ハイスクールD×D ~ 堕ちた疾風迅雷と深淵を司る龍 ~   作:Mr.凸凹

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久方振りの投稿でお目汚しかと思いますが、巣籠のお暇潰しとなれれば幸いです。


第17話

 

 

 

 レイナーレの手勢であると言えるはぐれ悪魔祓い達が集っている通称教会に入り込んでいるであろう禍の団(カオス・ブリゲード)の息の掛かった()()達の動向もかなり気になるけれども、俺は今日も今日とて最早日課となっている修行に明け暮れる日々が続いているんだよね。

 まあ、今回の修行はちょっとばかり普段の鍛錬内容とは毛色がかなり違っていて未だに試行錯誤な状態だと言えるんだけれどね。

 

 俺はアザゼルさんとの極秘って程でもないけれど今現在は非公開にして非公式な共同制作中でもある試作品の腕時計型の魔法発動体を媒介にして、俺の精神体を経由(バイパス)として自分自身の魂魄を複製(トレース)して電子領域の大海原の狭間に浮かぶ仮想領域へと潜入(ダイヴ)させていっているんだよね。

 

 更に()()として此方もアザゼルさんと共同開発中で試作段階のナノサイズの極小な群体(ウィルス)型の人工神器の被検体に自ら志願しているのでその実証実験も兼ねているんだけれどね。

 電子領域の大海原に浮かぶ仮想領域への融和率を高めるだけでなく現実世界での肉体強度や自己治癒力の強化や反射速度等を著しく向上させることが出来るものの、今現在の開発段階においては継続して人工神器(ナノマシン)のポテンシャルを高レベルで維持するためには膨大と言えるほどの分量の熱量(カロリー)や鉄分を筆頭に各種ミネラル分等の大量摂取が必須不可欠なんだよね。

 

 俺は年齢の割りに比較的に小柄な体躯を少しでも解消しようと、以前から健啖家とも言えるレベルの食生活を心掛けていたのが更に過食どころか暴食(奈落)気味になったのは仕方ないよね。

 まあ、俺の体躯が停滞気味(ショタ)なのは今に始まった懸念事項でもないので、今更感満載なんだと自分自身に言い聞かせておくしかないんだよね。

 

 べっ、別に悔しいからって嘆いてなんていないんだからねっ!!

 多分……恐らく……きっと……メイビ―……

 

 

 

 

 

 先ずは魔力と氣をお互いに反発しない様にしながら合一させて増幅させていく技法の咸卦法、氣と魔力の合一(シュンタクシス・アンティケイメノイン)を無心になりつつ細心の注意を払って発動させていくと言うある意味において矛盾した方法を行うんだよね。

 俺的には魔力と氣を段階的に電力に変化させてから電磁力(フレミング)の法則に沿って微調整を行いながら合一させると咸卦法の成功率が著しく上がるのに気が付いたのは、電子領域の大海原へと足を踏み入れる事になってから暫く時を経た頃なんだけれどね。

 

 更に俺自身の神経系を疑似電脳回路に見立てて体内、主に血管系やリンパ系で半ば休眠状態である人工神器(ナノマシン)を活性化させていくのだけれど、当然まだまだ試作段階で改良の余地どころか欠陥が大いにあるモノなのでリスクも劇的に高いんだよね。

 

 未だにある程度試行錯誤を重ねて若干熟れて来たかなってレベル止まりな上に、まだまだ人工神器(ナノマシン)の操作性も拙い部分もあるので無理無謀は厳禁なんだよね。

 活性化させた人工神器(ナノマシン)はそのままだと一つ一つがそれぞれ無秩序に独立稼働しているので、分割思考も展開しておかないと統括制御出来ずに末端神経どころか脳細胞まで人工神器(ナノマシン)に侵されて、俺自身の五感や体機能が麻痺するだけでなく記憶領域まで侵されて自滅へと陥る危険性も大いに孕んでるしね。

 

 『魔法少女マジカル✩レヴィアたん』での準主役とも言える魔法拳士としての俺の活躍っぷりに、とある()の熱狂的とも言えるぐらいのレベルなコアなファンから不定期にだけれど送らてきている市場に出回っているよりも遥かに高純度で高性能なフェニックスの涙のお陰でこのところ修行では無理無謀と紙一重とも言えるハイリスクハイリターンな鍛錬が出来る様になったけれども、無理無謀な鍛錬はある種の博打(リスキー)とも言える内容なのであまり褒めらた事じゃないから程々にしておかないとね。

 

 一応は匿名どころか秘匿レベルの極秘ルートで定期的に送られて来ているけれど、コレは十中八九で()のトランジスターグラマーな金髪ツイン縦ロールのお嬢様からだよね?

