「や、やっと着いた…」
「ああ、そうやな…」
わいとキリトは、なんとか次の村である《ホルンカ》に日付が変わる前についた。
キリトはこの村までぶっ通しで走って疲れておるな。
わいか?全然大丈夫や。無基ネットで鍛えられた鋼の精神を舐めたらあかんで。
勿論、肉体的な疲れはないが、キリトはずっと脳が走れという命令をしていたので疲れたのだろう。仕方あらへんβテスターでもここまで焦ったのが初めてやろうし、しかもデス・ゲームになったことでさらに精神に疲れがおおきくなったんだろうと思われる。
周りを見ると誰も居ないことからわい逹が一番乗りのようやな。
「もう時間も遅いし、宿屋に行って寝てゆっくりしよ?」
キリトが宿屋で睡眠を疲れを取りたいらしいが、
ぶっちゃけ、あんまり疲れが溜まっとらんしな。
「おう、よかで」
キリトを休ませたいし、夜にモンスターを蹂……狩りに行きますか。
「それじゃ、案内よろしゅー」
「りょーかい」
キリトに連れられて来た宿屋は一泊80コル…あの狼どもをぶっ飛ばした金で足りるな。
「んじゃ、明日は昼頃でいいよかよな?」
「うん、そのくらいでOK」
そんなことを言いつつ部屋に入る。…ちなみに部屋は勿論別だ。
って、なんで一緒じゃあらへんのや! わいは彼女を守らねばならんのだよ!!
全く下心はないッ!! 確実にイノセンスな感情だッ!!
とイノセンスな下心しかないシャウトをかろうじて我慢する。わいがピノキオだったら多分、鼻が東京スカイツリー並みに伸びているだろう幻覚がでていた。
※当たり前です
今日…いや、もう昨日か。この村に来るまでに手に入れたアイテムの整理をする。
今日キリトに聞いて要らないものは売ってこれからの予定だ。
「ふう…」
茅場のデスゲーム宣言から一日。
やはりここまで来れたのは、キリトの力が大きいだろう。SAOはネットで見て必要なクエストを覚えている程度、
実際やらないとわからんことも多い。死ぬことはあらへんけど時間がかかる。キリトちゃんのおかけで一日の内に先の村え拠点を構えられた。
…状況が安定したら何かお返しするべきやろ。
女性の施しを受けるのはわいがすたるからできれば遠慮したいわい。
そんなことを考えながらゆっくりと眠りにつく
わいが起きたのは、朝、いや昼かもしれない。メインメニューを開いて確認する。
(十時四十分かいな…)
なんとも中途半端な時間である。
(少し村を見て回るかいな…)
武器はキリト曰く、一層最強の片手剣が手に入るクエストがこの村で受けられるらしい。
村を見て回るとβテスターがちらほら見えてきて時間を確認し、時計を見ると十二時二十分、そろそろいい時間だろ。
わいは、宿屋に戻った。
「おーい、キリト起きとるかいな?」
扉にノックして
…反応がないな。
ログインする前に見たバラエティー番組を思い出す。確か、寝ている芸能人をバズーカ砲を模したアイテムで強引に起こすというやつだ。
バズーカ砲はないから、武器同士をぶつける金属音で我慢するかいな。と思い、最終警告のつもりで叫んだ。
「まだ寝とるんかい?もうおひるやでー!」
さっきよりも強く扉を叩く、すると、
『ご、ごめんニケ!ちょっと待って!』
と言われて待つことにした。むふふなことを考えて、待つこと数分…
「お待たせ、ニケ」
「ああ、ほんとにな」
キリトが、
「装備や必要な物はまだ買っていないの?」
「まあ、そうやけど」
「あ、あの、じゃあ私の装備買うの付き合ってくれない?」
ちょっと不安そうに聞いてくるキリト。
その仕草に、わいは
うええええええええええええええええええええええいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
心からの叫びながらタップダンスをする。
そして、心の中で踊りながら落ち着く。
よく考えるんだ。誘われるときはどんなことがあるかを。
は、あれか!前何度かあったなこんなこと。同級生にさそわれたとき奢らせられたこと。
※実際は同級生とその姉妹が美少女やったから自分からおごった。
だがな、こんなええもん見せてもらって何もしないなんて、男がすたるわい!
「ええで。ちょうど防具など変えようおもっていたさかい、まさかおごって欲しいんか」
それしかないやろ、いやそうするしかないわ!
しかし、キリトはそんなこと考えてなかったのか、怒ったように頬を膨らませる。
うん。その顔すら可愛い。
わいがデス・ゲームに参戦したのは彼女に会うためだなと本気で思った。
しかし、キリトはわいの思考に気づくはずもなく、
「出さなくていいから!!行こ!」
とわいを強制連行した。
まさか、間違えた…だと………でもキリトの顔をプーと膨らませるの。ごっさんです。
「ここだよ!」
武器屋について早速いらん物を売りコルに変えて装備を買う
「うーん、どうしようかな…」
キリトが悩むことしばし……わい?わいはちょくちょく話しかけて選んだり選んだで
「決めた!これにする!」
そう言ってキリトが選んだのは茶色の革のハーフコートだ。
わいは少しだけ残念に思った。せめて、インナーも買って欲しいと思う。
なぜなら、コートは羽織るだけであろから!!
何度目かわからない心の中のシャウトにうんざりしたようにわいは首を左右に降った。
……どうでもいいけど、キリトって普段おとなしいのに、こういう時ハイテンションだよな。
わいは青いインナーに、鈍い銀色の胸当てに左手だけ手甲を着けて、更にそのうえに灰色のフード付きローブみたいなのを着ている。
あと、道具屋でポーションなど揃える。
「ニケ、決まったよ」
「こっちもやで」
準備はしっかりして答えた。
「んじゃ、いよいよ一層最強の片手剣とかいうのを獲りに行くんか?」
「うん、そうだね、そうしよっか」
「で、どこ行けばええんや?」
「クエストを受けられる場所は村の更に奥なんだ」
「げっ…めんどくせぇなぁ……」
更に奥って……この村どれだけ広いや?
「しょうがないでしょ…ほら、行こ?」
手を掴まれて引っ張られる。
おっしゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
手袋越しに伝わるその感触に狂喜乱舞する。しかし、無機ネットで鍛えた鋼の精神でそれを一ミリたりとも表情に出さない。
「どうしたの、ニケ。さっきから気難しい顔をして。何かあったの?」
下から不安そうな顔で覗き込んできたキリトの表情に、鋼の精神が崩れる音が聞こえたのは気のせいではないだろう。
キリトの仕草がごっつ萌えるわい ( ´∀`)