Angel Beats! ~君の歌と僕の想いと~ 作:形代レイジ
あえて謝らないスタイル!
ごめんなさい。
十八話よろしくお願いします。
夢を見た…
僕が誰かと笑いあってる夢だ。
夢の中の僕は、なんだか幸せそうだった。
夢?違う、これは僕が生きていた時の記憶?
僕の思い出?
分からない思い出せない…
………思い出したくない?
『めぐる君、本当に思い出したくないの?』
っ、あなたは…
『めぐる、出来る事なら思い出さないでくれ…』
あなたは……
『君はまたそうやって現実から目をそらすの?』
げん…じつ?
『おまえにはこれ以上苦しんでほしくない』
苦しむ…?
なんなんだ…
あなたたちは誰ですか…?
「めぐる」
声が聞こえた。
さっきとは違ってはっきりと。
僕は意識を取り戻し始める…
意識が覚醒しようとする中、僕は今自分が居る場所がどこなのか気づいた…
『黒』
この一つの色で埋め尽くされているこの空間…
光の届かない深い深い暗黒の世界…
ああそうか、ここは…
今の僕は、あくまで仮の敷島めぐるだ…
記憶が戻れば僕は僕じゃなくなる……の?
そんなの嫌だ…
僕は…僕は……
僕は一体、誰……なの?
♦
「めぐる!」
「ん…」
もう朝…?
「はーやーく、おきろー!」
うるさいなー
まったく近所迷惑な奴だ。
「ふぁあ~。おはよ、リョウタ」
慌てた様子のリョウタを尻目にひとつ欠伸をしながら挨拶する。
「やっと起きたか!のんきに欠伸なんかしてんじゃねー!」
「さっきから何騒いでるの?うるさい」
「早く用意しろ!遅刻確定だ!」
「へ?」
何をバカな、昨日もちゃんと目覚ましをセットして寝たんだから寝坊するはずなど…
僕は目を疑った
時刻確認!
現在時刻A.M.8:50!
授業開始はA.M.8:50!
あ、これ詰んでる。
あの後30秒で着替えを終わらせカバンを掴むとリョウタと共に部屋を出
「あれ?リョウタ?」
そこにはリョウタの姿はなく、あるのはリョウタのズボンとパンツのみ
「………!?」
脱ぎ捨てられた衣服の先にある扉から声が聞こえて来た
「す、すまんめぐる…どうやら俺はここまでの様だ…」
それがリョウタの最後の言葉だった…
結局リョウタがトイレから出てきたのは30分後…僕たちが教室に到着したのは1時間目が終わる5分前だった
♦
「はー、やっと昼休みかぁ~」
「やっとってあんたは3時間しか受けてないでしょうが、このサボり魔が」
僕も遅刻したのだがリョウタが遅刻した原因だと思われてるようだ。
「今日のは俺のせいじゃねーっての」
「あんた以外に誰がいるってのよ」
リョウタはいつも通り委員長にどやされてる。
あれだねオオカミ少年。
繰り返される嘘は信憑性を失うってやつだね。
まあ今回は僕にも落ち度はあるし今日はリョウタを援護射撃しますか
「そうだね…委員長、今日は僕が寝坊しちゃったんだ」
「あら、そうなの?」
「うん。だからそんなに怒んないで上げて?まあでもあんなに遅刻したのはリョウタのせいだけどね…」
援護射撃すると言ったな…あれは嘘だ
「お、おい…めぐるまさか…」
「コイツ、30分もト「いいんちょーご飯たーべよっ」…」
タイミング良く…悪く?委員長は連れていかれてしまった。
どうやらリョウタの尊厳は守られたようだ。
「命拾いしたなリョウタ」
「めぐるてめぇ、起こしてやった恩を仇で返そうとしやがって!」
「まあ、まあ。昔の事は忘れて昼飯食いにいこーぜ。朝飯食べそびれてお腹ペコペコ」
昔の事は忘れて…か
どの口が言ってんだか
「ま、いいか。そんじゃ、食ど「敷島―。3年生の先輩来てるぞー」ん?」
先輩?
僕は何のことかとドアの方に目をやると
「めぐる君、お弁当たべよ?」
大きめのお弁当箱を両手で抱えて笑いかけてくる優先輩の姿が…
………あーうん。
忘れてたー!なんてことだ僕がこんな大事なことを忘れてたなんて!
まあ、もっと大事なこと忘れてるんだけどね。
はっ!なんだこの殺気は!
教室の至る所から放たれている…だと!
「お、おいめぐる、嘘…だよな?女の子の手作り弁当なんてそんなの空想の産物…だよな?」
あ、リョウタが壊れた。
物凄く分かりやすく壊れた。
リョウタから放たれてる殺気が一番ヤバイ!
僕がとるべき行動は…
・たたかう
・逃げる ←
「優先輩!こっち!」
「え?め、めぐる君!?」
僕は先輩が抱えてた弁当箱を右手で掴み、左手で先輩の手を握ると教室から出て走り出した。
と同時にリョウタが奇声を発しながら追いかけて来た。
なお、この逃走劇はリョウタの奇声がやむまで続いたそうだ。
その間めぐるは一度も後ろを振り向く事はなかった。