゲッターでの戦闘より多かったと思います
流石にこの作品でそこまでやることは無いですが、やっぱり生身戦闘もバイオレンス漂うので好きです