ハイスクールD3~悪魔の実の能力者は転生する~ 作:NCドラゴン
前話最後のエースの絡みを追加しました。
〜イッセーSide〜
イリナが転校してきた数日後の放課後、部室にて俺たちは集まっていた。部長が部員全員が集まった事を確認すると、記録メディアみたいなものをを取り出した。
「若手悪魔の試合を記録したものよ。私達とシトリー眷属のものもあるわ。」
俺たちの眼の前に巨大なモニターが用意され、アザゼルがその前に立って言う。
「お前ら以外にも若手達はゲームをした。大王バアル家と魔王アスモデウスのグラシャラボラス家、大公アガレス家と魔王ベルゼブブのアスタロト家、それぞれがお前らの対決後に試合をした。それを記録した映像だ。ライバルの試合だから、よーく見ておくようにな。」
アザゼルの言葉にみんなが真剣に頷き、まずはサイラオーグとチンピラの勝負を見た。俺たち以外で数少ない
〜10数分後〜
その映像で見たのは圧倒的な力の差だった。眷族同士の力の差もすごかったが、それ以上に
「……凶児と呼ばれ、忌み嫌われたグラシャラボラスの新しい次期当主候補がまるで相手になっていない。ここまでのものか、サイラオーグ・バアル。」
木場はあまりの光景に目を細めた。ルフトも注意深く見つめている。
「そういや、あのチンピラ悪魔ってどのぐらい強いんですか?」
俺はふと思った疑問を部長にといかける。
「今回の六家限定にしなければ決して弱くはないわ。と言っても、前次期当主が事故で亡くなっているから、彼は代理と言う事で参加している訳だけれど……。」
さらに朱乃先輩が続ける。
「若手同士の対決前にゲーム運営委員会が出したランキングでは、1位がバアル、2位がグレモリー、3位がシトリー、4位がアガレス、5位がアスタロト、6位がグラシャラボラスでしたわ。
ちょっと耳が痛い。
「……サイラオーグ、確実にライザーよりも上だな。しかもまだ手加減しているだろうな……。」
俺はそれを聞いて戦慄した。ライザーよりも上なのに、まだ手加減してるのかよ……。
「ま、グラフを見せてやるよ。各勢力に配られているものだ。」
アザゼルが術を発動させ、立体グラフを出現させる。部長たち六名の若手悪魔の各パラメーターが表示される。
グラフはパワー、テクニック、サポート、ウィザード。タイプ別で、最後にキングと表示されている。サイラオーグのパラメーターはサポートとウィザードは若手のなかでも一番低いが、問題はパワーだった。ぐんぐんとグラフは伸びていき、天井にまで達していた。……文字通り桁が違う。
「やっぱ、天才なんスかね、このサイラオーグさんも?」
俺の言葉にアザゼルは首を横に振って否定する
「いや、サイラオーグはバアル家始まって以来の才能が無かった純血悪魔だ。バアル家に伝わる特色のひとつ、滅びの力を得られなかった。滅びの力を強く手に入れたのは従兄弟のグレモリー兄妹だったのさ。」
え……?
「でも若手最強なんでしょう?」
「家の才能を引き継ぐ純血悪魔が本来しないものをしてな、天才どもを追い抜いたのさ。」
「本来しないもの?」
なんだそれは?アザゼルは真剣な面持ちで言う。
「……凄まじいまでの修業だよ。サイラオーグは、尋常じゃない修練の果てに力を得た希有な純血悪魔だ。あいつには己の体しかなかった。それを愚直なまでに鍛え上げたのさ。」
アザゼルの話しに俺は衝撃を受けていた。上級悪魔、純血の悪魔は皆才能溢れている者たちだと思っていたからだ。なのにサイラオーグは努力してそれらを上回ったのか……。
「奴は生まれたときから何度も何度も勝負の度に打倒され、敗北し続けた。華やかに彩られた上級悪魔、純血種のなかで、泥臭いまでに血まみれの世界を歩んでる野郎なんだよ。ルフト……お前に一番近いな。」
その言葉に俺たちはルフトを一斉に見つめる。そういえばルフトも前世じゃ負けるのも珍しくなかったらしいな。
「ああ……おれも数えきれないほど叩きのめされたもんだな。主にガープさんとゼファー先生にだが。」
ルフト……。
「ちなみに参考になるか知らねえが、将軍たちの3人の仮のデータもある。」
その言葉に俺たちに衝撃が走る……!ルフトたち3人のデータ……一体どうなるんだ?
