魔法科高校の劣等優等生   作:瑠禍

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第8話

講堂で公開討論会が始まり雪華は、

学内差別撤廃同盟派としていた。

同盟派の中で瞬く間に信頼を得てリーダー級になった、雪華は壇上に立ち口を開いた。

 

「今、1科生と2科生には大きな溝があります。それはブルーム、ウィードと言った差別用語から始まり、1科生が2科生を見下してる部分まで多岐に渡ります。

私たち、学内差別撤廃同盟派はその差別をなくしたいと思っています。

まず授業面での部分は、四葉家当主様にあるコネクションから1高教師増員を依頼したところ、認められ 2科にも教師がつくことになりました。これで勉学という部分では、平等になりました。

あとは、部活動の経費の差。これは魔法科高校であるためという理由で、魔法使用部活、九校戦メンバー排出部活は優遇されてきました。これをFLT様の融資による予算増加で平等にとは行きませんが、魔法非使用部活の予算大幅増加は約束されます。

あと1科生と2科生は本当に優等生と劣等生という言葉で分けてしまっていいのか、テストの点がいい人は本当にいい魔法師なのか、と言ったところです。

一昔前で言うと、頭街いければ仕事ができる。それは正しいかと言うとそうではありません。

コミュニケーション能力が最も重視される時代もありました。

そしてここに一つの動画があります。私2科生と今まで無敗だった、1科生先輩との模擬戦の様子です。結果は私の勝利。戦い方次第では、2科生は1科生に勝てるのです。差別問題で一番問題なのは、2科生だから努力をやめよう。もう落ちこぼれだなどと考えるあなたたちの腑抜けた考えが一番の原因なのです。

 

これで私の演説は終わりです。」

 

1科生からブーイングが飛んでくると思っていた、雪華は講堂響き渡る賛美の歓声に驚いた。

袖に移動していた雪華に摩利は声をかけた。

 

「雪華、君には本当に驚かされる。これからも風紀委員として一緒にやって行こう」

雪華にとっては嬉しい言葉だった。

次に真由美の演説が始まった。

 

「先ほど司波雪華さんに言われてしまったことではありますが、私は今までどうしてそうだったかを説明したいと思います。……私は当校の生徒会長として、現状に決して、満足していません。時に校内で対立を煽りさえするこの意識の壁を、何とか解消したいと考えてきました。

ですがそれは、新たな差別を作り出すことによる解決であってはならないのです。 仮に二科生が差別されているからといって、一科生を逆差別しても解決には成りません。

一時的な措置としても、許容されることではありません。 一科生も二科生も一人一人、当校の生徒であり

 当校の生徒である期間はその生徒にとって唯一無二の三年間なのですから。

制度上の差別を無くすこと、逆差別をしないこと 私たちに許されるのは、この二つだけだと思っています。 ……ちょうど良い機会ですから、皆さんに私の希望を聞いてもらいたいと思います。

 実を言えば、生徒会には一科生と二科生を差別する制度が、一つ残っています。 それは、生徒会長以外の役員の指名に関する制限です。

現在の制度では、生徒会長以外の役員は第一科所属生徒から指名しなければならないことになっています。

この規則は、生徒会長改選時に開催される生徒総会においてのみ、改定可能です。

私はこの規定を、退任時の総会で撤廃することで、生徒会長としての最後の仕事にするつもりです。 私の任期はまだ半分が過ぎたばかりですので、少々気の早い公約になってしまいますが 、人の心を力づくで変えることは出来ないし、してはならない以上 それ以外のことで、出来る限りの改善策に取り組んでいくつもりです」

 

真由美もまた、人々を惹きつける演説を成功させた。

 

