ハイスクールD3~悪魔の実の能力者は転生する~ 作:NCドラゴン
〜NoSideout〜
時は戻って……イッセー&小猫チーム……。ここでイッセーと小猫が店内をこっそりと隠れながら移動していた。小猫は普段と違い、猫耳と尻尾を生やしていた。どうやら猫又の力を使っているようだ。
「動いてます。真っ直ぐ向かってきている者が二人。……片方は匙さんですね。」
「すごいな小猫ちゃん……そこまで詳しく分かるなんて……やっぱ熟練した覇気使いは違うんだね。」
イッセーは驚愕していた。自らの見聞色の覇気ではそこまで詳しく分からないからだ。
「私の場合……仙術も併用してますから詳しく分かります。」
「そうか匙か……。匙なら……使うべきだな。」
イッセーは当初、
「ッ!上!」
「!」
すると突然小猫が何か気づいたように上を見る。禁手の準備をしていたイッセーもワンテンポ遅れて上を見上げる。すると天井へ一直線に伸びるライン。
「あーああーーーー!食らえ!」
なんとも分かりやすい叫びとともに匙が膝蹴りをかます。背中には同じ生徒会の女の子が抱き着いている。
「分かりやすくいってんじゃねえ!お前が食らえ!」
イッセーも匙の姿を確認すると膝蹴りにパンチをお見舞いする。
《ゴォォォォォン!》
「……ん?」
その衝撃により二人はお互い同じぐらいはじかれる。しかしイッセーの表情は疑問符を浮かべていた。
「……今の感じは……まさか!?」
「そうだよ!俺も必至で会得したんだ!覇気を!」
すると右腕を構える匙。変色こそしてないものの、その腕は覇気を纏っていることはイッセーにもわかった。しかも
「まあ、俺も修業したってことさ。おかげでこれだ。天井から店内の様子を見ようとしたら、遠くの物陰に隠れてるお前らが見えたんだ。チャンスとばかりに奇襲さ。」
『リアス・グレモリーさまの
アナウンスが聞こえてくる。アーシアはリアスとともにいる。となると、リタイアしたのはギャスパーのようだ。なんでリタイアしたのかを不思議がると匙はイッセーにギャスパーがリタイアした理由を教える。それを聞いたイッセーは怒り狂い始める。
「あのへたれヴァンパイアが!帰ったらニンニク料理のフルコースだ!」
「ギャーくんへのお仕置きは後です……。今はこっちです。」
そう言って前に進むがイッセーがそれを制する。
「……イッセー先輩?」
「小猫ちゃん、匙とはサシで勝負してみたいんだ。頼む、やらせてくれ!!!」
「……!」
小猫はイッセーの表情を見て一瞬驚くものの、すぐに気を引き締める。
「……わかりました。先にこの人を終わらせて私は見学とさせていただきます。」
そう小猫が宣言すると匙の後輩の少女はムッっとした表情をとる。
「ちょっと!?そう簡単に勝てると思うの!?私は覇気を使えないけど、いくらなんでも速攻じゃ……!」
「私の新しい力……見せます!」
すると小猫を一瞬で黒いオーラをまとう。これはイッセーには心当たりがあった。
「!これって!覇気と闘気を一緒に……まさか!」
「そうですこれが私の新しい力……。」
オーラは一瞬で白黒いオーラになる。そしてその中から現れた小猫は……。
「白音モードです。」
何故か成長していた。
「ほにゃああああああああああ!?えっえっえっ!?」
「えええええええええええええええ!?!??!?!」
「お、大きい……!」
その姿は敵味方ともに大きく混乱させた。
「こ、小猫さん?それは一体……?」
「白音モード……近くの自然の気を自身の闘気と同調させる事で一時的に成長する私の技です。しかも武装闘気も扱えるようになりました。ふん!」
そう言って自信満々に胸をはる小猫。ちなみに胸も成長しており、イッセーはそれにバンバン目を奪われていた。
(す、すげえ!小猫ちゃんって成長したらここまで大きくなるのか!?眼福、眼福……。)
「《ギロリ》イッセー先輩……?」
「は、はい!」
「帰ったらお仕置きです。」
「はい……。」
どうやらイッセーはただじゃすまないようだ。
「では……行きます!剃!」
《ビシュ!》
「は……!」
《パンッ!》
小気味良い音が響き、匙の後輩が崩れる。
「……気をまとった拳であなたに打ち込みました。同時にあなたの体内に流れる気脈にもダメージを与えたため、、もう魔力を練ることはできません。さらに言うなら内部ダメージは通ってます。……もう、あなたは動けません。」
