仮面ライダー鎧武 外伝 「変身!光実、新たなるステージへ!」 作:ホールデン
エピローグ
朝、病院、ベット
呉島光実は目覚めた。
すると貴虎は光実の手を取り強く握りしめた。
貴虎「すまなかった、光実...お前の気持ちを分かってやれなくて。これから私は"変身"する。だからお前も...」
寡黙だった貴虎の目からは大粒の涙溢れた。
その姿は弟の光実すら見たことはなかった。
数日後
朝、広場、ダンスステージ
ヘルヘイム災害から3ヶ月が経ち街は大分復興され、間も無くしてビートライダーズ達もストリートダンスを復活しだした。
前とは違いLSやインベスゲームは使われなくなり、更に別々だったグループが今では一つのグループに統合され前より活気ついていた。
しかし前にトップに立って踊っていた何名かは姿を見せることはなかった。
今日もステージを成功させ喜んでいた。
チャッキー「あ、ミッチ!」
そう言うとみんなが一斉に橋の上を見た。
その先にはやつれて変わり果てた光実がふらふらと歩いていた。
チャッキー「どう?まだ一緒に踊る気はなれないかな?」
光実は一瞬止まったがすぐに通り過ぎていく。
チャッキー「ミッチまだ昔の自分のこと許せないのかな?」
ペコ「構ってやることねぇよ。ほっとこうぜ。」
ザック「ペコ...」
ペコ「簡単に割り切れないだろ。」
ザック「まぁな。でもそれはあいつも一緒さ、今はそっとしといてやろうぜ。」
同刻、シャルモン
屋外の席で呉島貴虎と葛葉晶はコーヒーを飲みながら話していた。
貴虎「ヘルヘイムの脅威が去ったとはいえ世界はまだ混乱しています。復興に力を尽くすことが今の私に課せられた責務だと思っています。それで罪滅ぼしになるとは思えませんが...」
晶「いいえ、立派だと思います。」
晶は熱心に聞いていた。
貴虎「明後日にアメリカへ発つ予定です。でも光実は退院後に姿を消したまま未だ行方不明です...私は光実のことを何一つ理解してやれなかった。兄失格です。」
晶「私だって鉱汰のことを全部分かってた訳じゃない。そうゆうものですよ兄弟って。」
貴虎「彼には大きな借りが出来てしまいました。」
貴虎は深々と頭を下げた。
晶「鉱汰は自分の進むべき道を見つけたんだと思います。だからこれで良かったんです。」
凰蓮「あら〜?メロンの君妬けちゃうわね。今度の新作です。自信作ですの。」
そう言うとメロンとチョコのケーキを2人の前に置いた。
2人はそれぞれケーキを食べた。
晶「うーん!おいしい!」
貴虎「うむ...また腕を上げたな。」
凰蓮「ノンノン!」
城之内「メルシー!お気に入りいただけられて...何より。」
城之内はふてぶてしく椅子に深く腰掛けてそう言った。
城之内「イテッ!」
気に食わなかったのか凰蓮は城之内を軽く引っ叩いた。
そのあと、彼らは談笑を楽しんでいた。
しかし1匹の初級インベスがシャルモンを襲った。
晶「キャー!」
貴虎「何!?まさかインベス!」
インベスを追いかけ、貴虎、凰蓮、城之内は走り出した。
路地
凰蓮、城之内はインベスを押さえつけ隙を見て、貴虎は殴りかかる。
が、インベスは3人を振り払った。
3人はそれぞれに攻撃するがインベスは動じない。
「ウグゥゥ...」
新たなインベスも出現した。
そいつは機械的なボディと植物的な手足を有し、胸にはナンバープレートのような物も持っていた。
貴虎「新たなインベスだと...!」
城之内「ドライバーを持っていれば...」
ザック「みんな!」
3人を見つけると走ってきた。
ザック「何の真似だ!何が目的だ!」
ザックは持ち前の身体能力を生かし新たなインベスに攻撃を仕掛ける。
