Angel Beats! ~君の歌と僕の想いと~   作:形代レイジ

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小説書くのって難しいですね。
思ったことがなかなか文にならないです。


ちょくちょく伏線を忍ばせていますのでできれば細部まで読んでいただくと後に『あれはそう言う事だったのかー』ってなれます。(たぶん)


それでは第三話をどうぞ




第三話 麻婆豆腐と笑顔がステキな女の子

 

僕は今、食堂に向かうために連絡橋を渡っているところだ。

案内図で確認したところ学食や寮のある場所と校舎のある場所との間に川が流れているみたいだ。

 

 

「学園の中に川が流れてるって凄いな。それにこ学園は緑が豊かで空気もおいしいし」

 

 

どうやらこの学園は森の中にあるみたいで、さっき窓から外の景色を見たとき学園敷地外は森以外何も見えなかった。

 

 

「ここ何県だろ、こんなに緑があるってことは地方の学校かな」

 

 

そもそも記憶がない僕は自分の生まれた場所すら分からない。

両親の顔も…

自分の名前だって分からなかった…

 

 

 

 

 

やめ、やめ。

今はそのことは考えちゃだめだ。

この後立華さんがちゃんと説明してくれるって言ってたんだから。

 

僕は頭をブンブンと振り、マイナス思考を振り払い食堂に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお!」

 

 

食堂に入った僕は少し驚いていた。

僕は、学校の食堂なんて小汚い感じで、テーブルが乱雑に置かれてる様なイメージだった。

けれど、ここの食堂は床がチェック柄にタイルが貼ってあったり、2階や3階があったりと、食堂というよりはおしゃれなラウンジといった感じだ。

大学の学食って感じがする。

それにまだ5時過ぎだと言うのに食堂には沢山の生徒で賑わっている。

 

 

 

「見た感じ、ここは食券を買うタイプみたいだな」

 

 

食堂1階の壁際には何台もの発券機が並んでいる。

さっそく僕は一番近くの発券機に向かうとメニューを見てみた。

 

 

「へえ、結構種類あるんだ」

 

 

タッチ式の画面には、洋食、中華、和食の3種類が選べ、更にそれぞれ10種類以上のメニューがある。

高校の学食にしてはメニューが豊富そうだ。

 

「うわ、どれも美味しそうだ。今日は何食べようかな」

 

どうしようか。

 

僕はちょうど発券機が()いてるのをいいことにたっぷり5分掛けて悩んでいた。

その結果

 

洋食組からはオムライスが

 

中華組からはチャーハンが

 

和食組からは肉うどんが

 

それぞれ選出された。

 

そこからさらに悩むこと3分

 

 

「よし今日はチャーハンを食べよう!」

 

 

勝因は…特にないけどね。

別に明日も明後日もここで食べるんだからどれでもいいかなって。

 

 

そうと決まればお金を

 

 

「ってお金…?僕お金持ってったっけ?」

 

 

僕は慌てて制服のポケットやカバンを(くま)なく探してみた。

けれどどこにも財布が入ってない。

 

 

「ここに来てまた一難…」

 

 

ほんとついてない。

今日は厄日だ。

 

「おーい、敷島。どうかしたのか?」

 

 

後ろから声をかけられた。

 

 

「あ、君は…」

 

 

振り返るとそこには、先ほど掃除が終わった後リョウタ達と一緒に話してたクラスメイトの…えっと

 

 

「あ、うん。ちょっと、財布を部屋に忘れてきちゃったみたいで参ってたとこなんだ」

 

 

決して名前を思い出せなかったからって無理やり話を進めて誤魔化した訳ではない。

取り敢えず彼の名前はクラスメイトA君としておこう。

 

 

 

「財布忘れるなんて珍しいな、お前が物を忘れること自体珍しいのに」

 

 

…だからなんで僕の評価は高いんですかね。

 

僕が疑問に思っていると、クラスメイトA君はおもむろに自分の財布から千円札を抜き取ると

 

 

「ほい、貸してやるから明日にでも返してくれればいいよ」

 

爽やかな笑顔で僕に千円札を差し出した。

 

え、何このイケメン。

クラスメイトA君とか失礼極まりないな。

クラスメイトA君改めイケメン君と改名しよう。

 

 

「敷島?」

 

 

クラスメイトとはいえ、お金の貸し借りはなんだか抵抗があった僕は

 

