バカとIS   作:陸のトリントン

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今回は、2組の転校生が登場します。

やばい・・・話が煮詰まってきてる。


第十一話 バカと「中国」

五月に入り、一組はクラス対抗戦の話で持ちっきりだった。

 

だが、翔はそんなことに一切の興味も無く、机でボーっと過ごしている。

 

自分の専用機が、かつて世界を滅ぼそうとした兵器である事に驚きを・・・

 

 

 

 

 

 

(親父・・・簪のISを真面目に作る気あんのか?)

 

 

 

 

 

 

持っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうすぐ、クラス対抗戦だね」

 

「そうだ。二組のクラス代表が変わったて、聞いてる?」

 

「ああ、何とかって言う転校生に変わったよね」

 

一夏の周りには、ドリルさんことセシリアを含んだ数名のクラスメイトが、二組の転校生の話で盛り上がっていた。

 

「転校生?今の時期に?」

 

「うん。中国から来た娘だって」

 

 

 

(中国?ラー○ンマンかパンダの親戚か?)

 

(バカ)の中国というイメージは、このような物である。

 

 

 

「ふん。今更私の存在に危ぶんでの転入かしら?」

 

「どんな奴なんだろ?強いのかな?」

 

「今のところ、専用機を持ってるのは一組と四組だけだから、余裕だよ」

 

「その情報、古いよ」

 

突然、ドアの方から声がしたので全員が振り向くと、ツインテールの小柄な少女が、腕を組み、片膝をを立ててドアにもたれている。

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」

 

「鈴・・・?お前、鈴なのか?」

 

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音(ファン・リンイン)。今日は宣戦布告に来たってわけ!」

 

一夏に指をさし、今日やるべきことをやったと思った鈴だったが・・・

 

 

 

 

 

 

「宣戦布告か・・・だったら、倒さねえとな。」

 

「え?」

 

(バカ)は、鈴の宣戦布告を「喧嘩」の宣戦布告だと勘違いしていた。

 

翔は立ち上がり、愛用している太刀を持って、鈴の所へ近づいて行く。

 

「あ、あんた・・」

 

「俺か?俺は「佐山翔でしょ・・・」知ってるのか?」

 

今までのクールに気取ってた鈴とは一変して、まるで「恐怖」その物に怯えている様子。

 

「あ、あんた、日本の警察を倒したって「あれはいじめっ子の親が、警察の一番偉い奴だっただけ」だ、だからって、あそこまで「あそこまでやってなかったら、俺は死んでたから」」

 

日本の警察を倒した。2組の転校生の衝撃の発言に、1組のクラスメイトは翔から遠ざかる。

 

 

 

「日本の警察を倒したって、じゃあ・・・」

 

「やっぱり、一組にいて正解だったかな・・・」

 

「私、これからどうすればいいの・・・」

 

「もうだめだ。おしまいだぁ!」

 

 

 

一夏は、翔が一体何をしたのか理解していなかったが周りの反応を見て、何かとんでもないことをやらかしたと感づいたが・・・

 

 

 

「鈴。翔は、実際優しい奴だから」

 

「へ?」

 

「こいつ猫が好きで、いつも学園の野良猫の世話を一人でしてるんだ」

 

 

 

一夏は薄々感づいてはいたが、翔は実際いい奴ではないかと思い始めていた。

 

確かにバカで、デリカシーが無くて、物覚えは悪い。

 

しかし、強く、自分を曲げず、優しいところに、何か憧れ的なものを一夏は持っていた。

 

 

 

「一夏?」

 

「どうした、鈴?」

 

「鈴が理解してくれた」そう思った一夏だったが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「病院行った方がいいわ!」

 

「ええええええ!?」

 

 

()を理解するには、まだ時間が必要だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、千冬の出席簿アタック(神は裁き)を喰らった鈴と翔は、渋々自分の席に戻った。

 

だが、千冬は何か疲れたような目をしていた。

 

「突然だが、このクラスに新しい転校生が入ってくることになった」

 

クラスはざわめいま。このクラスに転校生、一体誰なのか?みんなの期待が膨らむ中、千冬は喋り続ける。

 

「静かに!入ってこい、マドカ」

 

ドアが開き、転校生が姿を現した。

 

姿は千冬に瓜二つだが、小柄な体型。表情は千冬を冷静沈着にしたような顔つきである。

 

「織斑マドカです。織斑一夏とは双子の妹ですが、一人のクラスメイトとして接してくれたら幸いです。一年間、よろしくお願いします」

 

彼女は、静かな口調で自己紹介をした。無論この自己紹介は、成美が用意した台本を丸暗記しただけである。

 

「彼女はさっき言った通り、織斑一夏の双子の妹だ。別の高校で過ごしていたが、諸事情でIS学園に転校することになった。」

 

