ハイスクールD3~悪魔の実の能力者は転生する~ 作:NCドラゴン
~Noside~
リアス達は目の前でルフトが起こした現象が分からなかった。闘気と覇気を併用しても効果が薄いと言っていたのに何故使うのか?
「あれは闘気に覇気を纏わせた……?でも併用は効果は薄いんじゃ……?」
「いえ、纏わせるとそのまま黒くなるのでは……?」
「……あれは併用じゃありません。」
「小猫?」
「あれは覇気と闘気の融合です!」
「融合!?」
「覇気は表面しか強化できません。しかし闘気は分厚いオーラを纏います。それに覇気が混ざり合えば……。」
「桁違いの強化力だ。もっともまだ未完成だがな。」
その言葉に皆が驚愕する。すさまじいオーラを感じるというのにそれが未完成というのだからだ。
「み、未完成って……。」
「本当のことだね。」
その言葉を肯定したのはルフトではなく、敵であるジンエだった。
「本来それは全身を覆ってこそ、完成するね。けど君はまだ両手両足しか覆えない。それ以外の所は覇気も闘気も纏えないからね。」
やけに詳しく説明するジンエ。その説明にルフトは前回の戦いで得た推測を確信する。
「やはり貴様もか……。」
「ああ、かつての私も通った道だね。」
そう言うと一瞬にしてジンエの体を黄色黒いオーラが覆う。
「武装闘気……やはり使えたのか。しかも完成した……!」
「ところでなんで私が使えるって分かってたね?」
「貴様がおれの腕を斬ったとき、やけにあっさり斬られたからだ。いくらなんでも覇気と鉄塊で強化したおれの腕をあんな鈍では簡単には斬れん。斬れたとしても、ツインテの腕まで斬られるのはおかしい。」
「そうだね。聞いたのは愚問だったね。」
そう言って構えるジンエ。対するルフトも構える。
「二重開翼!」
そう言うとルフトの背中に更に生えていた竜の翼に加えて悪魔の翼も生まれる。
「へえ。翼を二つだしたね。」
「……剃刀!」
「!」
《ギガァアアン!》
するとルフトの姿が一瞬で消えるが、ジンエはその速度に反応する。
「じゃららららら。さっきとは桁違いに速いね。」
「その速度にあっさり反応するとは……。はっ!」
「じゃ!」
そのまま二人は先ほどと同じように斬りあい殴り合う。しかし今度は先ほどの戦いと違っていることが二つあった。一つはルフトのスピードがジンエを上回っていて少しだが直接相手に攻撃できていること。もうひとつは……。
(くそ……大したダメージが通っていない!)
そう攻撃が当たってもダメージにつながっていないのだ。両手両足しか纏えていないルフトと違ってジンエは全身を覆っているせいで防ぐ面積が多いうえにルフトが使っているのより防御力も上がっているのだ。しかもルフトのスピードがジンエを上回っているとはいえ、ジンエにはその速度はとらえきれない速度ではなかった。
「(紙絵武身をすればさらにスピードがまだ上がるがそれだとパワーは落ち、奴相手には決定打に欠ける……そうすればいずれ奴に真っ二つにされる……横ならともかく縦なら終わりだ……)ならば獣厳砲!」
《ドゴン!!!》
「……ん?」
ルフトはジンエを拳の衝撃を飛ばして殴りつけ距離をとる。その行動にジンエは疑問を持つが、距離は詰めず何をしようとするか見極める。
「これで貴様を終わらせる!」
「その構えは……!」
ルフトは両手で握りこぶしを作り手の平側を合わせ前に構える。その構えをジンエは知っていた。
「前世で私を殺した構えね……!」
「そうだ……六式体術奥義!」
「「「「「奥義!?」」」」」
その言葉にリアスたちは驚く。今まで一度も見たことがない六式の奥義。それは一体どんな技なのか。
「両手の握りこぶしを相手に合わせ、相手の体内に直接衝撃を送り込む技。……成程ね。確かにその技なら武装闘気の防御を無視出来るね。だけど……。」
そう言って七聖剣を頭の位置まで上げ、切っ先をルフトに向けるジンエ。
「その技は相手に至近距離までに近づかなければ、意味がない。果たしてその位置にまで私の斬撃をかわし近づけるかね?」
「…………。(そうだ……この技はそうしなければ意味がない……だが前世のおれと放った技が同じと思っているならまだ勝ちの目はある……。後はタイミング……奴が距離を離したとき……。)生命帰還……紙絵武身!」
するとルフトの身体が収縮されていく。その身体は通常時のルフトと同じ大きさにまで縮んでいく。しかしその見た目は竜人のままだった。
「筋肉を収縮させスピードを上げてきたね……さぁくるがいいでごさる!」
「ご、ござる!?」
語尾がねからござるに変化するジンエ。いや元に戻るいったほうが正しいのか。
