ハイスクールD3~悪魔の実の能力者は転生する~ 作:NCドラゴン
~エスへお一世side~
イッセ―だ……って渾名がひどくなってやがる!?
とりあえずルフトが雉もどきって呼称した男。軽々しく部長に触れようとしやがった!もっとも、部長に腕つかまれ握りつぶされかけたもんだから今はしぶしぶ諦めてやがる。
「いい加減にしてちょうだい!」
とうとう怒りだした部長の声が部室に響き渡った。部長はソファーから立ちあがり雉もどきを鋭くにらんでいる。雉もどきの方はにやけた顔のままだが。つーか気食悪い。
「ライザー!以前にも言ったはずよ!私はあなたとは結婚なんてしないわ!」
「ああ、以前にも聞いたよ。だが、リアス、そういう訳にはいかないだろう?キミのところの御家事情は意外に切羽詰っていると思うんだが?」
「余計なお世話だわ!私が次期当主である以上、婿の相手ぐらい自分で決めるつもりよ。父も兄も一族の者も皆急ぎすぎるわ!当初の話では、私が人間界の大学を出るまでは自由にさせてくれるはずだった!それに私は家を潰さないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ。」
「おお、さすがリアス!じゃあ、さっそく俺と……」
「でも、あなたとは結婚しないわ、ライザー。私は私の良いと思った者と結婚する。古い家柄の悪魔にだって、それぐらいの権利があるわ。」
雉もどきことライザーの言葉を遮り、部長ははっきりと言う。
途端にライザーの機嫌が悪くなり、舌打ちまでした。
「……俺もな、リアス。フェニックス家の看板背負った悪魔なんだよ。この名前に泥をかけられるわけにもいかないんだ。こんな狭くてボロい人間界の建物なんかに来たくなかったしな。というか、俺は人間界があまり好きじゃない。この世界の炎と風は汚い。炎と風を司る悪魔としては、耐えがたいだよ!」
ライザーの周囲に炎が駆け巡る。チリチリと火の粉が舞った。熱!
「俺はキミの下僕を全部燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れ帰るぞ。」
「斬腕。」
《ズバァ!》
「ぐ、ぐおぉぉぉ!?」
「次ふざけたことぬかすと首を撥ねるぞ。」
いつの間にかルフトが手刀で雉もどきの腕を斬ってた……つか手刀で!?すげえな!?
「お、おのれ……貴様!」
するとライザーの斬られた腕に炎が集まったかと思ったら再生した!?まじかよ!?
「ふん再生か……(マルコと同じ能力を……こんなクズが使ってると知れたらマルコも浮かばれねえな。)」
(まだ死んでねえよい!!!死んだのはおめえだよい!)
うん?特徴的な語尾をした人の声が聞こえたような……?
「ルフトさま、ライザーさま、落ち着いてください。これ以上やるのでしたら私も黙って見ているわけにもいかなくなります。」
静かに迫力のある声でグレイフィアさんがルフトとライザ―の間に割って入る。
「……最強の
……グレイフィアさんってそんなにすごいんだ……。
「別に貴様ごときならどうにでもなるが、さすがにリアスには迷惑かけられねえな……」
「……ありがとうございます。」
ちょルフト!?最強の女王様がごときあつかい!?しかもグレイフィアさんは怒るわけでもなくただ受け止めているし……。
「こうなることは、旦那さまもサーゼクスさまもフェニックス家の方々も重々承知でした。なので最終手段を取ることにいたします。」
「最終手段?どういうことグレイフィア。」
「お嬢さまが、ご自分の意志を押し通すのでしたら、ライザーさまとレーティングゲームにて決着をつけるのはいかがでしょうか?」
「……ふっ。」
その言葉を聞いた部長は笑みを浮かべる。
「そんな簡単な条件があるのなら、もっと早く言って欲しかったわねグレイフィア。いいでしょう。ライザーをレーティングゲームで終わらせてあげるわ。」
そんな言葉は予想していなかったのかグレイフィアさんがあっけにとられる。
「調子に乗るなよリアス。俺はすでに成熟しているし、公式のゲームも何度かやっている。いまのところ勝ち星のほうが多い。それでもやるかリアス?」
「やるわ。ライザ―あなたを消し飛ばしてあげる!」
そう言って睨みあう部長とライザー……けど部長のほうのプレッシャーが圧倒的に強い!ライザーが目をそらした。
「承知しました。お二人のご意思はこのグレイフィアが確認させてもらいました。ご両家の立会人として私がこのゲームの指揮をとらせていただきます。」
両者の意思を確認したグレイフィアさんはぺこりと頭を下げた。部長のプレッシャーに負けていたライザーが俺たちに目をむけていた。
「なあ、リアス。まさかここにいる面子がキミの下僕なのか?」
「だとしたらどうなの?」
部長が答えるとライザーは面白おかしそうに笑い出した。な、何がおかしいんだよ?
