とある不幸なソードアートオンライン   作:煽伊依緒

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第四話(第五話)です‼
今回の話は前話よりも早く仕上げました・・・・・・
いつもより誤字や脱字、表現の間違いなどがあるかもしれません・・・・・・
そういった事がありましたら、感想までよろしくお願いします‼


第四話《撤退と恐怖》~引き金~

「今・・・・・・ボス戦って言ったか?」

 

上条は今キリトが言った言葉がいまいち理解できず、聞き直していた。

いや、理解はできていたのだろう・・・・・・ただ理解したくないだけで・・・・・・

 

「ん?そう言ったけど・・・・・・いや、そんなに意外な事か?毎層一週間くらいすればボス戦はあるんだぞ?」

「ああ、そうだったな・・・・・・」

「まあ今回のはスピードが無茶苦茶早いけどな」

 

上条は語尾をあいまいに濁し、うつむいた。

前回のボス攻略では死者が出たらしい。

昨日泊まった宿でキリトがそう言っていた。

 

「まあとりあえず一度主街区に戻るか」

「・・・・・・わかった」

 

キリトは上条の元気がないのを少し気にしながらも洞窟の出口へと向かった。

上条もそのあとに続きながら歩く。

 

「あっそうだ、言い忘れていたことがあるんだけど」

「ん? ・・・・・・何だ?」

 

キリトはそこまで言うと一度言葉を切り、ウインドウを開いた。そして、何かを書いたかと思うと上条にそれを見せてきた。

 

「なんだこれ?」

 

そこには安価なものから高価なものであり、どれもアイテム類だった。

 

「これ何に使うんだ?」

「いや、ボス戦に決まってんだろ」

「・・・・・・はっ?ボス戦って俺も行くのか・・・・・・?」

「当たり前だろ?」

 

上条はてっきりボス戦には出ずにお留守番だと思っていたため、その言葉は意外だった。

 

「そうか・・・・・・でも俺がいて足手まといにならないのか?・・・・・・」

「レベルが70もあって、かつさっきまでの戦闘テクからして全然問題ないと思うがな・・・・・・」

 

キリトがそこまで言うと、視界の先に主街区の町並みが見えてきた。

 

「とりあえず俺が教えたアイテムを全部集めてポーチに入れておいてくれ」

「わかった。それ以外に何かしておくことはあるか?」

「んーと、とりあえずスキルを少し変更しておくことくらいだな」

 

キリトはそこまで言うと伸びをしながら主街区に入っていく。

 

「んじゃ俺これから少し予定があるから少し自分でやっておいてくれ」

「ん、わかった。集め終わったらメールする」

「おう、そうしてくれ」

 

キリトと上条はそう言うとそこで別れた。互いにボス戦への覚悟を胸に抱きながら・・・・・・

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

―――二時間後

町中を走り回って汗だくの状態になりながらもキリトから言われたアイテムをすべて集め終わった上条は、キリトに転移門前の広場にいるとメールを送りベンチに座っていた。

 

「あ―疲れた」

 

上条は両腕をぶらりとベンチの裏側に流し、頭を上に向けて空を眺めていた。

空はどこまでも青くここがVR世界だということを忘れさせるようだった。

 

「今日はアインクラッドの中の最高の季節の、さらに最高の気象設定ってな」

 

上条は上を見上げていた頭をさらに後ろへと下げるとそこには、逆さまになったキリトがいた。

 

「へー、季節とか気象とかってここでもあるんだな」

「もちろんあるさ、たまに雨だって降るし冬には雪も降ったり・・・・・・」

 

キリトはそこまで言うとおもむろに語尾を濁した。

 

「ん?どうかしたか?」

「いや何でもない・・・・・・気にしないでくれ・・・・・・」

 

キリトはそう言ったが、彼の暗い顔からして何か嫌なことを思い出したということは容易に想像できた。

 

「よし、疲れたことだしなんか食いに行こうぜ? うまい店とか教えてくれよな」

 

上条が明るい口調でそう言うと、キリトは上条の気持ちを察したのか小さく笑った。

 

