金色の狐、緋色の尻尾   作:花海棠

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初、2話連続投稿です。
当話は、オリジナル展開の後編になります。『中忍試験・予選〈5〉前篇』『後編』を続けて読むことをお勧めします。
前篇やら後編やら、数字表記やら……一定しなくてすみません。

なんだか今回、会話文や擬音語ばかりになっちゃったなぁー…



15.『中忍試験編・予選〈5〉後編』

「―――……なぁ、ドス。命に意味があるとしたら、それはどんな瞬間(とき)だと思う?」

 

 

見えない視線が、なんの前触れもなく、唐突にそう問うてきた。

顔の面積のほとんどを覆い尽くす包帯の隙間からは、未だ、怒りの治まらぬ眼差しが一瞬だけその視線の源に向けられるも、すぐにそらされた。

 

「……今はキミと、哲学を語る気分じゃなくてね」

「つれないなー」

 

言葉とは裏腹に返す声色には落胆の色は無く、むしろ明るい。もとより、答えは求めていない問いだったのだろう。

 

――時は、中忍試験の第二の試験・死の森。その二日目。音隠れの忍四人は、主(あるじ)の命令で木ノ葉隠れの下忍・うちはサスケを急襲した。が、結果は失敗。仲間が負傷したあげく(うち一人は、冷酷にも仲間の攻撃によるものだが)、自分たちは、主に噛ませ犬として送り込まれた捨て駒なのだという事実を突きつけられたのだ。音忍の各々は、力を求め、強さを求め、己の存在意義を求めて、あるじ――大蛇丸の元へと集ったのだ。そのプライドを、よりにもよって彼らの主本人によって裏切られた。ドスの腸(はらわた)は、今まさに静かに煮えくり返っていた。

 

巨大な大樹の根元を寄る辺とした音忍たちは、その根元に意識のないキンとザクを横たえて、簡易ながら手当てをした。音忍が仲間内に情を持つはずもないことだが、それでも同じ任務を与えられた同士である。足でまといは厄介でしかない。

キンは軽傷、そしてザクは重傷であった。なにしろ、彼は両腕が折れている。戦闘への復帰は、恐らく無理だろう。

 

「……巻物、オレが取って来るよ。さっき働かなかったしね。ドスは、此処で二人を頼む」

「………ナギ」

「ん?」

「キミは……悔しくないのか?大蛇丸様が…大蛇丸が、憎くは思わないのか?」

 

ドスの地を這うような問いかけに、ナギはきょとんとしていた。(そう見えたのは、サングラスに隠れていない口元の形でだけだが)

そして、殺伐とした音隠れの里では非常に珍しい――穏やかな笑顔を、口元に描いたのだ。

 

「――なぜ?」

「は……?」

「噛ませ犬だろうと、捨て駒だろうと、大蛇丸様の役に立てるんだ。そんな栄誉ある任務を貰ったのに、恨むなんてお門違いじゃないのかい?」

 

ドスは、ナギのその言葉に一瞬絶句した。何の疑問も抱いていない、ナギの心からの言葉――音隠れの忍の中には、大蛇丸の洗脳のような調教を受けて、心から彼の人に心酔している者もいる。ナギはその類だったのか……今回、チームを組んだだけの間柄とはいえ、実際にそうした人間を目の当たりにすると、さすがのドスでさえ気味悪さを覚えた。同時に、怒りも。

 

「お前はっ……それでいいのか!ボクたちの命が、使い捨てにされたんだぞ!!」

「大蛇丸様にとって、オレたちの価値がその程度だったってことさ。でも……まぁ確かに、ちょっとシャクだよね。犬死に程度の価値なんてゴメンだよ。オレは……もっと大蛇丸様に意義ある死を捧げてから、忍らしく死にたいね……」

 

うっとりと、まるで歌うように己の死に様を渇望するナギの姿に、さすがのドスも些か頭が冷えてきた。そして、まるで奇妙なものを見るような目でナギを見つめる。

 

「……なぜ、そこまで死に固執する?」

 

お前はまだ生きているだろう、と……ドスは何故か言えなかった。ナギのサングラスの影や襟巻の合間から覗く肌の色は、まるで死人のように、生者の色が失せていたからかもしれない。

 

「″死に意味があるとしたら、それが利用できるときだけ″――オレは、利用価値のある死が欲しいだけだよ……」

 

ナギは、軽く太い枝の上に飛び上がった。その動きには無駄が一切無く、彼が、自分たちのチームの中でも有力な手練れであることを改めて気づかされた。

 

「さっき、フォローしてくれてありがとねドス。それから……キミは下手な欲を出さない方が、きっといい結果が出せると思うよ。それこそ、無駄な犬死にをしたくなければね………」

 