「これじゃ、話にならないじゃないか?キミの女王である黒雷光の巫女ぐらいしか俺のかわいい下僕に対抗できそうにないな。」
(こいつ……実力の差も分からないのか?それともこいつの眷族はこいつ以上に強いのか?)
そう言ってライザーは指をパチンと鳴らす。すると、部室の魔方陣が再び光り出す。魔方陣はライザーの時と同じフェニックスのものだ。
そして、魔方陣の中から続々と人影が出現していく。
(……どうやら実力の差も分からないらしいな。)
「と、まぁ、これが俺のかわいい下僕たちだ。」
堂々と言うライザ―の周囲には総勢15名の卷族悪魔が集結していた。
こ、これは……!
「お、おいリアス、お前の卷族が血涙流しているんだが……。」
全員女じゃねえか!しかも色々なタイプがいる!ハーレムじゃねえか!
「え、ええ、彼の夢はハーレムなのよ。」
「ほうなるほど……おい下級悪魔、貴様にこんなことはできないだろう?」
そう言ってライザーが卷族の一人を抱き寄せてキスをする。ぬおおおおおお!!!
「「「「…………。」」」」
そんな俺とライザーを侮蔑の瞳でみる部長たちの視線には気付けなかった。
「どうだ、おまえじゃ、こんなこと一生できまい。下級悪魔くん?」
「ちくしょう!だけどおまえみたいな女ったらしと部長は不釣合いだ!」
そう言っておれはライザー……いや焼き鳥やろうに指をつきつける。
「は?おまえ、その女ったらしの俺に憧れているんだろう?」
「うっ!!!」
「言い返されてるじゃないですか……。」
リリスちゃんのつっこみが耳に痛い!でも!
「うっ、うるせぇ!それと部長のことは別だ!そんな調子じゃ、部長と結婚したあとも他の女の子とイチャイチャしまくるんだろう?」
「英雄、色を好む。確か、人間界のことわざだよな?いい言葉だ。まあ、これは俺と下僕たちとのスキンシップ。おまえだってリアスに可愛がってもらっているんだろう?」
こいつ自分で英雄って……
《がし!》
「ぐがぁぁぁ!?」
『ライザーさま!?』
「おい雉もどき……。」
するとルフトは今度は焼き鳥の顔面を掴む……つーか握ってる……!
「貴様ごときが英雄を語るな。おれの知っている英雄は確かに貴様と同じで、自分勝手で我儘でテキトーでかっこつけて仕事を部下に押し付けて自分は仕事から逃げるような男だったが……。」
いやルフト、それほとんどその男と焼き鳥かぶってないぞ?
「だが貴様と違い、色に溺れることはなく慕われ、皆から憧れられていた!貴様が英雄を語るな!」
そういって焼き鳥から手を話すルフト。
「そうだそうだ!その通りだぜルフト!」
俺もルフトの言葉に同調する。
「お、おのれ……ミラ!こいつらをやれ!」
「はっ!」
そう言って根を持った少女に命令する焼き鳥!ここはおれが!
「でろ!
赤龍帝の籠手を使って迎撃しようとするが……。
「ふん!」
「げほぉ!?」
根の一発でやられちまった……ちくしょう……そのまま俺の意識が沈んだ。
~エロス一世SideOut~
~ルフトSide~
ルフトだ。エロス一世があっさりやられた。まぁ当然か。最近調子に乗ってるしいい薬になっただろう。
「次は貴様だ!はぁあ!」
そう言って根で突いてくるが……遅い。
「鉄塊‘空木’」
《ギィギィン!》
「ぐぅう!か、硬い!?」
鉄塊でカウンターしておく。碌に根も握れないだろうな。
「おのれ……お前等やれ!」
そう指示するが……
「ふん。」
《ぶうぅぅん》
覇王色の覇気で纏めて気絶させる。ついでに雉もどきも気絶させるか。
「……見事ですね。纏めて気絶させるとは、ですがこれ以上はおやめください。」
メイドに注意されたが……まぁいい。
「分かったよ。残りはレーティングゲームでやるよ。」
「ではレーティングゲームは10日後でよろしいでしょうか?リアスお嬢様?」
「私はいますぐにでもいいのだけど?」
「ライザーさまがたがこんな状況ではレーティングゲームは行えません。」
「……分かったわ。10日後ライザー達を消し飛ばしてあげるわ。」
「それでは私はこれで……。」
ん?帰るのか?なら。
「起きたらそいつに伝えておけ。[貴様には、おれの世界の地獄を見せてやる]とな。」
「……分かりました。ではこれで。」
そう言って気絶した雉もどきどもと一緒に消えるメイド。……さて、
~ルフトSideOut~