やばい・・・話が煮詰まってきてる。
五月に入り、一組はクラス対抗戦の話で持ちっきりだった。
だが、翔はそんなことに一切の興味も無く、机でボーっと過ごしている。
自分の専用機が、かつて世界を滅ぼそうとした兵器である事に驚きを・・・
(親父・・・簪のISを真面目に作る気あんのか?)
持っていなかった。
「もうすぐ、クラス対抗戦だね」
「そうだ。二組のクラス代表が変わったて、聞いてる?」
「ああ、何とかって言う転校生に変わったよね」
一夏の周りには、ドリルさんことセシリアを含んだ数名のクラスメイトが、二組の転校生の話で盛り上がっていた。
「転校生?今の時期に?」
「うん。中国から来た娘だって」
(中国?ラー○ンマンかパンダの親戚か?)
「ふん。今更私の存在に危ぶんでの転入かしら?」
「どんな奴なんだろ?強いのかな?」
「今のところ、専用機を持ってるのは一組と四組だけだから、余裕だよ」
「その情報、古いよ」
突然、ドアの方から声がしたので全員が振り向くと、ツインテールの小柄な少女が、腕を組み、片膝をを立ててドアにもたれている。
「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」
「鈴・・・?お前、鈴なのか?」
「そうよ。中国代表候補生、
一夏に指をさし、今日やるべきことをやったと思った鈴だったが・・・
「宣戦布告か・・・だったら、倒さねえとな。」
「え?」
翔は立ち上がり、愛用している太刀を持って、鈴の所へ近づいて行く。
「あ、あんた・・」
「俺か?俺は「佐山翔でしょ・・・」知ってるのか?」
今までのクールに気取ってた鈴とは一変して、まるで「恐怖」その物に怯えている様子。
「あ、あんた、日本の警察を倒したって「あれはいじめっ子の親が、警察の一番偉い奴だっただけ」だ、だからって、あそこまで「あそこまでやってなかったら、俺は死んでたから」」
日本の警察を倒した。2組の転校生の衝撃の発言に、1組のクラスメイトは翔から遠ざかる。
「日本の警察を倒したって、じゃあ・・・」
「やっぱり、一組にいて正解だったかな・・・」
「私、これからどうすればいいの・・・」
「もうだめだ。おしまいだぁ!」
一夏は、翔が一体何をしたのか理解していなかったが周りの反応を見て、何かとんでもないことをやらかしたと感づいたが・・・
「鈴。翔は、実際優しい奴だから」
「へ?」
「こいつ猫が好きで、いつも学園の野良猫の世話を一人でしてるんだ」
一夏は薄々感づいてはいたが、翔は実際いい奴ではないかと思い始めていた。
確かにバカで、デリカシーが無くて、物覚えは悪い。
しかし、強く、自分を曲げず、優しいところに、何か憧れ的なものを一夏は持っていた。
「一夏?」
「どうした、鈴?」
「鈴が理解してくれた」そう思った一夏だったが・・・
「病院行った方がいいわ!」
「ええええええ!?」
その後、千冬の
だが、千冬は何か疲れたような目をしていた。
「突然だが、このクラスに新しい転校生が入ってくることになった」
クラスはざわめいま。このクラスに転校生、一体誰なのか?みんなの期待が膨らむ中、千冬は喋り続ける。
「静かに!入ってこい、マドカ」
ドアが開き、転校生が姿を現した。
姿は千冬に瓜二つだが、小柄な体型。表情は千冬を冷静沈着にしたような顔つきである。
「織斑マドカです。織斑一夏とは双子の妹ですが、一人のクラスメイトとして接してくれたら幸いです。一年間、よろしくお願いします」
彼女は、静かな口調で自己紹介をした。無論この自己紹介は、成美が用意した台本を丸暗記しただけである。
「彼女はさっき言った通り、織斑一夏の双子の妹だ。別の高校で過ごしていたが、諸事情でIS学園に転校することになった。」
