国立アースガルド魔法学園 ~unknown solders~   作:エア_

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第三話「代表」

 

 

 大和 陸の朝は早い。それは自我をもったその日から変わらないことであった。小さい頃から身に付いた習慣とはなかなか止めることは出来ず、陸は今日も早くに目が覚めた。

 昨日の疲れがまだ取れていないのか、すこし覚束ない足取りは、旗から見ると緊張もんである。ふらふらと歩き、壁にぶつかるのではないかといった難所を難なく抜け、リビングへと進む。

 

「おはよう。父さん」

 

 リビングには、陸の父である。大和(やまと) 武彦(たけひこ)がテーブルで朝刊を読んでいた。

「あぁ、おはよう陸」

 新聞に目を向けたまま武彦は返事をし、テーブルに置かれたコーヒーに手をとり一口。見た限り、黒一色であるため、流石は大人、ブラックコーヒーである。などと少々朦朧とした意識の中で考える。

「新しいクラスには慣れたか?」

「昨日クラス替えがあったばかりなのに慣れるなんて無理だろ?」

 陸が返事をすると確かになどと答える武彦。しかし満足したのか、うんうんと一人うなずいていた。

「何一人で答えだしてるんだ?」

「何、気にすることは無い。それよりも顔を洗ってきなさい」

 質問をしたのに武彦に一蹴されて少々不機嫌になった陸だが、いつもの事であるためか、ため息を一つ吐き、洗面所へと向かうため、リビングを後にした。

「ったく、面倒臭い父親だよ」

 悪態を一つこぼしながら、洗面所へと向かった。前のことがあったからか、すこし警戒しながら陸は扉を三度叩く。しかし反応はない。

「ならいいか」

ガチャリと扉を開け、中に入る。やはり中には誰もおらず、ホッと胸を一撫でさせ顔を洗うのであった。

 

 

◆◇◆◇

 

 

 あの後は、普通に朝食をとり学校へむかい、ガレットが襲われるのを仕方なく最後まで見て、助けてくれてもいいじゃないか! と非難されるといった、別段変わった所など無い朝であった。

「いや、十分ひどい朝だからな? ガレットさんマジで涙目だったぞ」

「気のせいだ。それに仕方が無いことだろ。レベル2な俺には如何することも出来はしない」

 朝書かれていた席に座り、運がいいのか悪いのか、友人の前の席に座る陸に、その考えたことを悟ったのか、武蔵が反応した。

「にしても、相変わらず朝は元気だよな、陸ってさ」

「そりゃ俺のカードの能力が関係しているんだろうさ。俺はまだ寝ていたい」

 陸のカード【ソル】の能力とは、日が昇っている間、筋力、敏捷、耐久パラメーターが上昇するのである。太陽の意味を表すからこそ、陸は朝から元気なのだ。

 しかし、逆に言うと、夜は弱い。それもかなり弱い。

 彼のカードのレベルが5以上あるのならば話しは別だったのだが、如何せんかれのレベルは学園始まって以来の最低レベル【レベル2】であるため。このようなデメリットが生まれたのである。

 二人が賞も無い話をしていると、陸の肩を誰かがトントンと叩く。

 頭に?マークを出しながら陸は体を捩り、後ろへと向く。

「お? 信濃?」

 そこに居たのは、少女であった。水色の髪、紅い大きな瞳、桜色の小さな唇、小柄な体。まさしく幼女体型。

 その生徒の名前は信濃(しなの)(ゆう)、陸と去年交友が会った子である。

「・・・・・・となり」

「お? 隣か、よろしく」

 互いに握手をするが、武蔵が何故か信濃を見て首を捻る。まるで、おかしいというかのように。

「どうしたんだよ。武蔵」

「いや、さ。・・・・・・・・・・・・なんで信濃はスカートじゃなくてズボン穿いてるんだろうってさ。断層趣味かってな?」

 そう、武蔵が疑問に思ったのはそれであった。信濃は誰が見たって美少女である。しかし、吐いているのは男子生徒がはくズボンなのだ。

「・・・おいおい、武蔵。信濃は男だぞ」

「・・・・・・へ?」

 陸の一言に武蔵は硬直した。確かにそうだ。目の前に居るまさしく女の子だろうと思った子が、「いや、男です」と言うのは流石に馬鹿なと考えるわけである。

 武蔵は視線を信濃に向ける。その目は先程の発言の審議を問うた視線であった。

「・・・・・・ほんと」

 しかし、武蔵の期待した答えが返ってこなかった。嫌な現実を叩きつけられたような表情をしながら、両手両膝を突き、「ありえないありえない・・・・・・etc」とゲシュタルト崩壊が起こりそうなほど呟くのであった。

 取り残された陸たちは哀れであると武蔵に視線を向けることしか出来なかったのである。

 

 

◆◇◆◇

 

 