ナギはそう言って、死の森に消えていき………――夕暮れ時、キン達が目を覚ます頃には、巻物を二本持って怪我ひとつ負うことなく戻って来たのであった。

 

 

◆◆◆

 

 

「(――キミほどの実力者を、大蛇丸様はどうしてうちはサスケの噛ませ犬ごときに選んだのか……逆に興味が湧いていたが、なるほどね……)」

 

ドスは、目の前で繰り広げられる試合に――むしろ、もう″試合″と呼んでいいのかもわからぬその事象を、ただ無感動に眺めやっていた。これは後の尻拭いが面倒だと、無駄な疲労感さえ今から感じている。そして、

 

「――どういうつもりだ」

 

ドスを睨みつける、濃い隈に囲まれた鋭い眼光。とばっちりもいいところだと思いつつ……あのオカッパを躊躇なく握りつぶそうとしたこの男が、こと人間らしい感情を唯一見せる一因を改めて確信しつつ、ドスはあえて男の期待を裏切る言葉を口にした。

 

「……彼の個人的な暴走だよ。ボクの知ったことじゃない」

「………。」

「我愛羅っ、やめろ!」

 

殺気を増した砂に一瞬ひやりとしたが、彼の担当上忍が静止したことでその砂はしぶしぶながら引いていった……相変わらず、こちらに向けられる殺気だけは消えていなかったが。

 

――ゴォオオ……と、室内であるにも関わらず″そこ″には嵐があった。

四方を結界に遮られ、無数の空気のキューブがその中で渦をなす。刃を含んだ風は風の柱となって、そこに少女を閉じ込めていた。傷だらけの彼女に、とうに意識はなかった。

 

 

「――……ぁ…ミ、ナ………っ、カミ、ナぁーーー!!」

 

 

空気をかき集め、絞り出すような少年の叫びが、小さく小さくこだました。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

『ぐっ、うわッ!!………ハァ、ハァ…火遁・豪火球の術!!』

 

数と速さを増したナギの″視えない″攻撃に、それでも初めは何とかカミナも食い付いていた。

闘技場を転がるようにして攻撃を避けながら、かき集めた砂を手にそれを空中に撒き、圧縮された空気のキューブの軌道を視覚で捕らえ火遁で焼く。しかし、攻撃を躱しながら砂を拾い集めるのは中々困難を要し、さらに手間もかかって効率が悪かった。

 

『(それなら、砂を……)――ハッ!!』

 

カミナは一度大きく飛び退くと、巳の印を組んだ。そして、着地と同時に床にまき散らされた砂の上に両手を叩き付ける。

 

――ブワッ……ヒュン、ヒュン!!――

 

カミナのチャクラを介して、砂が舞い上がる。手で撒くよりも範囲が広く、しかし我愛羅の砂のように密度の無いそれは防御力については皆無だったが、それでも飛んでくるキューブの軌道を読むには十分だった。

 

『豪火球の術!!―――けほッ、ごほっ……』

 

火球は数個のキューブを飲み込んだが、カミナの火遁は使う度にその規模を小さくしており、戦いが長引くにつれて状況が不利になっているのは明らかだった。使い慣れない火遁は、カミナの頬をヒリヒリと焼いていた。

 

『カミナ、すごい……砂まで操ってる…』

『あ、あれってば…なんて忍術だってばよ?』

『術っていうほど、完成されているものじゃないよ、アレは。……即興の印で砂にチャクラを流し、動かしているんだ。ヒントは、さっきのサクラといのの試合かな?』

 

あれかぁ…と、サクラは思わず苦虫をかみつぶしたような苦顔を浮かべていた。あの試合では、サクラも窮地に立たされた。まさか、切った髪を媒介にて足元を固定されるなど、予想もできなかったのだから。

 

『(…ただ、髪とは違い、チャクラの流れにくい砂を一瞬とはいえ操るとは……それも、戦いの中で術を編み出すなんてね。まったく、カミナのチャクラコントロールの良さと忍術のセンスにはいつも驚かされ……――!!)』

 

そこで、はたと…カカシは気がついた。あの試合――サクラといのの試合の時、カミナは″ずっと″眠っていたのではなかったか?