「わかった、じゃあそこの路地の奥の方に隠れた名店ってやつがあるからそこに行くか」

「おう、となれば早く行こうぜ? いろいろと説明を聞きたいしな」

 

上条はそう言うとキリトが言った路地に向かってつま先を向け、歩き始める。

そして、上条は先ほど言ったとおりにキリトに質問を始めた。

 

「ところで、ボスの情報とかはあるのか?」

「いや、ボスの情報とかはこの階層のクエストをクリアしたりすると報酬とかでもらえたりするんだが・・・・・・正直言ってあんまりない・・・・・・偵察部隊も今回の層のボスは前の層よりもずっと強いってことくらいしかわからなかったらしいしな・・・・・・」

「まじか・・・・・・」

 

上条はその言葉を聞いて難しい顔をした。

情報が少なすぎる・・・・・・未知の環境下において情報が少ないというのは致命的だということを上条は知っている。

 

「それはあまりにも情報が少なくないか・・・・・・?」

「いや、最近はいつもこんなもんなんだ・・・・・・」

 

キリトは少し顔を暗くしながら道を歩き続ける。

 

「前回はそれがたたったんだ・・・・・・情報が手に入らなかった・・・・・・全てのクエストを完了したのにも関わらず・・・・・・」

「そうだったのか・・・・・・」

 

上条とキリトは二人して考え込んだ、果たして今回のボス戦はもっと時間をかけなくていいのかと。

しかし二人の思考はそこで中断しざるをえなかった。

 

「あっ、着いたぞ。ここだ」

「ん? まじかここなのか・・・・・・?」

 

そこにあった建物は壁中にツタが張り巡らされ、どこか暗いイメージがある。

さらに言うと何かしらいやーな雰囲気が醸し出されていた。

 

「おし、行くぞ」

「えっ⁉ ちょっ・・・・・・まじでここなんですか⁉」

「なにいきなり敬語になってるんだよ。ここ以外どこにあるんだよ」

 

そう言いながらキリトは先行して入っていく。

それに少し遅れて、覚悟を決めた上条が入っていく。

するとキリトは上条の意見など聞かずに店員さんを呼んでしまった。

 

「おい⁉ 俺まだ何頼むか決めてないんだけど・・・・・・?」

 

するとキリトはニカッっと笑い、

 

「おすすめがあるからさ、トウマもそれでいいか?」

「・・・・・・まあいいけどな・・・・・・」

 

上条はこの店のことをよく知らないのでここはキリトに任せることにした。

 

「まぁ、食べてみればわかるって」

 

キリトはそう言うと厨房の奥を覗いた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「驚いた・・・・・・」

 

あの後数分して出てきた料理は上条が思っていたよりも美味しかった。

 

「まあ、初めて店長を見る人は少なからずそう思うだろうよ・・・・・・」

 

何があったかというと、料理を運んできた店長が物凄く強面で、なおかつ声が物凄く高いという奇妙な人だったからだ。

 

「って、やべ‼ 後5分位で攻略会議が始まっちまう・・・・・・」

「えっ⁉ まじかよ・・・・・・急ごうぜ」

「おう‼」

 

そう言うや否や上条とキリトは転移門近くの大きな宿屋目掛け、走り出す。

キリトと上条は敏捷にものを言わせて街中を猛スピードで走る。

NPCの通行人を避けたりしながら真っ直ぐ進む。

そして3分もしないうちに上条達は宿屋へとたどり着いた。

 

「はぁっはぁっ・・・・・・何とか間に合ったな・・・・・・」

「・・・・・・だな・・・・・・」

 

キリトは上条よりもレベルが低いためか上条と並走するのがそれなりに辛かったようだ。

上条がそんなことを考えていると、中から声が聞こえてきた。

 

「おーい、ボス攻略会議始めるから今回の参加者は早く入ってくれー」

 

その声を聞いて上条とキリトは顔を見合わせ中に入る。

 

「えーと今回のボス戦はまれに見ないほどの情報不足によりかなりの苦戦が強いられると思う」

 

すると、もう自己紹介は済んだのか一人の長身の男が前の方でしゃべっていた。

 

「トウマ俺らはちょっと端っこに行こうぜ」

「ん? まあいいけど・・・?」

 

