ハイスクールD3~悪魔の実の能力者は転生する~ 作:NCドラゴン
~NoSide~
「ジハハハハ!」
そう笑いながら歩いてくる男は金獅子のシキ。その雰囲気に呑まれこの場にいる者の殆どが動けずにいる。
「全く……相変わらず自分勝手ですね。それに惚れてしまった私も私もですが《ボソッ》。」
「いいじゃねえかよ……あれ!?」
「な、何☆!?」
すると突然セラフォルーを指差すシキ。一体何を感じたのか?
「オオクワガタがいる!!!」
《ガタタタタ》
予想外の発言に全員がずっこける。意外と天然だ。
「セラフォルーでしょう!?どう見ても!?」
いやカテレアだけがつっこむ。どうやら慣れているようだ。
「オオクワガタに間違われるなんて、セラちゃんショック……。」
「金獅子だが近似日だがしらねえが、こいつひょっとしてたいしたことないんじゃ……?」
あまりのぼけっぷりに油断するアザゼル。
《ズドォ!!!》
その隙を狙うかのように突然地面から棘が生えて、アザゼルの腕を千切った。
「なぁあ……!?」
「誰が大したことないって?」
「ぐ、ぐおおおお!?」
「アザゼル!?」
「今何をしたのあいつ!?」
あまりの驚きに☆が抜けるセラフォルー。
「フワフワの実の能力……。」
「フワフワ?何だか柔らかそうな能力の名前だね?」
「そんな能力じゃねえ!フワフワの実は触れたものを浮かせる能力だ!」
「その能力でどうやって地面を棘にしたんだよ?」
確かにアザゼルの疑問はもっともだ。浮いたところで地面ごと浮くだけだ。
「フワフワの実は、物体の一部分だけを浮かすして操るなんて真似もできるからな……。棘になるようにうかせたんだろう。」
「応用性の高い能力だな。しかも我々に触れられたら……。」
全員に怖い想像が走る。もし一部分だけ浮かされて、心臓を抜き取られたらまさしく一撃必殺だ。しかしシキはそれを笑い飛ばす。
「ジハハハハ!安心しろ!おれ以外の生き物は動かせねえからな。」
その言葉に一同はホッとするが同時に怪訝に思う。わざわざ自分の弱点をばらす必要があるのかと?
「どうせ速いか遅いかの違いだ。」
その言葉にルフトは感じる。イリナと違い、自惚れているのではなく己に絶対の自信をもっていることに。
「さて……シキ君。君の目的はなんだ?」
全員を代表してサーゼクスが問いかける。それを聞いたシキは大仰に両手を広げサーゼクスたちを見下すように喋る。
「空から全てを支配することだ!!!まぁ今回は、お前だ!エース!」
「おれ……?」
「お前……おれの右腕になれ。」
「……!?」
その言葉に会場のものが再び驚かされる。いきなり敵を勧誘したのだ。
「ことわる!おれは支配に興味はねえ。やりてえようにやらねえと、意味がないだろう?」
「…………!!!」
エースの言葉にシキの表情が固まる。なにか癪にさわることでもいったのか?
「……そのセリフ……やっぱてめえはロジャーのガキだな。そっくりだ!」
「……!ろくでもねえ父親と一緒にするな!」
今度はエースの表情に怒りが浮かぶ。一緒にされることは好きではないようだ。
「いいぜ。本当は挨拶と勧誘だけのつもりだったが、警告も兼ねててめえを始末して……ん?」
すると急に止まっていた者たちが動き出す。どうやらイッセーたちがギャスパーを助け出したようだ。
「もう助け出したのかよ……以外とはええな。」
すると急に部屋の壁を突き破り飛び出すシキ。それに続くようにカテレアも部屋をでる。
「待て!」
「逃がさないぞ金獅子!」
「この野郎!俺の腕を千切りやがって!」
「カテレアちゃん!」
その後をエース、ルフト、アザゼル、セラフォルーが追う。
「お兄ちゃん!」
「リリス!」
「ルフト先輩……!」
「ルフト!」
「ルフトさん!」
「エース!」
「会長!」
「エースさん!」
それを追うようにグレモリー眷族とシトリー眷族が追いかける。何名かは別の者を追いかけたようだが。
「待ちたまえ……!っともう出て言ってしまった後か。」
「どうしますかサーゼクス様?」
「……彼らの実力なら大丈夫だろうが、問題はシキ……!どうする……私たちも応援に行くべきか?」
そうサーゼクスが悩んでいるとグレイフィアがサーゼクスに進言する。
「そのことですが、先ほど彼から連絡がありました。」
「彼……?そうか!なら心配ないだろう。彼は私よりずっと強い。なら私たちは結界の強化をしよう!」
「サーゼクス……彼とは?そこまで頼りになるのか?」
「ああ……冥界最強にして最高の悪魔だ!」
ミカエルの疑問に答えるサーゼクスの顔は彼に対する信頼で満ちていた。
~Nosideout~