カカシは眼下を改めて見下ろし、カミナの闘いぶりを観察する。

カミナの放つ火遁は、やはり生まれ持ったチャクラの性質が合わないのだろう、その大きさは人の頭程度の大きさにまで小さくなっていた。チャクラも通常よりかなり消費しているはずだ。さらに、的の小さいキューブにそれを当てるには、より正確に攻撃の軌道を見極めなければならない。カミナは巻き上げた砂を少しでも空中で維持するため、足にチャクラを流して砂をコントロールしている。そして、両手では何度目かになる火遁の印を組んでいた。

 

あの発想……やはり、サクラ達の試合を″見ていた″ものとしか思えない。カカシは、カミナを見定める視線が剣呑なものとなるのを自覚しつつ、忍の性(さが)故にそれを改めることができなかった。

 

 

――キューブを次々と破壊されながらも、ナギは全く動揺すらしていなかった。むしろ、その口元は歓喜で彩ったまま、この闘いを愉しんでいるようだった。

 

『……やはり、キミは素晴らしいよ、カミナ。<――このまま木ノ葉などで飼い殺しにされるには、勿体ない……>』

『(また、この暗号(声)――!!)』

 

カミナは、頭に直接響くようなメッセージに不快感をあらわにしながらも、迎撃の手は休めずナギを睨み返した。

 

『……あなたは…何が、目的で…』

『フフフ……キミの力の、すべてが見たいんだよ。それが、あの方の…――ゴフッ!!』

 

『『『『『『!?』』』』』』

 

突然、ナギが血を吐いた。

咄嗟に口元を抑えたナギの手袋に覆われた右手は、自らの血でべっどりと染まり、ナギはそれをやや呆然と……そして、無感動に眺めやっていた。彼の青白い顔色の中で、その赤さは鮮烈に映った。

 

『……もう、時間切れ(タイムリミット)か……残念だよ、カミナ。この愉しい最後の戦いを、もう終わらせなければならないなんて……』

『″最後″…?』

 

ナギは一度両手を大きく振ると、袖から二揃えずつの金属片が現れた。U字型に曲げられた鉄の棒に柄のついた、音叉と呼ばれるものだ。それが四本。

 

『キミの忍術とチャクラコントロールは素晴らしい。では……結界術は、どうかな?』

『!!』

 

ナギが頭上に四本の音叉を放ると、それは、まるで磁石にでも引き寄せられるかのように落下して床石に突き刺さった。闘技場の範囲よりも一回り小さな囲い――カミナとナギだけがその四つの支点よって囲まれた。

 

『ッ!?』

『忍法・共鳴結界』

 

ナギが腕を振ると、ひとつの音叉がカーン!と音を立てて鳴り響いた。その音に共鳴するように、残りの三つが、次々と音を反響させて音の厚みを増していく。

 

『う、うるせぇーー!!』

『頭…割れそう…!!』

 

『な、なんなのコレ…!?』

『音叉だ!音叉が……音を共鳴させて、増幅してる…!!』

『あ!なに、アレ……!?』

 

ギャラリーに居るナルトたちにまで影響を及ぼした大音響は、たとえ耳を塞いだところで全身に響く振動で会場に居たもの達すべてを苦しめた。しかし、それはわずかな間で、チョウジが叫ぶ頃にはナルトたちに影響はなくなっていた。そして、闘技場には薄い膜に囲まれたような四柱形の結界が出現していたのである。

 

『これは……』

『″音″の結界だよ。人の耳には聞こえなくなっただけで、音叉は絶えず振動を発している。だから……』

 

ナギが、腕を一閃する。正面から迫りくる風を切る気配に、カミナは咄嗟に腕でガードした。

しかし、それは今までのどの攻撃よりも速くて重いものであり、カミナの身体は後方に吹っ飛ばされた。

 

――バンッ!!――

 

『ッ!?――きゃあああっ!!』

 

結界の境界に触れたカミナの左肩が任務服ごと弾け、鮮血を散らした。結界の壁に弾かれて床に倒れたカミナの左腕は、指先にまで血を滴らせていた。

 

『『カミナっ!?』』

 

『音の壁は、いわば振動の壁だよ。触れたものは、鉄でも人でもその質量を抉り弾き飛ばす。無理に突破はしない方が賢明だよ?……ハァ……さて、オレの、最後の術を披露しようか…』

 

パンッ!と打ち鳴らしたナギの両手から、一瞬、チャクラの閃光が迸った。しかし、それはどこか危うく不安定で、今にも暴発しそうな勢いで……はっと、カミナが周囲の気配に気づたとき、この限られた空間の中で無数のキューブが存在しているのを感じ取る。

 

『……キミの、全力を見せてごらん。でないと……―――死ぬよ?』

 

ナギの掲げた腕が、カミナに向かって振り下される。

 

『ッ!!――うわぁああああああっっ!!』

 

『『『『『『カミナッ!?』』』』』』

 

瞬間、音の結界の中で、嵐が起こった―――

 

 

◆◆◆

 

 

結界の中に発生した竜巻は闘技場の天井まで届き、その中に捕らわれたカミナは忍具の入ったポーチや額当てまでも弾き飛ばされた。成す術無く、まるでただの人形のようにカミナは竜巻の中に捕らわれていた。

 

「ハヤテっ、試合を止めるのだ!カミナはすでに気を失っておる!!」

「火影様っ!?――ナギ・ナタク!今すぐ攻撃を止めなさい!!」

 