その瞬間だった遠くから爆音が聞こえたそれと同時に講堂のガラスを突き破り、発煙筒のような物が飛んできた。

雪華は、持ち前の身体能力で蹴り飛ばし窓の外に発煙筒を、返却した。

今度は、ドンという音がし、講堂ドアが突き破られた。

雪華は、距離の関係上体術では、間に合わないと判断し魔弾の射手を放つ。

魔弾は侵入者たちのアキレス腱を断ち切り戦闘不能に、追い込んだ。

 

「委員長、外を見てきます。」

「気をつけろよ!」

 

雪華は摩利の声を背に最初に爆音の聞こえた、実技棟へと向かった。

入口付近では、レオやエリカが大立ち回りをしていた。

「どうなってるんだ?これ」

 

「学内にテロリストが侵入しました。私は実技棟に向かいます。」

 

「わかった……って物騒だな!?ここは任せとけ」

 

雪華は、頼りになる男性は好きですよと言い残し実技棟へと向かった。

雪華のこの言葉で赤面しエリカにいじられたのは、別の話である。

 

雪華は、単騎で制圧された部屋に乗り込んだ

 

「なんだ、司波さんか驚かさないで」

 

そう安堵をし壬生が後ろを向いた隙に、壬生を取り囲んでいた、男たちを戦闘不能にした。男たちの倒れるドサッという音がなにが起きたか気づき、壬生は言った。

 

「どういうこと?」

 

「すいません壬生先輩。ここにいるのは、2科生の司波雪華ではなく、風紀委員の司波雪華です。あなたを拘束します。」

 

「差別を無くそうとしたのが、間違いだったというの!?

 平等を目指したのが、間違いだったというの!?

差別は、確かに、あるじゃない!

あたしの錯覚なんかじゃないわ。

あたしは確かに、蔑まれた。

嘲りの視線を浴びせられた。

馬鹿にする声を聞いたわ!

それを無くそうとしたのが、間違いだったというの!?

貴方だって、同じでしょう!? 」

 

「ええ、そうですね。けれど一つ違います。私は2科生ということを誇りに思っています。2科生でもエリート、私は1科生先輩、生徒会副会長に模擬戦で勝利したことがあります。

だから私は風紀委員をやっています。そして2科生が風紀委員になるのは、始めてのことらしいです。

今は一部かもしれませんが、少しずつ差別は減ってきてるんです。先輩顔を上げて、前に進みましょう、輝かしき未来が私たちを待っているはずです。」

 

壬生は、そんな雪華の言葉を全てを受け止めることはできないが、ここまで自分のために必死になってくれる後輩を思い、おとなしく拘束された。

「司波さんを信じてがんばってみようと思う」

 

「壬生先輩ありがとうございます。私は風紀委員として壬生先輩を摘発するつもりはありませんし、私は"ブランシュ"のことを知っています。あとは私に任せてください。」

 

「あなたは何者?」

 

「魔法師に秘密はつきものですから」

 

とにこやか雪華が言うと、壬生も呆れながら、雪華なら信じるのも悪くないかなと思うのであった。

 

…………

 

その後壬生から事情聴取をし終え、「ブランシュ」の所在も判明した。

 

「では、行きますか」

 

「雪華さん彼らと一戦交えるつもりなの?」

 

「いいえ、ブランシュを潰しに行きます。」

 

「危険だ!学生の分を超えている!」

 

「普通の学生ならそうでしょうね」

 

 

真っ先に反対したのは、摩利だった。普段風紀委員として武力での治安維持をしているため、危険などには敏感だからだ。

 

「壬生先輩を、強盗未遂で家裁送りにするんですか?そんな事は私はしたくありません。」

 

「なる程、警察の介入は好ましくない。 だからといって、このまま放置することも出来ない。 同じような事件を起こさない為にはな。 」

 

そう十文字は一区切りし危険だという

 

「相手はテロリストだ。下手をすれば命に関わるぞ 。当校の生徒に、命を懸けろとは言えん」

 

「私なら大丈夫です。」

 

「何故そこまで自信を持てる。一学生には困難なことだと思うんだが」

 

