魔法科高校の劣等優等生   作:瑠禍

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第11話

時は遡り、新人戦初日

大会四日目。

本戦はミラージバット、モノリスコードを残し行ったん終了する。そして今日から五日間、一年生のみで勝敗を争う新人戦が行われる。

 

「何か問題があれば言ってくださいね」

 

「ん……万全、自分のより快適」

 

「雪華さん、やっぱり雇われない?」

 

雪華は、そこで思う。雫のアプローチはこれで10回目であり、冗談で行っているのではないかと

 

「……この試合直前に冗談を言う余裕があれば大丈夫ね」

 

「冗談じゃ無いよ、専属じゃなくていいから」

 

雪華も冗談で返す

 

「年間5000万ならやってもいいわよ」

 

「(どう返してくるかしらね)」

 

「いいよ、年間5000万払う。」

 

「え……冗談よ?雫」

 

雫はなんでそんなものを持っているのか、なんで録音ボタンを押しているのかは、わからないがボイスレコーダーを見せつけた。

 

「これ、証拠」

 

「雫にはかなわないわね。専属にはなれないけど、これからも見るようにするわ。勿論、無料でね」

 

「それは、ダメ。給料は払わないと。」

 

「わかったわ。5000万はいらないけれど気持ちだけもらうことしますね」

 

雪華は、ちらりと時計をみて言う

 

「いよいよね、雫」

 

「うん」

 

「頑張って、応援しているわ。」

 

「うん、頑張る」

 

 

場所は変わって観客席

 

「考えて見れば、雪華のエンジニアの腕を実践で見るのは、初めてだな。」と摩利

 

「そうね、私の時はお手伝い程度だったし、雪華さんが一から調整したCADが、どんな性能を見せるのか楽しみだわ。」と真由美

 

……………

 

ピッピッピッピー

カウントダウンが終わりブザーが鳴ると、クレーが空中に飛び出した。

得点有効エリアに飛び込んだ瞬間クレー達は、粉々に粉砕された。

 

「うわっ、豪快」

「……もしかして有効エリア全域を魔法の作用領域に設定しているんですか?」

 

「そうですよ。 雫は領域内に存在する固形物に振動波を与える魔法で、標的を砕いているんです。」

 

ほのかの説明を聞いてへぇと頷く一年達であった。

 

………………

 

 

「魔法の固有名称は『[[rb:能動空中機雷> アクティブ・エアーマイン]]』

雪華さんのオリジナルだそうですよ。 まあ、色々な要素が詰まっている分だけ大きな起動式になりますから、北山さんの処理能力があってこその魔法ですが」

 

鈴音が魔法の仕組みを説明し、し終えると、摩利たちが感想を述べる

 

「……真由美の魔法とは、発想がちょうど逆だな」

 

「……よくもまぁ、毎度、こんな術式を考え付くわね」

 

「……そういえば、つい先日トーラス・シルバーが飛行術式を公開しなかったか?」

 

「……そうだったわね。雪華さんにいちいち驚いてたら、命がすり減って行く気がするわ。」

 

「あぁ………そうだな」

 

「お二人とも雪華さんを、人外にしてはかわいそうですよ。」

 

そんな話をしているうちに雫は、パーフェクト勝利をした。

 

「お疲れさま」

 

帰ってきた雫に 雪華はタオルを渡しながら労いの言葉を掛けた。

 

「何だか拍子抜け」

 

「死角を突かれることは無いと思っていたけれど、予想通りそんな意地の悪い軌道設定はされていなかったわね」

 

「雪華、心配し過ぎ。 まだ予選なんだから」

 

「まずは予定通り。 だが準々決勝からは対戦形式。CADの調整は朝のうちに済ませてあるから、感触を確かめておいてね」

 

「分かった」

 

……………

 

女子スピード・シューティングは無事三人が予選通過となった

 

「分かっていると思うけど、予選で使った物とは全くの別物よ。

時間は無いけれど、少しでも違和感があったら可能な限り調整するから遠慮なく言ってね」

「そんなの無いよ。寧ろしっくり過ぎて怖いくらい」

 

「そう」

「二人とも、勝ったんだよね」

「ええ」

 

雫と同じく決勝トーナメントに進んだ二人は、二人とも準々決勝を勝利し、準決勝に勝ち上がりを決めている。

 

「大丈夫よ。いつも通りにやれば、雫も勝てるわ」

 

「もちろん」

 

珍しく力強く返事をした雫は言う。

 

「優勝する為のお膳立ては、全て雪華が整えてくれたんだから、あとは優勝するだけだよ。絶対負けない」

 

「その意気よ」

 

その後、雫は気迫の勝利宣言通りに優勝をした。

 

……………

 

「すごいじゃない、雪華さんこれは快挙よ!」

 

「……会長、落ち着いて下さい」

 

隣にいた鈴音が、すぐに真由美を諌める。

 

「北山さんも明智さんも滝川さんもすごいわ。みんな、よくやってくれました」

 

「「「ありがとうございます、会長」」」

 

「しかし同時に、君の功績も確かなものだ。間違いなく快挙だよ」

 

「特に、北山さんの魔法については、大学の方から『インデックス』に正式採用するかもしれないとの打診が来ています」

 

「雪華さん、トーラス・シルバーの名前で答えるの?」

 

近くにいた3人にしか聞こえない声で言う。

 

「おい、真由美」

「あの、会長」

 

雪華は満面の黒い笑みで答える

 

「面白い冗談ですね、会長。」

 

そう小さな声で言った後今度は普通の声量で答える。

 

