バカとIS   作:陸のトリントン

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今回からIS本編に入ります。

それにしても原作との絡みが難しい・・・


IS学園 一学期
第四話 バカと「学園」


IS学園

 

IS操縦者、専門のメカニックなど、ISに関連する人材の育成をするために設立された特殊国立高等学校。あらゆる国家機関に属さず、いかなる国家や組織であろうと学園の関係者に対して一切の干渉ができないため、他国のISとの比較や新技術の試験などもされている。そして、一部を除き教職員は全員女性。生徒も全員女性。しかも、孤島。まさに華の巣窟という言葉がふさわしい。

 

だが、そんな華の巣窟にある異変が生じた。

 

一年一組に、男が二人いる。しかも、真ん中の最前列に。

 

 

 

 

 

(これは・・・想像以上に・・・キツイ・・・)

 

その華の巣窟の中にいる一人の男、織斑一夏はもだえていた。

 

受験する学校を間違え、さらには置いてあったISを起動させてしまい、世界中を騒がせた「世界で初めてISを動かした男性」。勿論、各国の政府や研究機関が彼をわが物としよう奮闘したが、IS学園に入学するということで、事なきを得た。

 

しかし、入学しても地獄であることには変わらなった。

 

周りは女子、女子、女子。見渡す限り、女子。視線は一夏に一点集中。

 

誰か助けてくれないかと、六年ぶりに再会した幼馴染を見てもそっぽを向かれ、さらに隣にいる「世界で二番目にISを動かした男性」は・・・

 

 

 

 

 

 

顔を俯かせたままじっとしている。しかも胴体が不自然に動いてる

 

結論から言えば・・・孤立無援

 

どうすればいいんだと、絶体絶命のピンチに勝手になっていたが、

 

「織斑君・・・織斑一夏君!」

 

「は、はい!」

 

副担任の山田真耶の声で、そのピンチはやって来た。

 

「あのー、大声出しちゃってごめんなさい。でも、『あ』から始まって今、『お』なんだよね。自己紹介、だめかな?」

 

「いや、あの・・・そんなに謝らなくても・・・えー、えっと・・・」

 

女子生徒達に少し笑われながらも、一夏は覚悟を決め、席を立った。

 

「織斑一夏です。よろしくお願いします。」

 

これで終わったと安堵した瞬間、背筋が凍る感覚がした。周りが一夏の次の発言に期待しているからである。趣味はなんだ、特技はなんだ、好きな女のタイプは、スリーサイズは。

 

それらの欲望がつまった視線達が、一夏を睨みつけた。

 

隣で俯いてる男を除いては

 

(いかん!ここで黙ったままだと、暗い奴のレッテルを張られてしまう!)

 

織斑は大きく息を吸った。次は一体何を言うんだ。女子達の視線が刺さる中、彼の次なる発言は・・・

 

 

 

 

 

「以上です!」

 

 

 

 

 

生徒全員がずっこけた。新喜劇に入ったら、それなりに通用するずっこけであった。

 

隣で俯いてる男を除いては

 

 

バシーン!

 

 

突然一夏の頭に強い衝撃が走った。

 

「いってえ。げぇ!千冬姉」

 

彼の頭上に鉄拳が炸裂した。

 

「学校では織斑先生だ」

 

一夏に鉄拳を下した人物こそ、世界最強のIS操縦者「織斑千冬」である。

 

一夏の姉であり、第一回モンド・グロッソで総合優勝を果たした、「ブリュンヒルデ」の名を持つ女性。その後、ドイツで教官を一年間勤め、代表を引退。現在のIS学園教師となった。

 

「織斑先生、会議は終わられたんですか?」

 

「ああ、山田先生。自己紹介を押し付けて悪かった」

 

教団の前に立った織斑先生の姿は、まさに女性の憧れの象徴であった。

 

「諸君。このクラスの担任の織斑千冬だ。この場にいるヒヨッコどもを一年で使い物にするのが私の仕事だ。」

 

そして、空気が変わった。

 

 

 

「「「「「キャアアアアアッッッ!!!」」」」」

 

 

 

歓声、黄色い歓声。それはまさにビッグウェーブの歓声であった。

 

「キャアアッ! 千冬様! 本物の千冬様よ!」

 

「私、お姉さまに憧れてこの学校に来たんです! 北九州から!」

 

「毎年毎年、このクラスには馬鹿しか集まらないのか?私のクラスに集中させてるのか?」

 

千冬は頭を掻きながら、困り果てた顔をしていたが・・・

 

 

 

「「「「「キャアアアアアッッッ!!!」」」」」

 

 

 

「キャアアッ! もっと叱って、罵って!」

 

「でも、時には優しくして!」

 

「そして、つけ上がらないように躾をして!」

 

 

 

生徒達には、すべてが美しく見えていた。

 

