Angel Beats! ~君の歌と僕の想いと~ 作:形代レイジ
机を下げた僕は何事も無かったかの様に掃除をやり終えリョウタや他の男子生徒たちと終礼が始まるまで話をしていた。
もちろん、自分が誰なのかリョウタたちが誰なのかは思い出せてはいないが、リョウタは僕を知っている(と言うか親友)らしいので、この場においておかしいのは僕だけだ。
だから僕はリョウタ達に悟られないように話を合わせている。
「……でよ、これからどうする?って、めぐる!聞いてんのか?」
「ん?あぁ、聞こえてるよ」
「聞こえてるって、お前それ聞いてねーだろ…。はぁ、まだ寝ぼけてんのか?」
「だ、大丈夫だよ、ちょっと考え事してただけだから。で、なんの話?」
「やっぱ聞いてなかったな……この後どうするかって話だよ。俺ら部活入ってねぇしいつも通り腹減るまで部屋帰ってゲームでもすっか?」
どうやら僕は部活には入ってないみたいだ。
部屋の場所知っておきたいしリョウタの提案を受ける事にした。
「じゃあ、部屋戻ろうか。僕はちょっと小腹がすいてるから購買寄って行きたいな」
「りょーかい。おっ、先生来たみたいだな。席戻るか」
ちょうど話がひと段落ついたところで30代ぐらいの男性教師が教室に入ってきた。
「お前ら席につけー、終礼始めるぞー」
この人が僕の担任の先生かー。
まぁ、何処にでもいるような普通の先生かな。
でもやっぱり覚えてないや。
ほんとどーなってるんだろ。
さすがにさっきみたいに混乱はしてはないけれどやっぱり何も思い出せないし…
僕はどうしたらいいのかな。
誰かに相談したいけど一体誰に話せばいいのか分かんないし。
リョウタ達に相談したら心配かけちゃうよね。
やっぱりリョウタ達の前では普通にしなきゃ。
なんで記憶無くなっちゃったんだろ。
……なんで
「……とまぁ連絡事項は以上だ」
っと、いろいろ考え事してたら終礼が終わったみたいだ。
終礼が終わったタイミングで委員長が号令をかけた。
「起立、気をつけ、礼」
「うっし、めぐるー、購買い「敷島ー」ん?」
終礼が終わってすぐにリョウタがこっちに向かって来ようとすると先生が僕を呼んだ。
何の用だろ?
「先生、どうしたんですか?」
「どうしたじゃない。敷島、お前今日の6時間目ずっと寝てたみたいだな。佐藤先生がお前を是非職員室に招待したいって言ってたぞ。」
「 」
「あちゃー」
「じゃあ、俺は伝えたからな。しっかり説きょ…もてなされて来い」
そう言って先生は教室から出て行った。
「めぐる、ついてなかったな。残念だが腹ごなしは説教の後だ」
記憶無くすわ委員長に撲殺されそうになるわ職員室に招待されるわ……
本当ついてないな。
「はぁ、じゃあ、ちょっと行ってくるよ。リョウタは教室で待ってて」
「おう、行ってらー。なんだったらついて行ってやろうか?」
「いや、大丈夫。一人で行ってくるよ」
職員室の場所が分からない僕にはありがたい申し出だったけど、少し一人になりたかったから僕はリョウタの申し出を断って一人で職員室に向かうことにした。
「じゃあ、ちゃちゃっと行って叱られてくるよ」
僕はそう言うと足早に教室を出た。
♦︎
「さてと」
教室から出たのはいいけど職員室の場所分からないからいつ帰ってこれるか分からないんだけどね。
まあ、リョウタには悪いけど色々見て回りながら職員室に向かおう。
「じゃあ、取り敢えず一階に降りてみようかな」
職員室は1階だろうから1階に行けば間違いないよね。
僕は階段に向かって廊下を歩きだした。
歩いてる最中ふと窓に視線がいった。
窓から見える景色には大きな敷地に広がる校舎やグラウンド、体育館、プール、大きな講堂にあれは食堂かな。
そして何件も連なってそびえ立ってる学生寮ららしき建物。
「凄いな」
こんな単純な感想しか思いつかないぐらい巨大な学園だった。
学生寮に向かう道には大勢の生徒が、グラウンドには野球部にサッカー部、それに陸上部の大勢の生徒たちがが1つのグラウンドでのびのびと部活に励んでいる。
「一体学生はどれぐらいいるんだろ」
ふと独り言が
「約2000人よ」
「へ?」
独り言に返事が返ってきた。
「正確には2127人よ」
窓から顔を前に戻すとそこには真っ白な長い髪が特徴的で無表情の女の子がこちらを真っ直ぐと見つめていた。
「えっと…君は誰?」
本日3回目の君誰来ましたーなどとくだらないことを言ってみる。
「私?私はこの学校の生徒会長よ」
「生徒会長?」
「そう」
この女の子は生徒会長でした。
「あなた、今日来たばかりよね?」
生徒会長はおかしなことを聞いてきた。
「へ?どうゆう事?」
今日来たばかり?どこに?