 表向きにはお嬢様が生れ付き病弱で精神的にも未成熟なので心身のバランスの統合性が不安定で長年において引き籠りな状態だったと風の噂になっていたのだけれどね。

 

 実質的には所謂先祖返りの影響で強力()過ぎるフェニックス家の血族の宿命とも言える()()の自己制御が覚束無くなっていたとの事らしいんだよね。

 蝶よ花よと大事に育てられていると言えば聞こえは良いけれど、事実上の軟禁状態だったとの事らしいからね。

 

 その事を長年に渡って不服と不満を感じていたとの事であるフェニックス家の某三男坊殿の口添えもあった上に、更にはお嬢様自身の粘り強い要望と文字通り血も滲む努力の研鑽する姿でフェニックス家の重鎮達も態度を軟化させたとの事で徐々にだけれど社交界へと顔を出し始めたと聞き齧っているんだよね。

 

 社交界では常に傍らには眼を光らせている某三男坊殿がお嬢様に煙たがられながらも守護者(シスコン)として佇んでいる様に見受けられるとからしいんだよね。

 

 『魔法少女魔法少女マジカル✩レヴィアたん』への出演の恩恵は計り知れないぐらい嬉しい誤算続きなんだけども、所詮俺自身は一山幾らの何処にでも存在している凡才なので転生特典の限界無しの鍛えれば鍛えるほど強く成長していく心技体がなけれ過去において既に壊れ(ポシャっ)てしまっている可能性が否定出来ないのが……ねぇ?

 

 うん、まあ……あまり無理し過ぎて姉ちゃん達に()()を掛け過ぎるのも良くないよね?

 

 電脳空間と現実世界には時間の流れには意図して差異が生じる様に調整していて、電脳空間の三日間が現実世界では一日となるんだよね。

 そのため多少の時間超過(ロスタイム)でも問題が出にくいので、俺が修行にのめり込まない様に人工精霊(知能)には制限時間を教えてもらう様に設定しているんだよね。

 そうしないと電脳空間で一昼夜どころか一週間掛けて不眠不休で修行に明け暮れていた事もあったんだよね……

 

 あの時は心配かけてた姉ちゃんを始めとした親しい間柄の女性陣に代わる代わるローテーションで説教(オシオキ)されちゃったんだよね。

 何故か説教(オシオキ)の内容を思い出そうとする度に心身共に()()状態になって思考停止(フリーズ)しちゃうのはお察し下さいとしか言い様が無いのは……ねぇ?

 

 

 

 

 

 今回も何とか電脳空間にもある程度には五感や第六感のリンクが馴染んできたし、そろそろ本題に入らないとね。

 今現在は誤差範囲内とは言えども思考と挙動差のタイムラグを、徐々に零へと近づける様に克服していくのは今後の克服すべき課題だしね。

 

 これまたアザゼルさんと共同開発中の特殊な人工精霊(知能)を駆使して俺自身の電脳体(魂魄)を更に複製(トレース)していくんだよね。

 まあ、魂魄の複製(トレース)を更に重ねている影響で多少なりとも虫喰い(バグ)があるのは仕方ないんだけれどね。

 未だに確実性に乏しくデバックの必要性が高くて複製(トレース)した姿も影法師(シャドウ)である上に、魔法属性やスキルが一切付与されていない素体(アバター)状態なんだよね。

 

 そこで逆転の発想で敢えて俺自身が得意としている属性である風や雷の魔法ではなく他の属性を付与した影法師(シャドウ)を制作していくんだけれど、如何せん俺自身の電脳体(魂魄)斑模様(モザイク)混じりなので上手くいかない事が多々あるのは仕方ないんだけれどね。

