バカとIS   作:陸のトリントン

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今回は、少しギャグ成分が多めになっております。

タグに基本ギャグと付けているのに・・・


第九話 バカと「反省」

セシリア戦が終わって間もなく、翔は簪と猫と一緒にある場所にいた。

 

「なあ、簪」

 

「どうしたの?」

 

「俺、ドリル野郎を倒したよな?」

 

「うん」

 

「じゃあ、なんで生徒指導室で先生を待ってるんだ?」

 

「・・・簡単な話」

 

「なんだ?」

 

「翔・・・やりすぎ」

 

「何をだ?」

 

「代表候補生に容赦がなかった」

 

「ええ!?手加減したぞ!」

 

「どれくらい?」

 

「通常の8割、9割ぐらい」

 

「人、それを手加減と・・・言わない」

 

どこかのお兄さんみたいなツッコミをされ、困っている翔の前に山田先生と猫が入って来た。しかも、山田先生は怒っていた。

 

「あ、先生。今日は何のようですか?」

 

「佐山君。今日は「ニャー」ありますが、簪さんが此処にいる理由が・・・」

 

「翔の・・・ストッパー」

 

「分かりました。では「おいおい、待て!なんだよ!ストッパーって!?」」

 

簪のストッパー発言に理解できない翔は、その意味を問いただした。

 

「翔・・・半年前の事覚えて「あれは、あっちが悪いだろ!先生といじめっ子の親と警察が、俺を「ニャー」なんて、誰がどう見ても」それが全国に暴露されたのに・・・殴りに行ったのは、誰?」

 

「・・・すいません」

 

「あ、あのぉ・・・」

 

翔の武勇伝(?)を聞き、戸惑っていた山田先生だか、直ぐに話の本題に戻った。

 

「こほん。佐山君、今日ここに呼んだのは他でもありません。どうして「ニャー」たんですか?」

 

「いや、仕方ねえだろ。あいつ、口で「ニャー」分からねえ奴だから、「ニャー」しかないだろ」

 

「だとしても、あれは「ニャー」です。皆が佐山君の「ニャー」怯えてるんです。もう少し、「ニャー」ください」

 

「代表「ニャー」だろ、あいつ。別に「ニャー」されたって問題「問題があるんです!」」

 

「は「ニャー」」

 

「今回の戦闘で「先生・・・」どうしたんですか?」

 

我慢の限界を迎えた簪は、山田先生にある疑問を問いかけた。

 

「先生は、大丈夫なんですか?」

 

「何がですか?」

 

「何がって・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「猫がこんなにいて・・・大丈夫なんですか?」

 

「「「「「ニャー」」」」」

 

はじめは、二匹しかいなかった猫。しかし気づけば、猫の数は十匹以上になっていた。

 

「はい、大丈夫です。なんたって先生ですから!」

 

根拠の無い自信に胸を張る山田先生。その時に揺れる二つの巨峰に簪が悔しい顔をしたが、翔は猫達と戯れてて気づかなかった。

 

「それでは、本題に戻ります。今回の戦闘でオルコットさんのISの損傷が酷く、修理には三日は掛かります。オルコットさんの方は幸い軽い打撲で済みました」

 

「じゃあ、何で俺が此処にいるんだ?」

 

「佐山君には、一カ月の特別保護観察を「なんだそれは!?」ひいっ!?」

 

翔の驚きに山田先生は怯むが、すぐに説明を続けた。

 

「佐山君の言動に、周りの生徒達が怖がって「知るか」え?」

 

「俺は何もしていないし、周りが勝手に騒いでるだけだ。あまり気にする必要は「もう一つ理由があります」あ?」

 

「オルコットさんとの戦闘で、危険視する生徒や教員の方々が謹慎処分の提案がありましたが、私と織斑先生で説得して、何とか特別保護観察で落ち着かせたんです」

 

「はあ?俺に言えばそいつらをぶっ倒す「それが原因なんです」え?」

 

山田先生は真剣な顔つきで翔に原因を話した。

 

「佐山君、ISはスポーツであって殺し合いでは「やってることは変わらねえだろ」だとしてもです。佐山君の戦い方は、相手の命を奪いかね「それが戦いじゃねえのか?」違います!」

 

「いや、同じだろ。だって「翔・・・先生の言いたい事は、そういう事じゃ無い」え?」

 

簪のフォローに感謝しつつ、山田先生は説明を続けた。

 

「佐山君の言いたい事は分かります。ですが、試合であっても相手を尊重する意識を持ってください。人の命を奪ってからは、遅いんです」

 

「人の命は・・・地球の未来」

 

「そうです!人の命は地球の未来ですから!」

 

