漢王朝が領土としている中華の丁度中央あたりに位置する荊州。南陽郡、南郡、江夏郡、零陵郡、桂陽郡、武陵郡、長沙郡の七郡を管轄しているかなり大きな州でもある。そんな荊州の片田舎。人里からも離れた森の中に、とある屋敷があった。
普通の民家のおよそ十倍はあるであろう建物とさらに広大な土地を、漆喰の白い塀が囲っている。塀の高さはかなりのもので、大人であろうとも易々とは侵入できず、出入り口は東側の門一つだけ。太陽が沈みつつある時間帯、夕闇が迫り邸内には幾つもの箇所で篝火が焚かれていた。もっとも大きく広い母屋以外にも幾つか離れが存在し、敷地の端には幾つかの倉が建てられている。
そんな母屋の一室。この屋敷の主である一人の女性が正座をして机に乗せられている報告書に目を通していた。さらさらと背中にまでかかる蒼い髪が特徴の
書簡の内容。それは今はこの屋敷を離れた生徒の一人から送られた物。荊州の片田舎かつ山奥にあるこの場所では中華の情報が全く入ってこない。それ故に、外へと仕官した生徒の伝手を頼り、時折こうして書簡に纏めて送って貰っているのであった。内容は、先程も語ったとおり中華における大小関係なく起こった出来事。そして、とある人物の情報である。その人物とは言うまでもなく、李信永政という男についてだ。生徒としても、男を寄せつかない鉄の女性の印象が強い師が、ここまで拘ることに驚かされているが―――これを送らないと機嫌が悪くなるのだから始末が悪い。司馬徽は最高の書物を読み終えた後のような幸福感に包まれて、頬を若干薄桃に染めている。
「やはり李信殿のことに関して良く見聞きしているのは徐庶のようじゃな。上手く書かれているのぅ」
送ってくる書簡によって書く人間が違うのだから受ける印象は異なってくる。その中でも特に司馬徽の心に訴えてくるのは徐庶である。今まで育ててきた生徒の中でも五指に入る優秀な人材で、文武両道な少女。今はこの屋敷を離れ、中華を放浪して回っているという。自分が求める主君を探し回っていると言っていたが、どうやらこの調子ではまだ見つかっていないのだろう。
荊州の山奥にほぼ隠遁状態の彼女ではあるが、李信のことに関しては情報を集めることは怠ってはいない。司馬徽という人物は基本的には優秀で秀才とも言える女性なのだが、こと彼に関しては病的なまでに偏執している。誰が何を言っても耳を貸さないところがあり、そこは生徒達からも少し気味悪がられていた。
「
くっくっく。と自分のことのように喜びの声を上げる司馬徽。張純とは元中山郡の太守を勤めていた男である。とある問題を起こし逃亡して烏桓族の大人である丘力居の配下に入り、弥天安定王と自称し、三郡に渡る烏桓の総指揮者となった。そして青州、徐州、幽州、冀州の四州に攻め入り、多くの役人や民衆を殺し略奪を行なった。厄介極まりないその張純率いる烏桓族を一万の兵を持って壊滅させ、首級をとる。唯一の主君と定めた男の幾度目になるかのとてつもない武功に下腹部がキュっと悲鳴をあげた。彼が表舞台に出てきたときから信じられない武功の連続である。涼州の韓約の乱から始まり、漢王朝への反乱を悉く潰し、中華を侵略してくる北方の羌族、鮮卑、烏桓などの異民族を壊走させる。本来であるならばそちらと国境を面している州は異民族からの侵略に日々苦しんでいるところだが、被害は激減している状態だ。流石に面している土地が広すぎるため、全てを防ぐことは出来ないが、彼の名声は北方に住む者達にとっては知らぬ者がいないほどに広まっている。