 

 まあ、コレも禁手(バランスブレイカー) 淵龍王の喰種鎧(アブゾーブ・グール・メイル)の亜種化能力で様々な因子を節操なく取り込んでいっている影響で、俺自身の肉体どころか魂魄にまで影響が出るくらいに合成獣(キマイラ)みたいなモノへと徐々に変貌しているのが原因なんだろうけれどね。

 

 幸いにも今回は比較的に影法師(シャドウ)の生成や魔法属性付与が上手くいったのは一安心だと言えるんだけれどね。

 でも一つだけ難点を挙げるとすれば素体(アバター)の外見的特徴がどう見ても()()体型(スタイル)だったって事なんだけれどね。

 

 いや、まあ、うん……

 一見では解りづらいけれど喉仏の有無とか腰周りのくびれの位置と骨盤の形や微々たる胸部の膨らみとか股間の膨らみの有無とかが……ねぇ?

 

 まあ、影法師(シャドウ)の単純な戦闘力のスペックを鑑みると素体(アバター)の性別の違いは誤差の範疇って事で呑み込むしかないよね?

 

 ある程度戦闘回数を重ねていくと影法師(シャドウ)に制御のために搭載している人工精霊(知能)の思考ルーチンも向上して戦略の幅も広がってくるんだろうけれど、現状では直截簡明な思考ルーチンのみなので俺がソーナさんとのチェスの対戦で日々積み重ねてきた戦略眼を使用するまでもなく簡単に封殺出来るんだけれどね。

 

 まあ、慢心は俺自身だけでなく親しくも愛おしい者達をも害する要因と成り得るからしないけれどね。

 凡才な俺は自分の意志や願いを貫き通すためにも起こり得る不幸な事象の可能性だけでなく偶然や必然、更には望まぬ運命や宿()()すらも払い除ける術を貪欲に求め続けないとね。

 

「さてと……そろそろ始めますかね。命令入力(コマンド・オーダー)……」

『イエス、ご主人様(マイ・マスター)……オーダー・プリーズ……』

 

 俺の問い掛けに返答する人工精霊(知能)は未だに学習時間が乏しいのか殆ど無機質な返答で応えるんだよね。

 しかし近頃は何処か愁いを帯びつつも仄かに嬉し気な雰囲気を醸し出している気がするのは俺の思い過ごしなのか否か……

 人工精霊(知能)はアザゼルさんと共同開発したと謂えども、この個体(シリアルナンバー)は俺が零から構築した我が子の様な存在だからか愛着が湧いているのかもしれないよね。

 

 

 

 

 

 さてと、一通り影法師(シャドウ)の性能テストも兼ねた演舞や模擬戦を終えて一息吐けたかな。

 

 名残惜しいけれどもそろそろログアウトしておかないと部活動や風紀委員活動に支障を来す可能性が高くなるからね。

 

 ゆくゆくは影法師(シャドウ)が獲得した経験値や技能を俺自身にフィードバックして修得出来る様にまでに昇華していける様に努力を積み重ねていかないとね。

 今回の影法師(シャドウ)の生成や魔法属性付与が比較的に上手くいった事を記録(ログ)にきちん残しておいて、今後の修行の糧にしておかないとね。

 

 後日気が付いたんだけれどこの時にちょっぴり……いや、かなり()()()なポカミスしてしまっていたんだよね。

 その内容としては影法師(シャドウ)素体(アバター)を一旦抹消し忘れていた上に人工精霊(知能)も搭載したままにログアウトしちゃってたんだよね。

 

 些細とも言えるこのポカミスから()()した大誤算(ハプニング)がある事を、この時の俺は未だ知る由もなかったんだよね。

 気が付いた頃には既に後の祭りで取り返しのつかないぐらいになっているんだけれど、後日に語られる()春の一ページって感じのお話かな……

 

 

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 

 草木も眠る丑三つ時――

 とあるお得意様に契約内容を更新するために俺は定期的に召喚されているんだけれども、今回は何時もと違って転移した先で眼に入った光景と鼻に付いた激臭に思いがけずに頭痛と眩暈がしちゃったのは不可抗力だよね?