隣で俯いている男を除いては

 

 

 

「で、お前は満足に自己紹介もできんのか?」

 

「いや、千冬姉。俺は・・・うぐっ!」

 

目にも止まらぬ早業で一夏の頭は机に叩き付けられていた。

 

「ここでは織斑先生と言え」

 

「はい・・・織斑先生」

 

そして、織斑一夏は考えるのをやめた。

 

「え? もしかして、織斑君って千冬様の弟?」

 

「じゃあ、ISに乗れるのもそれが関係して「静かに!」」

 

教室は静寂に包まれ、顔を俯いてる男に織斑先生は視線を向けた。

 

 

 

「おい佐山。自己紹介をしろ」

 

佐山と呼ばれた男は顔を上げて席を立ち、振り返った。

 

180cmの長身だが猫背。しかも胴体は不自然に動いている。

 

黒い髪に黒い瞳で顔のパーツは良いのに、いつも眠たそうにボーっとしている。

 

そのためか、クラスメイトの第一印象は「やる気のない残念なイケメン」という残念な印象しかなかった。

 

しかし、そんなことはお構いなしと自己紹介を始める。

 

 

 

「えー、佐山翔です。趣味は猫の飼育とギター演奏、それに剣術の練習です。特技はこれといったものはありません。一年間よろしくお願いします」

 

 

 

内容自体は普通の自己紹介なのだが、やる気のない口調で話していたためか、

 

 

 

「本当に猫の飼育が趣味なの?」

 

「剣術の練習って、実は殺人のための練習じゃないの?」

 

「本当は趣味自体無いんじゃないの?」

 

 

 

自己紹介の時点で疑惑が掛けられていた。

 

 

 

「あ。後・・・」

 

何かを思い出したのか、翔は不自然に動いている胴体に手を伸ばし何かを取り出した。それは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつの親になってくれる人を探しています」

 

「ニャー」

 

 

 

猫だった。

 

 

 

 

 

生徒達は呆然とした。なんで自己紹介の時に猫の親を募集するのかと。

 

一夏は唖然とした。教室に猫を持ち込むのかと。

 

山田先生は呆気にとられていた。その猫が、こんなにも可愛いのかと。

 

織斑先生は頭を抱えていた。ストレスで胃に、穴が開くのかと。

 

 

 

 

 

 

「あ・・・最後にひとつ」

 

まだあるのかと、皆が驚いた顔で翔に視線を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼女はいるので、恋人は募集してません」

 

 

 

 

 

 

教室が静寂に包まれたまま、一時間目終了のチャイムが鳴り響いた。

 

彼はやはりバカであった。

 

 

 

 

 

 

その後、猫は保護され、織斑先生の鉄拳を喰らった翔は意気消沈していた

 

 

 

 

 

 

・・・訳もなく、翔は、教室を出ようとした時、

 

「なあ」

 

「ん?」

 

一夏が笑顔で話しかけてきた。一方の翔は、面倒な顔をしていた。

 

「なんだ?」

 

「いや、男二人だけだし、話に来ただけ」

 

「えーと、いちごだっけ?」

 

「いちか、織斑一夏。よろしく、佐山」

 

「俺は翔でいいよ」

 

「そうか。じゃあ、俺は一夏でいいよ!」

 

この華の巣窟に放り込まれた男二人。一夏はせめてもう一人の男性操縦者と仲良くなりたかった。

 

 

 

「ねえねえ、あれは・・・」

 

「間違いない。今年の本は一夏x翔で決定ね」

 

「やる気のなさそうに見える佐山君が、実は織斑君を・・・あぁん!」

 

だが、周りにはそんな風に見えてしまっている。女の欲求、底知らず。

 

 

 

そんな事とは知らず、一夏は翔に話し続けた。

 

「ところで、翔。今からどうするんだ?」

 

「人探し」

 

「人探し?」

 

「ああ。探してる女性がいるんだ」

 

「じゃあ、俺も「ちょっといいか?」ん?」

 

翔の人探しに興味本位で一夏が参加しようとした時、ポニーテルの女性が割り込んできた。

 

 

 

「・・・箒?」

 

 

 

 

幼馴染の篠ノ之箒であった。

 

「すまないが、一夏を借りるぞ」

 

「別にかまわねぇ。俺一人でもできるし」

 

そういうと、箒は一夏を連れて屋上へ向かった。

 

残った翔は、周りの視線を気にすることなく、教室を後にした。

 

 

 

最愛の人と再会するために隣の二組を訪問した。

 

 

 

しかし、二組に最愛の人はおらず、逆に二組の生徒達の質問攻めに遭い、一組に戻って行った。

 

誰かが監視しているのに気付きながらも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二時間目も男二人にとって地獄であった。

 

一夏は授業の内容が分からず顔を青ざめ、翔は最愛の人に再会できず放心状態であった。

 