三代目の指摘に、ハヤテはすぐにナギへ攻撃中止を指示した。しかし――ナギは、術を止めようとはしなかった。

 

「ちょっと!攻撃を止めてって言ってんでしょ!?――やめてよっ!カミナが死んじゃうわ!!」

「おい、お前!!」

 

ナギの、試験官の指示にも耳を貸さない行動に、ギャラリーたちも騒ぎだす。その間にも、意識のないカミナは竜巻の中で攻撃を受け続けているのだ。

 

「――……そういえば、言ってませんでしたねぇ?この結界…音の結界と言うだけあって、発動中外部からの物音とか声とか、こちら側には聞こえなくなるんですよ。だから……いま試験終了とか声掛けられても、分からないかもなぁ?」

 

血に濡れた唇が、三日月のように不吉な孤を描き……まるで謳うように、その衝撃の言葉を放つ。そのタイミングといい、彼が真実を語っていないことは明らかだった。

 

「ふ…ふざけんなっ!!カミナをそっから出せ!!」

「ナルトっ!?」

 

ギャラリーの柵に勢いよく足を掛けたナルト。しかし、ほぼ同時に、ナギが手袋に覆われている右手の指先をパチンッと打ち鳴らした。

 

「んッ!?――く、はっ……なん…いき、が……!?」

 

突然、自らの首元を抑えたナルト。そのままナルトは苦し気に顔を歪めて、脚を掛けた柵の上からギャラリーの上に崩れ落ちてしまった。

 

「ナルト!?ど、どうしたのッ!?」

「サクラ、離れてろ!!」

「カカシ先生!?」

 

カカシの右手はすでに、波の国で見せた雷遁の閃光が纏っていた。

 

「……写輪眼のカカシ……凄まじい雷遁のチャクラだね。それほどの威力で来られたら、たとえ″雷″に優位な″風″の結界でも、持ちこたえられないかもなぁ……」

 

ナギはギャラリーに視線を向けることなく呟くと、再び指を鳴らした。

 

「――ッ!?」

 

突然喉元を塞がれたような、圧迫感。任務で水中に忍ぶ際ならいざ知らず、不意に息をする術を封じられ、吐息を吸うことも吐くこともできない状況に、さすがのカカシも術を止めて膝を付くしかなかった。

 

「どうしたッカカシ!?」

「あいつ……試験中にも関わらず、他里の上忍に術を仕掛けたのか?」

 

最早、違反どころの話ではなかった。ガイがカカシの異変に気づいて駆け寄る中、ネジは白眼でナギの姿を見た。

――予選の試験開始時より……否、第二の試験の死の森で、初めて音忍たちと対峙した時より抱いていた、違和感……ナギの両の手には、常に高密度のチャクラが集まっていたのだ。忍術を使っている様子もないのに、不思議だと思っていた。そして、それは高密度どころではなく、もっと凝縮され結晶化されたかのような硬質な物体がナギの両手には埋め込まれてるのだとカミナとの試合中に理解した。果たしてそれが、印も使わずに空気を圧縮し操る忍術の正体なのだろうか?分析に思考を巡らせていたネジは、やがて息を呑むこととなる。ナギの両手のチャクラはその密度を高め続け、それが両腕から全身へと広がり始めていたのだ。

 

「(あれは……いったい、なんだ…?)」

 

ただ分かるのは、あんな高密度のチャクラを人体に有していて………無事で済むはずがない、ということだけだった。

 

 

 

「――ぁ、が………ミ、ナ………っ、カミ、ナぁーーー!!」

 

 

その時だ。ナルトが絞り出すように、決して常の煩すぎる声音には遠く及ばない音量ではあっても、彼女の名前を必至に……本当に必死に、叫んでいたのを聞いたのは。

そして、白眼を発動したままのネジは、見たのだ。サクラに支えられ、それでも自ら柵にしがみ付くナルトの身体から――カミナがヒナタを治療した時に全身からあふれ出た緋色のチャクラと、同じものが立ち上っていたことを。そしてそれが、カミナの物よりも、より禍々しいものであることを………。

 

 

 

 

 

 

 

 

『カミ、ナぁーーー!!』

 

 

――誰かが、自分を呼んでいる。そんな気がした……。

 

 

<――カミナ、目を覚ませ! ナルトの中にある九尾(ワシ)のチャクラが、小僧の感情に引きずられて僅かに漏れ出している。そのチャクラを、ワシの誘導でカミナの身体に取り込ませる!……起きろ!カミナ!!>

 

手荒い呼びかけとともに、一瞬、温かな風が冷たくなった己の身体を駆け抜けた――

 

 

 

「う…ぅ……」

 

霞む視界。ピリリと、身体のあちこちがヒリヒリと痛む。意識が覚醒するに伴い、全身の感覚が戻って来る。痛い……吐きそうなぐらい、気持ち悪い……実際、傷だらけの身体は、竜巻のような嵐の中をぐるんぐるんと振り回されていた。

 

「(私…何してたんだっけ……あ、中忍試験……)」

 

一度墜ちた意識は、覚醒し状況を今一度把握するまでに時間がかかる。

逆さまになった眼下に、あのナギという音忍が見えた。……血反吐を吐いてまで闘い、自分を痛めつけ、その能力を引きずり出そうとする彼の目的は一体、なに?