「はあ、分かりました」

 

どこかの救急戦隊が言いそうなフレーズはともかく、今回はやり過ぎたと感じたのか、はたまた自分の理解者がこの学園にいるのが分かったのか、翔は今回の処分を受け入れた。

 

「で、織斑先生は今どこにいるんだ?」

 

「織斑先生は、寮長室で今回の件での書類整理をやっています」

 

「そうか。じゃあ、部屋に戻「ダメです!」え?」

 

そう言い、山田先生は教科書と参考書の山を翔の目の前に置いた。

 

「佐山君が、授業を真剣に取り組んでいないと周りの先生たちから苦情がたくさん来ています。なので、今から特別補習を行います!」

 

「いや、勉強は簪と「ダメです!」今日はかんざ「佐山君!」いや、かん「簪さんに甘えてはいけません!」ええ・・・」

 

心を鬼にした山田先生に、翔は簪に助けを求めようとしたが、

 

「翔・・・寂しいけど、私待ってるから」

 

「待て簪!なんで俺を助けてくれないんだ!」

 

「山田先生が・・・翔を助けてくれると信じてるから」

 

「俺が嫌いになったのかよ!?」

 

「ううん」

 

「じゃあ、なんで!?」

 

「一組の先生だから・・・」

 

翔は一組、簪は四組。山田先生は一組の副担任。

 

 

 

 

 

 

助け舟など初めから無かった。

 

「帰ってきたら、カップケーキ・・・食べさせるから」

 

「いやいや、そういうことじゃ「佐山君。補習を始めましょう!」って、おい待て!簪、助けてくれ!簪、かんざしぃぃぃぃ!」

 

 

 

翔が部屋に戻ってきたのは、夜中の10時過ぎであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔が特別補習を受けている中、寮長室では千冬が成美と電話をしていた。

 

「今週の土日に一夏と一緒に、本社に来い?」

 

ーああ、そうだ。そいつに会わせる。ー

 

「何故、一夏も連れて行かなければならない?」

 

ーそいつが二人に会いたがっているからだ。ー

 

「そいつは誰なんだ?」

 

ー会ってからのお楽しみだ。少なくとも、束じゃない。ー

 

「はあ、分かった。日曜日に、一夏と一緒に行くことにする」

 

ーありがとう。じゃあ日曜日、待ってるからな。逃げんなよ?ー

 

そう言い、一方的に電話を切られた千冬は深くため息をした。

 

「まさか、あいつから電話が来るとは・・・」

 

 

 

 

 

 

成美と最初に出会ったのは、佐山のIS実技試験だった。

 

その時の試験官が私だったのか分からないが、何故か成美がいた。

 

山田先生の身体を触りながら

 

『男を殺すには、強力過ぎる!』

 

とか言って困らせていたな。

 

だが、ISに関しての知識と発想は束に引けを取らない。

 

佐山のISが故障した時には、遠目で見てたにも関わらず、故障箇所を指摘し、その場で直したのには驚いた。しかも、ドライバーとペンチだけで。

 

その後、何故だか知らないが私に寄り掛かってくるようになった。理由は気に入ったからだと。はっきり言うなら、束とは違う別タイプの「変態」だ。私は、変態に好かれる体質でも持っているとでも言うのか?

 

愚弟と佐山、さらにはオルコットの試合の件で、私は心身共に疲れた。こんな事が一年間続くとなると、私の胃が持たない。だか、そんな事を神が見捨てなかったのか、一つの救いが現れた。それは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニャー」

 

「おお!・・・なんて可愛いんだ、お前は」

 

「ニャー」

 

「にゃ、にゃんにゃん」

 

「ニャー」

 

「にゃー」

 

「ニャー」

 

「可愛い・・・」

 

猫だ。そう、猫だ!私の疲れを癒してくれる、最高の動物だ!つぶらな瞳に、愛くるしい鳴き声、一夏には及ばないが、一夏よりは癒してくれる!ああ、何故気づかなかっただろう。こんなにも可愛い癒しが、そばにいる事を。それにこの猫は、私に懐いてる。そう、懐いてる!他の猫が離れていく中、この猫だけが近寄ってくれた。そう、これは奇跡に近いものだ!ああ、いけない。よだれが垂れていた。そうだ!名前を考えなければ。

 

「お前の名前は「千冬・・・姉・・・」・・・」

 

どうやら、私の愚弟は見てはいけない物を見てしまった様だな。

 

「俺、用事を思い出し「・・・一夏」ち、千冬・・・姉」

 

「今、夢から覚まそう」

 

 

 

寮長室から一人の断末魔が響き渡った。




次回は、会社訪問回です。

クラス代表・・・知らんなあ。

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