上条はキリトがなぜ端っこに行きたいのかわからなかったがとりあえずキリトに合わせることにした。

 

「――ってことなんで、PTの編成は各自でやってもらって終わったらこちらに報告って形でお願いしまーす」

 

『おーーー‼』

 

その言葉を聞いたキリトは辺りをきょろきょろと見渡して、何かを見つけたかと思うとそちらに歩いていく。

 

「お、おいどこ行くんだよ・・・・・・」

 

上条は慌ててキリトの後を追い、そして見た。

キラキラと輝いているようでかつさらさらな長い茶髪、モデルと言われても疑わないような体のプロポーション、とどめとばかりにかなり美形の顔。

 

そしてキリトはその人に何のためらいもなく話しかけていく。

 

「なあアスナ俺等とPT組んでくれないか?」

「ふーん、その様子じゃまだ誰ともPT組めて・・・・・・って俺等?」

「ああ、紹介するよ。この前森の中で偶然出会ったトウマってやつだ」

「こ、こんにちは」

「こっちは俺が最初のころにPTを組んでいたアスナだ」

「こんにちは♪」

 

アスナがそう言った後、キリトはアスナにもう一度同じ質問をした。

 

「アスナ頼む‼ 俺等とPTを組んでくれ・・・」

 

キリトがそう言うとアスナは上条の方を向き真面目な顔をした。

 

「ところでキリト君、一つ聞いておきたいことがあるんだけどいいかな?」

「ん? なんだよアスナ、そんな改まって・・・・・・」

「聞きたいのはそこのトウマ君のことだよ」

「・・・・・・まぁ、そうだろうな・・・・・・」

 

キリトとアスナは二人して上条の方に向き直してしゃべり始めた。

 

「レベルの詮索とかはマナー違反なんだけど・・・・・・もしよかったら教えてくれないかな?」

 

アスナにそう言われ、どう返答すればいいかわからなかった上条はキリトに助け船を求めようとキリトの方を向いた。が、

キリトはやれやれというように首を振った。

 

「えーと・・・・・・口外しないって誓ってもらえれば・・・・・・」

「誓う‼」

「えっあっ、は、はい・・・・・・」

 

上条はアスナのキラキラとした目と凄みに負け、言うことにした。

 

「えーと、レベルは70で――――」

「70⁉」

 

アスナはそう言うとハッとなって口を押えた。

幸い周りの人にばれてはいないようだった。

 

「それって本当なの?」

 

アスナがそう聞くと、上条が言うよりも早くキリトが答えた。

 

「本当だ、この前一度こいつのウインドウを見たとき確かにそうだった」

 

キリトがそう告げるとアスナは衝撃を受けたという顔をしてそこに立っていた。

 

「・・・・・・ひとまずアスナは俺等と同じPTでいいか?」

「えっ? ええいいわよ・・・・・・」

「じゃあわかった、とりあえずPT申請してくるから外で待っていてくれ」

「えっ? あっうん・・・・・・」

「おう、よろしくな」

 

そう言ってキリトを中央に送り出して、とりあえず上条はアスナと外に出る。

因みにアスナは先ほどからしきりにレベル70と連呼している。

 

「あのーアスナさん? 大丈夫ですか?」

「アスナ」

「へっ?」

 

 

上条は咄嗟に言われた言葉が理解できず、聞き直してしまった。

 

「だから、さんはいらないって言ってるのよ」

「わかった、じゃあアスナ」

「なに?」

 

上条はアスナと出会ってからずっと思っていたことを口にした。

 

「アスナはキリトとどういう関係でして?」

 

上条がそう質問するとアスナは少し頬を赤くして答えた。

 

「い、いやただの昔PT組んでた仲って感じだよ・・・・・・⁉」

「・・・・・・そうか・・・・・・」

 

アスナが別の意味であたふたしている間に上条は別のことを考えていた。

昨日今日で知り合ったキリトだが時折見せる暗い顔は上条にとっても違和感があった。

 

「まぁ、俺が今気にしても仕方ないか・・・・・・」

 

そう言うと上条は青くどこまでも透き通った空を見上げた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「よし、全員いるな‼」