 

<悠長に考えてるな!早く何とかしねーと、このままナマス切りされるだけだぞ!>

 

「(そんな、簡単に言わないでよ…クラマ……)」

 

意識を保っているだけでもやっとなのだ。もう、この竜巻を消し去るほどの火遁を使うチャクラも残っていない。自身のチャクラ性質である水遁を使うにしろ、こんな水の無い場所で、この竜巻に対抗できる高ランクの術を使うことは、今のカミナには不可能だった。せめて、大量の水がこの場にさえあれば……――

 

――ピチャン……――

 

「ぇ……?」

 

轟々と竜巻の風で舞い上がるカミナの真紅の髪を潜り抜けて、水滴が一粒、傷だらけの頬に落ちてきた。竜巻の渦の中、見上げた先にあったのは古びた塔の天井。リーが我愛羅との試合で天井を駆け抜けた際、一部が壊れて配管が剥きだしている。激しいこの竜巻の影響で、さらにぼろぼろと破片が剥がれ落ちていた。

 

「!」

 

はっと、カミナの脳裏に閃きが迸る。

 

ビシビシと、鋭い風の攻撃は今なおカミナの身体に傷を増やしていた。指先にまで刻まれたそれをうっとおしく思いながら、カミナは、腰帯の内側に忍ばせた最後の武器――ワイヤー付きの手裏剣――を取り出すと、全身からなけなしの力をかき集めて、天井の…剥き出しとなった配管に向かってそれを投じた。そして、最も簡易で素早い……かけがえのない最愛の友から教えてもらった印を組む。

 

「かげ、ぶんしんの……術っ!!」

 

ボボンッ!!と、嵐の中に二つの人影が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

結界の周囲はもはや試験どころではない状況で、ハヤテが刀を構え、三代目までもが結界を破るべく、自らの袖を払って印を組もうとしていたところだった。

 

――ボボンッ!……ドサッッ!!――

 

「なにっ!?」

「……!!」

 

竜巻の中心部、その根元に突如落下してきたのは、赤い髪を持つ二人の少女の姿だ。全く同じ姿をしていることから、それが分身……否、実態を持った影分身であることが分かる。二人は互いを抱きしめ合うようにして一つとなり、ひとりの手には手裏剣が握られていた。

 

「?……落ちてきた?どうやって?」

 

ナギの訝しむような呟きの声を拾ったのは、誰だったか。

ナギは二人の少女に向かって、腕を振る。竜巻の中から明確に狙いを定めたキューブの攻撃が、少女達の身体を打ち据えた。

 

「うぁっ…!!」「ぐうっ…!!」

「!!……ふたり……?」

 

一瞬、ナギの攻撃の手が止む。

 

「(あいつ……なにを言っているの?)」

 

サクラは苦しむナルトを支えながら、そこで、ナギのおかしさに気が付いた。

闘技場の床に倒れ伏しているのは、どう見ても、二人のカミナだ。この追い詰められたな中で、カミナがあえて使用を禁止されていた影分身を使ったことに、今は文句を言っている暇などない。しかし、なぜ……ナギは、攻撃をして初めてそれに気づいたような反応をしているのか。

そして、カミナは何をしようとしているのか――

 

「――火遁・豪火球の術!!」

 

「っ、えッ!?」

 

慣れ親しんだ声音が聞こえたのは、遥か上方だった。

 

「カミナっ!?」

 

カミナは――天井から剥き出しになった配管に、片手でぶら下がっていたのだ。ボボンッ!と、下方で二人のカミナの姿が消える。二人ともが、影分身だったのだ。

 

 

 

 

 

「ハァッ、ハァッ……(壊れてる…?お願い、動いて……!!)」

 

カミナはもう一度、祈るような気持ちで印を組むため、配管に腕を掛けた片手に向けてもう片方の手を伸ばす。

 

「――ッ!? っぁあッ…!!」

 

ズキリッ…!!と、カミナの背が痛んだ。影分身に蓄積された痛みが、術を解いたことで本体(オリジナル)のカミナに還元されてしまったのだ。

 

――ずるっ……――

 

「ッ!?」

 

痛みで力の緩んだ腕が、配管から外れる。カミナの身体は、重力に引きずられて闘技場へと落下した。この高さでは、いかに忍であろうと受け身を取らねば死ぬ危険もあった。

 