何時までもこの幸福感に包まれていたいと思う司馬徽ではあるが、そう言う訳にもいかず、書簡を戸棚の中へといそいそとしまう。しまい終わったその時、部屋の外から自分を呼ぶ声が聞こえた。声からして間違いなく自分の生徒であることを確信。師として浮ついた自分を見せてはならないと、パシンと軽く己の頬を叩くと気持ちを入れ替えた。自分の席へと座って、コホンっと咳払い。背筋を伸ばし入室の許可を出す。
それを合図として二人の少女が部屋へと入ってきた。二人は司馬徽と向かい合うようにして床に座る。
司馬徽の前に平伏している少女のうちの一人は龐統士元である。数年前に比べると多少は……本当に多少だが成長している。三角帽子を被っているのは以前と同様、もともと長かった髪であったが、この数年でさらに長く伸ばしたのか座った状態だと薄蒼の長い二つ結いの髪が床につきそうだ。自信がなさそうな表情は全く変わってはいなかった。
もう一人の少女は、龐統と然程年齢も背丈も変わらない。短いさらさらの金の髪。帽子を被っており、髪には大きな翡翠色の髪飾り。龐統のようにどこか脅えた様子は見られずに、落ち着いた姿で司馬徽の前にて平伏している。司馬徽が教師として指導してきた中でももっとも優秀な、そして最後の生徒となる二人。その二人が司馬徽の前である許しを得ようとしている。とはいっても、彼女達の願い、悩みは以前から相談されており、受け入れてはいる。だが、筋を通す彼女達らしく、最後にもう一度司馬徽に挨拶に来たのだろう。なんとも可愛い生徒であるのか、と苦笑しながらも彼女は幾度目になるかの答えを金髪の少女へとかけた。
「ワシに許可をとる必要などないぞ。既にお主達はこの学院を卒業した身。自分の好きに行動すればよい」
「……政争、戦争に関わる事を避けている水鏡先生の教えに従えず申し訳ありません。ですが……」
「よい。みなまで言うでない。それにお主は一つ勘違いしておるのぅ」
「……勘違い?」
千里先を見通すであろう自分の弟子が、キョトンとしている顔が少し愉快で苦笑する。パンパンと羽毛扇を右手で持ち、左のてのひらを軽く叩きながら司馬徽は続ける。
「ワシは別に戦争も政争も否定はしておらぬ。ただ故あってあまり目立つことはしたくなかったのじゃ。ここ数年、我が生徒達を指導するのにも忙しかったしのぅ。だからお主がそのことを気にする必要などないぞ」
生真面目な少女を気遣って、ふふっと笑う司馬徽に、黙って頭を下げる少女。十秒近くも平伏していた彼女に、司馬徽はふと気になっていたことを問い掛ける。
「それで……お主は仕えるべき主はもう決まっておるのか、
諸葛亮孔明。それが少女の名前であった。
荊州にて腰を落ち着かせた司馬徽は、かつての願いどおりに私塾を起こすことにした。最初はこれぞ、と司馬徽自身が才ある者を見つけて生徒にしていたのだが、ここを卒業した者は大層優秀かつ勤勉で取り立てられた上役の者からも評判よく、何時しか多くの者が門戸を叩く有名な私塾となった。もっとも、水鏡先生と呼ばれる司馬徽の御眼鏡に適った者のみが入塾できるという点には変わりはないが、兵法や経済のみならず、算術や地理、農政……そのほかありとあらゆるものが勉強できる学び舎として水鏡女学院の名は荊州以外の他の州にも名が知れ渡っている。その私塾において、間違いなく歴代でも一、二を争う優秀な人材―――それが今司馬徽の目の前にいる少女でもある。間違いなく文官軍師として見ても、司馬徽は彼女が自分の遥か上に行くと理解していた。聡明叡智……願わくば唯一の主と決めている
「いえ……まずは中華を旅して周り、仕えるべき主を探したいと思っています」
「そうであるか。まぁ……お主ほどの者だ。如何様な相手でも喜んで迎え入れるであろう。ゆっくりと探すが良い」
中華にて名を轟かせている才ある者はここ数年で増えてきている。
