魔法科高校の劣等優等生   作:瑠禍

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第7話

 

 

一週間が過ぎた。

 

新入部員勧誘週間は、雪華にとって嵐の日々だった。

生徒会にオフはあっても非番はない。なので深雪は今日も生徒会室で仕事だ。

深雪と生徒会室に向かう途中、見覚えのある女子上級生の生徒に声をかけられた。

 

「司波さん」

 

雪華と深雪はその声に反応し振り返った。

 

「こんにちは。一応はじめまして、って言った方がいいのかな?」

 

「そうですねはじめまして、壬生先輩ですよね?」

 

「二人と同じのE組、2年の壬生紗耶香です。 この前はありがとう。助けてもらったのに、お礼も言わないでごめんなさい。あの時のお礼も含めて、お話したいことがあるんだけど…… 今から少し、付き合って貰えないかな?」

 

E組をわざわざ主張するようないいぶりは、私も2科生ですよ。ということのアピールなのかなと思いつつも、雪華は答える。

 

「いいですよ。場所はどこにしますか?」

 

「それじゃあ、カフェに行こうか」

 

「そういうことだから深雪、また後でね」

 

 

 

カフェの席に座ってもなかなか壬生が、話を切り出さないため雪華が声をかける。

 

「要件はなんでしょうか?」

 

「えっと、改めて、先週はありがとうございました。司波さんのおかげで大事に至らずに済みました。剣道部を代表して、お礼を申し上げます」

 

「いえ、風紀委員の仕事ですのでお礼を言われるようなことは、していませんよ」

 

其の後も社交辞令と言ってもいい会話をしつつ壬生は、もう一つの本題を切り出した。

 

「それで、話したいことなんだけど。単刀直入に言って、剣道部に入りませんか?」

 

「(剣術部でなら魔法に関係しない技術を見せられるから、ちょうどいいわね)」

 

「風紀委員で忙しいのでまずは、体験という形でいいなら。」

 

「ありがとう!」

 

「あと、もう一つ協力してもらいたいことがあるの。」

 

「もう一つですか?」

 

「えぇ。私たちは非魔法競技系クラブで連帯する予定です。授業で二科生が差別されるのは、教師の数的にも仕方がないけど、学校生活そのものまで差別される必要なんてないはず。魔法が上手く使えないからって、その人本来の能力まで否定されるのはおかしいわ」

 

「それは、最もだと思います。1科生に対抗するんですね?」

 

「もっと大きなことになる。出来れば学校に意見を伝えるための手伝いをしてほしいの」

 

雪華は、内容がまともな物なら願っても無い話が舞い込んできたと思った。

 

「それで、壬生先輩は考えを学校に伝えて、それからどうするんですか?。」

 

雪華の問いに対して、壬生は語り始めた。

 

「成績の優劣を表す象徴の紋無しを無くし、クラス分けも混合させるように要求するつもり。今の制度は要求された才能がない生徒をつるし上げる以上の何者でもないわ。一科と二科の亀裂の根幹を、私たちは埋めたい。そのためには、いかなる行動を以ってしても目的を完遂させる。学校が受け入れないなら、何度でも私たちは立ち上がる」

 

「(言っていることは、かなりちぐはぐで無茶もいいところだけど、とりあえず参加するのもいいかもしれないわね)」

 

「わかりました。参加します。私は風紀委員ですので情報を回すのも可能です。」

 

そういい雪華は、その場を立ち去った。

 

 

生徒会室でお昼をとっている最中だった。

 

「雪華」

「何でしょうか、委員長」

「昨日、二年の壬生と裏話をしていたのは本当かい?」

 

「ええ、本当です。2科非魔法部活道の反対運動に参加しました。近日中に放送室に籠城をします。」

雪華は、先ほど秘密のメールできた情報を開示した。

 

「私がスパイのことを気づかれないように、このことは知らないふりをして行動をしてください。あと放送室を解錠する際、フォノンメーザーを放つつもりなので、十文字会頭を呼んでファランクスを使う手筈でよろしくお願いします。」

 

雪華は早口で言い終えると皆の制止聞かずに生徒会室を出て行くのであった。

 

 

『全校生徒の皆さん!』

 

「何だ何だ一体こりゃあ!」

 

「チョッと落ち着きなさいただでさえアンタは暑苦しいんだから」

「……落ち着いた方が良いのは、エリカちゃんも同じだと思う」

 

授業が終わった直後、放課後の冒頭。

スピーカーから音が鳴り響いた。

 

『私たちは学内差別撤廃目指す同盟です。 私たちは生徒会と部活連に対し、対等な立場における交渉を要求します』

 

外に風紀委員が集まりもうダメかもしれないわね。と壬生が言うと雪華の端末に呼び出し音が鳴った。

 

「雪華、委員としてちゃんと働いてくれて信じていたんだぞ………そんなに1科生に不満を持っていたのか…?」

 

見事な演技だと、雪華は思いながら言い放った。

「当たり前ではありませんか。2科生だからという理由で迫害される学校生活には、もう耐えられません。」

 

そう言いながらもう一つの端末で古典的ではあるが、モールス信号を送る。

 

「(内部の人数10名)」

 

雪華の端末から深雪の声がする

 

「討論会の準備、中のものに危害を加えない。二つのことを"私"が約束しますからでてきてくれませんか?」

 

壬生は其の声を聞き歓喜の声を上げる。

 

「今なら出ても大丈夫なんじゃない?」

 

「壬生先輩騙されては、ダメです。今の声は深雪の声です。深雪は私が約束すると言ってましたが、深雪にそんな権力は、ありません。つまりは罠です。私たちが騙そうとした報いを受けてもらいましょう。ドアを開けてください。私が重い一撃を相手に食らわせますから。」

 

その言葉を聞いて、壬生はそんなことはしなくていいんじゃないと言う。

 

「そんなに甘いから2科生と舐められてしまうのです。」

 

雪華が言い放つと周りの生徒たちが同調する。

それと同時にモールス信号を雪華は送った。

 

「(あと10秒で解錠、魔法を放つます。ファランクスの準備を)」

 

「9、8、7、6、5、4、3、2、1」

「(9、8、7、6、5、4、3、2、1)」

 

解錠

 

雪華は、フォノンメーザーを打つ

その攻撃は、ファランクスによって阻まれ、雪華は捉えられた。

 

この自体は雪華には二つの思惑があった。

討論会の設立、そして……

 

 

"ファランクス"を奪うこと

 


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