Angel Beats! ~君の歌と僕の想いと~ 作:形代レイジ
「「はぁ、はぁ」」
僕と優先輩はなんとかリョウタを撒くことに成功した。
軽く10分は走ったと思うんだけど…
「すみません先輩…うちのリョウタがご迷惑かけて」
いや、確かにお弁当の事黙っていた僕も悪いとは思うよ?
でもあれは過剰反応過ぎでしょ!
「あ、あはは。大丈夫だよ」
ほらー先輩引いてるよ!
「と、取り敢えず空き教室にでも入りましょっか?」
と言って僕は誰も入っていない教室に入るよう、うながした。
走ってて気づかなかったけど、どうやら現在僕たちは3号館の4階にいるみたいだ。
4階は基本空き教室が多いから昼休みにお弁当を食べに来てる生徒たちが何人かいる。
「そうだね、走って私もお腹空いちゃった」
空き教室に入ると僕たちは適当に机を向かい合わせて座った。
「ふう、じゃあちょっと遅くなったけどお昼ご飯にしよっか」
先輩は大きなお弁当箱(正体は重箱だった)を広げていった。
いや、朝食食べてないし全然食べれそうなんだけど…
「す、すごい量ですね」
「……はりきりすぎちゃったっ」
てへっと、はにかむ先輩超可愛い…
まあ、作ってきてもらったんだし余計なことは言わないでおこう。
「それじゃいただきます!」
「ふふ、めしあがれ」
♦
僕は今先輩のお弁当を食べている。
すごく美味しい…
…けど、なんでだろう。
優先輩の料理を食べるのは初めてのはずだ。
なのに何故か僕は懐かしさを感じている。
僕は無言で食べ続けた。
そして僕は確信した。
それも、生前の僕を知っている…
♦
「ごちそうさまです。」
結局あの後食べ終わるまでどちらも口を開くことはなかった。
「…はい、お粗末様です。これ、お茶どーぞ」
「あ、ありがとうございます」
………
なんだこれ!なんだこれ!!
さっきまでシリアスな空気だったのに!
なんだこれ!
なんかこのやり取りって
「このやり取り…まるで夫婦みたい…だね?」
ふぁっ!?
「な、なななな何言ってるんですか!?」
「ふふっ、でも考えてたでしょ?」
ナチュラルに人の心を読んできたよこの人!
「そ、それは…そのぅ、なんで分かったんですか?」
「それは、エスパーだからだよ」
な、なんだ…と!?
「え、エスパー!?」
「嘘だよ?」
「ですよねー」
でも、安心した。
いやエスパーじゃなかったって事じゃないよ?
食事中はずっと重たい雰囲気だったからどうしようかと思ったけどいつも通りでよかってって事。
「本当の事言うと、めぐる君は分かりやすいからかな?」
「え゛、それはつまり単純って事ですか…」
「ちがうよ!めぐる君の良い所って事だよ」
「良い所ですか?」
「うん、そうだよ。…めぐる君は感情豊かですごく………すごく優しい子っだったんだから」
ん?最後の方聞き取れなかったな
「すみません、最後なんて言いました?」
「な、何でもないよ!気にしないで!」
「あ、そうですか?」
何だろう、急に大声出して…
う、なんか空気悪くしちゃったかな?
「そ、それにしても優先輩って料理上手なんですね!凄くおいしかったです!」
「ほ、ほんと!?喜んでもらえてよかったー!」
すごく嬉しそうにしてる先輩を見て褒めたこっちが恥ずかしいぐらいだ。
うん、でもやっぱり優先輩は笑顔が一番だ。
♦
side~優~
私は、ふと時計を見るともうすぐ昼休みが終わろうとしていることに気づいた。
「そろそろ、教室もどろっか?」
めぐる君との楽しい時間が終わってしまうのは名残惜しいけど仕方ない。
5時間目に遅れてしまうとめぐる君に迷惑がかかっちゃうしね。
私達は後片付けをして教室に戻ろうとしているとめぐる君は話しかけてきた。
「あの…優先輩」
「えっと、どうしたの?」
めぐる君…どうしたんだろ。
いつになく真剣な顔つきだ。
「今日の放課後って何か予定あります?」
「放課後?」
「できれば、ちょっと付き合って欲しいんです」
ふぁっ!?
「つ、つつ付き合う!?そそそそれって !」
「優先輩に聞きたい事があるんです…」
だよねー
びっくりした!
「聞きたい事?今じゃダメなの?」
私はめぐる君が何を聞きたいのかすぐに分かった。
それが今すぐ終わる話ではない事を知っていてあえて質問したのは……。
「長くなりそうなので放課後にって思って」
「そっか、じゃあ放課後にこの教室に来よっか?」
「はい、それでお願いします」
「じゃあ、また放課後にね」
「はい…」
♦
「はーっ。きっと聞かれるのは私が
あんまりこの話はしたくないんだけどな…
「まあ今は考えるのやめよっと。それに今日は放課後会う約束も出来たし!そっちの方が重要だよ!」
そうだ!これって放課後デートにはいるかなっ?
話しが終わったら今日も一緒に夕飯食べたいなー
「それにしてもめぐる君かっこよかったなー!」
「ふんふんふふーん」
「どーしたのよ優、鼻歌なんて歌ってー、随分機嫌いいわね」
教室に入ろうとしたらちょうど千夏ちゃんも戻ってきたところみたいだった。
千夏ちゃん、今日は別クラスの友達とお昼食べに行ってたらしい。
「あ、千夏ちゃん!って言うか鼻歌?!う、歌ってないよぅ…」
「いやいや、ちょっと前から見てたけど鼻歌歌いながらすっごい笑顔で幸せオーラ放ちながら廊下を突き進んでたわよ?」
「ちょ、待って嘘!………うー、無意識だった…」
たしかにめぐる君の事考えながら歩いてたけどそんな事になってたとは…恥ずかしい!
「その様子だと手作りのお弁当は高評価だったみたいね」
「うん!すごく喜んでくれたよ!それに今日の放課後に会う約束までしちゃったー!」
「へー、優にしてはやるわね…とうとう優にも春が来るのかー」
「そ、そんなんじゃないよ?ちょっと話がしたいって言われただけで」
「それでも向こうから言って来たってことは脈アリよ!」
「そーかなーえへへ。そーだといーなーえへへ」
「…はぁ。惚けてないで教室戻るわよ」
「はーい」
♦︎
「えーつまり、先程の公式を使う場合は必ず……」
ギュイィィィィィィィイン
「な、なんだこの音は!?」
ガラガラッ
「な…なんだあいつらは!」
「っ、何の音…?」
ギュイィィィィィィィイン
「ああ、この音」
ギュイィィィィィィィイン
「あ…人…ま…ギ……やっ……んだ」
♦
『その歌を――』
シ――― ―― ―ン
わぁぁぁあああぁああぁ!
パチパチパチパチ
曲が終わると拍手喝采があちらこちらからとんでいる。
「綺麗な歌声だったなー」
ボーカルの人はきっとすごく音楽が好きなんだろうなっておもった。
でも…
「あのギター、ほんと…耳障りな音だなー」
そろそろひさ子さんとめぐる君を会わせてあげないとですね!
取り敢えずあと2~3話ほど優先輩の話をして、そこから時間をちょっと進めようかと思います。
次回投稿は未定です。
※1か月はかからないと思います。