例えば涼州で一大勢力を誇る馬騰。その娘である錦馬超。他馬一族。彼女達と懇意にしている傅燮や、慈愛の王とも称される董卓とその軍師である賈詡文和。県令として民から磐石の支持を集める曹操孟徳と配下の夏侯姉妹。孫武の子孫とも自称し、それが許されるほどの戦上手で江東の虎と謳われる孫堅文台。数多くの武官文官を擁し、膨大な軍事力を保有する袁紹本初。その他にも数え切れないくらいの英傑がこの時代には存在している。如何に孔明といえど、聞いた限りでは判断が難しいというのもあるだろうし、実際に見てみなくては彼らの器も計れない。全ての者にあってから誰を主と仰ぐか決めればいい。諸葛亮孔明にはそれが許されるだけの才覚が確かに存在しているのだから。それよりも、だ。と短く呟き司馬徽は目を細めて隣にいる龐統へと視線を移動させる。
「
それは重い……とてつもなく重い言葉であった。部屋中の空気が急に質量を増していき、代わりに粘着性のある黒い水が流し込まれる。陸上で溺れるような違和感。異質感。それに包まれる二人が、かふっと何度も咳き込みを繰り返す。気当たりの本命は龐統であり、横にいる孔明はただの余波でしかない。それなのにここまでの息苦しさを感じることに、孔明は改めて師の恐ろしさを知った。軍師として知恵を絞りあって渡り合えば間違いなく自分が勝つであろうが、それでも
「は、はい……朱里ちゃんと……一緒に、行きます」
「―――そうか」
ふと部屋の空気が軽くなった。自分たちは何時もどおりの部屋にいる。これまでが全て幻覚であったことに、当たり前だと思いながらも安堵した。だが、司馬徽の怒りがおさまった訳ではない。そこにあったのは失望だ。もはや全てがどうでもいいと、お主の好きにしろと言わんばかりの師である水鏡先生に、孔明は首を捻る。自分に対してはここまでではなかった。なのに、友人である龐統―――雛里に対しては明らかに対応が異なっている。いや、彼女に対して幻滅までしているのではないか。師らしからぬ態度に、孔明が口を開こうとするも、司馬徽は話は終わりだと言わんばかりにくるりっと背を向け机に向かう。拒絶する彼女の背中になにを語ればよいのかわからず隣の友人の様子を窺うと、きっと悲嘆にくれていると考えていた孔明の予想を覆し、どこか腹を決めた表情をしていた。
「あ……雛里ちゃん?」
「ごめんね、朱里ちゃん……後で行くから先に部屋に戻っててくれる?」
諸葛亮孔明―――真名は朱里。龐統士元―――真名は雛里。互いに真名を呼び合う水鏡女学院で、否。人生で最高の友人同士。気が弱い彼女の、龐統のこんな姿は初めて見た。自分が知らなかった一面に、気圧され思わず頷いた孔明は友人を気にしつつも礼を取るとこの部屋を後にする。孔明がいなくなって一分が経った。二分が経った。一向に話を切り出さない龐統を気にせずに、机の書簡を片付けていく司馬徽だったが、遂に覚悟を決めた龐統が頭を下げた。
「先生には謝ることしか出来ません。ここまで育て導いて下さった恩を仇で返すような真似をして……」
「よい。それがお主の選択ならば、ワシは何も言うことはない」
冷たくも龐統の謝罪を切って捨てる。数年前に命を救われて以来彼のための、彼のためだけの最高の軍師を育て上げる。その結晶が龐統だ。彼女を全力で鍛え上げ、かつての言に違わぬ智の怪物を創りあげる事が出来た。だが、肝心の龐統が孔明とともに旅に出るという。人生の虚しさ儚さを感じたとしても無理はなかろう。こうなれば他の生徒の誰かを李信へと献上し、この腹掻っ捌いて詫びねばならん……そこまでの覚悟を抱いた司馬徽は、徐庶にすべきかそれとも向朗を連れて行くか。どちらを再度鍛えなおすか考え始める。門下生の二人にしてみればとんだとばっちりである。
