Angel Beats! ~君の歌と僕の想いと~ 作:形代レイジ
今回はかなり短めです。1章のプロローグだと思ってください。
それでは第七話をどうぞ。
第七話 目覚め
あたしの胸に突き刺さる包丁
口の中全体に広がる鉄の味
刻一刻と迫るくる唐突な死
あたしはここで死んじまうのかよ
罪を償うこともできずに…
今死んじまったらあの世であいつに合わせる顔ねぇよ…
死んでたまるかよ
こんなんじゃ死んでも死にきれねぇよ
そんなあたしの願いは叶わず
目の前に居るコイツは
「死ね…」
そういってあたしの胸から包丁を引き抜くと
今度は確実に心臓を狙って包丁を突き刺した
そしてあたしは
死んだ
♦
あたしは死んだのか…
体が軽い。
宙を漂っているみたいだ。
死んだらどこへ行くんだろうなんて話を昔友達としたことあるっけ。
これはマジであの世があんのかもな。
まあ、あたしが行くのは地獄だろうけど。
「っ!」
急に体が重くなった。
と思えば瞼を閉じ真っ暗だったあたしの視界が急に明るくなりどこか固い地面に横になっていた。
とうとう地獄に着いたってか。
あたしは覚悟を決めゆっくりと目を開いた。
「これは…」
目の前の光景にあたしは思わず言葉を漏らした。
視界に広がっていたのは蒼々と澄み切り、どこまでも続く雲一つない大空だった。
「綺麗な空だ…」
「ここが…地獄かよ?」
はたしてこんなに居心地のいい地獄があるのだろうか。
「まさか天国じゃねえよな…」
あたしが天国に行けるはずがない。
行っていいはずがない。
あたしは罪を犯したのだから…
「どこだよここ……見た感じどこかの屋上みたいだな」
あたしは周囲を確認するために立ち上がった。
取り敢えずフェンスの近くまで歩いてみる。
そこから見える景色は想像に反して意外な場所だった。
「グラウンドにプール、テニスコートまであるってことはここは学校の屋上ってことか?」
自分の居る場所が学校ってのは分かったけど、あたしは新たな疑問が湧いてきた。
「でもこの制服あたしの通ってた学校のじゃねーよな」
そう、あたしが通っていた学校と明らかに違う。
それに、あたしが今着ている制服はあたしが通ていた私立高校の制服ではないのだ。
かと言ってあいつの通ってた学校の制服でもなさそうだ…
…今はあいつのことを考えるのはやめよう
「って言うかなんであたしは生きてんだ…」
何よりの疑問はこれだった。
あの時あたしは間違いなく死んだ。
殺された。
アイツに…
心臓を包丁で刺されて死んだ。
つい数分前のことだ。
間違いない。
「確かにあの時死んだはずなのに…な」
痛みはおろか胸の傷すら見当たらない。
「ってかほんとどこだ…ここ」
「死後の世界とか…?」
今ある状況が全く理解できないあたしはバカみたいな解答に辿り着いた。
「あは、ははは」
「アホか。何言ってんだあたしは」
自分で言っといて恥ずかしい。
ん?でも天国や地獄も一応は死後の世界だよな。
それに天国や地獄じゃなくて、死んだ後に魂がこんな学校に流れ着くなんて誰が考えつくかっての。
見る限り普通の学校だろ。
今は授業中なのだろうか、生徒はグラウンドで体育の授業をやっている生徒たちしか見当たらないがこの規模の学校だ、相当の数の生徒がいるはずだ。
「はあ、どうなってんだよ」
「取り敢えずここがどこか知る手がかりでも探すか」
あたしは自分の持ち物を確認してみた。
あたしが所持していたのは見知らぬ財布、見知らぬ鍵、そして天上学園と書かれた生徒手帳の3つだ。
「天上学園?聞いたことないな。ちゃんとあたしの名前が書いてあるし…」
…………
「訳が分からん。あたしは一体どーなっちまったんだ」
もうさっぱりだ。
何がどーなってんだよ…
「はぁ、取り敢えず校舎ん中入ってみるか」
あたしは校舎に入るためにドアノブに手を掛けようとしたがそれより先にドアが開いた。
「あなた、今は授業中よ」
そこには一人の女の子が立っていた。
次回:生徒会長 その2
と言う事でいかがだったでしょうか?
出だしからひさ子さん殺してしまいました。
僕も嫌だったんですよ?でも、そーしないと話が進まないので…
これからは、めぐるsideとひさ子sideに切り替わりながら物語が進んでいく予定です。
物語の大まかな流れは決まっているのですが章ごとのプロット的なものが全然できてないため、ひょっとすると更新遅れてしまうかもしれません。
その時はお迷惑をおかけするかもしれませんのでなにとぞご了承ください。
それとさっき見てみたら通算UAが1000件越えていました。
まだ投稿始めて日が浅いのでびっくりしてます。
読んでくださっている方々、本当にありがとうございます。
これからも、少しでも皆様に楽しんで頂ける様がんばって投稿しますので是非読んでいってください。