小猫の拳打は内部にまでダメージを与えるもののようだ。六王銃に近い性質をもった技のようだ。
『ソーナ・シトリーさまの
匙の後輩の体が光輝き、この場から消えてなくなる。それを見届けた二人は示し合わせたかのように同時に向かいあう。この二人はよく似ている。スケベなところも、バカっぽいところも、主に一途なところも、そしてその恋が実らないと理解しているところも。
その二人の行動を見た、小猫は元の姿に戻り距離をとる。
「「ありがとう。」」
二人は同時に礼を言う。
「さて……じゃあ行くぜ匙?俺の本気を!」
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!』
その言葉が響きわたると同時にイッセーの体を赤いオーラが覆い、オーラは鎧と化す。
「
「はは……禁手か……すげえな兵藤!俺も本気でお前に勝って見せる!行くぜ!」
そして両者は互いに突っ込む。しかしスピードは明らかにイッセーのほうが上だった。
「うら!」
「!!!」
「何!?」
イッセーそのままパンチを放つが避けられてしまう。イッセーは驚いていた。覇気で先読みしていたはずなのに、避けられたことに。
「うら!」
「くっ!」
そのままイッセーは殴られ、大きく後退する。その表情は驚きに満ちていた。
(なんでだ?あいつの動きは先読みしていたはずなのに急にスピードが上がったぞ?手加減していた……いや、あいつは手加減していなかったはずだ。魔法で強化した?いやあいつ魔力はそんなになかったはずだ。一体……!)
その時イッセーの眼はとらえた。匙の
「この一撃……匙!おまえ!おまえは自分の命を……力に変換してやがるのかッ!?」
イッセーは驚いていた。自分自身の命を力に変換するなど寿命を減らしているのだから。
「そうだ。基本的な身体能力がお前よりも低い俺が勝つにはこれしかなかった。命を力に変換する。見ての通りだよ。命がけってやつだ。」
「本当に死ぬ気か……!」
匙は真剣な眼差しで笑んでいた。
「ああ、死ぬ気だよ。死ぬ気でおまえらを倒すつもりだ。……おまえに夢をバカにされた俺たちの悔しさがわかるか?夢を信じる俺たちの必死さがわかるか?この戦いは冥界全土に放送されている。俺たちをバカにしてた奴らの目の前でシトリー眷属の本気を見せなきゃいけない!」
「匙……。」
イッセーは匙の覚悟に感服していた。自分は負けるつもりは欠片もなかった。だが匙のように命をかける覚悟まではなかった。かつて自分がヴァーリと相対したときと同じような覚悟を持って挑んできてるのだ。
「匙……!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!』
すると一気にイッセーの力が乗算されていく。本来これを使うと禁手状態の時間が減るから正しい判断とは言えないが、そんなことはイッセーには関係なかった。今自分の持てる力を全て出し尽くさなければいけないとイッセーは感じ取っていた。
「行くぞ……匙!!!」
イッセーは乗算された力を使い、地面を一瞬で10回以上踏み込む。それはルフトたちの使う剃の動きだった。イッセーは土壇場に剃を習得した。
「クリムゾン・アタック!!!」
剃を使ってその勢いで体当たりをしかける。匙はかわそうとする。しかし。
『ソーナ・シトリー様の
「え……?」
衝撃的なニュースが走り、その体を一瞬硬直させてしまう。それはとても大きな隙となった。
「うらあ!」
《ボッッッゴン!!!》
「があ!?」
匙はその隙を狙われ、モロに直撃をしてしまう。その勢いでそのまま大きく吹き飛び、そのまま壁に衝突すると思われたがその前に光に包まれて消える。
『ソーナ・シトリー様の兵士、リタイア。』
「……お疲れ様です。」
そんなイッセーを小猫が労る。それにイッセーも返す。
「ああ、それにしてもまたルフトに助けられちまったな……。」
『リアス・グレモリー様の将軍、リタイア。』
「「え……?」」
しかし再びリタイア宣言が起こり、それは二人に多大な衝撃を与えた。
~NoSideOut~
クリムゾン・アタック
禁手状態で使える。イッセーの技。身体能力を強化し、その状態で剃を使いそのスピードで相手に体当たりする技。当たったらかなりダメージが通るが、隙もでかい技。ちなみ今回イッセーは剃を使いましたが、禁手状態だから使えたのです。まだ通常時は使えません。