「それで魔法のことですけど、開発者名の問合せは、2科生の女子生徒の司波雪華と答えておいてください。」

 

「えーと。司波さんの名前で言えば良いの?」

 

「2科のを強調してお願いします。」

 

雪華は雫に体を向けて言う。

 

「雫も、インタビューされたら2科のっていってくれるかしら?」

 

「いいけど、どうして?」

 

「2科生に魔法技術が全てじゃないって伝えたいからよ。」

 

「わかった。任せて」

 

……………3高会議室

 

「じゃあ将輝、一高のアレは、彼女たちの個人技能によるものではないってことか?」

 

「確かに、優勝した北山って子の魔法力は卓越していた。だが他の二人は、それほど飛び抜けて優れているという感じは受けなかった。 」

 

「それにバトルボードは、今のところうちが優位なんだし、一高のレベルが今の一年だけ特別高いとも、思えないよ。」

 

「ジョージの言う通りだ。選手のレベルでは負けていない。とすれば、選手のレベル以外の要因がある」

 

「エンジニア、だね。 多分女子のスピード・シューティングについた、エンジニアが相当優秀だったんじゃないかな。」

 

「ジョージ、あの優勝選手のデバイス……気がついたか?」

 

「うん・・・あれは、汎用型だったね。」

 

「でも標準がついていましたよ」

 

そうだそうだと賛同の声が上がる。

 

「確かに市販は、してないだろう。だが、前例はある。」

 

「 去年の夏にデュッセンドルフで発表された新技術だ」

 

「去年の夏!?。そんな技術がもう実用ベースに?」

 

「ああ、俺も今回のことで調べ直してみるまで知らなかった」

 

「でも、デュッセンドルフで公表された試作品は、とても実用に耐えるレベルじゃなかったはずなんだ。 動作は鈍いし、精度は低いし、本当にただつなげただけの技術的な意味しかない実験品だったんだ」

 

「しかし今回、一高の北山選手が使ったデバイスは、特化型にも劣らぬ速度と精度と、系統の異なる起動式を処理するという、汎用型の長所を兼ね備えたものだった。 それが全て、エンジニアの腕で実現しているのだとしたら…………

到底高校生のレベルじゃない。一種のバケモノだ」

 

そして一条は言い放つ。

 

「デバイス面で二、三世代分のハンデを背負ってると思ったほうが良い」

 

会議室に沈黙が流れた。

 

……………

 

新人戦バトル・ボード

ほのかの試合が始まろうとしていた。

 

「……そういえば光井さんは何故、光学系の起動式をあんなに沢山準備してるんでしょう?」

 

「バトル・ボードのルールでは、他の選手に魔法で干渉することは禁じられています。但し、水面に干渉した結果、他の選手の妨害となることは禁止されていません」

 

「……どういうことでしょう?」

 

「まぁ、見てのお楽しみです。」

 

そういいつつ、雪華はサングラスを梓に渡した。

ブザーともに試合開始、その瞬間眩い光がレース会場を包み込んだ。

 

ほのかは、皆がスタートできないなか単独でスタートをきる。

 

「これが、作戦です。本当は、一人スタートをまってそのあと[[rb:深淵> アビス]]で全員プールに落として、勝利が良かったんですが、魔法が発動しない気がして…」

 

梓は、当たり前だろうと思う。戦略級魔法なのだからと、そして戦略級魔法を九校戦、いわゆる戦争でもなんでもない大規模デモ運動会に使うなんて発想が生まれるなんてっと

 

ほのかは、光学魔法を利用した作戦を巧みに使いこなしバトルボードを優勝した

 

新人戦アイス・ピラーズ・ブレイク[[rb: 氷炎地獄> インフェルノ]] を使用し1回戦を勝利した。

その後一高メンバーとして参加した、深雪と雫が決勝まで勝ち上がった。

 

 

決勝前

 

「お姉様、お願いがあります。」

 

「なにかしら?深雪のお願いなら新魔法開発でも殺人でもするわよ?」

 

「そんな物騒なお願いではありません。お願いは、エンジニアは雫の方について欲しいんです。」

 

「なんでかしら?」

 

「お姉様と本気で戦いたいで戦いたいんです。お姉様と直接とは行きませんが、お姉様がエンジニアをした雫に勝つことで、お姉様と擬似的な勝負をしたいんです。あと、手を抜いたら絶交です」

 

「わかったわ。それが深雪の願いだと言うなら聞くわ。だけど深雪勝てると思わないでね、全力で潰してあげる」

 

決勝 深雪vs雫 ブザーが鳴り響いた。

開始直後、深雪の氷柱が振動を始める。深雪は共振破壊によるものだと考え、情報強化を氷柱にかける。

しかし、振動は止まらない。

 

「(深雪この魔法[[rb:強制振動 > フォースィブリバイブレーションディストラクション]]は、雪華のオリジナル振動魔法。情報強化じゃ伏せげないよ。」

 

「(情報強化が通用しないんであれば、力押しするまでです。)」

 

お互いの思いがぶつかり合う

深雪は、ニブルヘイムを使用し一気に氷を冷却し温めることで、氷柱を壊す選択しを取る。

 

「(負けない!)」

「(負けません!)」

 

氷柱は同時に木っ端微塵となった。

 

二人は、ディスプレイ表示を見る。

画面には何もでていない。

数秒後、映像確認中とでる。

 

その後再生映像がでる。しかしそれでも同時に見える。

今度は、スロー映像またも同時に見える。

今度は、コマ送り……………

 

 

ディスプレイに表示された文字は…………

 

WINNER 北山雫 の文字だった。

 

 

 

 

 

 


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