正義の味方と幼き勇者 作:Y2
「やれやれ、こんなものか」
街を一回りして簡易な結界を貼る、と言ってもただ魔力を感知するだけの結界だ
凛程の才能があれば誰の魔力かわかる結界が貼れるのだが自分にそんな才能はない。
本来なら結界すら貼れない身だが生前にカレー好きの代行者から魔力感知の礼装を見せてもらったおかげでこのような芸当が出来る、その対価としてカレーを作ったのは余談である
「これからどうするかな…」
時刻は午後3時を回った頃、昼食は持ってきていた弁当を食べている。
地脈の流れや建物の位置なども把握済みなので暇を持て余しているのだ
(それにしても先ほどの家…なにかあるのか?)
思い返すのは街を回っている時に見かけたとある家
その家から微量の魔力が溢れていたのと監視カメラが設置されていたので気になったのだ
(まあ嫌な感じはしなかったから放っておくとして……ッ!)
そんな時膨大な魔力を感じた、場所から察するにビルが立ち並ぶ町中だ
「民間人に被害を出すわけにはいかない…!」
脚を強化、簡易的な認識障害の魔術を施し空を駆ける。
大気中に魔力が満ちているのでこの様な芸当も可能なのだ
「あそこだ……が……?」
士郎の視力を用いれば数キロの光景を見る事ができる、勿論その魔力源を見る事も可能だが…信じられない光景が広がっていた。
大樹がビルを侵食しておりそれを阻止するかのように1人の少女がその…俗に言う魔法少女のような恰好でビルの上に立っていたのだ
そんな生前でも守護者となってからでも体験しなかった光景を見て彼は懐かしい言葉を呟いた
「なんでさ……」
しばらく呆然としていたが頭を降り意識を切り替える。
幸いビルの近辺に人の姿はないため人的被害はないようだ。
「まずはあの少女に接触してみるとしよう」
万が一の可能性を考え夫婦剣を投影し、地を蹴った
「リリカルマジカル、ジュエルシードシリアル10……封印!」
レイジングハートから放たれた光がジュエルシードを捉え、回収される
「ありがとう、レイジングハート」
「Good bye」
自らの思いに応えてくれたレイジングハートに感謝し赤い宝石を握りしめる。
無事に封印する事はできた。しかし目の前にあるのは壊れた街並み
宝石を握る手に力が入る。もし自分があの時気づかないフリをしなければ、こんな事は起こらなかったのかもしれない。
それを情けなく思う。
そんな時、私とユーノ君の前に人影が舞い降りてきた
「初めまして、魔法少女さん?」
恐らく20代だろうか?お父さんと同じぐらいの背丈の男の人だった
白い髪に鋭いけれど優しい目をした人だ
「貴方は…?」
「なのは、気をつけて。あの人の剣からかなりの魔力を感じる」
肩に乗ったユーノ君が忠告してくれる。
その人は手に双剣を持っており魔法に関しては詳しくない私でもかなりの魔力を感じる事ができた
私とユーノ君が警戒する中、その人は口を開きこう言った
「ああ、気を使わせてしまったか、俺に戦いの意志はない。少々話をしたいのだが…いいかね?」
私がずっこけたのは悪くないと思うの。
〜ユーノ説明中〜
「なるほどな、魔導師にジュエルシードか……」
目の前の男性…衛宮士郎と名乗った人に自分となのはについての説明を終える
なのはのお父さんと同じ名前と知った時はなのはも僕も一緒になって驚いた
あの人が持っていた剣はどんな原理かわからないけどいつの間にか消えていた、説明したのはここで下手に刺激して争うより最初から全部話した方が穏便に済むだろうという判断だ
「それで、君は…?」
「俺の名前は衛宮士郎、君たちの魔法とは異なる魔術を使う者だ」
「魔術?地球には魔法文明がないはずだけど…」
「やはり認知されてない…か、こんな霊地を放って訳がないからな」
士郎と名乗った男性が何やら納得が言ったような口調で頷く
表情に出さないようにしているが内心は僕も驚いている、まさか魔法文明があったなんて…
「それに魔術というのは本来秘匿される物だ、と言ってもこの世界で魔術を使うのは俺ぐらいだろう」
まあそんなことはいいか、と置き本題に入った
「ジュエルシードの回収とやらに俺も手伝うとしよう」
「え︎あなたを巻き込む訳には…」
「君達はまだ子供だろう?大人の言うことには従うものだ、それにその手の物の回収には俺の方が慣れているだろうからな」
確かに手伝ってくれるのはありがたいけど無関係の人にやってもらうのは……
「なのは、どうする?」
「えっとじゃあ…よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく頼む。俺を呼ぶ時は士郎で構わない」
「よろしくお願いします、士郎さん!」