勿論、千冬の説明も成美が用意したものである。

 

 

 

クラスは静寂に包まれる事もなく、黄色い歓声の波がマドカを襲う。

 

 

 

「織斑くんの双子の妹!」

 

「しかも、織斑先生にそっくり!」

 

「小さく、可愛い、織斑先生!・・・ああ、よだれが」

 

 

 

そんな歓声の中、マドカは特に驚く様子など無かった。

 

自分は夢を叶えなければならない。マドカにとって、夢を叶える事以外は、道端に落ちてる小石にすぎない。

 

 

 

 

一人の男(佐山翔)を除いては・・・

 

 

 

「お前さあ」

 

マドカは、近付いてくる翔に警戒をしていたが、彼はそんな事を気にする素振りなど無かった。

 

クラスメイト達は、翔が転校生に何をするのかと緊迫した状態の中、見守っている。

 

「何だ?」

 

「お前・・・」

 

そう言い、翔はバックから何かを取り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こいつの親になってくれないか?」

 

「ニャー」

 

クラス中がずっこけた。転校生に対しての第一声が野良猫の里親勧誘。

 

「は?」

 

「いや、こいつの親に「何をしてるんだ!」ぐほっ!」

 

翔による野良猫の里親探しに千冬は、いつもの様に出席簿の鉄槌を喰らわせたが、出席簿が粉砕した。

 

 

 

「出席簿、壊して大丈夫なんですか、先生?」

 

「安心しろ、翔。私の出席簿は108個あるからなあ」

 

そう言った千冬は何処からともかく、新品の出席簿を取り出した。その顔は何故か邪悪な笑みを浮かべていた。

 

 

 

「なんで、笑ってるんですか?」

 

「さあな・・・」

 

 

 

翔も千冬を理解するのに、時間が必要だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は流れ、昼休みの食堂。

 

「びっくりしたぜ。お前が二組の転校生だとはな。連絡くれれば良かったのに」

 

「そんなことしたら、劇的な再開が台無しになっちゃうでしょ?」

 

一夏は、久しぶりに再会した鈴との会話に花を咲かしていたが、後ろにいた箒とセシリアは、何故か不機嫌な顔をしている。

 

「なあ、お前ってまだ千冬姉のこと、苦手なのか?」

 

「そ、そんなことないわよ。ちょっとその、得意じゃないだけよ」

 

注文したラーメンを受け取り、テーブルに向かったが・・・

 

 

 

 

 

 

「で、いつ代表候補生になったんだよ?」

 

「・・・・・・」

 

一夏の問いかけに答えることも無く、黙々とラーメンを食べる鈴。

 

「鈴?」

 

「一夏・・・」

 

突然箸を置き、鈴は一夏を睨みつける。

 

「な、なんだ?」

 

「なんで・・・」

 

 

 

 

 

 

「なんで、この三人(翔と簪とマドカ)と一緒に食べてるのよー!」

 

鈴は、一夏の隣にいる翔、簪、マドカという異色のメンバーでの昼食に不満を持っていた。

 

ちなみに、翔はうどんという名のパスタ、簪は鶏肉そば、まどかはカ○リーメイトを食べている。

 

「ニャー」

 

「こいつを忘れんなよ。リンリン」

 

「リンリンじゃない!凰鈴音(ファン・リンイン)!」

 

「じゃあ・・・リーン」

 

「略すな!」

 

(バカ)を前に、鈴のSAN値が減っていく。

 

「というより、この二人は誰よ一夏!」

 

「ああ紹介するよ。翔の隣にいるのは更識簪。そしてその隣にいるのは、俺の双子の妹のマドカ」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

「・・・よろしく」

 

少し緊張しつつ挨拶した簪に対し、マドカは無愛想に挨拶をするが、鈴は簪を凝視していた。

 

「鈴、どうしたんだ?」

 

「更識・・・ああっ!あんた、ロシア代表の妹さん!?」

 

「え?」

 

何の驚きか理解していない一夏に、鈴は問い詰める。

 

「一夏!なんで、この子と知り合いなの!?」

 

「いや、知り合いじゃなく「俺の彼女だ」」

 

「・・・え?」

 

「だから、俺の彼女だって言ってるだろ」

 

「・・・・・・」

 

翔の突然の発言に、鈴はその場で固まり・・・

 

 

 

「なんであんた(バカ)に彼女がいるのよおおおおお!」

 

 

 

泣き叫びながら、鈴は走り去って行った。

 

「あいつ、何がしたかったんだ一夏?」

 

「さぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

男二人(一夏と翔)に乙女心を理解するのは、至難の道である。




次回はクラス代表戦まで、執筆する予定です。

ちなみにラストで鈴が泣き叫んだ理由は、次回で分かる・・・予定です。

ご意見、ご感想、お待ちしております。

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