「まぁ馬鹿のことは放っておいて、これからよろしく。信濃」

「・・・・・・ん」

 改めて言われたのが恥ずかしかったのか、信濃が頬を紅潮させる。そんなところも可愛らしいのは流石美少年!! である。

 しかし、いい加減この馬鹿をどうにかしなければならない

「おい、武蔵。正気に戻れよ。せんせー来るぞ」

「・・・・・・お、おう」

 武蔵は信濃の事を、じろじろと見ているが、大丈夫か? などと思いながら、陸は先生が来るのを待った。

 

 数分後、突然それは起こった。

 

 轟音撒き散らし、教室の前扉が吹っ飛ばされた。なんだなんだ? とクラスメイトが困惑する中、それは土煙をまきながら姿を現す。

「おはようお早う諸君、いやぁ~、遅刻しそうで焦った、焦った♪」

 現れたのはこげ茶色のセミロングヘアで、よく分からない結い方をしている女性であった。見た目は20代前半。見る限り化粧なんてされてないスッピンだが、それでも、否、むしろ素面であるからかきれいな人が現れた。

 だが、陸や武蔵はその女性を見て顔をひきつらせた。まるで、遭いたくなかった奴と遭遇を果たした時と同じ感じである。

「私は、諸君らE組の担当教師となった赤城だ。去年私のクラスだったものも混じっているようだが、一応始めましての者達にはプロフィールを教えよう」

 大人の魅力がダダ漏れであるこの女性は俺達のほうを一度見て、ムフゥとこぼしながら、予期していた恐ろしいことを発した。

「私の名前は、赤城(あがぎ) 美咲(みさき)24歳。A型の8月6日のさそり座な女だ。トップ88ウエスト49アンダー75の―――」

「あんたは何変な事口走ってんだァアアアアアアアアアア!!」

 陸は後ろの席に居たにも拘らず、まえのせんせいならず、廊下にまで響き渡るほど大声で叫んだ。

 その反応を見て、にやにやと顔を歪ませる赤城。いい性格をしている。

「? 何って、ひどいな。私は己の全てをさらけ出してるんだが」

「いやいやいやいや、だからと言ってなんでそれなの? ねぇ何で自分のスリーサイズまで言い出すの? 馬鹿でしょ」

「ふ、別に裸を見られたわけではない。数値化された言葉を聞いて悶えるほど、耳年増にでもなっているのかね? 大和陸♪」

 まるでしてやったりと言った顔をする赤城に、ため息を吐く。何でこの人まともじゃないんだよ、と言いたそうに陸は半目で睨む

 すると、ついに居心地が悪くなったのか、咳払いをした。

「まぁ、茶番はここまでにしよう。さて、早速だが、二年になった我々はクラス闘戦というものをしなくてはならない。そこではクラス団体闘戦と代表一騎討ち戦がある。

 まず第一に、その代表戦に誰が出るかを決めたい。私としては大穴狙いで大和なんかがいいと思うが・・・・・・どうだ?」

『面倒臭いんでそれでいいでーす』

「あんたら酷いな!!!」

 赤城の一言に全員賛成したため、すぐに決定した。

 しかし、黙っていないものが現れた。

「まてまてまてぇ~~い、俺は絶対に反対だぞ!!」

 そう、指名された陸である。

「ここは民主主義の国だ。よってだめ」

「横暴じゃねえか!!」

「このクラスでは私が法律だ。私が憲法だ。私が法廷だ。ゆえに却下だ」

「とんだ独裁政治だよ畜生!!」

 酷いことである。まさに外道。人でなしであった。

「まぁ、仕方が無いだろ? どうせ誰もやりたくはないんだ」

「俺もですけど!!」

「私やクラスメイトは君に期待してるぞ♪ 頑張ってくれよ」

「いやだよ。したくねぇよってちょっと皆さん。何で拍手してんの? なんで武蔵は目尻に涙をためているの? ちょっとどうしてだよ。ねぇ、皆のテンションに俺もうついていけないんだけど。俺だけ別次元なんだけど!?」

 クラスの皆も、陸の代表決定に感動を覚えていたのだ。・・・・・・といった建前、面倒なのである。ただそれだけのことである。

 本当にかわいそうな子である。大和陸

 

 

◆◇◆◇

 

 

 その後は、難問が取り払われたためか。スムーズに朝のホームルームも終わり、最初の授業のための準備をし始める。

 まぁ、決まったことは仕方が無いため、俺も覚悟を決めることにした。

「おーい、大和。すまないが、お前には昼休みに職員室に来てもらいたい。サイミントンと一緒に来てくれ」

 すると、赤城先生がこっちにやってきてそんな事を言ってきた。

「へ? 何でガレットとなんですか?」

「あぁまぁ、とにかく、ちゃんと来てくれよ」

 赤城先生はそういうと早足で教室を出て行った。・・・・・・いったいなんでだろうか?

