DOUBLE:violence 《二人の特典付き転生者が異世界でアテもなく暴れ続けるお話》   作:アルファるふぁ/保利滝良

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sceneGET 海を渡るサーガ

 

よし・・・そろそろ行くか

「うぉっしゃあッ!チェンジ、ゲッタースリイッ!」

 

 

 

 

 

 

 

白いジャガー号が地面スレスレで変形、キャタピラになる

そのキャタピラの中央部にイーグル号が突き刺さるように接続

最後に、ベアー号がイーグル号の上に乗る

腕と肩と頭がベアー号から生え、イーグル号が胴体となる

ゲッター3の、完成だ

キャタピラが回転し、海辺からゆっくりとゲッターロボが浸水していく

やがて頭のてっぺんまで水に浸かって、見えなくなってしまった

 

 

ゲッターは海底を進んでいく

首を回し、左右に巨獣がいないか確認しながら、ゆっくりと海を進む

くるくるくるくるキャタピラが回る

くるくるくるくるキャタピラが回る

「いねぇなぁ・・・うおおッ!?」

村から大分離れたとき、衝撃がゲッターを襲った

蛸だ

軟体動物の代表格、しかしそのサイズは最大種のミズダコとは比べ物にならないほど大きい

その触手も、吸盤も、ゲッターを攻撃するに足りる大きさだった

「チィ!ざっけんじゃねぇッ!」

大蛸巨獣の足を掴み、無理矢理ひっぺがす

吸盤がなおも食い付いてくるが、力を込めて引き剥がす

墨を吐いた

「うおっ・・・このやろ!」

その体全体で思い切り逃げ出そうとする巨獣

視界が悪いのも気にせず、ゲッター3は蛸に向かって腕を突き出した

ネットだ

漁をするときの投網を大きくしたようなネットがゲッター3の両腕から放たれた

それは瞬く間に広がり、黒い墨の向こう側の巨獣を捕らえた

「覚悟、しやがれッ!!」

全力で腕を引く

蛸はとてつもない勢いでゲッターに近付いてくる

「ゲッターミサイル・・・ファイヤ!!」

ゲッター3の両肩の穴から、ロケットのようなものが頭を出した

それは回転しながら、まっすぐと巨獣へと向かった

そして大蛸はネットに捕らえられていた

逃げれるわけが、避けられる訳がなかった

水中に、大爆発が起きた

やがてそれは大量の穴となり、海上へと登っていくだろう

蛸の破片が、波の動きに合わせて揺られている

「よーしよし・・・戻るか」

一仕事を終え、イシカワが振り向いた

その目の前に、海老の尻尾があった

「何ィッ!?」

海老の移動能力は、尻尾に全て集約されていると言っても過言ではない

なら、巨獣の海老の尻尾には、どれ程のパワーが秘められているのだろうか

「ぐおあッ!」

胸を強かに打ち、ゲッターロボが転がっていく

海底の砂が盛大に巻き上げられ、その体を包む

尻尾を動かしてスピーディーに泳ぎながら、巨獣はその場から離れる

次の一撃を放つために、恐らく一度距離を取っているのだろう

しかし、相手を捉えられないのではそもそも戦えない

オープンゲットして形態をチェンジしようにも、海では3以外は戦えない

どうすればいいのか

イシカワは海老の巨獣を睨み付けていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ、クソッ」

ゲッターはこんくらいのダメージで戦えなくなるほどヤワじゃあねえ、浸水の危険性はないだろ

しかしあの巨獣・・・エビフライにしようにも素早くて捕まえらんねえ

他の形態じゃこの水場で戦えねえし・・・かといってゲッター3じゃ対応できねえ

・・・使ってみるか、『アレ』を

できんのか?一介のファンに過ぎない俺が?あの技を使いこなせるのか?

・・・やるっきゃねえ、やらなけりゃあの海老をブチ殺せねえ!

ゲッター3に乗れたんだ、ゲッター1もゲッター2も乗れたんだ

あの技を使えないわけはない

「よし・・・行いいいくうううぜええぇッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

巨獣が正面から飛び掛かる

海水をその巨体で引き裂きながら、一気に迫り来る

だが、ゲッターは逃げない

避ける素振りも見せない

巨獣の体当たりが放たれようとした、次の瞬間

「ウオオオオリャアアアアア!!!」

イシカワが、吠えた

ゲッター3の腕が伸び、巨獣を掴む

パワー任せに体当たりの勢いを殺し、回転

キャタピラが竜巻の如く回り出す

遠心力が巨獣の体の中身をグチャグチャに掻き回した

回り続けるゲッターロボの周囲に渦巻きが起きていた

そして、

「大、雪、山、おろしイイイィィィッ!」

真上に、巨獣へと放り投げた

投げられた海老は、海面を突破し、遥か空へと飛んでいった

そして、漁師たちの村の砂浜を越えて、その先の森に墜落した

落下の衝撃で甲羅は割れ、回転で中身はかき混ぜられていた

二、三回ほど痙攣し、巨獣は完全に息絶えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲッター3が上陸する

村人たちはそれを見て、感動と喜びに包まれた

ゲッター3は、お世辞にも他の形態ほど格好いいとは言えないだろう

しかし、村人達にとっては、他の何よりも素晴らしく映っただろう

ヒーロー、村の救世主、最強のマシーン

そう、ゲッターロボは讃えられるのだろう

シズメはコクピットから出てきたイシカワに手を振った

それを見て、イシカワもサムズアップで返した

美しいまでの笑顔で、シズメもサムズアップをした

夕陽に、ゲッターが照らされていた


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