『おーーーーー‼』

 

何十という叫び声が狭い迷宮区の中にこだまする。

場所はさっきとうって変わって薄暗い迷宮区の中だ。

 

「じゃあ、開けるぞ‼」

 

レイドリーダーのその声で周りのメンバーの顔に緊張が走る。

 

「トウマ、アスナ」

 

その時ふと自分達を呼ぶ声がしてそちらを振り返る。

自分達を呼んだのはキリトだった。

 

「陣形の確認をしておく。基本は俺とアスナが前衛をするから、トウマは後衛から機会をうかがってくれ」

「了解」

 

その言葉を言った時、重々しい扉が開きレイドメンバーがボス部屋に流れ込んでいく。

 

『うおおおおおーーーーー』

 

全員が部屋の中心より少し手前に着くと辺りが明るくなった。

 

そして部屋の中央にいるものがわかった。

 

それは通常のライオンの10倍以上の大きさがあり、背中に翼が生えた架空生物だった。

 

「総員陣形用意‼」

『おおおーーー‼」

 

リーダーの一声でメンバーは当初の作戦通りボスを各班で囲む。

 

「攻撃開始―――‼」

『行くぞーーー』

 

真っ先にと近づいて行ったキリトとアスナ。

キリトの片手剣とアスナのレイピアが敵の胴を切る。

 

〈グオオオオオーーーー‼〉

 

数々の攻撃が敵の胴に当たり、ボスのHPゲージが減っていく。

しかし、ボスは動かない。

 

「これ今回は楽勝なんじゃないか?」

「ああ、かもな」

 

近くから別PTのしゃべり声が聞こえてくる。

そいつらを横目で見ながら上条もキリトとアスナに続き、ボスの胴体を右手で殴る。

 

〈グオオオオオオ―――――‼〉

 

でも、そんな簡単に行けるはずがない・・・

キリトとアスナがボスから距離をとった時、上条も二人に続き退避する。

いわゆるヒットアンドアウェイを繰り返した。

 

そんな中、早くもボスの一段目のHPバーがなくなった。

そして、始まった。

ボスの反撃が・・・・・・

 

〈グオオオオオ―――――‼〉

 

ボスはいきなり叫ぶとボス部屋の上空まで一気に飛んだ。

その行動にレイド全体が驚き動きが固まった。

そして、ボスの口に明かりが見えたかと思うと地上にいるメンバー目掛けて火炎ブレスを放ってきた。

 

『なっっっ・・・・・・』

 

戦慄した、ボスの行動に遅れを取ったために、あのままだとほぼすべてのメンバーがブレスを食らう・・・

上条は咄嗟に走り出そうとした。でも、間に合わなかった。

 

『うあああああーーー』

 

火炎ブレスはメンバーのほとんどを巻き込み、弾き飛ばした。

見ると恐ろしいことにたった一度の火炎ブレスで大半のメンバーの残HPが2割を切っていた。

幸いなことに今の攻撃では死者こそ出なかったようだった。

だが、

 

悪魔が下りてくる・・・・・・

 

飛んでいたボスは地面に降り立ち上条達に狙いをつけた。

それにいち早く気付いた上条は叫ぶ。

 

「走れ‼」

 

その声にハッとしたキリトとアスナは左右に逃げ出した。

が、その時。

 

『総員これ以上の被害が出る前に撤退する‼』

 

リーダーのよく通る声がボス部屋に響いた。

その直後、

 

『うあああああ―――――‼‼‼』

 

全員が我先にとボス部屋の出口目掛けて走り出す。

 

「えっ? ちょっと待ってよ・・・・・・⁉」

「おっおい‼」

 

キリトとアスナの悲痛な叫び声はスル―され辺りが静かになる・・・

 

上条達は顔を見合わせた。

 

ボスの口に明かりが集まり始める。

 

『うあああああ―――――――‼‼‼‼‼』

 

その絶叫をボス部屋に残し、三人は一斉に走り出した。

 

 

 




ボス戦短くなってしまいました・・・
ごめんなさい・・・
さらに、文章も雑なところが多かったと思います・・・
これからは早くてもうまく書けるように頑張りたいと思います‼

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