さらに、

 

「織斑君。何か分からないところはありませんか?」

 

「えっ!?」

 

山田先生の質問により、一夏は再び窮地に立たされた。隣の翔を見ても、心ここに在らずの状態で教科書を見ていた。

 

助け舟を出してくれる人はいなかった。

 

一夏は覚悟を決め、顔を引き締めた。

 

「・・・先生」

 

「はい、織斑君!」

 

「ほとんど全部わかりません・・・」

 

「え、えっと・・・。今の段階でわからないっていう人はどれくらいいますか?」

 

山田先生が涙目になりながらも質問をしたが、その質問に答える生徒はいなかった。

 

放心状態の翔を除いては

 

「・・・織斑、入学前の参考書は読んだか?」

 

織斑先生が一夏に問いかけた

 

「あの、分厚い本の事か?」

 

「そうだ、必読と書いてあっただろう」

 

「古い電話帳と間違えて捨てま「馬鹿者!」イテェ!」

 

手に持ってた出席簿で一夏の頬を思い切りビンタした。少しイラついてたのか、音がいつもより大きく響いていた。

 

「後で再発行してやるから、一週間以内に覚えろ。いいな」

 

「い、いや、一週間であの厚さはちょっと・・・」

 

「やれと言っている」

 

「うぅ・・・・・・はい」

 

織斑一夏は考えるのをまたやめた。

 

そして、放心状態の翔に視線を移し、

 

「お前は現実に戻れ!」

 

「ぐはぁ!」

 

無理矢理、現実に戻された。

 

 

 

 

 

二時間目が終了し、一夏は授業の復習。翔は最愛の人を探しに三組に向かおうとした時、

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

「「ん?」」

 

誰かが、男二人に声をかけた。

 

男二人は声をした方に振り返ると、金髪のドリルみたいな髪型をしており、いかにも偉そうな態度で、腰に手を当てている少女がいた。

 

「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」

 

「悪いな。俺、君のこと知らな「じゃあな」って、翔!どこに行くんだ!?」

 

一夏は彼女を傷つけないようにフォローしようとしたが、そんな事はお構いなしと翔は教室を出て行こうとした。

 

彼女も翔の言動にイラついたのか、顔を赤くしながら声を荒げた。

 

「ちょっと、お待ちなさい!」

 

「待つ気はない」

 

「このわたく「お前に興味はない。じゃあな」なっ!」

 

彼女の話を無理矢理終わらせ、教室を後にした翔。その直後に彼女が怒り叫んでいたが、気にする素振りを見せずに最愛の人を探しに三組に向かった。

 

一人の女子に監視されていたが、彼は気にしてなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼が佐山翔君。簪ちゃんの・・・恋人」




原作キャラが何人か登場しましたが、どう主役と絡めばいいのやら・・・



突然ですが、主人公の紹介をさせていただきます。

佐山翔 15歳

本作の主人公。黒い瞳に黒い髪の日本人。身長は182cm

小さいころに見たロボットアニメの影響で、剣に興味を持ち、その後独自の剣術を会得。その剣術で町の悪人たち(ガキ大将やチンピラ)を懲らしめていた。「強くなって、みんなを守りたい」という思いがあったが、ISの登場によりその考えに疑問を持ち始めた。

中学二年になっても、疑問が解決すること無く悪人たち(犯罪集団やテログループ)を懲らしめていたが、更識簪との出会いによって「自分は無理して強くなろうとしていた」事と、彼女に恋をしていることに気付いた。

その後、女子生徒達に暴行されていた彼女を救い、告白。返事は一学期の終業式まで待つと約束したが、終業式当日にプロポーズされ、「結婚」を前提としたお付き合いをすることになった。



常に眠たそうにボーっとしていて、無愛想でデリカシーが無い。面倒なことには、首を突っ込まない主義であるが、「巻き込まれ体質」を持っているため、嫌でも巻き込まれる。

しかし、自分で決めたことに関しては一切の妥協をせず、必ず遂行するプロ根性(?)を持っている。

子供のころから剣術の練習に明け暮れていたため、勉強は体育以外、赤点を行ったり来たりの成績であったが、簪との勉強で赤点に行くことはめっきり減った。

料理の腕前は一流だが、自分で思ったものを作ることができない悩みを持っている(カレーを作ろうとしたらうな重、パスタを作ろうとしたらフォアグラができてしまう)。

超人的な身体能力を持っており、中学時代は、「最終兵器」、「人外」、「サイヤ人もどき」、「柱の男に近い男」という名誉ある(?)称号を持っていた。

簪以外の女性には興味が無く、他の女の名前と顔すら覚えていない(例外を除く)。

両親は、共にISの「武装・兵装」の開発会社に勤めてる(※但し、常識のある両親とは言ってない)。


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