バカとIS   作:陸のトリントン

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今回はクラス代表決定戦です。

前回、番外編を出そうか考えていましたが、何話か出した後に出す予定にしました。

後、戦闘描写が難しい・・・


第八話 バカと「決闘」

セシリアとの試合当日、第三アリーナの観客席は代表候補と男性IS操縦者の対決を一目見ようと生徒達で溢れていた。

 

そしてアリーナのピットにいた一夏は、箒にある質問を投げかけた。

 

「なあ、箒」

 

「なんだ?」

 

「ISの事を教えてくれるって話だったよな?」

 

それを聞いた途端、箒は一夏から目を逸らした

 

「え!?目を逸らすな。一週間、剣道の稽古しかしなかったじゃないか?」

 

「し、仕方がないだろ。お前のISはまだ届いてないのだから」

 

「ISが無くても、知識とか基本的なものとかあるだろ!」

 

「ふんっ」

 

「だから、目を逸らすなったら!」

 

箒の剣道の稽古は、一夏を成長させてくれなかった。

 

「お?お前ら、何やってるんだ?」

 

「ん?翔!・・・って、何着てるんだ?」

 

「え?」

 

やる気のない声に一夏は翔だと確信し振り向いたが、そこには黒いタキシード纏い、黒いテンガロンハットをかぶった翔と簪がいた。

 

「ああ、これか。俺のISスーツ」

 

「いやいや、どう見てもタキシードだろ」

 

「でも、ISスーツだから。これ」

 

「はあ。で、その隣の「更識簪・・・」よろしく、更し「簪でいい・・・」分かった、簪さん」

 

簪との自己紹介を終えた一夏はピットに流れてるモニターを観てた。

 

「あれが、セシリア(あいつ)の専用機か・・・」

 

「相変わらずドリルな髪型だな」

 

「ああ・・・って、そこじゃないだろ!」

 

一夏のセリフに、翔のボケ、箒のツッコミが加わったが、簪は翔が使う打鉄の調整を行っていた。

 

『織斑君、織斑君、織斑君!』

 

スピーカーから管制室にいる山田先生の声が響いた。

 

「織斑って三人いたっけ?」

 

「翔・・・そうじゃない」

 

翔のボケに山田先生は動じることなく、しゃべり続けた。

 

 

 

『来ました。織斑君の専よ『ニャー』ちょっと、待っててねえ。ごほん、織斑君の専用I『ニャー』そこで待ってて。織む『ニャー!』きゃあ!ちょっと・・・そこは・・・あん』

 

 

 

猫を除いては・・・

 

 

 

「何やってんだ?先生」

 

「管制室に、猫連れてくるのか・・・」

 

「専用機が来たらしいが・・・」

 

「・・・大丈夫なの?」

 

翔、一夏、箒、簪は、山田先生の猫好きに困惑していた。

 

『織斑、すぐに準備をしろ。アリーナが使える時間は限られているからな』

 

織斑先生の言葉で我に返った4人は、ピット搬入口へ振り返り、そこから現れたのは灰色のISだった。

 

『これがお前の専用機、「白式(びゃくしき)」だ』

 

「へえ、これが専用機か・・・」

 

翔は、一夏の専用機を見て少し興味深そうに眺めていた。

 

『フォーマットと初期化(フィッティング)は、佐山が戦ってる間に行え』

 

「分かった。佐山、負けるなよ」

 

「勝ち負けなんて気にしてねえ」

 

「え?」

 

一次移行(ファーストシフト)の時間稼ぎに、翔を使うことに悪気を感じ、エールを送った一夏だったが、彼は悟った。

 

「あのドリル野郎が、土の中から二度と這い上がれないようにすれば十分だ。勝とうが負けようが、ぶっ倒せばいい」

 

「翔・・・それは負ける人の、セリフだから」

 

「え?そうなの?」

 

 

 

翔は、勝ち負けなんて特に気にしてなかった。

 

 

 

「簪。この打鉄、大丈夫か?」

 

「できる限りの調整はしたから。あとは壊さないように・・・頑張って」

 

初日の特訓以降、翔はISの基本動作とセシリア戦に向けての特訓をやっていた。しかし、毎日煙と火花を放つISを持ってくるたびに、整備スタッフは怒りを露わにしていた。そのため、基本動作の練習をやるときも、簪の見てる前でやっていた。