勿論、千冬の説明も成美が用意したものである。
クラスは静寂に包まれる事もなく、黄色い歓声の波がマドカを襲う。
「織斑くんの双子の妹!」
「しかも、織斑先生にそっくり!」
「小さく、可愛い、織斑先生!・・・ああ、よだれが」
そんな歓声の中、マドカは特に驚く様子など無かった。
自分は夢を叶えなければならない。マドカにとって、夢を叶える事以外は、道端に落ちてる小石にすぎない。
「お前さあ」
マドカは、近付いてくる翔に警戒をしていたが、彼はそんな事を気にする素振りなど無かった。
クラスメイト達は、翔が転校生に何をするのかと緊迫した状態の中、見守っている。
「何だ?」
「お前・・・」
そう言い、翔はバックから何かを取り出した。
「こいつの親になってくれないか?」
「ニャー」
クラス中がずっこけた。転校生に対しての第一声が野良猫の里親勧誘。
「は?」
「いや、こいつの親に「何をしてるんだ!」ぐほっ!」
翔による野良猫の里親探しに千冬は、いつもの様に出席簿の鉄槌を喰らわせたが、出席簿が粉砕した。
「出席簿、壊して大丈夫なんですか、先生?」
「安心しろ、翔。私の出席簿は108個あるからなあ」
そう言った千冬は何処からともかく、新品の出席簿を取り出した。その顔は何故か邪悪な笑みを浮かべていた。
「なんで、笑ってるんですか?」
「さあな・・・」
翔も千冬を理解するのに、時間が必要だった。
時間は流れ、昼休みの食堂。
「びっくりしたぜ。お前が二組の転校生だとはな。連絡くれれば良かったのに」
「そんなことしたら、劇的な再開が台無しになっちゃうでしょ?」
一夏は、久しぶりに再会した鈴との会話に花を咲かしていたが、後ろにいた箒とセシリアは、何故か不機嫌な顔をしている。
「なあ、お前ってまだ千冬姉のこと、苦手なのか?」
「そ、そんなことないわよ。ちょっとその、得意じゃないだけよ」
注文したラーメンを受け取り、テーブルに向かったが・・・
「で、いつ代表候補生になったんだよ?」
「・・・・・・」
一夏の問いかけに答えることも無く、黙々とラーメンを食べる鈴。
「鈴?」
「一夏・・・」
突然箸を置き、鈴は一夏を睨みつける。
「な、なんだ?」
「なんで・・・」
「なんで、
鈴は、一夏の隣にいる翔、簪、マドカという異色のメンバーでの昼食に不満を持っていた。
ちなみに、翔はうどんという名のパスタ、簪は鶏肉そば、まどかはカ○リーメイトを食べている。
「ニャー」
「こいつを忘れんなよ。リンリン」
「リンリンじゃない!
「じゃあ・・・リーン」
「略すな!」
「というより、この二人は誰よ一夏!」
「ああ紹介するよ。翔の隣にいるのは更識簪。そしてその隣にいるのは、俺の双子の妹のマドカ」
「よ、よろしくお願いします」
「・・・よろしく」
少し緊張しつつ挨拶した簪に対し、マドカは無愛想に挨拶をするが、鈴は簪を凝視していた。
「鈴、どうしたんだ?」
「更識・・・ああっ!あんた、ロシア代表の妹さん!?」
「え?」
何の驚きか理解していない一夏に、鈴は問い詰める。
「一夏!なんで、この子と知り合いなの!?」
「いや、知り合いじゃなく「俺の彼女だ」」
「・・・え?」
「だから、俺の彼女だって言ってるだろ」
「・・・・・・」
翔の突然の発言に、鈴はその場で固まり・・・
「なんで
泣き叫びながら、鈴は走り去って行った。
「あいつ、何がしたかったんだ一夏?」
「さぁ?」
次回はクラス代表戦まで、執筆する予定です。
ちなみにラストで鈴が泣き叫んだ理由は、次回で分かる・・・予定です。
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