「これがおれの全速力……二重開翼剃刀!」
するとルフトが再び消える。しかし今度はジンエでも見切りきれないのか、目がせわしなく動く。
「速いでござるね……ならば!」
すると突然目を閉じるジンエ。傍から見れば自殺行為だが、リアスたちは覇気で動きの先読みをしようとしていると分かった。
「…………。」
「…………。」
状況は緊迫していく。果たしてこの先はどうなるのか。すると衝撃に耐えきれなったのか校舎の一部が崩れる。
「「……………………ここだ(ござる)!!!!!!!」」
それを合図にしたかのように一気に互いに向かい合う二人。その次の瞬間には、ルフトがジンエに拳をあてる。
「六式体術……。」
「甘いでござる!」
《ズバァア!》
「……え?」
しかしルフトが衝撃を送り込むより早くジンエの剣はルフトの上半身と下半身を絶つ。
「いやーーーー!?」
「お兄ちゃん!!!!」
「ル……ルフト!!!」
「ルフト!!!」
「ルフトさん!?」
「ルフトくん!!!」
「ルフト先輩!!!」
「じゃららららら…………終わったでござるな。」
「まだだ!」
「!?」
その言葉に何かを感じ取ったのかジンエはバックステップでルフトから離れる。するとルフトの上半身を尻尾が、下半身を髪の毛が掴んでいた。そのまま二つの身体は互いに引き寄せあい互いの身体をくっ付ける。
「生命帰還……超再生!!!!!」
するとそのまま身体がくっつきだす。いやそれだけでなく、今まで受けていた傷も瞬間的にふさがる。
「まさかそんな手があるとは……だがダメージは癒えてないでござる!」
そうして再び距離を詰めようとするジンエ。
「いいんだよ……この距離……お前の終わりだ!」
「「「「!?」」」」
そうして再び六王銃をジンエに向かって構えるルフト。しかしさきほどよりも距離が離れている。
「そこから届くはずが……!」
「ドラゴンアーム!!!」
「!?」
するとルフトの腕が巨大化する。いや腕だけを獣型に変化させたのだ。それにより大幅にリーチが伸び、避けらなくなった。
「しまった……拙者が距離を詰めようとするこの瞬間を狙って……!」
「六式体術……我流奥義!」
(これは……拙者の終わりでござるね。)
「龍王銃!!!」
その一撃を受けたジンエは、身体を炸裂させて終わった。
「や……やったのか?」
「やったのよ!ルフトが勝ったのよ!」
そのまま喜び合う皆。ただゼノヴィアとアーシアだけは複雑そうにジンエだったものの残骸を見つめている。
「ぜえぜえ……やはり超再生は桁違いに体力を消費するな……腹減った…。」
そのまま大の字に倒れ込むルフト。今回は消耗が激しかったようだ。
「貴様等ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「!!!」
何とその場に先程ジンエに倒されたと思っていたコカビエルが現れた!傷だらけだが、その気迫は先程よりも増している。
「死ねぇぇぇぇぇ!!!」
驚いた隙にコカビエルはルフトに光の槍を三つ放つ。それに込められたオーラは今のルフトでは耐えきれない程の力を持っていた。
「させない!」
「はあ!」
「お兄ちゃんを守る!」
しかし一瞬で正気を取り戻しリアスと朱乃とリリスが咄嗟にそれぞれの遠距離攻撃を放つ。リアスと朱乃の攻撃はコカビエルの槍と相殺するものの、リリスの攻撃は槍から外れる。
「しまっ……!」
(くそ……!身体が動かねえ!)
無情にも槍はルフトに迫る。
「ルフトーーーーー!?」
(まずい……マジで死ぬ!)
そのまま槍はルフトに吸い込まれる。
「炎戒‘火柱’!!!」
前に劫火の柱が槍を焼き尽くす。
「おいおいここでやられるなよ。お前をぶっ飛ばすのはおれだ。」
そして劫火の柱から男が現れる。その男は黒い短パンに上半身裸で笑い顔と哀しみ顔のマークが入ったメダルを頭の帽子に付けている奇妙な格好をした男だった。しかしルフトはこの男を知っていた。
「まさかてめえに助けられるとはな、火拳のエース!」
そう、この男の名はエース。かつて白ひげ海賊団の二番隊隊長にして海賊王の息子。その男が現れたのである。
~Nosideout~
オリジナル技
二重開翼剃刀
開翼剃刀の強化版。悪魔の翼とドラゴンの翼を使って行う剃刀。開翼剃刀よりもさらに速い。
獣厳砲
飛ぶ指銃撥の獣厳版。
生命帰還超再生
肉体の傷を瞬時に再生させる技。肉体の欠損部すら再生させれるが、ダメージは癒えない上に体力もかなり消耗する。
龍王銃
六王銃を獣型に変化させた腕で放つ技。リーチが大幅に伸びている上に威力は通常の六王銃の20倍。当たれば普通に死ぬ。