善戦するがすぐに投げ飛ばされてしまう。
奥で白いスーツの男が撤退の合図を出し、2匹のインベスは姿を消した。
貴虎「何てことだ...」
ドルーパーズ
ザック「まさか、インベスの生き残りか?」
城之内「今、ロックシードを持ってるのは光実だけ...あいつが?」
貴虎「いや違う、戦っているときに白いスーツの男がいた。彼らは財団Xと言いユグドラシルに資金提供していたのだが、ヘルヘイム災害の時に連絡が取れなくなっていた。彼らならロックシードを持っていても不思議はない、更に改造インベスを作っていてもな。」
凰蓮「にしてもマズイわね...インベスと戦うなら戦極ドライバーが必要よ。」
城之内「俺たちのベルトはもう...ないじゃないですか。」
阪東「ユグドラシルに黒いライダーが沢山いただろ。あいつらのベルトは使えないのか?」
貴虎「黒影トルーパーのドライバーならロックシードごと全て破壊した。」
城之内「何で!?」
貴虎「ユグドラシルのような存在に二度と悪用させない為だ。ヘルヘイムの脅威が去った以上もはや戦極ドライバーは必要ないはずだった。」
凰蓮「まさか、こんな自体になるなんてね...」
貴虎「凌馬の残した設計図を元にドライバーを作り直したところでロックシードの方はどうにもならない。」
ザック「だからってこのまま指をくわえて見てるのかよ!」
城之内は貴虎を疑うように睨んだ。
呉島家邸宅
黒いアタッシュケースを持った貴虎が家を出てきた。
城之内「ほーらビンゴ、それ黒影トルーパーのドライバーでしょ?やっぱ残ってんじゃん。」
貴虎「どうして分かった?」
城之内「策士ですから。」
城之内「まぁ用事深いあんたの事だ。必ず予備があると思ってたよ。それ...貸してよ。俺があいつと戦う。」
貴虎「もう君達を巻き込む訳にはいかない。これは私の罪滅ぼしでもあるんだ。」
城之内「そんなこと言ったってあんた前の傷まだ治ってないでしょ?」
貴虎は構わず足を進めたが、城之内はアタッシュケースを奪った。
城之内「あの...初瀬ちゃんって...」
貴虎「あぁ初瀬亮二はインベスとなってユグドラシルに処分された。」
城之内「初瀬ちゃんがああなったのは...きっと俺のせいだよ。」
城之内はアタッシュケースを開けベルトとロックシードを見つめた。
城之内「だからこれは俺の罪滅ぼしでもあるんだ。」
昼、地下道
ふらふらと光実は歩いてきた
光実「うっ...ううぅ...」
光実は地べたに自分の腰を下ろしやつれて細くなった自分の手を見た。
細くなった腕はもはや力が入らない。
光実「うぅ...あぁあ!」
ヨモツヘグリの後遺症で発作が起き、片目が赤く光った。
光実「はぁはぁ...」
貴虎から逃げるように昔来た土地を彷徨ってきたがもう行くあてもなく途方に暮れていた。
光実(亡霊)「あーあぁ、せっかく鉱汰さんやレデュエが殺してくれるチャンスを与えてくれたのに勿体無いなぁ。もう役目は終わったろ?生きてたって無駄じゃん。」
亡霊の言うことが正しいのと言い返す気力がないから光実は黙ったままだ。
光実(亡霊)「今更、君は何者にもなれやしない、早くこの世界から消えるんだね。」
光実「頼むからもう黙っててくれよ...」
ガードレールには座り込んだ光実のみが写っていた。
白いスーツの男「お前、呉島光実だな?」
光実は男を見た。
白いスーツの男「我々の実験の為にヘルヘイム災害の真実を知ってる者を消させてもらっている。やれ。」
初級インベスと改造インベスが光実を襲った。
光実は投げ飛ばされビル街に出た。
城之内「好き勝手やってんじゃねぇ!」
インベス達は振り返った。
城之内「変身!」マツボックリ!