 

「ああ、わかった。それじゃ・・・あ、忘れてた」

 

「何?」

 

「気を引き締めるおまじないをするのを」

 

「それは、な・・・」

 

言い切る前に簪の唇は、翔の唇で塞がれた。

 

一瞬の出来事に一夏は呆然とし、箒は顔を真っ赤にしていた。

 

簪も突然の出来事に、頭がショート寸前に追い込まれていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・のは、昔の話であった。簪は何もせず、翔が離れるのをそのまま待っていた。

 

「よし、行くか」

 

簪から離れた翔は、打鉄を装着しセシリアが待つ所へ向かおうとした。

 

「翔・・・」

 

「なんだ?」

 

「この試合終わったら・・・・・・お仕置きだから」

 

「分かった。行ってくる」

 

少し顔を赤くした簪の言葉に爽やかな笑顔で返答すると、アリーナのフィールドへ飛び立った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・わけも無く、フィールドまで歩いて行った。

 

「飛ばないのかよ!」

 

一夏はあまりの出来事に、箒に助けを頼んだ

 

 

 

 

 

 

「箒、俺・・・って、箒!?」

 

 

 

 

 

 

が、箒は泡を吹いて倒れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、管制室では・・・

 

「にゃ~ん。ぐふふふ・・・」

 

「何故、猫が私に懐いてこない・・・胃が痛む」

 

織斑先生は猫が懐いてこない悔しさと、佐山の言動のダブルパンチで胃にダメージを負っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナの上空。セシリアは怒りを露わにしていた。

 

待たされ、やっと来たと思ったら、黒いタキシードを纏った翔の打鉄が歩いていた。

 

しかも飛ぶ気配が、一切ない。

 

「貴方・・・まさかISで飛べないのですか?」

 

「いや、飛べる」

 

「では、何故飛ばないのですか!?」

 

「あまり飛ぶなと先生に忠告されたからだ」

 

「は?」

 

あまりに情けない答えに怒りを通り越し、呆れてしまったセシリアは一旦落ち着いてから、提案をした。

 

「では、最後のチャンスをあげますわ」

 

「チャンス?」

 

「わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。今ここで謝るというのなら、許してあげな「断る!」な!?」

 

余裕の笑顔をしていたセシリアは、また話を遮られたことに怒りを露わにしたが、そんなことはお構いなしと翔は喋った。

 

「俺はてめえをぶっ倒しにここに来たんだ。お前の与田話を聞きに来たんじゃない。」

 

 

 

―警戒―

 

敵IS操縦者の左目が射撃モードに移行

 

セーフティのロック解除を確認

 

 

 

 

 

 

(手加減なしか・・・なら)

 

近接ブレードを持ち、翔は独特の構えを始めた。

 

同じ黒いタキシード纏った欠番の乗る、ロボットの構えであった。

 

 

 

 

 

 

「そう、残念ですわ。それなら、おわ「どりゃぁぁぁ!」なっ!?」

 

セシリアはスターライトmkⅢを振り上げ射撃体制に入ろうとしたが、振り上げた直後彼女の目の前には、近接用ブレード「葵」を振り下ろし始めた打鉄がいた。

 

(な・・・なぜそこに!?さっきまで地上・・・)

 

セシリアの思考が追い付く前に、翔は彼女のISに葵の一撃を与えた。

 

「うっ!」

 

ブルーティアーズはそのまま地面で大きく三回バウンドしたが、すぐさま体勢を立て直し反撃に移ろうとしたが・・・

 

「はっ!スターライトが・・・」

 

スターライトmkⅢが手元に無かった。

 

「ど、どこに「目の前にあるぞ」え・・・」

 

翔の言うとおり、彼女の目の前にはスターライトmkⅢだった鉄の塊がそこにはあった。

 

(どういうこと・・・私は地上にいた男を撃とうとしたら・・・突然目の前にその男は現れて・・・斬られて・・・地面に叩き付けられて・・・撃とうとしたら・・・スターライトは使用不可能・・・私が地上で、男は空・・・)

 

彼女は今の状況を理解できていなかった。

 

「ん?何もしねえのか。だったらこっちから行くぞ!」

 

翔は葵を逆手持ちにし、そのままセシリアに斬りかかった。

 

「チェストォォォ!」

 

