ハイスクールD3~悪魔の実の能力者は転生する~   作:NCドラゴン

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第57話 赤対白! 目覚める気配!

~Noside~

 

「うおおおおおお!!!」

 

「だああああああ!!!」

 

ここは駒王学園の裏庭。そこで二人の男が戦っていた。二人はほとんど同じ形の鎧を着ていた。違うのは片方が赤でもう片方が白という具合だろう。いやもうひとつ違いがあった。赤が至近距離の戦いを中心に戦ってるのにたいし、白は遠距離の戦いを中心に戦っているということだろう。

 

(くっそ……うまく近づけねえ!あいつの魔力弾がかすっただけでいてえから、直撃すれば終わりだ!)

 

(兵頭一誠……予想以上だ……!肉弾戦なら俺に劣らないどころか一瞬とはいえ上回りかねないとは……、しかも俺の魔力弾が一発も直撃してない!彼らとの前哨戦だと思っていたが、これは楽しめる!)

 

二人の実力はほぼ拮抗していた。近距離ならイッセー、中・遠距離ならヴァーリといったかんじに。しかし両者には決定的な違いがあった。

 

「はっ!」

 

「うおっ!?」

 

イッセーがヴァーリの一撃を大きく仰け反ってかわす。本来ならそこまで大きくかわす必要はないのだが、イッセーがかわした理由はヴァーリが狙っていたものにあった。

 

「その腕輪で禁手(バランス・ブレイク)をしているのなら、それを破壊してしまえば君は俺には勝てないどころかまともに戦えない!」

 

「うるせえ!」

 

「それにその状態も長くはもたない!君に勝ち目はない!」

 

「だったらその前にぶっつぶす!」

 

「やってみろ!」

 

そして二人は再び戦いだそうとかけだす。しかしそこでヴァーリに予想外のことが起きた。

 

「だらあ!」

 

「!!!」

 

イッセーが殴ろうと突き出した左腕から剣が飛び出して来たのだ。それが龍殺しの力を持っていることに気付いたヴァーリは慌ててかわす。しかしかわし切れずに胸の宝玉を吹き飛ばす。

 

「ぐおおおおおおおおおおおおおお!!!!???」

 

〈!ヴァーリ!!!〉

 

龍殺しの力を持っているそれはヴァーリに多大なダメージを与えた。

 

「くっ……思ったよりも楽しませてくれるじゃないか……だが!」

 

再び胸の宝玉が再生する。

 

「まじかよ……。」

 

〈相棒……このままでは勝ち目がない。早いところ突破口を見つけなければ……。〉

 

「だけどどうすりゃ……ん?」

 

その時イッセーの目に先ほど吹き飛ばした宝玉の欠片が目に映る。イッセーはその宝玉を手に取る。

 

〈どうした相棒?〉

 

「ドライグ……神器(セイグリット・ギア)は所有者の想いに応えて進化するんだよな?」

 

〈そうだが……!まさか!?〉

 

そのことを聞いたドライグはイッセーの考えが分かった。

 

「……こいつを移植して俺の力にする!」

 

〈バカ!やめろ!!!死ぬぞ!!!〉

 

「できる可能性があるのならそれにかける!目の前のゴミ虫を超えるためにな!」

 

すると右腕の宝玉を叩き割り宝玉を振りかぶる。

 

白い龍(バニシング・ドラゴン)、アルビオン!ヴァーリ!もらうぜ、お前らの力!」

 

そしてイッセーが右腕に籠手に宝玉をうめこんだ。次の瞬間!

 

「うがああああああああああああ!?!!?」

 

イッセーの体に激痛が走っていく。

 

「!?まさか、白龍皇の力を取り込む気か!?無謀過ぎる!死ぬぞ!」

 

ヴァーリはイッセーの行動に驚きを隠せず、叫ぶ。

 

「おいおいどうなってんだよこりゃ……?」

 

「イッセーさん!」

 

「あのバカ!?死ぬ気か!?」

 

するとその場にゼファーたちが現れる。ゼファーはイッセーの行動がどういう意味を持っているかわからず、アーシアは苦しんでいるイッセーを思い、アザゼルはイッセーの無謀さに驚愕をあらわにしている。

 

「ぬがあああああああああああ!?あがああああああああああ!?」

 

