ハイスクールD×D ~ 堕ちた疾風迅雷と深淵を司る龍 ~ 作:Mr.凸凹
「ここはどこだ? 確か俺は……」
気が付くと俺は一面眼を覆いたくなる様な光に満ち溢れた真っ白な空間に佇んでいた。
「ごっ、ごめんなさいぃ~!!」
「うぉ!!? 何事だっ!!?」
背後から聞こえてきた声に慌てて振り返った。
そこには神々しい
俺は未だにここに居る理由が理解出来なくて、更にいきなり土下座で謝れても困惑してしまう。
「えっと……取り敢えず顔を上げてくれるかな?」
「はっ、は~い……重ね重ねごめんなさい」
深々と床に頭を擦り付けていた少女が顔を上げると俺は思わず息を飲んだ。
少女はあどけなさが滲み出ているものの絶世の美少女と呼ぶに相応しい美貌の持ち主だった。
「あはっ♪ 絶世の美少女なんて……照れますよ」
少女は両手で真っ赤に染まった頬を抑えながら顔を振り乱している。
あれ? 俺、声に出していたかな?
……えっ!!? もしかして!!?
この真っ白い空間に見惚れる程の美少女。
それに多分、俺の思考を読んだって事は彼女はまさかっ!!?
「はい、正解です。一応これでも私は神様の端くれをしてます」
神様は小さい胸を張りながらどこか自慢気に微笑んでいる。
うん、可愛らしい。
実に俺好みの美少女だ。
思わずお持ち帰りして愛でたい。
俺は思い浮かんだ現実を否定するかの様に眼の前の神様を見て和んでいる。
「あの~現実を受け止めるのは辛いと思いますけれども……貴方は死にました」
神様は俺の現実逃避を断ち切る様に淡々と語ってきた。
やっぱりか。
段々と思い出してきた。
確か本屋の帰り道で快晴だった空が一変して突然の悪天候に見舞われて、それで……
「はい、貴方は暴風雨に巻き込まれて雷に打たれて死んでしまいました。私がうっかりと貴方の魂の蝋燭の灯りを消してしまったばかりに……本当にごめんなさい」
神様は泣きそうな表情を隠す様に俯いてしまった。
「泣かないで、俺も悲しくなる……って、待たんかいっ!!」
神様の表情に思わず同情してしまったが、今確かに聞き捨てならない事を言ったよね!!?
「はぅ!!? ごっ、ごめんなさいぃ~!!」
神様は涙目で震えている。
うん、可愛らしい。
思わず嗜虐心がそそられるな。
だが、ムカつくものはムカつく。
「それじゃあ、何か!!? 俺はアンタのぽかミスで死んだってことかっ!!?」
「はぅ~!!? ごっ、ごめんなさいぃ~!! お詫びに貴方の好きな世界に転生させるから許してぇ~!!」
ふむ。テンプレ乙。
少しはムカツキが治まる話だな。
まあ、今更騒いだところで仕方ないし、日々変わらない人生に少し飽き飽きしていたところだったから渡りに船か。
それに彼女いない歴=年齢の上にぼっちな素人童貞だったからな。
畜生!! 眼から汗が零れ落ちるぜ!!
「あの~元気出してね。無茶なものは無理だけど、大抵の転生特典なら叶えられるからね」
俺が眼から汗を拭っていると、神様はハンカチを差し出しながら話しかけてきた。
ハンカチからはこの世のものとは思えないぐらい良い香りが漂っていた。
この香りは神様からも微かに匂っている。
俺はハンカチを受け取ると顔を覆う様にしながら眼からの汗を拭った。
序でに深く深呼吸をした。
いや、別に他意はないよ。
ほっ、本当だよ!
「良し! 転生先はハイスクールD×Dの世界で、転生特典は俺が考えた
丁度ハイスクールD×Dの最新刊を買って帰っていたところだったしな。
ハイスクールD×Dも所謂ところのハーレムモノで、魔法先生ネギま!もぶっちゃけハーレムモノっぽくて好きだからな。
ネギの魔法や技はハイスクールD×Dの世界でも重宝しそうだしな。
いい年した汚っさんな俺だが、所謂ところのオタクだからそんな事を考えるのが好きだったからね。
まあ、ある意味チートだが問題ないのかな?