「くっ……!!」

 

カミナは咄嗟に、手首に巻き付けていたワイヤーを、配管の突起に引っ掛けた。先ほどカミナは、ワイヤ―を通した手裏剣を配管と天井の隙間に投じ、影分身二体分の重みでワイヤーを引かせ、滑車の要領で天井付近まで移動したのである。おかげで、竜巻からも抜け出せた。

しかし、此度は手首に巻いたワイヤーがカミナの全体重を支える形になってしまい、肌に食い込んだワイヤーがカミナの身体に新たに傷を作ってしまった。滴った血が、カミナの頬を濡らす。

 

「……なんだ、上に居たのかい?」

 

ナギがキューブを操り、天井近くにぶら下がるカミナに攻撃を集中しようとした。上方は幾らか竜巻の威力も弱かった箇所だが、的を絞られればそれも無意味だ。

 

「カミナぁ!!」

「危ないっ!!」

 

仲間達の、自分(カミナ)心配してくれる声が、聞こえる―――

 

『カミナ!!』

 

この名前を呼んでくれる大好きな声が、カミナの意識を奮い立たせた。

 

「(こんな、ところで……負けられない!!)――火遁・豪火球の術っ!!」

 

カミナは最後の気力で火遁の印を組み、火球を天井に向けて放った。それは拳程度の大きさだが、炎の塊は確実にカミナが狙いを定めた場所へ飛んでいった。

 

 

――ジュウッ……ザァァアアァァアアッッ……!!――

 

 

突如、室内であるはずの闘技場に、雨が降りだした。

 

「きゃあっ!なにコレ、水……?」

「散水装置か、これ……」

「なんで建物の中で、シャワーが降ってくるの!?」

 

突然降りかかって来た大量の水に、いのたちが慌てふためく。

砂の忍たちも、自里では見たこともない建物の機能に、降りしきる水を避けながらも目を丸くしていた。

 

「消火装置が、作動したのか?」

「ごほっ、ごほ………あぁ、そうみたいだな…」

「カカシ先生!大丈夫なの?」

「あぁ……胸のつっかえが、やっと取れた感じだ。ほら、ナルトも…」

「げっほ、げっほ!ひぃー、ふぅー、はぁー!!……し、死ぬかと思ったってばよぉ…!!」

 

全力で息をしてるナルトに、サクラもほっとした。

――カミナは、塔に備え付けられていた消火装置(スプリンクラー)を作動させたのだ。物騒な名前が付くとはいえ、ここは森林の中にそびえ立つ唯一の建造物。もし火元の原因となって森に火災が広がれば、里にも甚大な被害が及ぶ。そのため、火の熱を感知するスイッチが入ると、近くの川から水がくみ上げられて大量の水が塔の内部に降り注ぐ仕組みになっていた。

 

「(これは……してやられたよ…!!)」

 

自らを濡れ鼠にするほどに激しく降りしきる水滴に、ナギはクッと口角を上げた。ナギのコントロールするキューブと結界は、その雨のごとき水にかき消されるようにして消え始めていたのだ。

――空気を圧縮したキューブは、その質量を保つために常に周囲の空気を吸収し続けている。そのため、そこに水の質量を取り込んでしまったことでキューブは地に落ち、形状も維持できずに霧散した。足元を満たす水は、やがて振動を続ける音叉を水の中に沈めるまでに溜り、空気中では永遠と音を反響させていた音叉も、水に振動を吸収されて結界を維持するだけの威力を失ってしまったのである。

 

嵐は消え、結界も消えた。消火装置は、一定の水量を放出しきるまで止まらない。雨を降らせ続ける闘技場は、水の気配に満ちていた。

 

「っ、カミナは!?何処だってばよ!?」

「あそこよ!でも……カミナ動かないわ!!」

「また意識を失っているのか!?」

 

カミナは天井付近にぶら下がったまま、ピクリとも動かなかった。

 

――ビュンッ…!!――

 

「「「「「「「ッ!?」」」」」」」

 

その時、雨をも斬り裂く風の刃が飛来して、カミナの近くの天井を抉った。切断された配管から塊となった水が噴き出し、その反動でワイヤーが外れたカミナの身体が高さのある天井から闘技場へと落ちていく。

 

「「「カミナッ!!」」」

 

ナルトとサクラ、カカシが落下するカミナを助けるため、ギャラリーから飛び出そうとした。

 

――ビュ、ビュンッ……ガッガッ!!――

 

再び飛来した風の刃が、脚を掛けたギャラリーの柵を破壊し、彼らを足止めた。ナルトのすぐ近くを通過した刃は、ナルトの頬に一本線を増やした。

 

「痛っ!?」

「ナルトっ!?」

 