〈ドライグよ、我らは相反する存在だ。それは自滅行為に他ならない。こんな事でお前は消滅するつもりなのか?〉

 

〈アルビオンよ!お前は相変わらず頭が固いものだ!我らは長きに亘り、人に宿り争い続けてきた!毎回毎回同じ事の繰り返しだった。〉

 

〈そうだ、ドライグ。それが我らの運命。お互いの宿主が違ったとしても戦い方だけは同じだ。お前が力を上げ、私が力を奪う。神器をうまく使いこなした方がトドメを刺して終わりとなる。今までもこれからも。〉

 

〈俺はこの宿主……兵藤一誠と出会って1つ学んだ!バカを貫き通せば可能になる事がある!とな!〉

 

「お、俺の想いに……応えろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

『Vanishing Dragon Power is taken!!』

 

その音声が響き渡ると一誠の右手が真っ白なオーラに包まれる。そしてそれが消えると白い籠手が出現した。

 

「で、出来た……!」

 

「おいおい……本当にやりやがった……あれは差し詰め、白龍皇の籠手(ディバイディング・ギア)ってところか?」

 

「イッセーさん……!」

 

「面白いやつだ……。ルフトが目にかけてる理由がよくわかる。しかしサカズキの声がしたのは気のせいか?」

 

3人はそれぞれイッセーの行動に評価する。ゼファーは別のものが気になってるようだが。

 

〈あり得ん!こんな事はあり得ない!〉

 

反対にアルビオンはイッセーの行動が成功するとも思えず、半狂乱に叫ぶ。

 

「ありえなくはねえぜ?そいつらには聖魔剣を創り出した輩がいるんだ。神がいないためにバランスが崩れているから、可能になったんだろ。まあ無謀通り越してたが……。」

 

「無謀どころの話じゃねえぞ?あの餓鬼確実に寿命を減らしてただろ?」

 

「良いよ。俺は1万年も生きるつもりは無いさ。やりたい事は山程あるから、最低でも千年は生きたいけどな……てっどちらさまですか!?」

 

イッセーはいまごろゼファーの存在に気付く。鈍い!!!

 

「ふふふ……いままでこんな奴は見たことがない。行くぞ!」

 

「うお!?……ん?」

 

そのまま突進してくるヴァーリに慌てかけるイッセー。しかしイッセーは先ほどと違いその行動がよくわかっていた。

 

「だらあ!!!」

 

「ごあ!?」

 

そのままイッセーはヴァーリ攻撃を通常よりも早くかわし、顔面に見事なカウンターパンチを決める。その腕は黒く染まっていた。

 

「な……!?先ほどとは動きが違いすぎる!?いったい何が……!?」

 

「おいおい……ヴァーリがあっさり捉えられたぞ?それになんだあの左腕は……?真っ黒じゃねーか?」

 

「はっ……本当に面白いガキだ!さっきの移植したショックで目覚めたか!しかもいきなり両方使えるとは……想像以上にやるじゃねーか!!!」

 

急にイッセーの動きがよくなったことにほとんどの者が分からなかった。イッセーには才能などほとんどないからだ。ただゼファーだけが急に動きがよくなったわけが分かった。

 

「おいあれは一体なんだ?あれが話にあった覇気なのか?」

 

「そうだ。あれが覇気だ。相手の気配を強く感じ動きを先読む見聞色と、目に見えない鎧を纏う武装色だ。」

 

「あれが……。」

 

アザゼルは驚きを隠せなかった。さっきまでほぼ互角だったというのに、覇気が使えるようになった途端、圧倒しはじめたのだから。

 

「それにしてもあのガキ……いくら存在を知っていたとはいえ、あそこまでうまく覇気を使えるのか……才能はないと聞いていたが、存外やるじゃねーか。」

 

ちなみにイッセーが覇気をいきなり使いこなせるのには理由があった。イッセーは覇気の存在を知ってからずっと覇気を使う己をイメージしていたのだ。それにより振り回されることもなくいきなり使いこなすということをやってのけたのだ。エースの言っていた通り、考えていることはどんなことでも力になったのだ。

 

「くくく、ははは!面白い!面白いぞ!俺も今の本気を出そう!俺が勝ったら、キミの全てとキミの周りにある全ても白龍皇の力で半分にしてみせよう!」

 

『Half Dimension!』

 

宝玉から音声が流れ、まばゆいオーラに包まれたヴァーリが周りの林へ手を向けると、林の木が一瞬で半分の大きさになってしまった。

 

「マジで半分になった!あのゴミ虫野郎が……ん?半分?」

 

その時イッセーの脳裏にある事実が浮かんだ。

 

(半分……?半分ってことは少なくなることだな?俺の周りで少なくなるって言ったら…………!!!!!)

