とある魔眼の創造能力(クリエイティブアビリティー)   作:大神

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第二話

「上条ちゃん、上条ちゃん。今日、何の日だかわかってますか?」

 

ピンク色の髪の少女が二人の少年に声をかける。

 

「「どっちのですか?」」

 

「あ、恭麻ちゃんのほうです」

 

しかし、少年は二人とも『上条』というらしく、どちらかと聞かれて、少女は『恭麻』という眼帯の少年の方だという。

 

「どうしたんですか、小萌先生。今日は、ただの平日だと思いましたが?もしかして、やっと十二歳の誕生日ですか?それはおめでとうございます」

 

「失礼な!私はもうとっくに三十は超えてます!」

 

そう。この少女、月詠小萌は、正真正銘の三十路をとうに迎えた大人である。現在は『学園都市』の高等学校の教師をしている。

 

 

―――『学園都市』とは東京西部の未開拓地を一気に切り開いて作られた、文字通り学生の街。人口二百三十万人。その八割を学生が占めている。そして、その数の四割は『能力者』の数である。『能力者』とは、呼んで字の如く、『外』の住人にはない能力を使う者達の事である。そういう人間がこの『学園都市』にはごまんといる。―――

 

 

「じゃあ、なんだっていうですか?今日は特に何も言われてなかった気がするんですが。なあ、当麻」

 

「ああ。何にもいわれてないな」

 

「なに言ってるんですか!今日は恭麻ちゃんの『身体測定(システムスキャン)』の日だって前々から言ってるじゃないですか!」

 

「「あー」」

 

 

―――『身体測定』とは『能力者』のレベルを決定する検査である。項目は

無能力者(レベル0)

学生の六割方はこれに当てはまる。例外を除いて『全くない』という訳ではないが、能力的には落ちこぼれのことを指す。

低能力者(レベル1)

多くの生徒がこれに属し、スプーンを曲げられる程度の能力である。

異能力者(レベル2)

レベル1と同じく日常ではあまり役に立たない。

強能力者(レベル3)

日常では便利だと感じる程度、能力的にはエリート扱いされ始めるレベル。

大能力者(レベル4)

軍隊において戦術的価値を得られる程度の力。

超能力者(レベル5)

『学園都市』でも七人しかいない、一人で軍隊と対等に戦える程度の力。

絶対能力者(レベル6)

まだ一人として辿り着いた者の居ないレベル。無敵な存在になれるとされている。

と、このように能力のレベルは七つの項目によって分けられる。

しかし―――

 

 

「まったく、恭麻ちゃんたらまだ一回しか受けたことしかないじゃないですか!」

 

「お言葉を返すようですが、小萌先生。俺だって受けたくないわけじゃあありません」

 

「でしたら「ですが!」」

 

「俺は受けたとしても全ての項目が『?』じゃあ受ける気がなくなりますよ!何故なんです!?何故ですか!?何故なんだ!?三段活用!」

 

「お、落ち着け、恭麻。小萌先生が涙目だぞ」

 

眼帯の少年は『身体測定』の結果に不満だと大声を上げ、ツンツン頭の少年はそれをなだめる。

 

「当麻はいいよな、『無能力者』でも結果が表示されるんだから。俺だって、自分の能力値を知りたいよ」

 

「それは遠回しに俺のこと、馬鹿にしてないか?」

 

「とにかく、俺は俺の数値が表示される機器が開発されないと受けません!」

 

眼帯の少年は自分の要望が通らないと断固として行かないと言い張る。

 

「そ、そんな~!」

 

「ま、まあ、いってみろよ、恭麻。今日は表示されるかもしれないぜ?ぜ、前回は運が無かったんだって」

 

ツンツン頭の少年はピンク髪の少女の如く小さな女性が眼帯の少年に懇願しているのを見かねて一緒に説得した。

 

「・・・・・・はぁ。わかりました。降参です。今回は当麻に免じて行くことにしますよ。でも次回は俺の要望を飲んでもらいますよ?」

 

「!はい!わかりました次回は要望を通しておきます!」

 

眼帯の少年はどうにでもしてくれというようにため息を吐き、ピンク髪の女性は目をきらきらさせながら頷く。

 

「何処に行ったら良いんですか?」

 

「あ、私が送っていきますので安心してください」

 

「ゑ?今なんと?」

 

「ですから、私が送っていきますので安心してくださいと」

 

「それは寧ろ安心出来ないかもなんですが?」

 

「うぅ、酷いです・・・・・・私だってちゃんと車運転できますもん。事故なんてしないですもん」

 

「はぁ、わかりましたから泣かないで下さい。そんなことするから身長以上に子供に見られるんですよ?」

 

「それは遠回しに私のこと子どもだって言ってますよね?」

 

「さあ?」

 

「うわーーーーーーん」

 

ピンク髪の女性は泣きながらどこかに行ってしまった。

 

「ってことで当麻。行って来るからノート後で写させてくれ」

 

「ああ、それは良いが、小萌先生はあれで良いのか?」

 

「大丈夫だ。次ぎ合った時は、満面の笑みで迎えてくれる。ご都合主義だから」

 

「そ、そんのもんなのか?」

 

「そんなもんだ。じゃ、俺行くから。授業中寝るんじゃねえぞ?」

 

「善処する」

 

――検査会場――

 

「上条君ですか?私、検査官の中村って言います。それではどうぞこちらへ」

 

「はい」

 

「じゃあ、終わったらそのままおうちに帰って良いですよ。それでは頑張って高レベル出してくださいね!先生期待してます!」

 

「はいはい。頑張ってきますよ。まあまず表示されなきゃいけないんですけどね」

 

そのままピンク髪の女性は乗ってきた車に乗り、行ってしまった。それを見送った眼帯の少年は検査会場のプールに連れて行かれた。

 

「こちらでどうぞ。このプールには水道水の代わりに、学園都市最新の衝撃剤を入れさせていただきましたので、全力でやってもらって構いません」

 

眼帯の少年は水の代わりに衝撃剤を入れてあるプールの飛び込み台の上にたった。

 

「いつでも始めていただいて結構です」

 

「ではいきますよ」

 

眼帯の少年は眼帯を外し、充分な衝撃剤が含まれていることを把握(・・)して、衝撃剤が(・・・・)耐えられる最大限の力で攻撃を放った。

 

ゴドーーーーーーーーーーンッ!

 

 

―――しかし、ここに常識を覆した少年が一人居た。―――

 

 

「えーでは、上条君、記録を発表します。

 被験者、上条恭麻。

 記録――

砲弾初速???m/sec

 連発能力???発/min

 着弾分布???mm

 総合評価???」

 

「だあ!またかこんチクショウ!」

 


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