「なんて?」

 自分の席に戻る途中、武蔵が不思議そうに聞いてきた。

「いや、昼休みガレットと一緒に来いってさ」

 別に隠すようなことではないため、簡略して内容を話した。

「・・・・・・あくじ?」

「違う、断じて違う」

 信濃がこっちをあいかわらずな無表情フェイスでそんな事を言ってきた。しかし、違うの? とでも言いたげ顔である。無表情ではあるが

「っとお、最初の授業はなんだ?」

「確か、歴史じゃなかったか? ほら、近代魔法歴史学」

「・・・・・・ながい」

 たしか、魔法と言う副産物が生まれてからの話だっけか。ほとんどが、ワルハラ機関とか、そっちの方だけど。

「まぁ、それなら興味があるし、眠らずにすむな!!」

「・・・・・・お前寝るつもりだったのかよ。武蔵」

 そういうと、きょどりながら、否定をしだす。うん、寝るつもりだったんだな。

「まぁ、いいや。ほら、さっさと席につかせてくれ」

 俺はまだ見ぬ先生を待つため、いすに座り、友人達とだべっていた。

 

 

◆◇◆◇

 

 

「気をつけー。礼」

『ありがとうぞざいました』

「おう、次の時間は資料集もってこいよ」

 午前中の勉強も無事に終わった。ちなみに今の先生は社会の歴史を担当している先生である。あの先生の授業は何故かスパルタ過ぎて意識が四回ほど飛びそうになった。

 なんたって元体育教師が歴史なんてやってんだろうな。

「さて、昼休みになったらサッサ来いっていてたよな」

「・・・・・・いてら」

「信濃はどうして3文字ですますんだよ」

 そんな会話をしながら、俺は教室から出て、A組へと歩いていった。その途中、A組へいくE組の俺を見てひそひそ話すA組の生徒を横にらみしながら、A組の扉を開いた。

「すまないが、サイミントンはいるか?」

シーン

 帰ってきたのは沈黙であった。泣きたい。とてもとても泣きたい。

「おい、E組の学園最低レベルが何をしに来た」

「今はレベルなんざ、如何でもいい。先生からサイミントンと職員室に来いといわれたんだ」

 うそ偽り一切泣く、俺は答えると、対応してきたA組の人間は見下すような視線を俺に向ける。いちいち腹立つなぁ、こういう奴。

 何故こうまでも、差別的行動がとれるのかね。それともあれかな? 俺のただの被害妄想かな? それならまだいい、喧嘩しなくていいからだ。しかしもしこれが本当に差別的行動だったら殴るな、本当に。

 まぁ、そんなことしたところで俺が咎められるから一切やるつもりはないが。

「陸、何か御用ですか?」

 そうこうしていると、後ろからガレットの声がした。振り向くとやはり彼女がいた。特徴的なブロンドヘアがよく似合う蒼い瞳の少女。

「先生に呼ばれたからな。一緒に来てくれとの事だ。ガレット」

ガレット=サイミントン。俺とは真反対に位置する学年主席学園初最高レベル保持者だ。

「おい、貴様ガレットさんを呼び捨てだと!! 身の程を知れ!!」

「あんたのことは知らないが、一応俺とガレットは知り合いだ。呼び方だって昔からだ。変えるつもりは毛頭ない」

 さっきから、俺を見下し、ついには身の程を知れなんていわれてしまった。悲しいことに。まぁ、俺は最低レベルだし、ガレットは最高レベルだし。そういいたくはなるだろうよ。

「伊号さん、陸のことを悪く言わないでいただきたい。陸は私の大切な友人なんだ」

「な!? ・・・・・・・・・・・・く、覚えていろよ!! 大和 陸!!」

 ガレットの反応に驚いた後、かませ犬のようなことをいって戻っていった。あぁ、ごめんな? 名も知らない青年よ。いや、いま伊号とかいってたな

「それでは陸。行きましょう」

 にこりと微笑むガレットにふいに顔が赤くなりそうになったが、ポーカーフェイスで誤魔化す。もしここで紅くなっていたら総員に総袋叩きをくらう。それだけはなんとしても避けたいところである。

「おう、さっさ行って飯が食いたい」

「クスッ、そうですね」

 飯の話をしたら笑われてしまったが、仕方の無いことだ。なんせこうでもいって話を変えないと。缶のいいガレットが俺をいじるからだ。今までの恨みの如く、だ。

しばらく、授業についてやクラスについての話をしながら職員室に向かっていると、赤城先生に遭遇した。

「お、ちょうどいいな二人とも。いまから校長室に行くから、私についてきてくれ」

 などといって、先生が歩き出したためしょうがなくついていった。なんて面倒な校長室は真反対の塔にあるっていうのに。疲れるだろうが

「仕方がありませんよ。赤城先生なのですから」

「だな」

「おい、私の目の前で教師ディスるきか?」

「「何でもありません」」

そういえば目の前にいたんだ。シラナカッター。

 

 

 




日常へんが一切かけない悲しい作者ですが宜しく

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