「……朱里ちゃんは、とてつもない軍師だと私は思っています」
司馬徽の思考を遮る龐統がポツリと呟いた。
「先生のもとで学び始めて数年。その私に二年程度で追いついたあの娘が、純粋に
自画自賛ではない。幼く見えるが龐統に比肩する者など、探す方が難しい。ある目的のためだけにひたすらに司馬徽のもとであらゆる学問兵法を学んだ彼女は実際に、水鏡女学院で歴代一位の記録を残し続けてきた。彼女を仕官させてほしいという誘いはそれこそ星の数ほど司馬徽のもとにも来ていたが、それら全てを彼女は突っぱねていた。そこに割って入ってきたのが諸葛亮孔明である。
「……多分ですけど、私が負ける相手がいるとすれば……それは朱里ちゃんです」
互いに切磋琢磨してきた彼女達。意識はすれど、孔明と龐統の二人の間の友情に偽りはない。
「だから、怖いです。あの娘が、本当に怖いです。負けるということが私は本当に怖い。私が敗北するということは、
李信様、という名前にピクリっと反応した司馬徽はそこでようやく龐統へと振り返った。
「……お主何を考えている」
「私は朱里ちゃんと一緒に旅に出ます。そして旅のさなかに李信様のことを彼女の心に、頭に刻み込むつもりです。仕えるべき主として。それに値する人物だと」
ですが……と龐統は途中で言葉を切って首を振った。
「恐らく、朱里ちゃんは……李信様を主とは定めないと思います。あの娘は完全です。完璧です。完成されています。その点では李信様に似通っている部分があると思うんです。
それに諸葛亮孔明は語ったとおり軍師としては満点だ。十全であり、欠点がなく、金甌無欠にして完全無欠。故に彼女は理想を追っていた。綺麗で美しい、キラキラと光を放っている人としての究極の願望に恋焦がれている。そして同時に自分の能力を活かすことに飢えている側面がある。軍師泣かせのあの李信の下で果たして彼女は満足できるであろうか。いや、恐らくは自分の必要性に疑問視することだろう。何せあの李信―――洛陽で離別して僅か数年で既に将軍位に上り詰めていると噂話に聞いた。しかも一度彼が戦場にでれば異民族は逃げ散り、城に篭っている勢力は城門を開け放って地面に頭を擦りつけ敗北を受け入れるとも言われている。最初その噂話を聞いたときは、なにそれとも思ったが―――可能性的にありえてしまうのが恐ろしい。
「……でも、それでも脅威です」
もしも孔明と龐統が互いに分かれて戦ったらどうなるだろうか。
戦力的に互角ならば恐らくは勝敗は時の運に左右されるだろう。二人の能力にはそこまでの差が存在していない。
「その為に、私は見極めなければいけないんです。朱里ちゃんが……諸葛孔明が、仕える主を。その勢力を」
見極めた後に、李信の下へと馳せ参じる。彼女が所属する軍のあらゆる情報をかき集めて、勝利の一助とするために。例えどれだけの罵倒を浴びようと、友情が壊れようと、それで勝てるのならば安いものだ。
龐統が真っ直ぐと、嘘偽りのない眼で静かに告げた。司馬徽はそれが龐統の真の言葉であると理解するも、唯一気になった点を龐統へと問い掛ける。
「お主の覚悟、見事じゃ。だが、結局はお主は孔明と敵対することになるぞ。それでも良いのか?」
「何を言ってるんですか、先生」
司馬徽の自身でも少し意地悪な問いとは思いつつも、そこはやがて来る時のことも考えてはっきりさせねばなるまい。そんな考えを持った質問であったが、対する龐統は何を気にすることがあるのかと言った表情で―――。
「
我が全ての叡智にかけて。
