気の向くままに書いて力尽きました。
個性把握テストなう。・・・なうって今使ってる人いんのかな?
相澤さんの話を聞き逃すまいと黙って聞く。
雄英は自由な校風が売りかぁ、自由過ぎる気もするけどね。
でも先生側もまた然りの言葉に納得する。だって相澤さんはマジで合理主義だからさ。
「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった?」
「67m。」
説明の途中でかっちゃんのターンになる。
かっちゃんてずっと俺のターンて素で言いそうだよね。ずっと俺のターンなんだよボケェ!!!みたいな感じで言いそう。余談さーせん。
「じゃあ“個性”を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい、早よ。」
早よとか可愛いな、30歳。
「思いっ切りな。」
かっちゃんが投げるモーションに入る。
「んじゃまぁ、・・・っ死ねぇ!!!」
・・・・・・死ね?
言うのは知っていたがリアルで聞くと想像以上でなんか思わず驚いてしまった。
途中文部省を貶しつつ説明は続いていく。
「まず自分の「最大限」を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段。」
最大限、か。
なるほど確かに道場では入った最初は自分の限界を知る様にいきなり走らされたもんな。あの道場に相澤さんがいたことに納得した。
クラスのみんなは個性を使った体力テストに興奮して盛り上がっている。
私は糸をどういう利用をするかを考えて、それからどの程度見せるかを考える。
入学してすぐの初対面の状況で出久くんとかっちゃんの様に幼なじみだったり私と親友の様に同中だったりそういう個性でもない限りはお互いの個性をもちろん知らない。むしろ知ってたら怖い。
つまりここで個性が活かせるすべての種目で全力を出して個性の情報というアドヴァンテージを捨てるか、最低1種目ヒーロー科に相応しい結果を出してアドヴァンテージを得る事を取るかだ。
そんな風に私が思考している間に話が進んでいく。
「・・・面白そう・・・か。ヒーローになる為の三年間そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」
相澤さんの迫力に全員に緊張が走る。
「よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分としよう。」
前髪を手で上げる。
「生徒の如何は“先生”の自由。ようこそこれが、雄英高校ヒーロー科だ。」
最下位除籍宣言にお茶子ちゃんが反論する。
「最下位除籍って・・・!入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても・・・理不尽すぎる!!」
相澤さんはそれにも極めて冷静に答えていく。
「自然災害・・・大事故・・・身勝手な敵たち・・・いつどこから来るかわからない厄災。
日本は理不尽にまみれている。
そういう理不尽(ピンチ)を覆していくのがヒーロー。
放課後マックで談笑したかったならお生憎、これから三年間雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。
“Plus Ultra”さ。全力で乗り越えて来い。」
全員に適度な緊張感が走り気合いを入れ直す。
私もいろいろ考えてたが結局は全力でやる事にした。
相澤さんの言葉にやる気が出たと言うのもあるが、よくよく考えると相澤さんは私の個性を詳細まで知っているので手を抜いたらすぐにバレてしまうし、それ以前にメディアで取り上げられた私は個性を知られている事を思い出したのだ。
最初から手を抜くという選択肢は消えていたのだ。
斯くして体力テストが始まった。
第1種目:50m走
ヨーイ!START!の声に合わせてコースの半ばに糸を貼り付けそのまま飛ぶ。
「3秒85!!」
第2種目:握力
ここはごく普通に測定をする。
48kgw
「540キロて!!あんたゴリラ!?タコか!!」「タコってエロいよね・・・。」
何にも聞こえなかった、決して聞こえてなんかいない。
第3種目:立ち幅跳び
50m走の時の様に糸を伸ばし今度は限界の50mまでの所に貼り付け地面すれすれを飛ぶ。
「121m!!」
第4種目:反復横跳び
これも普通にこなす。
「61!」
「ひゅううう!!!」私は何も見ていない。
第5種目:ボール投げ
「相澤先生。これってボールは円から出ても良いですか?」
「体が出なきゃ別にいいぞ。」
後ろに誰もいない事を確認をしてボールに糸を着けて後ろに限界まで伸ばす、そして伸びた糸が戻ってくるのに合わせて腕も前に出してボールが糸の限界地点に到達すると同時に糸を解除する。
「1018.5m!」「1km超えたぞ!!」「立ち幅跳びもすごかったしどういう個性だ!?」
思いの外好成績が出て自分が驚いた。まさか1kmを超えるとは・・・。
そしてテストが進むにつれ顔色が悪くなっていった出久くんの番になった。
彼は原作通りここまで普通じゃない目立った成績を残せていない。顔色は最悪で下を向いている。
何かを決意したような切羽詰まったような表情で腕を振りかぶり投げる。
「46m」
出久くんの顔が絶望に染まる。
そして困惑したように両手を見る。
「な・・・今確かに・・・使おうって・・・」
「個性を消した。」
相澤さんの声が響き全員の視線が相澤さんに向く。
「つくづくあの入試は・・・合理性に欠くよ。おまえのような奴も入学できてしまう。」
私はヒーロー科に落ちて普通科に進学した親友の顔を思い出して拳を強く握った。
「消した・・・!!あのゴーグル・・・そうか!
抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!!!」
クラスのみんなは相澤さんの事でざわざわしていた。
「見たとこ・・・“個性”を制御できないんだろ?
また行動不能になって誰かに救けてもらうつもりだったか?」
「そっそんなつもりじゃ・・・!」
「どういうつもりでも周りはそうせざるを得なくなるって話だ。」
捕縛武器で相澤さんが出久くんを引き寄せる。
「昔、暑苦しいヒーローが大災害から一人で千人以上を救い出すという伝説を創った。
同じ蛮勇でも・・・おまえのは一人を救けて木偶の坊になるだけ、
緑谷出久、おまえの“力”じゃヒーローにはなれないよ。」
相澤さんの言葉に出久くんは顔を強張らせる。
ボールを持ちぶつぶつ言いながら位置に着く。
そしてボールを投げる。
腕一本を犠牲にする力まかせの一振りではなく、指一本に力を最大限で最小限に込めて!
「今!」
705.3m
出久くんは拳を握りしめ、歯を食いしばりながらも強く言い放つ。
「先生・・・!まだ・・・動けます!!」
私の体に電流が走ったような衝撃が襲い、腕に鳥肌が立った。
これが、これが緑谷出久・・・!!
私はこの時になって、緑谷出久の覚悟を見て、彼を、一部を除く前世から知っていた人達を、漫画の登場人物ではないのだと、現実で生きている“人”なのだと心で理解した。
それから、残りの種目も計測して全種目終了・・・
相澤さんの除籍は合理的虚偽発言に出久くん達が驚いている中、私は自己嫌悪をしていた。
この世界に生まれて15年も経っていて、彼らを漫画の登場人物だと、そこで生きている人であることを理解できていなかったのだ。
彼らを生きている人としてみていなかった。
いくら前世から知っていたとはいえ今を生きている彼らに対して失礼だし最低にも程がある。
「石。」
自然と下がっていた目線を上げると相澤さんと目が合った。
「書類の不備について話があるからちょっと来い。」
「はい。」
相澤さんについて行く。
相澤さんは校舎の陰に行くと立ち止まって私の方を向いた。
「何落ち込んでんだ?」
やはり相澤さんには気づかれていた様だ。
でも相澤さんに前世の事も話していないから理由そのものは話せないし、自己嫌悪している事も話したくなかった。
思わず黙ってしまい合理的ではないことをしてしまいさらに自己嫌悪をして勝手に泣きそうになり堪える。
「話したくないなら無理に話せとは言わんが勝手に一人で思い詰めるなよ。」
相澤さんが私の頭を撫でる。
その手も言葉も暖かく堪えていた涙が自然と頬を伝う。
私は泣いていることを誤魔化すように言った。
「あ、いざわさん・・・書類の不備は?」
「おまえを手っ取り早く呼び出す合理的虚偽だ。」
「ふっ、嘘つくなんて、酷いなぁ・・・。」
嘘なんて気づいていた。
けど、今だけ相澤さんの優しさに、この優しい手に甘えさせて貰う。
家に帰る時に、また笑って帰れる様に。
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体力テスト順位
1 八百万 百
2 石 弦
3 轟 焦凍
4 爆豪 勝己
5 飯田 天哉
6 常闇 踏陰
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書いていてだんだん疲れて最後のあたりがいい加減になってしまった様に思います。
一応最後の辺りで主人公は原作の登場人物達を紙面の中の人と考えていた事に気づき
勝手に落ち込みます。そこで相澤さんが気づいてフォローしたんですけど上手く描写ができず力尽きました。
拙い話を読んでいただきありがとうございました。
苦情も含めて感想・質問お待ちしてます。