「この学校によ、と言うかこの世界によ」
は?この世界?生徒会長は何言ってるんだ?
今日来たばかりって…なんの冗談だ?
「えっと、なんの冗談かな?僕は入学した時からここに居る
「
「 」
僕は驚愕し言葉を失った。
今、生徒会長はなんて言った?
キオクガナイ
って、そう言ったのか?
「なんで…なんで君が僕の記憶が無いってしっているんだ!」
僕の記憶が無くなったことと生徒会長は何か関係があるのか…?
でも、間違いなく生徒会長は何か話知っている。
僕は生徒会長を目を大きく開き見つめていると
生徒会長は可愛く首をかしげ
「この世界に来た人にはよくあることよ?」
などと言った。
まただ、またこの世界って……………
「だから、さっきから言ってるその『この世界』って言うのはどういうことなの!?」
気づいたら僕は、声を荒げて生徒会長に詰めよっていた。
「ちょっと、落ち着いて」
生徒会長は相変わらず無表情な顔で僕をなだめた。
だけど僕は落ち着いていられるわけもなく
「落ち着いていられないよ!目が覚めたら知らない教室にいて、友達になった覚えもない人達が沢山いて、でもその人達は僕のことよく知ってるみたいで、でも僕は何も覚えてなくて、僕だけ蚊帳の外みたいで、それで…それでっ」
僕はダムに溜まっていた水が一気に溢れ出すかの様に思っていた事をすべて吐き出していた
「ちゃんと説明するわ、だから落ち着いて?落ち着いてくれないと説明できないわ」
「っ、取り乱してごめん…」
「大丈夫、最初はみんな取り乱してしまうもの。今すぐ説明したいところなのだけど、今から生徒会の仕事があるの、仕事が終わるのは大体6時ぐらいだから、その後でも構わないかしら?」
「あ…うん」
今すぐ聞きたかったけど僕はそれを我慢して生徒会長の言う通りすることにした。
「それじゃあ6時過ぎぐらいに生徒会室に来て」
「でも僕、この学校のこと分からないから生徒会室がどこにあるのか…」
「それなら大丈夫よ。そこの階段から1階に降りたら学校の案内図があるからそこを見て」
「そっか、分かった。じゃあ6時に生徒会室に行くよ」
「ええ、待ってるわ」
そう言って僕に背を向け立ち去ろうとしていた生徒会長を
「ちょっと待って!」
と僕は呼び止めた。
立ち止まってこちらに振り返っってきた生徒会長に
「君のおかげでちょっと安心できたよ、さっきまでずっと平然を取り繕っててずっと不安でしょうがなかったから。ありがとう、生徒会長さん」
と感謝の言葉を口にすると生徒会長は
「立華」
「え?」
「立華かなで、私の名前よ」
彼女の名前を聞いた時、僕はすごくきれいな響きだと思った。
なんていうかすごく好きな名前だ。
「そっか、僕は敷島めぐる。よろしく立華さん」
と僕も名乗り返した。
「そう、よろしく敷島君。それじゃあまた後で」
別れを告げ生徒会室に向かう立華さんは少し嬉しそうに見えた。(なんとなくそう見えた)
僕は今度こそ呼び止めることもなく、彼女が去るのを見届けた。
出会い方がメインヒロインっぽいですけどひさ子さんがヒロインです!
ヒロインはひさ子さんです!
書き溜めは一切してないので書ける時に沢山書いていこうと思います。
4月15日一部変更しました。