「あいつ、この期に及んでまだ邪魔を――ッ!?」

「なんだ、あれはッ!?」

 

風の刃を放ったのは、はやりナギだった。だが、濡れ鼠になっていた奴の様子がおかしい。

――ナギは身体をくの字に折り、激しくせき込んでいた。水に満たされた彼の足元が赤いのは、彼が再び吐血をしたからだ。

 

「げほっ、ごほッ!!……もう、限界か…」

 

血を受け止めた彼の両手から、縦横無尽に風の刃が飛び出す。ナギの意思ではない。彼のチャクラが、暴走しているのだ。彼の両の手袋さえも引き裂き、床に、壁に、天井に……ギャラリーに居るナルト達の近くにまで風の刃は飛来した。

 

「あぶねぇっ!」

「うわぁぁっ!!」

「きゃあ!!」

「皆伏せろ!」

 

風の刃がシカマルたちの背後の壁を破壊し、墜ちてくる瓦礫からアスマが注意を飛ばす。

 

「テマリ、下がれ!」

「なんだ、あのデタラメな風遁はっ……ッ、我愛羅!!」

 

カンクロウがテマリを庇い、我愛羅は、目の前に飛来した風の刃を指ひとつ動かすことなく砂で相殺した。

 

 

そして、飛来する刃は、落下してくるカミナをも襲おうとしていた。

 

 

「カミナぁ!!!」

 

ナルトの叫びが、激しい雨の音を掻き消した。

 

 

――パァァンッ……!!――

 

 

風の刃が、カミナの身体に触れる寸前で、水とともに弾ける。まるで水が、カミナを守るように……気づけば、闘技場の床に溜まった水さえも、重力に逆らい宙へと舞い上がっていた。

 

「……よくも、ナルトに……皆に、傷を………ゆるさない!!」

 

水を含み、重くなった真紅の髪の狭間から、蒼き眼光――獣のような縦長の瞳孔――がナギを射抜く。カミナがこの中忍試験で初めて、怒りと殺気を露わにした瞬間だった。

落下に伴う刹那の瞬間に、カミナの傷だらけの手は目にもとまらぬ速さで大量の印を組んでいった。その姿は、ナルトとサクラに既視感をもたらした。あの印は、波の国で――

 

「――水遁・水龍弾の術!!」

 

ゴゴゴゴゴォッ……!!と、凄まじい水柱が吹き上げる。龍の形を姿取った水柱は、空気を震わせる嘶(いなな)きを上げて、ナギに襲い掛かった。

 

「!!」

 

ナギの姿が、吠える龍の口の中に飲み込まれる。

 

 

――ドドォォンッ……!!!――

 

 

塔の外にまで響き渡った振動は、森の獣や鳥たちが騒めくほどの衝撃だった。

 

 

◆◆◆

 

 

いつの頃からか、自分の周りは常に″まっくら″だった。

けれど、自分を求めてくれる、名前を呼んでくれる存在がいてくれるだけで、空っぽだった心は満たさた。

 

『――ナギ』

 

――はい。大蛇丸さま。

 

『あなた……自分の身体がどんな状態なのか、もう分かるわね?』

 

――……はい。……ごめんなさい。弱くて……これではもう、あなたのお役に立てない……オレは、オレという存在がいなくなった後で、大蛇丸さま、あなたの記憶からも消えてしまうことが、何よりも悲しくて、恐ろしい……あなたの目に、オレがどんな存在として映っているのか、″みえない″オレには分からないから。どうか、オレという存在を、忘れてしまわないで……

 

『……お前は君麻呂と、同じようなことを言うのね。……ならば、ナギ。私の記憶に残る存在におなりなさい。私の野望を成しえるため、やってもらいたいことがあるの』

 

――はい。何なりとお申し付けください。

 

 

世界など、見えなくていい。

見なくていい。

自分の存在を望んでくれる、あの方の言葉さえあれば、それでいいのだ――

 

 

◆◆◆

 

 

闘技場は、まるで津波でも起きたのかと思う程に大量の水がひっくり返り、辺り一面を水浸しにしていた。消火装置はすでにその役割を果たし終え、あれほど降りしきっていた雨はすでに沈黙している。……言っておくが、ここは森の中のど真ん中にある塔であり、近くに海なんてない。そして、天井には屋根のある歴とした屋内だ。

 

「――な、なんて威力の水遁だ……」

「カミナは?カミナはどこ!?」

「あそこだ!――あ!!」

 

「「「「「!!」」」」」

 

強力な水遁忍術の余波が収まり、視界を凝らしたギャラリーたちの目が捕らえたものは――闘技場の壁越しにある、両の手が印を組んだオブジェにナギの身体を正面から押さえつけているカミナの姿だった。否、ただ押さえつけているのではなく……カミナは手にしたクナイで、彼の両手の甲を刺し貫き、心の臓にまでその刃を届かせていたのだ。