「最初から、委員会や部活連の力を借りるつもりは、ありません」

 

「……一人で行くつもりか」

 

「もちろんです。私の魔法で巻き込んでしまう危険性も減りますし、」

 

「一人だけとはいかない。だから俺がついていく。」

 

「わかりました。それで行きましょう。」

 

結局出発前に桐原も乗り込み3人での潜入となった。

 

 

ワゴン車で門を突き破る

その直前に雪華は、ワゴン車に魔法をかけた。

 

「パンツァー」

 

 

工場への潜入に成功し、十文字口を開く

 

「司波、お前が指示を出せ」

 

「十文字会頭と桐原先輩は裏で待っていてください。私は正面から突入して敵を殲滅します。」

 

雪華は、一人になり工場に潜入すると、体に硬化魔法を・・・

 

「(ファランクスの性能も見ておきたいわね)」

 

体を覆うようにファランクスを展開した。その後雪華は、制圧もとい蹂躙を始めた。相手の銃を使っていたが全ての銃弾をファランクスで受け止め、ファランクスをまとった拳で敵を殴り飛ばした。そして中ほどまで侵攻すると雪華に声をかける者がいた。

 

「ようこそはじめまして、司波雪華くん。なかなかいい容姿をしているようだね。」

 

「あなたがブランシュのリーダーですか?」

 

「おお、これは失敬。 仰せの通り、僕がブランシュのリーダー、司一だ」

 

「そうですか」

 

雪華は、一息つき言った

 

「一応、投降の勧告をしておきます。

 全員、武器を捨てて両手を頭の後ろに組みなさい。」

 

「あははは、君のその自信の源は何だい? 魔法が絶対的な力だと思っているなら、大きな勘違いだよ」

 

司が右手を上げた。

その瞬間いたるところから総勢二十人を超えるブランシュのメンバーが、一斉に銃器を構えた。

 

「司波雪華くん、我々の仲間になり給え。 」

 

「私のなにが狙いなんですか?」

 

「なにもわからずノコノコやってくるとは所詮、子供だ」

 

「だったらどうするんですか?」

「こうするのさ……司波雪華。私に従え!」

 

その仕草は、手品師のようだった。

カッコつけながら伊達メガネを投げ捨て、前髪をかき上げて正面から目を合わせる。

その両眼が、妖しい光を放った。

雪華のちからが抜け、手もダラリとなる。

 

「他に仲間がいるんだろう?仲間を殺れ」

 

「はいわかりました……とでも言うと思ったんですか?意識干渉型系統外魔法、邪眼(イビル・アイ)。

 って言うんでしたっけ?始めて見ましたけどそれ、"使い方間違ってますよ"それは、こう使うんです。」

 

そういい雪華は、邪眼を放つ

 

その瞬間司から力が抜けた。

 

「司一、私に従いなさい」

 

「はいわかりました」

 

「じゃあ、まず武器を捨てて投降しろと指示しないさい」

 

「お前ら、武器を捨てて、投降しろ」

 

「はい、よくできました」

 

雪華は、武器を捨て投降した。ブランシュメンバーを邪眼で意識を奪い、従わせ工場をでた。

 

「俺たちが後ろに回ってる時間に全て終わったのか?」

 

「えぇ、全て終わりました。後ろのいるのがブランシュメンバーです。私の指示に従います。」

 

「なにをしたんだ?」

 

「意識操作です」

 

「そうか……」

 

「それでどいつが壬生を誑かしたんだ?」

 

雪華は、司を指差した。

 

その瞬間桐原が雄叫びをあげた

 

「お前が壬生を!!!!!!」

 

桐原の怒りの一撃が司の腕を切り裂いた。

 

それが終わると遅れてやってきた十文字が言った。

 

「お前等、やりすぎだ」

 

にこやかに誰もが振り返る笑みを浮かべ、雪華はいう

 

「すいません、では戻りましょうか」

 

 

 


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