 

 月明かりに照らし出された何時もと変わらないどこにでもある様な至極一般的なリビングの風景――――

 まあ、とある魔法少女グッズがアクセントになる処ろか寧ろ所狭しと飾られているのはご愛嬌なんだけれどね。

 今現在は冥界でしか流通していない筈の某()()()()関連のグッズが少なからず紛れ込んでいるのは俺の精神安定上敢えてスルーする方向でお願いします……

 

 そして転移した俺の足元に最近になって見知り合った人影が口や鼻から赤黒い泡を噴き出して倒れ伏しているのは見間違えかとは思いたいんだけれど、吐き気を覚えるぐらいの俺の鼻を突く激臭の刺激に思わず眼を背けるしか出来なかったんだよね。

 

 そして、眼を背けた先の壁一面サイズの大きなスクリーンに投射された映像には満身創痍な()の姿が映し出されていたんだよね。

 

 色んな意味で俺が更に引き攣った笑みを浮かべたのは不可抗力なんだけれども、()()を切り抜ける術を増やすためにも精神鍛錬の割合を増やす必要があるなって現実逃避気味に考えたのも仕方ないよね?

 

「いらっしゃいにょ、師匠(マスター)

 

 スクリーンに向けていた視線を振り返えした先にはミルたんが満面の笑みで迎えてくれているのは何時もの通りの光景なんだけれど、その隣で喰い入る様にスクリーンを見詰めていたとある少女がミルたんに呼ばれた俺に気が付いて振り返ってきたのは俺の硬直(ループ)した思考を吹き飛ばすぐらいの衝撃(インパクト)だったんだよね。

 

「こんばんわ、綾人さん……すいません、サインを頂いても構いませんでしょうか?」

 

 眼をキラキラと輝かせながら上目遣いに頼んで(迫って)くるアーシアちゃんの情熱的な雰囲気のアプローチに()され気味なのは、俺の精神鍛錬不足だけが原因なのかなぁ~?

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございます、後生大事にして家宝にしますね♪」

 

 胸元に俺のサイン入りの色紙を抱きしめて感無量な様子で佇んでいるアーシアたんは正に聖女と思える程の後光が差している様に感じられるんだよね。

 勿論ちょっぴり現実逃避でトリップしたい俺の脳が眼の前の光景の理解を拒んでいて、アーシアちゃんの純真な姿に見蕩れ様と誤認しているだけなんだけれどね。

 

 うん、テーブルに所狭しと並んでいる古今東西のみならず()()()すらも網羅する勢いの満漢全席の様な()激辛な夥しいとも言える料理の数々なんて俺には見えてないんだからね。

 

 まあ、俺の足元で痙攣しながら倒れ伏していたフリードの尊い犠牲には色んな意味で涙を禁じ得ないけれどね。

 

「げほぉ……ごほぉ……しっ、死ぬかとおもったぜ……」

 

 走馬灯を観る度にアーシアちゃんに無理矢理癒されながら()激辛料理のフードファイトに一緒に何度も挑まされていたらしいフリードは脂汗を流しながら虚ろな眼で座り込んでいるんだよね。

 限度を超えた辛みは最早下手な拷問よりも過酷だって言うからね。

 

「こんなに美味しいんですのに……」

 

 アーシアちゃんが()激辛料理に舌鼓を打ちつつ不思議そうに首を傾げているのを横目に、俺はミルたんとの契約内容を更新するための確認作業を粛々とこなしているんだよね。

 別に()激辛料理の()食に巻き込まれたくないからって直視しない様にしているとかじゃないからね……

 

「はい、確かに対価となり得る成果のレポート内容を拝見しました。この結果を踏まえて契約内容を更新して修行内容を次のステップへと進められますね……」

「良かったにょ、コレで更に魔法少女の高みへとまた一歩前進出来るにょ~♪」

 

 ミルたんは歓喜の笑みを浮かべながら俺の手を握り締めているんだよね。

 俺の肉体強度や魔法や氣に寄る身体強化も以前に比べて劇的にレベルアップしているにも関わらず、俺の手の骨どころか腕から肩にかけての激痛が半端ないんだよね。

 

「ところで二人とも何で契約者(ミルたん)の家に居るのかな?」

 