「はい! それくらいならお安い御用です!」
神様はモバイル端末を操作しながら人懐っこそうな表情を浮かべている。
「ところで前世の記憶は引き継ぎますか?」
思い出した様に首を傾げて顎に指を当てながら尋ねてくる神様。
うん。愛らしい。
思わず抱きしめたくなるが、我慢だ。
粗相をしたら臍でも曲げられて、折角の転生話がお流れになっても困るからな。
「そうだな……人格と精神年齢を引き継げれば、問題ないだろうけどね。でも、原作知識があった方が無難かな。よし! 記憶は引き継ぐよ」
俺と言うイレギュラーが交じる事で多少は変化しそうだが、大まかな流れは変わらないだろうから原作知識はあれば大体は対処出来るか。
どうせなら新しい浮世を楽しみたいもんな。
変える事の出来る
それにミッテルトたんの事が三本の指に入るくらい大好きだからな。
どうせなら使い魔にでもして救いたい。
後は小猫たんとレイヴェルたんにもお近づきになりたいよな。
べっ、別にロリコンじゃないぞ!!
ただ単に好きになったのが幼気なキャラばっかりだっただけだからな!!
いや、嘘吐きました。
ちっぱいと
ぽっこりとしたお腹に栄えるお臍と、ほっそりとした太股は大好物です!!
「分かりました! では、その様に取り計らいますね。他に希望はありますか?」
「そうだな。出来れば原作に深く関わっていきたいから、リアスの眷属に成れる様にしてくれ。ロスヴァイセには悪いが
俺が尋ねると神様は少し眉を顰めた。
「う~ん……先程伺った転生特典の内容では、普通の
怖いくらい至れり尽くせりだな。
後でペナルティとかないよな?
俺は思わず浮かんだ思考に固まってしまった。
「ああ、大丈夫ですよ。但し、天寿を全うしたら私の部下になってもらうと嬉しいですね」
にっこりと微笑みながら俺の魂の予約をする神様。
「えっと……一応話の展開的に俺は悪魔になってる訳だけど、それでも良いならその話お受けするよ」
「ありがとうございます。今、
ふむ。天界も柔軟になってるんだな。
まあ、天界もそうしないと維持出来ないって事なのかな。
「さすがにこれで転生特典は打ち止めですね……すいませんが転生先はランダムで決まります。ご了承下さい」
ぺこりと頭を下げる神様。
「ここまで願いを叶えてくれれば十分だよ。それじゃあ、名残惜しいけど……」
「はい、お別れですね……あっ!!? 忘れるところでした!」
神様は何やら悪戯っぽい笑みを浮かべながら歩み寄ってくる。
「すみません、少し屈んでくれますか」
俺を見上げる様に少し潤んだ眼で、上目遣いで頼んでくる神様。
「ああ……これでいいかな?」
俺は深く考えないで神様の顔を覗き込む様に屈んだ。
「ありがとうございます。では、貴方の魂に幸があらん事を……チュ♡」
唇に柔らかい感触が触れている。
えっ!!? キスされてるのっ!!?
何でっ!!? どうしてっ!!?
俺の混乱を他所に神様の舌が蹂躙する様に俺の口内へと侵入してくる。
「はむ……クチュクチュ……ごくん……ぷはぁ~御馳走様でした。これで貴方の魂は予約されました。逃がしませんからね♪」
あどけなさと妖艶さが混じった表情で俺を見つめてくる神様。
「では、転生を開始します。新たな浮世を楽しんできて下さいね」
未だに呆然としている俺ににこやかに手を振っている神様。
俺は熱に魘された様に固まって唇に指を当てながらその姿を見詰めている。
眩しい光が辺り一面を覆い尽くしていく。
眼が開けられないくらいの光量になると俺の意識は薄れていった。
俺は足元から落ちていく感覚に身を委ねながら眠る様に意識を閉ざした。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
俺は無意識に大きく息を吸った。
肺に新鮮な空気が満たされる。
「おぎゃーおぎゃー!」
やっぱり赤ん坊だからまだ言葉は発せられないか。
「おおっ!!? 生まれたのか、朱璃!?」
父親らしい人物が扉を蹴破る勢いで入ってきた。
その胸には少女が抱き抱えられている。
「はい、貴方……元気な男の子です。朱乃、貴女の弟よ」
母親は俺に微笑みかけてから父親と少女に話しかけている。
「そうか、男の子か!! 朱乃、今日からお前はお姉ちゃんだぞ!!」
俺の目の前に少女が差し出される。
少女は不思議そうに俺の頬に触れている。
「よお、バラキエル! おめでとうさん。かぁ~羨ましいね。これで二児の父親か! じゃんじゃん扱き使ってやるからな、この幸せ者がっ!」
新たに入ってきた男性が父親の肩を叩きながら祝福の言葉を送っている。
「いっ、痛いよ……ありがとう、アザザル」
父親は嬉しそうに微笑んでいる。
良かった。優しそうな人達だ。
転生先はランダムに選ばれるって事だったから、少し心配していた。
それにしても、母親が朱璃に、父親がバラキエル、それに姉が朱乃か。
それにアザゼルか。
どうやら俺は堕天使と人間の間に生まれたらしいな。
そして朱乃の弟か。
原作に関わる良いポジションってところだな。
朱乃は見たところ一歳ってところかな?