城之内「(初瀬ちゃん...!)」
『ソイヤ!』
『マツボックリアームズ!一撃インザシャドウ!』
変身が完了すると影松を持って初級インベスに斬りかかる。
城之内「ハァ!セヤァ!」
インベスは吹っ飛び、転がる。
更に攻撃を仕掛けようとしたら側に光実がいた。
城之内「あっお前!今度会った時は許さないって...」
インベスは起き上がりこっちに迫る。
城之内「もう...いい!早く逃げろ!」
インベスを突き間を取る。
『マツボックリスカッシュ!』
体を高速回転し、そのまま体当たりしインベスは爆破した。
城之内「へっ!地獄のパティシエ修行を比べればこのくらい!うっ」
改造インベスに後ろから攻撃を受け城之内は吹っ飛んだ。
起き上がり影松で攻撃を仕掛けるが全く歯が立たない。
城之内「ウオォー!」
更に攻撃を仕掛けるが全く効かない。
改造インベスの攻撃はドライバーを破損させた。
城之内は変身が解け気を失った。
改造インベスは次のターゲットに光実を選んだ。
光実「くっ...!」ブドウ!
ブドウロックシードをドライバーにセットしカッティングレバーを下ろした。
『ハイィ〜!』
『ブドウアームズ!龍•砲•ハッハッハ!』
光実「ハァァァー!」
光実は力強く構えた。
ブドウ龍砲を撃つが改造インベスの鞭のような植物で跳ね返される。
距離を詰め肉弾戦に持ち込み鞭をギリギリでかわし拳をぶつける。
戦いは互角に思えたが鞭でブドウ龍砲を飛ばされた。
光実は動揺しその隙を突かれ鞭で滅多打ちにされ飛ばされる。
飛ばされた近くにブドウ龍砲があり改造インベスはゆっくりと距離を詰める。
光実は起き上がると走り、ブドウ龍砲を手に取った。
『ブドウスカッシュ!』
渾身の一撃で相手は爆破する。
光実「やったか...!」
しかし敵は植物のような両手で盾を作っていた。
光実「なんだと...」
改造インベスの鞭は一直線に光実に向かってきた。
かわそうとするがロックシードを破壊された。
光実はベルトを巻いたまま倒れ込んだ。
改造インベスは光実を蹴りつける
光実「(やっぱり僕は...何も成し遂げることが出来ないのか...)」
鉱汰の声「そんなことねぇよミッチ。お前すげぇ頑張ったじゃねぇか。」
空から光り輝くロックシードが落ちてきた。
光実は手に取るとロックシードから発せられた光が改造インベスを吹き飛ばした。
光実「鉱汰さん...」
それはオレンジロックシードだった。
目の前には始まりの男となった葛葉鉱汰が現れた。
鉱汰「やり残した事があってな。財団X...お前らを倒す事だ!」
奥で白いスーツの男は一瞬怯んだが監視を続けている
鉱汰「いけるか?ミッチ。二人であいつらをやっつけよう。」
光実「はい鉱汰さん!」オレンジ!
『ハイィ〜!』
『オレンジアームズ!花道•オンステージ!』
鉱汰「変身...」
鉱汰の体は鎧武•極アームズへと姿を変えた
鉱汰「ここからは俺の...いや、光実のステージだ!」
改造インベスは鞭を刀にして襲ってくる。
鉱汰は無双セイバー、光実は大燈丸を手にし走って敵を迎え撃つ。
二人は息の合ったコンビネーションで敵を追い詰める。
二人のほぼ同時の攻撃は相手に攻撃する間を与えない。
同時の蹴りで改造インベスは吹っ飛び逃げ出す。
二人は追いかけると改造インベスは手足の植物を弾丸として撃ってくる。
鉱汰は極ロックシードを捻った。
『ブドウ龍砲!』
光実はブドウ龍砲を手に取り反撃した。
鉱汰も無双セイバーのガンモードで加勢し撃ち合いとなった。
改造インベスが行き止まりに辿り着くと鉱汰は無双セイバーにオレンジロックシードをセットし光実はカッティングレバーを下ろした。
『オレンジチャージ!』
『オレンジスカッシュ!』
二人のオレンジ色の光線は改造インベスを貫き爆発した。
財団Xの男「おのれ、よくもロイミュードとヘルヘイムの果実の複合体を!」
鉱汰「ロイミュード?何を訳の分からないことを!」
財団Xの男はUSBメモリを取り出した。
『フルーツ!』
メモリを体に刺すと植物が体中を覆いリンゴのような果実が実る異形の姿へと変貌した。
