DOUBLE:violence 《二人の特典付き転生者が異世界でアテもなく暴れ続けるお話》   作:アルファるふぁ/保利滝良

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sceneSKL 血塗れの森

 

畜生

まだ歩き出して数十分もしてないぞ

「ミユキさん、サンドイッチを作ってみたんですが」

「おお、リキ、一切れくれないか?」

「ええ、どうぞ」

弁当広げてんじゃねえよテメエら!

「無理して一人用の席に三人詰め込んでるのに、飯を食うスペースを取ってんじゃねえ!」

操縦の邪魔だ!

大体まだ昼時じゃねえだろが!

「じゃあどこで食べれば良いんだ?」

「あ?んー、そりゃ・・・」

食う場所・・・どこでって言われても・・・

「だーっ!いいから食うな!しまえ!」

「仕方ないですね、また後でにしましょう」

「ナガイはケチだな」

んだとォ!?

勝手について来たくせに態度がでかいぞ、コイツら・・・!

「ところでナガイさん、空からこっちに向かってくるあの影はなんでしょう」

ああん?影だあ?

「どこだ?」

「正面です」

・・・クソ、マジかよ、

「オイお前ら、一旦降りろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マジンカイザーSKLがしゃがんだ状態から立ち上がった

その足元には、二人の人影

「そこで弁当でも食って待ってな!」

リキとミユキを下に降ろしたナガイは、接近してきた生物を睨み付けた

「おっ始めるとするかァッ!」

光沢を放つ外骨格、茶色い体色、ハサミのような一対の顎

クワガタムシが現れた

その最大の武器である顎は目一杯まで広げられていた

挟み込まれて引き裂かれるわけにはいかない

ナガイは先手を取ることにした

「樹の液は好きなんだろうが・・・」

マジンカイザーが胸に両手を添える

撫でるように赤い飾りに手を伸ばす

そして胸部の飾りを外した

「銃の弾は好きにはなれないだろう?」

言うが早いか、ブレストリガーを撃ちまくる

寸分違わぬ軌道で飛んでいった弾は、しかし弾かれてしまう

甲虫の体はとてつもなく堅かった

ブレストリガーでは傷をつけるのがやっとだ

SKLは突然バク転する

空気と音を切り裂いて、クワガタの顎が地面に刺さった

バク転の途中、また2丁拳銃を放つ

空中から狙いもつけずに撃たれた弾は、吸い込まれるように巨大クワガタムシの目へ飛び込んだ

生物として基本的な弱点である、目

さすがにそこまでは外骨格で覆われてはいなかった

着地したナガイは、そのまま再びジャンプする

今度は前へ

視界を文字どおり潰されて悶えるクワガタの背中に降り立つ、マジンカイザーSKL

「チェックメイトだ」

頭部の関節に銃の先端の刃を突き刺す

それも片側だけではない

両サイドから挟み込むように突き刺す

そしててのまま、カイザーは引き金を引いた

柔らかい関節部分を貫通して、弾丸はその命を刈り取った

巨獣は弱々しく痙攣し、そしてやがて動かなくなった

 

 

 

 

 

 

「ナガイ、美味しいぞこのチキンサンド!一緒に食べよう!」

畜生、なにも本当に待ってる間食ってるなよ

根性ありすぎるんじゃねえか?

「おいリキ!一つ寄越せ」

「はい、どうぞ」

・・・うまそうな匂いじゃねえか

連れなんていらねえ、が、こういうのも良いかもな

「美味いじゃねえか」

 

 


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