それなら俺は一誠と同級生な訳だ。
「ところで、貴方? この子の名前は考えてきてくれましたか?」
母親が俺を胸に抱えなら父親に訊ねている。
「ああ! 男なら
父親は照れくさそうに母親に聞き返している。
「ええ、いい名前ね。これからよろしくね、綾人。私の愛しい子」
母親は俺の頬に口付けをしながら微笑みかけてきた。
綾人か。
それが俺の新しい名前か。
うん、悪くないな。気に入ったよ。
「あら? 綾人が笑いましたよ。名前が気に入ったのかしら?」
「ああ、それならば父親冥利に尽きるな」
両親が愛おしそうに俺を見詰めている。
(ほぉ~今代の宿主は面白そうな奴だな。しかも、バラキエルの息子か)
何だ、今の声は?
俺の
俺は目を瞑るようにして精神世界へと意識を沈めていった。
精神世界に潜ると眼の前に漆黒の龍が佇んでいた。
『ふむ……生まれたばかりなのに色付き形作られた
龍は辺りを見回しながらも俺に警戒の色を向けている。
「初めまして……えっと、俺は今日から姫島 綾人だ。それとぶっちゃけると前世の記憶を引き継いでいる」
信頼を得るには真実を伝える必要があるからな。
まあ、さすがに原作知識の事は黙っているがね。
『なる程、それが生まれたばかりで既に精神が成熟している理由か……魂の色は濁ってなさそうだから問題はないか』
龍は俺を隅々まで見定める様に見詰めてきている。
「ところで君は……」
俺は龍の正体に気がついているが敢えて質問をした。
『私か? 私は
「
俺は更に呆けた振りをして聞き返した。
一応俺が考えたから知ってはいるが、傍から見たらそれは可笑しい事だからな。
襤褸が出る前に聞いておかないとな。
『
「へぇ~それが俺に宿ってるって事か…‥ ところで
俺は更に踏み込んで聞いていく。
これも勿論知ってはいるけどね。
『
「なる程、つまりは俺自身が強くならないと宝の持ち腐れって訳だな」
俺は腕を組みながらうんうんと頷いている。
『まあ、
「それは凄いな! ……ところで、
これも忘れず聞いておかないとな。
『
そうなんだよな。
一応
ナラカの知らない能力も身に付く予定なんだよな。
まあ、要努力の必要があるけどな。
『さてと……他に質問はあるか、宿主よ?』
あっと、そうだ!
これも一応聞いておかないと拙いか。
「えっと……俺の父親のバラキエル? 彼の事を知っているみたいだけれど……」
『ああ、バラキエルとは旧知の仲だ。神器に封じられる前からの付き合いだ。彼の息子のお前に宿った事は、まさに天命で嬉しく思うぞ』
ナラカは本当に嬉しそうに微笑んでいる様に見える。
「改めてよろしく、ナラカ」
『おう、綾人。こちらこそよろしくだ』
ナラカが前足を差し出してきたので俺は利き手で握手する様に掴んだ。
さあ、ここから俺の新しい浮世が始まる。
果たして輝かしい未来が待っているのか、はたまた絶望の未来が待っているのかはまだ分からない。
俺の行動次第でどちらにでも転ぶだろう。
今は赤ん坊だから現実世界では鍛えられないが、
さあ、早速始めようとしようか!
待っていてくれ、ミッテルトたん!!
それに小猫たんとレイヴェルたん!!
君達に相応しい漢になって、君達を幸せにするよ!!
主人公の綾人の容姿は魔法先生ネギま!のネギを黒髪と褐色肌にした感じです。
将来はお臍フェチで太股フェチの眼鏡インテリ系で二枚目半な感じです。