 

「え、いや悪いよ」

 

 

千円札を受け取ろうとしない

 

 

「いいって別に。それに今から部屋戻るのも面倒だろ?」

 

 

確かに、面倒だけど…

 

あれ?なんでこんなにお金のやり取りに抵抗があるんだろう。

高校生でお金の貸し借りはよくあることだ。

 

 

それ以前に部屋に財布、って言うかお金があるかすら分からないから返せるのかどうか分からない。

 

しかし、気が付けばイケメン君は僕の手に千円札を握らせ終わっていた。

 

 

「ほれ、遠慮するな」

 

 

イケメン君結構強引みたいだ。

 

 

「うっ、じゃあ、お言葉に甘えて。ありがと、明日必ず返すから!」

 

 

そして僕はどうやら押しに弱いみたいだ。

 

 

「おう、じゃあまたなー」

 

 

それだけ言ってイケメン君は去って行った。

 

 

…次ぎあう時までには名前覚えておこう。

 

 

まあ何はともあれ

 

 

「これで食券が買える」

 

 

僕は先ほどの千円札を発券機に入れると、中華の項目をタッチして、チャーハンと書かれた枠に向かって指を

 

 

「あ!めぐる君だ!」

 

 

また名前を呼ばれた。今度は女の子の声だ。

 

僕はチャーハンを押そうとした恰好のまま後ろを振り返った。

 

 

ピッ

 

 

 

どうやら腰を捻って振り返ったのがまずかったらしい。

 

 

発券機から一枚の食券と

ジャラジャラと音を立ててお釣りが戻って来た。

 

 

出てきた食券には

 

 

『麻婆豆腐:300円』

 

 

そう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご、ごめんね!」

 

 

只今絶賛女の子に謝られているところだ。

 

 

「私が間の悪いときに呼んじゃったばっかりに…」

 

 

なんか物凄く落ち込んでるように見えるんだけど。

 

 

「いいよ、別に。そんな謝られるような事じゃないよ?」

 

 

「うぅ、ごめんね?」

 

 

なんでそんなに謝るんだろ?

僕が疑問に思っていると、彼女は凄く申し訳なそうに言ってきた。

 

 

「で、でも。その食券…麻婆豆腐だよね?」

 

 

「え?うん。麻婆豆腐だけど…麻婆豆腐がどうかしたの?」

 

 

「えっと知らない?この学食の麻婆豆腐は恐ろしく辛くて、猛者でもご飯と一緒に食べないと食べれないんだって」

 

 

どうやら、はずれメニューだったみたいだ

 

 

「…まあ買っちゃったしこれ食べるよ」

 

 

そんなことよりも一刻も早く、この見知らぬ女子生徒から離れたかった僕は笑顔で言った。

これ以上知り合いと(おぼ)しき生徒に会うのはちょっときつい。主に精神的に

 

 

「じゃあ、そう言う事で。麻婆豆腐の事は気にしなくていいから」

 

 

僕はそそくさとその場を離れようとしたが

 

 

「あっ、めぐる君!」

 

 

彼女は急に何かを思い出したのか僕を呼び止め

 

 

「私も今から食べるんだけど、一緒にどうかな?」

 

 

とステキな笑顔で提案してきた。

 

 

僕はそんな彼女の提案を断れる訳もなく(言い訳が思い付かず)

 

 

「え、あ、うん。いいよ」

 

 

と答えていた。

 

 

「本当?じゃあ私も食券買うから一緒に行こう!」

 

 

彼女は嬉しそうにまた笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも僕はそんな彼女の笑顔に違和感を覚えた。

 

彼女の笑顔は嬉しそうな表情とは裏腹に、どこかぎこちなく、どこか寂しそうに、どこか悲しげに見えたのだ。

 

 

 

 

 

次回:麻婆豆腐と笑顔がステキな女の子 その2




本当は1話で終わらせたかったのですが、意外と長くなり分割する事にしました。

手抜きせずに書かないと後々後悔することになりそうなのでしっかり書いていきます。

原作キャラがあまり出ておらず退屈している方もいるかもしれないので言っておきます。
もうちょっとであの、ひさ子さんが登場します!!!

僕も早くひさ子さんを出したくてしょうがないです。


次の更新は日曜です。
もしかすると、その2を今日中に投稿できるかもしれません。

では、今回も読んでいただきありがとうございました。

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