鉱汰「なんだが知らねえがお前もフルーツジュースにしてやるぜ!」
フルーツドーパントは体に実った果実を手に取り投げると爆破した。
鉱汰「うわっ危ねえな!食べもん粗末にすんな!」
フルーツドーパントは更に果実を大量に手に取り投げ付けてくる。
しかし鉱汰は手を伸ばしただけで空中で破壊させる。
鉱汰「まさか、ヘルヘイムの脅威が去ってもこんな連中が残ってるとはな!行くぞミッチ!」
光実「はい!」
『極スカッシュ!』
『オレンジスパーキング!』
二人は飛び上がり、光実の前にはオレンジの断面と鉱汰の前には様々なフルーツの断面が広がった。
フルーツドーパントは巨大な果実のエネルギー体をぶつける。
鉱汰「セイハァー!」
光実「ヤァ!」
二人のライダーキックは果実のエネルギー体を押し返し巨大な爆発が起きる。
爆発の後には気を失った財団Xの男と壊れたUSBメモリが落ちていた。
光実「鉱汰さん...」
鉱汰「その様子だと立ち直ったみたいだな、言っただろ?人はやり直せるって。」
光実「はい」
鉱汰「でもすまんな、俺でもヨモツヘグリの後遺症を全て直すことは出来なかった...」
光実「いえ、いいんです。でも、鉱汰さんはそれでいいんですか?」
鉱汰「正直言って俺も分からない...これから何回も後悔するかもしれない...でもな、こうして変わったことが今の俺の誇りなんだ。」
光実「鉱汰さん...」
鉱汰「貴虎と仲良くな。あと姉ちゃんに俺は元気だって伝えといてくれ。」
光実は頷く。
鉱汰「俺たちいつまでも仲間だぜ、ミッチ。」
鉱汰の姿が消えた。
ザック「あれ城之内じゃないか!?」
貴虎「それにあれは財団Xの男だ。」
凰蓮「やだ!あれ鉱汰じゃない!」
凰蓮は龍玄•オレンジアームズを鉱汰と錯覚した。
光実は三人が来るのを感じとり素早く隠れた。
貴虎「(いや違う。あれは葛葉じゃない、光実だ...あいつ遂に"変身"してくれたんだな...)」
光実は変身を解除しオレンジロックシードを握りしめた。
光実「(これからは自分の為じゃなく、誰か為に戦います。)」
ローズアタッカーをロックモードからバイクモードに変形させた。
そして光実はバイクに跨り走り出した。
朝、晴れ、御神木前
舞「どう?戒斗。みんな過去を乗り越えて前に進もうとしている。人類にはまだまだ未来があるのよ。」
戒斗(霊体)「だが...いつかまた間違える。再び争い傷付け合う。」
舞「そうだね。そしてそのたびにやり直す。間違いを正しながら少しずつ歩いていく。」
戒斗(霊体)「やはりお前は強いな。」
戒斗は御神木に消えた
舞「さよなら戒斗。」
鉱汰「じゃあな駆紋戒斗。舞...俺たちも自分の未来に進もう。」
舞「うん。」
鉱汰はクラックを開き自分のステージへと戻った。
数ヶ月後
光実は沢芽市の近くを通った。
すると空に負傷した葛葉鉱汰とこの星の物でない建造物が落ちてきた。
光実「鉱汰さん!」
光実は仲間を助けるため沢芽市に向かった。
仮面ライダー鎧武 外伝 「変身!光実、新たなるステージへ!」エピローグ
完
仮面ライダー鎧武最終回を視聴後に俺だったらこうするのになぁとか思った部分を抜き出しリメイクしました。
本当は最初から弄りたい部分はあったけど(2クール目のゲネシスライダー編でユグドラシルによるアーマードライダー狩りとか)一番したかった最終回一話前の貴虎と光実の再開のシーンと最終回全般とジンバーメロンが弄れたので良かったです。
この小説は貴虎と光実の再開のシーンを立ち位置を逆にしたほうが説得力があるのでは?とかあの最終回はどうよ?とかの不満から逆算して執筆しました。だからといって鎧武が駄作ってことはなくやっぱり鎧武が好き、仮面ライダーが好きって気持ちから出来たものなのでそんなことはないです。
仮面ライダー鎧武本編を通して見ると最近の仮面ライダーであったマンネリ感が払拭されていて虚淵いい仕事するやん(誰目線だ)と思い楽しい一年間でした
最後はMOVIE大戦に繋がるようにして最大限原作を考慮しました。