 

「……ゴフッ……さす、がだ……まさか、水龍の中に…自ら入り込んで…オレを、仕留める…とは…ゴホッ…クナイを拾って、たのか……受け止める、のではなく……避ける、べきだった、かな……」

 

「……あなた、目が……」

 

カミナの瞳は、すでに常の深い蒼の色に戻っていた。張り付いた前髪から滴る水滴を避けて彼女が見たもの――水流でサングラスが外れたナギの瞳は、白く濁っていた。焦点の合わない眼球は、至近距離に居るカミナさえ捕らえることができていない。

 

「……そう、だよ。見えて、ない……グフ……髪も肌も、度重なる実験で…色素が、抜け落ちた、らしい……すでに、オレには…時間は、なかった……」

 

ナギもまた、大蛇丸の実験体だったのだ。

ナギの手の甲には、碧色の、宝石のような結晶が埋め込まれていた。それが、カミナのクナイで貫かれ割れている。周囲の皮膚は歪に盛り上がり、血管が浮き出たような筋が身体に向かって伸びていた……おそらく、襟巻の隙間から見える首元まで届くような筋が、全身に走っているのだろう。

 

「…オレは、失敗作だ……身体が、堪えられなかった………フフフ…だから、最後に…あの方の役に、立つことを……オレが、もたらした情報は…あの方の、野望の糧に……」

 

「!!」

 

ようやく、分かった。ナギが、いたずらにカミナとの戦いを長引かせた理由が。火遁に水遁、影分身……その優れたチャクラコントロールと医療忍術の才能。これまで、アカデミー時代にはひた隠しにして、下忍となってからはチームメイトのみが知るカミナの忍としての能力を、公にされたのだ。同郷の者達知られて困るようなことではないが、しかし、下忍にしてはその逸脱し過ぎた能力がこれで誰の目にも明らかになったことだろう。身内にも、そして大蛇丸にも……。

 

徐々に呼吸を弱くしていくナギに、もう、この男は死ぬのだな、と思った。

急所にとどめを刺したのは自分だが、それでも、人の死には哀愁を感じざるを得ない。

 

カミナがクナイから、手を離そうとした時だ。

 

――ブシュッ……ガシッ!!――

 

「!!」

「……これは……あの方の、お気に入りで……成功例のキミへの、ささやかな…嫉妬だよ……」

 

ナギはあろうことか、自らクナイの刺さった両手の傷を深くして、離れていくカミナの手を捕らえたのだ。血にまみれたその手は、死に瀕していながらも驚くほど力が強かった。

 

「″死に意味があるとしたら、それが利用できるときだけ″……キミの死は、どんな、ことに……利用、されるんだ…ろう、ね………」

 

バチバチ、と……ナギの手の甲の、割れた石から火花が散る。……いや、これはチャクラだ。濃密なチャクラが、制御を失ったかのように小さな石の中で荒れ狂っている。まるで、先ほどのナギの忍術、圧縮された空気が解放される前触れのような……―――

 

 

「そいつから離れろ!自爆するぞ!!」

 

 

叫んだのは、恐らくネジだ。

「カミナっ!!」と叫び、神速のごとき速さで駆け寄ってくる気配はきっと、カカシのもの。

だが、今まさに地獄へと墜ちていく死神の手は、カミナをも道連れにしようとしていた。

 

「ッ!!」

 

視界が、明滅する。弾ける刹那の閃光の中で、ナギが満足そうに笑っていた。サングラスに隠されていない笑顔は、とても穏やかだった。

 

力任せに引き抜いた手が、血によって滑り、外れる。しかし、空気が膨らみ、破裂する気配はもう目の前だ。

 

 

―――ドォォオオンッ……!!!―――

 

 

 

二度目の衝撃が、再び塔を揺るがした。

目の前の風圧に吹き飛ばされたカミナは、背中を力強い腕で抱き留められた衝撃を最後に、意識を途切れさせた。身体にダメージを蓄積し、チャクラを使い果たしたカミナはとうに限界を超えていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

――故に、カミナが中忍試験の試験監督らと里の上層部の討議の末、第三の試験への参加が決定したと聞いたのは、予選が終わってからの翌日の夕方だった。

そして、あの爆発の折り、カミナとナギの間に滑り込んだ砂によって爆風を軽減されていたこと。本選でのカミナの対戦相手は、音忍のドス・キヌタであることを知るのはもう少し後のこととなる。(トリであるチョウジ試合が、あまりにもあっさりと終わってしまったため、彼が敗退した事実をここに記しておく)

 

 

本選までの一か月。

それは、カミナと、木ノ葉の運命を変える、大きな転機となる瞬間だった。

 

 

 


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