 

「ふざけんなああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

《ズドアアアアアアアアアアア!!!!!!!》

 

「「「!!!」」」

 

「イッセーさん!?」

 

その事実に至ったイッセーから溢れんばかりにオーラが噴き出す!それは過去最高と言ってもよかった。

 

「貴様ああああああああああああああ!?!?!俺の周りも半分にするだと!?!??!そんなことをしたら……!部長たちのおっぱいが半分になっちまうだろうううううううううううう!!!!!」

 

「「「「〈〈…………は?〉〉」」」」

 

イッセーが思い至った事実に、全員が口を開けて唖然とする。

 

「貴様ァァァ!俺たちの部長のォォォォ!俺の部長のおっぱいを半分の大きさにするつもりかァァァァァァァアアアアアアアアアアア!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!』

 

「許さねぇ!絶対にてめぇだけは許さねぇ!ぶっ倒してやる!ぶっ壊してやる!ヴァーリィィィィィィィィィィィィ!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!』

 

イッセーの怒りで凄まじく力が倍乗していく。本当に凄まじい。しかしイッセーなんか言ってるけどリアスはお前のものじゃないぞ。諦めてなかったのか?

 

「ばーかおれのもんだ。」

 

「……イッセー。」

 

そんなイッセーの魂の叫びはしっかり逆サイドのルフトたちにも聞こえていたようだ。

 

「許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!許さねぇ!ぜってぇぜってぇっ潰す!!!!!!」

 

すると同時に凄まじいスピードでヴァーリに飛びつく。ヴァーリもそれ以上のスピードで回避をしようとするものの……。

 

「これは部長おっぱいの分!」

 

『Divide!!』

 

「ぐは!?」

 

回避しようとした先を見聞色の覇気で読み、武装色の覇気で強化した一撃を腹に叩き込む。さらに先ほど奪った半減の力できっちり半分にしておく。

 

「これは朱乃先輩のおっぱいの分!」

 

「ごあ!?」

 

そして両腕を頭に振りおろしヴァーリの兜を破壊する。

 

「これは成長中のアーシアのおっぱいの分!」

 

「ぬぐ!?」

 

今度は蹴りでヴァーリの背中の噴出口を破壊する。

 

「これはゼノヴィアのおっぱいの分!」

 

「かあ!?」

 

肘鉄で顔面を強打する。

 

「これは小猫ちゃんのロリおっぱいの分!」

 

「ぶほ!?」

 

平手打ちでヴァーリを弾き飛ばす。

 

「これは黒歌さんのおっぱいの分!」

 

「あが!?」

 

ヴァーリの頭を掴んで頭突きをかます。

 

「これはレイナーレのおっぱいの分!これはミッテルトのおっぱいの分!これはカラワーナのおっぱいの分!これはリリスちゃんのおっぱいの分!これはアリスさんのおっぱいの分!」

 

「ぐっ!くっ!かっ!ちっ!づっ!」

 

連打をしまくるイッセー!ヴァーリも押されている。

 

「調子に乗るな!」

 

ヴァーリも反撃するも見聞色の覇気で先読みしたイッセーはその大振りを躱して懐に潜り込む。

 

「しまっ……!」

 

「そしてこれが!」

 

「!!!」

 

「俺たちの世界とルフトたちの世界の全ての女の子のおっぱいの分だぁああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

そして魂の叫びを上げながら両腕で同時にヴァーリを殴る!それを受けたヴァーリは大きく吹き飛ばされるがなんとか踏みとどまる。

 

「ははは……想像以上じゃないか。君になら……覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を出す価値がありそうだ。」

 

「じゃ、ジャガー……なに?」

 

〈自重しろヴァーリ!我が力に翻弄されるのがお前の本懐か!?〉

 

