『今度は盾ごど砕いてやる!! 喰らいなぁ!!!』
メドーサの連続魔力砲が体制の崩れた横島に向かってきていた。
―――マズいアレをまともに受けては……
そう思った次の瞬間、横島の感覚に変化が起きた。
「…これは、…まさか?」
『超加速さ!!』
同じく超加速に入ったメドーサが答えてくれた。
「超加速?」
『アンタは経験しているだろう?』
「…経験? 月での件か!?」
『いいや、アンタが無意識に使ったのはもっと前さね!』
「えっ?」
『アンタはシャドーで誰にも教わらずに超加速を使ったのさ! それがどれだけ異常か小竜姫すら気づかないとはね…』
「なっ? …何故お前がそれを!」
『集中力を切らすんじゃあない!! 今、超加速が解ければアンタは私が撃った魔力砲の直撃で死ねぞ!!』
「!?」
言われてみるとメドーサの放った魔力砲は此方に向かっていた。
「くっ!」
『超加速前に撃ったとはいえアタシの魔力砲のスピードは並じゃない
よ!』
確かに超加速状態なのに魔力砲はゆっくりと迫ってきている。だが…
「遅い!!」
片腕に集中した霊破刀で全て斬り捨てた。
「んなっ?」
驚いたのは横島だった。横島自身は霊破刀を伸ばして斬るつもりだったのに、出来た霊破刀はかつて「狼王フェンリル」に対し「女神アルテミス」の力を宿したシロが使った時に匹敵する巨大な霊破刀だった
「なんでこんな…」
自分がやったことも無い巨大な霊破刀が出来てしまったのだ 本人が驚くのも無理は無かった。
『そりゃあアンタの霊圧が上昇しらからさね。込める力が大きければ当然の結果さ』
「…メドーサお前は一体何を考えている?」
『…さぁね。次のを耐えられたらげたら教えてやるよ!』
そう言いながら手に持った刺又槍に禍々しい程の魔力を籠めて横島に向けた。
『私の切り札の一つさ …耐えきりなよ!』
横島はおもわずに一歩下がっていた。本能が全力で警報を鳴らしている
アレは…
『……私がこの技を使った時に生き残ったヤツは居ない。…だから、もしお前が耐えきれたら“ルシオラ”に逢わせてやるよ!』
「!? …ルシオラ!!」
『いくよ! 竜牙閃!!!!』
メドーサが槍を突き出すと同時に全身の魔力から生み出だされ、解き放なたれたのは壮絶な破壊力を有する“真紅の魔龍”
その魔龍は横島を食い殺さんと牙を向けてきた。
「サイキック…シールド!!」
サイキックソーサーの応用技で自身を中心に球状状態でシールドを作成したのだった。だが…
ピキッ …ピキッ
魔竜の牙はサイキックシールドを容易く突き破ろうとしていた。
「おおおおおおおおああッ!!」
衝撃のあまりの強さにシールドを構成する手が震え膝が笑う。身体が後ろへと運ばれて余波の衝撃であたり一面を粉砕し、地を削った。
諦めが心を支配しかけ。だが、叱咤は意外すぎる所から飛んできた。
「どうした、横島! お前の意地はそんなもんか!?」
メドーサだ。あろうことか攻撃を行っている本人から、横島への叱咤が入った。
「はっ! そんな程度で私の技を耐えようなんざ笑わせるな!」
「ぐ、ううう…ッ!」
「おらどうした? 目を瞑るな、敵を見ろ! 腰に力を入れて踏ん張ってみせろ!」
「…ぐ…!」
メドーサは勝利を確信したような笑みを張り付け、髪までかき上げる余裕ぶりだ。
「それでもアシュ様を倒した英雄か?! 随分だらしねえ英雄様だな!」
「……れは……ッ!」
「好きな女一人守れないでまた見殺しかい?! そんなんで逢いたいだ!! 寝言は寝てから言うんだな!」
「おれ……は…ッ!!」
―――ヨコシマ
脳裏に彼女の笑顔が浮かぶ。
足に力を入れて踏みとどまる。途切れそうな意識を叱咤して持ち直す。
彼女の前で無様は晒せない。
「うおおおおおおおおおおーーーッ!!!」
搾り出せ。己の内にある力の全て、己の中に眠っている可能性の全てを
「おおおお……おおおおおおッ!!」
もう、二度と戦えなくなっても構わない。一生動けなくてもいい。今この瞬間が全てだ。この戦いに勝たなければルシオラとの未来は訪れない。故に…
―――全ての霊力を解放し大爆発を起こした。
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ヒャクメを含む監視部隊67名の戦死 この事実に神魔合同調査本部は激震が走った
情報部で編成されているとはいえ神魔混合部隊。人間相手にに遅れをとらないはずだった…
ところが…結果として全滅、何が起きたのかさえ掴めていない状況だった。
そんな中で唐巣が妙神山にヒャクメの心眼を持ち帰り猿神の術で情報を抜きワルキューレが本部に情報を持ち帰ると話どころか事態は一変した。
そこには神魔だけではなく人間をも皆殺しにしている映像が記録されていたのだった。
―――その実行犯は純白の翼をはためかせる、過激派の神族、天使であった。
本当に遅くなりました。
仕事とか、仕事とか、仕事とかで(泣)
帰るのもこの時間ぐらいに
次回はもう少し速めに書きます。