本気だと司馬徽は悟った。龐統は真名を交換し合った友を相手に、一切の手心を加えることなく、言葉通り全力をもって粉砕することであろう。気弱で、常に人に脅えていた彼女をここまでに成長させたことに、罪悪感を抱くも、それも詮無きこと。彼女を歪ませてしまったのは自分なのだ。そしてそのことを恥じることはなく、逆に誇りにすら思う。この自分が、秀才どまりの司馬徽が、龐統士元という名の怪物を誕生させることができたのだ。
「お主の考え、確かに理解した。お主の好きにするがよい」
真の意味で司馬徽から許可を得た龐統もまた一度頭を下げて退出する。シンと静まり返る部屋。時折庭で鳴く虫の音が耳朶を打つ。そんな静寂を打ち破る、愉しげな笑い声が木霊した。勿論発生源は司馬徽である。
「くっくっく……あっはっはっはっ!! よくぞ、よくぞあそこまで成長したものじゃ。あの龐統が、ワシの影に隠れることしかできなかったあやつが!! なんと見事なものか!!」
龐統の考えは正しい。諸葛亮孔明は、恐らくではなく間違いなく李信を主君と仰がない筈だ。あれは戦乱を生き、戦乱を行く者。戦に愛された戦場の申し子だ。必要とあらばなんの躊躇いもなく武を行使する。孔明とは排他的な関係しか形作れないであろう。だが、龐統の言うとおり、彼女は一種の怪物である。李信を追い詰めることが可能な数少ない存在だ。それは師である彼女がもっとも理解していることだ。彼女の策謀は、或いは李信すらも絡めとるやも知れない。だが、龐統がいれば絶対にそんなことはさせないだろう。
諸葛亮孔明……それは謀聖とも呼ばれし軍師の極み。何人たりとも追随を許さない智の結晶。
だが、友である龐統だけが唯一彼女を凌駕できる可能性を秘めている。本人は孔明を脅威だと言ったが、司馬徽からしてみれば龐統のほうが余程恐ろしい。
「
臥竜鳳雛。
臥竜は目覚めていない竜。それは即ち諸葛亮孔明。
鳳雛は中華に伝わる伝説上の鳥、鳳凰の雛。それは即ち龐統士元。
孔明と龐統を指して司馬徽が例えた言葉である。だが……。
「龐統……既に鳳凰の器であるか」
教え子の進化に、司馬徽は白扇を広げ何時までも楽しそうに笑っていた。
▼
翌日、孔明と龐統が旅立つ姿を見送った司馬徽もまた屋敷にて以前から準備していた荷を持って、数年世話になった屋敷から出立しようとしていた。既に生徒たちは皆が様々な主君に仕え、それぞれの道を歩んでいる。最後の生徒として取ったのが孔明であり、かねてより計画していた通り、もはや屋敷に残っている者は誰もいない。突然いなくなることに、心配する者もいるだろうと考慮し、所在が確認できるかつての塾生達には書簡を送って心配ない旨を伝えている。
数年の間引きこもっていた屋敷から旅立った司馬徽は、どこまでも続く蒼天を見上げた。目指す先は随分と遠い。どれだけかかるかわからないが、それでも心が躍っている。数年前は、最高の軍師を育て上げ李信に捧げる事で恩に報いることを心に決めた。だが、自分はまだ随分と若かったようだ。
司馬徽徳操とは秀才である。努力の人だ。孔明や龐統のような万人を奈落に突き落とすほどの天才とはいえない。精々が一流止まり。それ故に彼女は諦めようとした。だが諦めきれなかった。故にひたすらに努力を続けた。優秀な人材のみを生徒としたのもそのためだ。怪物揃いの生徒達に負けないように、呑みこまれない様に努力を繰り返す。成長していく生徒達をも教材とし、ありとあらゆるものを吸収して、司馬徽は成長し続けた。天才達との日々の切磋琢磨―――それが司馬徽の膨大な経験値となって蓄えられていった。
今の自分であるならば、天下に名を轟かせる軍師とも渡り合えるだろう。だが、きっとそれでも龐統や孔明には届かない。故に彼女は決めている。李信に仕えた際、自分は彼の
短編も弾がつきかけ始めました。
あと孫呉の血脈をプレイしはじめたのでそのうち孫呉の短編を投稿するかもしれません。