「構うものか!『我、目覚めるは、覇の理に……』!?」

 

「そこまでだ!」

 

ヴァーリが詠唱をしはじめるがすぐに中断して飛び退く。するとその次の瞬間にはその場所でゼファーが地面に向かって巨大な右腕を振り下ろしていた。

 

「ぬうん!」

 

《ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオンオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!》

 

「うおおお!?」

 

するとその衝撃で地面が大きく吹き飛ぶ。その衝撃は一瞬で結界内の地面を全て砕く。

 

「な、なんだあのパワー!?」

 

「あいつ……人間なのか?」

 

「ヒーローとしては、それ以上はやらせんぞ。」

 

「ほう……あなたは?」

 

「おれはゼファー・フォレだ。ルフトの教官だ。」

 

その言葉にイッセーとヴァーリに衝撃が走る。

 

「彼の師みたいなものか……なるほど、只者じゃなかったはずだ。それにその右腕……ただの金属じゃないな?」

 

「よく気がついたな。こいつはバトルスマッシャーマークⅡ。冥界で手に入れた貴重な金属、オリハルコンでできている。」

 

〈〈「「「!!!!!!!!」」」〉〉

 

材料を聞いた途端、一同に再び衝撃がはしる。

 

「え?あれそんなにすごいのか?」

 

〈イッセー!あれは冥界でも伝説の金属で超希少な代物だ!その硬度で出来た武器ならすさまじいぞ!〉

 

「まじかよ……。」

 

「ははは!あなたはすごいね!なら多少時間を稼いででも覇龍を……!「そこまでだぜヴァーリ。」!」

 

すると結界を破って何者かがヴァーリの隣に落ちる。

 

「美猴か。何をしに来た?」

「それは酷いんだぜぃ?相方がピンチだっつーから遠路はるばるこの島国まで来たってのによぅ?他の奴らが本部で騒いでるぜぃ?北のアース神族と一戦交えるから任務に失敗したのなら、さっさと逃げ帰ってこいってよ?カテレアはミカエル、アザゼル、ルシファーを暗殺せずに帰ったし。なら監察役のお前の役目も終わりだ。俺っちと一緒に帰ろうや。」

「……そうか、もう時間か。」

「なんだ、おまえは?」

 

突然現れた男を指さして言うイッセー。

 

「……闘戦勝仏の末裔だ。お前にも分かりやすく言うのなら、西遊記の孫悟空だ。」

 

「まじで!?」

 

自分ですら知っているビッグネームにイッセーの目ん玉が文字通りに飛び出す。

 

「正確に言うなら、孫悟空の力を受け継いだ猿の妖怪だ。しかし、まさかおまえまで……禍の団(カオス・ブリゲート)入りとは世も末だな。」

 

アザゼルの嘆息を吐いた言葉にケタケタ笑う美猴。

 

「俺っちは仏になった初代と違うんだぜぃ。自由気ままに生きるのさ。俺っちは美猴。よろしくな、赤龍帝、デカ右。」

 

デカ右とは恐らくゼファーのことだろう。なんとも分かりやすいあだ名だ。すると美猴は手に持っていた棍を地面に突き刺すと地面から闇がみたいなものが出て二人が沈み込んでいく。どうやら転移の類のようだ。

 

「待て!逃がすか!」

 

そのまま追撃をしようとするものの、ゼファーの右腕につかまれるイッセー。

 

「痛い!なんだよ!?逃がすのかよ!?」

 

「さすがにこのまま暴れられちゃまわりの被害は計り知れん。それに貴様も限界だろう?」

 

ゼファーの言葉を証明するかのようにつかまれていたイッセーの鎧が消える。禁手の時間制限が過ぎたようだ。

 

「くそ……!」

 

「旧魔王の血族で白龍皇である俺は忙しいんだ。敵は天使、堕天使、悪魔だけじゃない。今回の戦いは君の勝ちだが、いずれ再び戦うことになるだろう。そのときはさらに激しくやろう。お互いにもっと強くなろう……!俺も君が得た力……必ず得てみせる……!」

 

その言葉を最後にヴァーリと美猴は消える。どうやら完全に転移したようだ。ヴァーリ対イッセーの戦い……辛うじてイッセーの勝利に終わった。

 

~Nosideout~


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