買い物が終わって、俺は川内にカップ麺だけ作ってやると、リビングに戻った。隠し事をする時はいかに自然に過ごすことがポイントになる。俺はできるだけいつも通りの行動をとった。で、時刻は10:30。いつもより少し早いが、もう寝ようと思い、俺は風呂にだけ入ると布団に潜った。
「さて、寝るか……」
「大輝ー」
「大輝って呼ぶな。何?」
「せっかく二次元の子がここに来たのにもっと堪能しなくていいの?」
「実際、二次元の子が現実に来るなんて事が起こった所でまずは周りにバレないようにするので精一杯なんだよ」
「ふーん。って、もう寝るの?」
「ったりめぇだろ。明日は朝も遅いし、その時に帰れよ」
「私はまだ寝ないよ?夜戦してないもん」
「この海とまったく面してない埼玉県のどこで夜戦すんだよ。お前も寝てろ」
「むぅ……」
だが、渋々納得したようだ。
「で、私はどこで寝ればいいの?」
「クローゼット」
「冗談でしょ?」
「お前バレたらどうすんだよ。うちの親は俺が寝てるかどうか確認しに来るんだよ」
「どんだけ信用ないの提督⁉︎」
「いいからクローゼット行けよ」
「はぁ……逆に言うとさ、親御さんが確認しに来なければ私はベッドで寝ていいんだよね?」
「まぁ、そうなるけど……」
「だったら親御さんが寝るまで起きててよ」
「はぁ?ふざけんなよ。明日起きれねーだろうが」
「明日、朝遅いんでしょ?それに、せっかく私達の提督に会えたのに、少しくらい一緒にいたいし……」
「………わーったよ。責めて布団の中にいろ。来たらすぐに隠れられるように」
「いいの⁉︎」
「お前がそうしろって言ったんだろうが」
「ありがとー!」
はぁ………。なんでこうなるやら……。
親が寝静まった後、俺は布団の中にもぐった。当然、川内と一緒に寝ることになるのだが、女の子と同じベッドに入るイベントは中学の部活の合宿で、夜中までみんなで大富豪した挙句、寝落ちして乗り越えたから問題ない。
「じゃ、おやすみ」
「うん!」
……………………。寝れねぇ……何が乗り越えただよ。何も越えられてねぇよ……。隣では川内が静かに寝息を立てている。つーか寝るの早ぇーなこいつ。俺は気を紛らわすため、iPhoneを弄る。その時だった。
「大輝、起きてる?」
「何」
「なんか、修学旅行みたいでドキドキしてきたね!」
「しねーよ」
「でも、心臓すごくばくばくしてるよ?」
「う、うるせーよ。いいから寝かせろ」
「可愛い」
「黙れ」
「ね、ありがとね」
「何が」
「抽選に当たってくれて」
「運営に言えよ」
今度こそ寝た。