「はっ!」

 

叫び声で我に返ったセシリアは、翔の攻撃を難なく避け空へ舞ったが、背後で轟音が鳴り響き振り向くと・・・

 

「な・・・なんなのですか・・・」

 

先ほどの翔の攻撃で、地面にクレーターができていた。大きさは直径10mもする大きなクレーターだが、訓練用ISでそこまでの力を出す翔に、周りも驚きを隠せなかった。打鉄には特に変わった様子は見受けられないが、おそらく一発が限界だろうと考えた。

 

「あ、貴方。いったい何なんですか!?」

 

「俺は・・・。通りすがりの「そういうのを聞いてるんじゃありません!」・・・すいません」

 

これ以上聞くのは野暮だと感じたセシリアは、短期決戦へ持ち込むことにした。

 

「では、そろそろ閉幕(フィナーレ)と参りましょう!」

 

4つのビットがセシリアの元から周りを飛んでいた。

 

「来たか・・・なら!」

 

迫りくるビットを前に、翔は黒のテンガロンハットの端にあるリングに指を通し、90度回転させた。そして、目つきをなぜか険しくした。

 

「あら、何ですのそれは?」

 

「俺の本気を見せるって言う合図だ」

 

今まで本気じゃなかったことに不服を感じてたが、それでも自分の勝利は確実だと考えてた。

 

「残念ですが、このブルーティアーズの前に「悪いが、フィナーレを迎えるのはお前だ」なんですって!?訓練機で、このわたくしに勝てると言いたいのですか!」

 

「ああ勝てるさ。なぜなら・・・」

 

突然の勝利宣言にセシリアは怒りを露わにしたが、翔は構えをとった。

 

「今のお前に、俺を止める術を持ってねえからだ!」

 

そのまま、セシリアの所に一直線へと飛んで行った。

 

「無駄な足掻きを!」

 

ビットが翔の所へ近づきレーザーを放ったが・・・

 

「イグニッション・・・!」

 

翔のつぶやきと共に打鉄は瞬時加速(イグニッション・ブースト)のまま、すれ違いざまにビットを1つ斬りおとした。

 

「な!?瞬時加速(イグニッション・ブースト)!ですが、ブルーティアーズはま・・・」

 

セシリアは翔が瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使えることに驚きを隠せなかったが、それ以上に驚くことが起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それと同時に、残りのビットが一斉に爆発したのであった。

 

「ど、どこですの!?姿を現しなさい!」

 

ハイパーセンサーは様々な方向に警告を出しているため、どこにいるのか分からない状態であった。

 

それと同時にセシリアは焦りを感じていた。イギリス代表候補生であろう者が、素人当然の相手に一方的に打ちのめされている。それは、オルコット家と祖国の恥であり、代表候補生最大の屈辱であった。

 

「どこ、どこにいるのです!」

 

そして、ハイパーセンサーは敵が上にいると表示した。

 

「上!?」

 

見上げるとそこには、近接用ブレード「葵」を逆手持ちし、オリジナル笑顔で斬りかかる翔がいた。

 

だが、セシリアの顔からは笑みがこぼれていた。

 

「かかりましたわね。ブルーティアーズは4基だけではありませんのよ!」

 

そして、腰に付けてあったミサイルを翔に向けて放った。

 

(あんな父上よりだらしのない人に、負けるはずがありませんわ!!)

 

今度こそ勝利を確信したセシリアは翔の最後を見届けるのであったが・・・

 

「チェェェストォォォォォ!」

 

「!?」

 

ミサイルニ基切り落とした勢いのまま、翔はセシリアを斬りつけた状態で瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使い、地面と激突した。そして、激しい轟音と震動が学園全体を襲った。

 

 

 

 

 

 

アリーナには巨大なクレーターができており、その中心には黒いタキシードを纏った翔が立っていた。傍には体のあちこちが欠損している打鉄と、全身ヒビだらけのブルーティアーズがあり、セシリアは少し離れたところでぐったりと倒れていた。

 

 

 

 

 

 

『こ、この試合は無効とさせていただきます!』

 

 

 

山田先生の慌てた声がアリーナ中に鳴り響いた。




次回は・・・何にしよう。

クラス代表決定パーティーもできるし、オリジナルの話もできるし、会社訪問の話もできるし、困ったな。

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