 俺は痛みを誤魔化すためにも分かり切った質問を投げかけてみたんだよね。

 

「だってー、定期的に悪魔を呼び出す常習犯だったみたいだし、殺すしかないっしょ~♪」

「そんな表向きな建前の理由で綾人さんとの情報交換のパイプの構築のためにやってきたら思った以上に意気投合しちゃったんですよね」

 

 フリードの冗談めいた台詞を引き継ぐ様に語るアーシアちゃんは困った様な嬉しい様な複雑な表情で苦笑を浮かべているんだけれどね。

 

「ソレに『魔法少女マジカル✩レヴィアたん』での綾人さんの演技(活躍)が本当に素敵でしたので、ついつい話し込んじゃったんですよね……」

 

 恍惚とした表情で語っているアーシアちゃんと無言で腕くみしながら同意する様に頷いているミルたん、この二人からの無類とも言える程の称賛に俺は照れ臭くなって思わず眼を逸らしたのは不可抗力だよね?

 

  聞き齧った程度だけれどアーシアちゃんも足技が主体(メイン)と言えども体術は中々の練度を誇るみたいだし、ミルたんの魔法拳士としての力量に感じ入るモノがあったんだろうね。

 

 アーシアちゃんは基本的には博愛主義者との事なので()()主体のスタンスみたいなんだけれどね。

 取敢えずそれ相応の実力を伴っていないと相手に自身の話を聞き入れてもらえないと教えを受けているみたいなんだよね。

 基本的に心身共に無力化(武装解除)させるために相手を生かさず殺さずってぎりぎりのラインまで削っていって、()()の痛みは癒せば問題なしと教授されているらしいんだよね。

 

 まあ、確かに身体的な外傷や痛みは聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)で癒せても精神的外傷(トラウマ)を深く刻み込む様な気がしないでもないんだけれどね……

 うん、あまり深く考えないでおくのが俺の精神安定上でも吉だよね……

 

 

 

 

 

 情報交換のためミルたんの家に長居し過ぎたのかふと気が付くと堕天使らしき気配が複数近づいてきちゃったみたいなんだね。

 しかも俺が神の子を見張る者(グリゴリ)本部へと通う日々での良く見知った気配だけでなく、何やら知っている様な知らない様な曖昧な()()も入り混じっている()()達が含まれている様子みたいなんだよね。

 

「どうするよ、淵龍王のお坊っちゃん……もう少し事細やかに情報を得るためにも引き続き熱心に()()しておきましょうかね~?」  

 

 既に迫ってきている気配に気付いているフリードが含み笑いを浮かべつつ、俺の真意を覗き込む様に尋ねて来たんだよね。

 先程の情報交換である程度の推察は出来るだけの情報は得られたけれど、確証に至るにはやっぱり俺自身も確認しておかないとね……

 

「そうだね……()()のためにもお互いの実力の一端を明かしつつ、()()するとしようかな……?」

「そうこなくちゃね~♪」

「分かりました……」

 

 俺とフリードはお互いに戦闘狂(バトルジャンキー)な笑みを浮かべ、アーシアちゃんはその様子を微笑ましく見守る様に同意してくれたんだよね。

 

「ミルたん、後日に改めて窓ガラス代は弁償に伺いますね」

 

 アーシアちゃんはお辞儀をしながらミルたんに詫びを入れつつ、ノールックモーションで背後の俺を家の外へと蹴り飛ばしたんだよね。

 その舞う様な重心移動と脚運びの練度に見惚れたのも鑑みても俺の反応が遅れる程の技の()()は称賛に値するよね。

 

 舞い散るガラスの乱反射の奥でちらりと見えた清楚でいて活発的な二律背反(アンチノミー)の純白のショーツと鼠径部やお臍に眼を奪われた事実はアーシアちゃん自身には内緒だけれどね。

 

 さてと、鬼が出るか()が出るかどうかは……ねぇ?

 俺は臨戦態勢を整えながら緩みかけていた鼻の下と思考を引き締め直したんだよね。

 

 

 

 

 

 

 




次話の投稿は未定ですが再び少しづつ書き溜めて行く所存ですので、生暖かい眼で見守って頂ける事を願います。

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