そして3人のグラフが表示される。ただそれを見て俺たちはあっけにとられた。
「なにこれ?」
「ルフトたち3人のデータだ。言っとくけどあくまで仮だ。」
グラフは同じものだが、全体的に違う。具体的にいえば3人ともパワーとテクニックは天井を超えてるしエースはウィザードも超えてるしニューゲートさんはそれに加えてキングのパラメーターも天井ごえ……桁がちげえ……。サポートは一番ルフトがでかいな。
「分かりずらいから順番をつけるとこんな感じだ。」
そう言ってグラフの表示を変えて順位に切り替える……それは次のような結果になった。
パワー: 1位ニューゲート 2位ルフト 3位エース
テクニック:1位エース 2位ルフト 3位ニューゲート
サポート: 1位ルフト 2位ニューゲート 3位エース
ウィザード:1位ニューゲート 2位エース 3位ルフト
キング: 1位ニューゲート 2位エース 3位ルフト
総合: 1位ニューゲート 2位ルフト 同率2位エース
ニューゲートさんが1位を三つも独占してる……!この三人の中でもニューゲートさんは飛びぬけているのか……。ていうかルフトが1位なのはサポートだけなのか……!
「これはあくまで3人のなかでの順位だ。これに六家も入れて表示すると……。」
今度は部長たちも加えた順位も表示される……だけど。
パワー: 1位ニューゲート 2位ルフト 3位サイラオーグ
テクニック:1位エース 2位ルフト 3位ニューゲート
サポート: 1位ルフト 2位ニューゲート 3位エース
ウィザード:1位ニューゲート 2位エース 3位リアス
キング: 1位ニューゲート 2位エース 3位サイラオーグ
1位、2位は全部ルフトたちが独占してる……六家の悪魔たちが3位の一部だけ……。本当にこの三人は飛びぬけているんだな……。
「ただでさえ若手最強のサイラオーグだが、ニューゲートと一緒にいるからゲームに本格参戦すれば短期間で確実に上がってくると冥界でも話題になってやがる。」
確実に上がってくるか……やっぱ強いんだな。パワーもルフトの次に入ってるし。
「そしてお前たちの次の戦いの相手……ディオドラと戦ったら次はサイラオーグだぞ?」
「……!マジっスか!」
俺は思わず叫んでしまう、そんな中アザゼルはうなずくだけだった。
「少し早いのではなくて?グラシャラボラスのゼファードルと先にやるものだと思っていたわ。」
部長も怪訝そうに言う
「奴はもうダメだ。ゼファードルはサイラオーグとの試合で潰れた。サイラオーグとの戦いで心身に恐怖を刻み込まれたんだよ。もう、奴は戦えん。サイラオーグはゼファードルの心まで断ってしまったのさ。だから、残りのメンバーで戦うことになる。若手同士のゲーム、グラシャラボラス家はここまでだ。」
そこまで強いのか。
「おまえらも十分に気をつけておけ。あいつは対戦者の精神も断つほどの気迫で向かってくるぞ。あいつは本気で魔王になろうとしているからな。そこに一切の妥協も躊躇もない。おまけに一番勝率が高いであろうルフトは恐らくサイラオーグとは戦えん。」
「え!?なんで!?」
俺は問い詰めようとしてルフトのほうを見て、問い詰めるのをやめた。なんでかって?ルフトの瞳はサイラオーグを見てなかった。
「……リベンジマッチ……楽しみだな。」
その目はニューゲートさんを捉えていた……そうだ。サイラオーグと戦う以上、ニューゲートさんとも戦わなくちゃならないんだ……そしてそれを相手できるのはルフトだけだ……。そんな中部長が宣言する。
「まずは目先の試合ね。今度戦うアスタロトの映像も研究のためにこのあと見るわよ。対戦相手の大公家の次期当主シーグヴァイラ・アガレスを倒したって話しだもの。」
「大公が負けた……あの女が下種オドラ・屑タロトに負けるとは思えんが……どんな作戦を立てた?」
ルフトも驚いていた。真正面から負けるとは思ってなかったらしい。つか下種オドラ・屑タロトって……俺もそう呼ぶか。
「私たちを苦しめたソーナたちは金星、アガレスを打ち破ったアスタロトは大金星という結果ね。悔しいけれど、所詮対決前のランキングはデータから算出予想にすぎないわ。いざ、ゲームが始まれば何が起こるかわからない。それがレーティングゲーム。」
確かに……俺たちも前回のゲームで身を持って経験したな。
「けれど、アガレスが負けるなんてね。」
部長が次の映像を再生させようとしたとき、部屋の片隅で一人分の転移用魔方陣が展開した。見覚えない魔方陣の紋様が浮かぶ。けど俺は何故か誰のものか分かった。
「……アスタロト。」
朱乃先輩がつぶやき、一瞬の閃光のあと、部屋の片隅に現れたのは爽やかな笑顔を浮かべる下種い感じがする優男だった。
「ごきげんよう、ディオドラ・アスタロトです。アーシアに会いにきました。」
下種オドラ・屑タロト……お前にはアーシアは渡さん!
~イッセーsideout~